デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 アンコール3巻の特装版、どこかで買えないかな~と調べていたところ、最低でも8000円かかることが判明しました。ショック。
 定価の4000円程で買えるところは、既に販売終了していて(当たり前ですね)、やっとアマゾンで見つけたと思えば8000円。
 あれですね。自分への死刑宣告ですね。
 ……欲しかったんですよ。

 はい、ということで叫びたい衝動を抑えてなるべく静かに書いてみました。
 おそらく、お年玉を貰ったとして、この値段では、残しておきたい分を考えれば、大半が吹っ飛ぶor買えない、ですね。はあ。

 愚痴ってしまいすみません。
 それでは、どうぞ。


第27話

 人類最強。

 言葉にすれば簡単だ。小学生ですらその意味は分かるだろう。

 だが、それは実感には繋がらない。

 人類最強が身近にいる奴なんて、それこそ漫画なんかの中にしかいないのだから。

 では、それが目の前にいるとしたら?

 仲間でも他人でも知人でもない、(れっき)とした、敵、として。

「ハァッ!」

 雷と炎を纏わせた腕と脚で、乱舞とでもいうべき攻撃を加える。

 しかし、

「―――――――――」

 ただただ、無言で全て防がれていく。

 右からの回し蹴りも、左の裏拳も、右手の掌打も左の膝蹴りも。全て。

「――――フッ!」

 短い息を吐き、カウンター気味にブレードを俺の右側から薙ぐ。

「くっ……!」

 左の拳を打ち付けるようにしてそれを防ぎ、その流れで体を回す。

 先程から何度もやっているこの動き、回し蹴りへの転換だ。

「何度も同じ手が通ると思いますか」

「思ってなんか、ねえっ!」

 言いつつも、動きは止めない。

 はっきり言って、止めれないのだ。

 止まればその隙を確実に突かれるし、無理に動きを変えようとすれば次に繋がらなくなる。他にも、それ以外の動き方を知らないというのもある。

「……変な人です」

「…………ぐぁ!?」

 どこに装備していたかも分からないが、一条の光線が俺を襲う。

 おそらく、魔力砲だろう。

 押されるように、彼我の距離を離す。

「力も、速度も、能力もあるのに、何故そんなに弱いのです?」

 俺が荒れている息を整えているのに構わず、敵は声をかけてくる。

「正直言って、動きが素人です」

「ははっ、全く同じ評価を、先日ある人物から受けたよ」

 確か、真那も同じようなこと言ってた筈。『動きが素人すぎじゃねーですか』だったっけ。

 そういや、いつの間にか音楽が聞こえないな……。

 ちらりと周囲に目を向ければ、戦闘中に大分移動していたらしく、最初に激突した所よりも耶倶矢や夕弦たちから遠い場所だった。

 〈バンダースナッチ〉や〈破軍歌姫〉の影は見えるものの、詳しい戦闘状況までは全く分からない。

 どうやら、〈破軍歌姫〉の音楽の、効果範囲外に来てしまったのか。

「……戦闘中に余所見とは、随分と余裕ですね」

「……!」

 やべっ、近づいてきたか!

「チッ……!」

 舌打ちを返しながら、さらに激化する戦闘を再開する。

 

 気が付けば、七海がどこかへと行っていた。

 否、正確には現在地は分かる。が、何時の間にか、という意味では変わらなかった。

「何者だ、あやつは……?」

「呼掛。気になるのは分かりますが耶倶矢、今はこちらにも集中して下さい」

「わ、わかっておる」

 言いつつ、自身の天使、〈颶風騎士(ラファエル)〉を振るう。

 耶倶矢が持っているのは、突撃槍のような形をした【穿つ者(エル・レエム)】だ。

 それを見た夕弦も、ペンデュラムの形をした【縛める者(エル・ナハシュ)】を振るった。

「きひひひひっ、さあ、さあ。行きますわよ〈刻々帝(ザァァァァァフキェェェェェル)〉。物分かりの悪い機械人形に、その力、見せつけてやりなさい」

 七海が〈バンダースナッチ〉と呼んだ人型が、他よりもやや少ない場所で、黒髪の少女が声を上げた。

 狂三だ。

 彼女は背後に、自身の二倍はあろうかという時計の形をした天使、〈刻々帝〉を顕現させていた。

 そして、その右手に持つ長銃の銃口に、〈刻々帝〉から滲み出た影が吸い込まれる。

 その銃口を自分へ向けつつ、狂三は言った。

「〈刻々帝〉――――【八の弾(ヘット)】」

 撃つ。

 銃声は聞こえたものの、その頭がはじけることはなかった。

 それもその筈。

 【八の弾】は、自身の過去の再現体を出現させるもの。

 よって、狂三を中心とする、大きく広がった影から、いくつもの腕や頭部が出てくる。

 そうして出てきたのは、狂三と全く同じ過去の狂三(・・・・・)

「ひひひ、さあ、行きますわよ『わたくしたち』」

 三桁は下らない自身の過去の再現体を従え、本体である狂三は、銃弾を放った。

 それを合図に、他の狂三たちも動き出す。

 〈バンダースナッチ〉に向かって突っ込む者、銃を使って迎撃する者など、多様な戦闘が開始される。

 そんな中、新たな狂三が、また出てきた。

 場所は、

「おわあぁ!?び、びっくりしましたぁー。狂三さんじゃないですかぁ」

 なるべく標的にされないように逃げながらも演奏を続ける、美九のもとであった。

「声の綺麗な精霊さん。一つ、頼まれごとをしてくれませんこと?」

 その姿を全て影から出したその狂三は、開口一番、そう訊いてきた。

「頼まれごと、ですかー?」

「ええ」

 そこで一つ、その狂三は周りを見渡した。

 そしてまた、美九を見ながら口を開く。

「この場はわたくしたちだけで大丈夫ですわ。なので、七海さんの所に行ってほしいのですけれど」

「あの男の所にですかぁ?嫌ですよ絶対」

「ですが、明らかに向こうで七海さんの援助をした方が、両側にとって得だと思いますわ」

 つまりはこう言いたいのだろうと、美九は予測する。

 今この場は精霊である自分たちでなんとかなるから、苦戦している七海のもとで演奏してほしい、と。

「……どうしてそこまで、あの男の肩を持つんです?人間なんて、ほとんど価値も無いに同然なのに」

 やや憮然とした態度で、美九は訊いた。

 ずっと気になっていたのだ。

 どうして、そんなにあの男のことを想い、信じきった行動が出来るのかと。

「そうですわねェ……。一介の再現体である『わたくし』が言っていいのかわ分かりかねますけど、きっと、こういうことだと思いますわ」

 そこで彼女は、一度言葉を区切り、

「――――自分を救う為に自分を信じてくれた、力を尽くしてくれた相手を、信用しないなんてことはない……というところではありませんの?『わたくし』も、あの風の精霊さんも。あくまで、推測ですけれど」

 淡い微笑を湛えながらのその言葉。

 それを聞いた美九は、なぜか胸が痛くなるのを感じた。

 なぜならそれは。

 自分が、過去において得られなかったものだから、かもしれない。

「……わかりました。あの男の所に行ってあげます。でも、私の意志で戻ってきても良いと言うのなら、ですよー?」

「ええ、別に構いませんわ」

 そして美九は、一つの疑問を投げかける。

「……でも、どうやってあそこまで行くんですかー?結構遠いですよ?」

「――――こうやって、ですわ」

 突如として出てきたもう一人の狂三。

 驚き過ぎて固まった美九を無視して、今しがた出てきた狂三は、もとよりいた狂三に向かって銃弾を放つ。

「〈刻々帝〉――――【一の弾(アレフ)】」

 その額に銃弾が当たったたのを見た後、撃った側の狂三は美九に向き直る。

「【一の弾】は自らの時間を加速させる弾。さあ、時間はありませんわ。早く行ってくださいませ」

 その狂三は、撃たれた側の狂三に目配せをする。

 直後、

「え?……き、きゃあああぁぁぁぁ!?」

 ドップラー現象を起こしながら、美九は行ってしまった。

 撃たれた側の狂三が、一瞬で美九を抱き上げ、七海のもとへと走っていったからだ。

「……七海さんを、助けてくださいまし、美九さん」

 呟いた彼女は、すぐに戦闘へと戻っていく。

 

「――――――が、はっ」

 はあ、はあと、荒い息を吐く。

 既に体は限界を迎えていた。

 外傷は無い。しかし、幾度もの攻撃を受けてきたこの身は、痛みを通り越して熱を持ったようになっており、疲労が溜まりすぎていた。

「たかがこの程度なら、〈プリンセス〉の方に向かうべきだったかもしれませんね」

「…………」

 俺はただ、何も言えず睨み返すのみ。

 しかし、それを受けるエレンは、涼しい顔だ。

 正直に言おう。

 一度も攻撃を当てることが出来ていない。

「く、そ……」

 途切れ途切れの俺の言葉は、少しだけ絶望が混じっていた。

 未だ轟々と嘶く腕と脚の炎と雷が、俺の心の対極にあるようだった。

「終わりですか?それならもう、あなたを殺してもいいんですが」

「……まだ、終わってねえ……!」

 まさかこんな熱い台詞を吐く日が来るとは思わなかったが、まあ、再び燃え始めた俺の心を言葉にするには、最適ではあるな。

 俺は、右手を一度、強く握り、また開く。

 さて、流石に新しい試みを始めてみるか。

 今まで通りじゃ駄目なら、新しい道を創るってのは、当たり前だと思うんだ。

 大丈夫。霊装だって創れたんだ。アレだって創れるさ。

 俺は、イメージを固めていく。

 何もしてこない俺を無抵抗と受け取ったのか、エレンは一瞬で肉薄してきた。

「くっ!」

「……避けましたか」

 なんとか、な。

 しかし、こんな風では、イメージを固めることが出来ない。

 でも、時間をかけてでも創りだしてみるんだ。それが、現状打破の糸口となるかもしれないんだから。

 さらに攻撃の手を密に、強くしてくるエレン。俺は、それを避け続ける。

 しかし、速度に追いつけず、当たることもある。

「うが……っ!」

 肺の空気を押し出されつつ、飛ばされる。

 霊装を直撃したが、切り裂かれないといことは、〈ペンドラゴン〉よりも劣る装備なのかもしれない。

 だが、そう考えている間に、飛ばされていた間に、イメージは固まった。

 さあ、創りだすか。

 漢字は当て字。神話上の立ち位置から、適当にそれっぽいものにしよう。

 こちらが体勢を整えている間に、敵は接近してくる。

 だけど、もうこっちは準備オーケーなんだぜ!

 せーの……!

「来い、〈聖破毒蛇(サマエル)〉……!」

 やべえ!漢字がなんか、『ちょっと間違えたというかこじらせちゃった中二病』みたいになった!

 でもしょうがねえじゃんかー。だってエレンを倒すっていうこと考えていたら、パッて『サマエル』が出てきて、同時にいろんな逸話なんかを思い出してさー。

 んで、神話上では、天使と戦ったり(=聖破)、『神の毒』っていう意味だったり(=毒)、蛇として扱われてたり(=蛇)してたからさ、こんななったんだよ。

 ……閑話休題。

 俺が創り出したのは、いつか創った武器と似たような見た目だ。

 即ち、両剣。双身剣が正式名称だっけ?

 〈鏖殺公〉の刃や、〈颶風騎士〉の金属質部分なんかをもとにしたり、オリジナルで霊力を弄ったものだったりを掛け合わせて創った。

 それを持って、接近してきたエレンに振る。その柄を掴んだ瞬間、鱗のような模様をしたものが二本、俺の右腕に巻きついてきた。

 言うならば、蛇のように。

「!…………くっ」

 咄嗟の判断で防御を選んだらしいエレンは、振りかぶっていたレーザーブレイドを盾にするように守る。

 その上から、一気に叩きつけるようにして攻撃する。

 金属音のような音が辺りに響き、エレンとの距離が開いた。

 ようやく、一撃を当てれたのだ。防がれたが。

「それは……」

「ああ、俺の新たな力ってな」

 さてと、はっきり言って振り出しという程ではないだろうが。

 それでも、力量差は縮んだ筈だ。

 だから、

「もう一戦、行こうか……!」

「成程、確かにそれは、私にとって脅威たりえるでしょう」

 ですが、とエレンは言った。

「――――当たらなければ、意味が無い」

 激突。




 もうすぐ学校が終わるので、多少更新が早くなる可能性があります。
 ただし、勉強もしないといけないので、可能性、です。

 ということで、VS人類最強(前編)みたいな回でした。
 次回はそこに美九が登場したりしなかったり。(ちゃんと登場します。)
 また、作中の中二ネーミングは不問でお願いします。

 さっき気づきました。新しい評価ありがとうございます。
 しかも、9点なんて付けていただいて……。感激です。本当にありがとうございます!
 まだまだ至らぬところもあるでしょうが、これからもよろしくお願いします。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 アンコール3、悔しいです……!
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