活動報告の方で、とある質問をさせていただいております。
内容は、もうすぐクリスマスということで、クリスマス回を書いてもいいか否か。
詳細は、活動報告の方をご覧ください。
また、皆さん知っておられると思いますが、回答は活動報告のほうにお書きください。
それではどうぞ。
両剣(双身剣よりしっくりくる)というのは、その構造上、攻撃範囲が広い。
自分を中心とした円状で、攻撃手数もある。
今回創ったのは、俺よりも大きいので、扱うのは難しいがバランスがとり易い。
そして、この〈聖破毒蛇〉、まだ秘密がある。
今、俺とエレンは、それぞれの得物で打ち合っている。
だがまあ、両剣なんて使ったことない俺は、なんとかエレンに付いていっているって感じだが。
なんで両剣にしたのかと訊かれれば、単に好きだから。
でも、別に良いんだ。
俺は、刃が再度ぶつかる直前、声を発した。
「〈聖破毒蛇〉―――【双刃】!」
直後、両剣が光に包まれる。
その時間は一瞬だ。
だがその一瞬の内に〈聖破毒蛇〉は、変形した。
展開し、縮小し、組み合わさり、分解され、離され、動き、無数のパーツとなり、新たな形となる。
そうして造りだされたのは。
二振りの剣。
「な……!?」
「らあっ!」
それぞれ片手に持ち、二刀流の状態で連撃を加える。
その刃は見た目こそ両剣の状態と同じだが、大分細身となり、大きさも俺に合っていた。
〈灼爛殲鬼〉の変形機構を組み込んだ結果、この〈聖破毒蛇〉は、俺のイメージ通りの武器に変形するという能力を持ったのだ。
ちなみに、それを掴んだ瞬間、右腕に巻きついていた二本の鱗は、両腕に一本ずつになった。
「くっ!」
右、左、上、下。
袈裟切り、逆袈裟、突き、払い。
最適の体移動と、最速の攻撃を思って、俺はエレンを狙う。
そんな時だ。
「〈破軍歌姫〉――――【行進曲】!」
澄んだ声が聞こえた。
最後の一撃も防がれるが、その身を離してその声の主の名前を叫ぶ。
「美九!?」
「勘違いしないでくださいよー!私は頼まれたから来ただけですぅー!自主的ではないですからねー!」
いや、だけど十分ありがたい。
俺は、その音楽を聴いて、力が再び湧き上がるのを感じた。
【行進曲】の効果は、聞いた者の力を漲らせるもの、だったよな。
「増援ですか」
「まあな」
「……まあ良いです。たとえその力があろうと、弱いあなたでは私に届きません」
おいおい、ついさっき『当たらなければ意味が無い』とか言いつつ、防ぐことしか出来てない奴が言うなよ。
いやまあ、ある意味当たってないけども。
俺は、間合いを測る振りをして、自身の背中に美九がくる所に移動する。
そして、
「〈聖破毒蛇〉――――【鋭爪】」
次いで、自身の手の甲を覆うような武器を創りだす。
形は
剣よりも間合いは狭いが、その分速度の出る武器だ。
そして、接近。
目線の先、エレンも向かってくる。
確かに、受け身になるよりは向かっていった方が得策ではあるな。
剣の状態よりも接近した間合いで、幾度も打ち合う。
求めるのは、速度。
先述の通り、剣よりも速度がでる今この状態は、ようやく対等と言える位には速くなっていた。
「ほう……ようやく私に届きえる速度に達しましたか。――――では、こちらももう少し本気を出しましょう」
は?
「……ごふっ!?」
思う眼前、舞う長髪が見えた。
気が付けば、エレンは懐にいて、至近距離から魔力砲を放ったようだった。
押され、飛ばされる俺。
なんとか体勢を整える間に、己の中の疑問を考える。
「もう少し本気を出す、だと?」
「ええ。まさか、今までのが私の全力だと?」
いや、それを言い出したら本装備ではない時点で、お前は本気ではないのだろうけど。
俺は一度〈聖破毒蛇〉を通常状態の両剣に戻し、身構える。
対するエレンも、レーザーブレイドを構えた。
直後、目の前にいた。
「え……?」
「遅いです」
!
直感で、右に体を倒し、避ける。
だが、エレンの言う通り、遅かった。
避け切れなかった左肩部分に、刃が当たる。
「――――そこ!」
そして、そんな気合のもと、攻撃が加わった。
背に装備されていたのであろう魔力砲や、レーザーカノンなど、おそらく全武装が、全攻撃が、当たった左肩に殺到する。
「うぐが……っ!」
たまらず、その身を離す。
一斉攻撃をもらった左肩より下は、痺れたように感覚が無く、満足に動かせない。
「……?」
視線の先、エレンは不思議そうな顔をしていた。
俺は、左腕の感覚が戻るのを待って、ただ睨む。
くそっ、早く戻って来いよ……!
「……確かに、このCR‐ユニットは他よりも性能は良い」
何だ?何をいきなり話し出す?
「ですが、いくらその斉射をくらったとはいえ、普通、霊装を貫通させて攻撃を通すことは不可能な筈です」
いい加減、感覚の戻らない左腕を動かし、手を握ったりしてみようとする。
結果、出来なかった。
「……あ?」
手が握れないのではない。
まずもって、腕が動いた感覚が無かった。
嫌な予感がして、視線を左肩に移す。
「まあ、私が思っていたより性能が良かったのか、あなたの霊装の防御力が弱かったのかは分かりませんが」
そんな声が聞こえていた。
だが、反応は出来なかった。
何故ならば。
「――――まずは片腕、貰いましたよ」
攻撃をくらっていた左肩より下が、無くなっていたのだから。
「が、あ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
それを確認した瞬間、思い出したように猛烈な痛みが俺を襲う。ふとすれば、気を失いそうだった。
ずっと流れたいたのであろう血は、己の下の地面で溜まっていた。
反射的に、右手で傷口を押さえる。その時、つい〈聖破毒蛇〉を投げ出してしまったが、少し離れた場所で空中待機していた。
「う、そ……だろ?」
まさか、霊装が破られるなんて。
だが、思えば、俺がイメージだけで創り出したものなんだから、オリジナルよりも劣化する可能性はあったのかもしれない。
いやに冷静な部分が、そんな思考をする。
「今あなたが感じているであろうその痛みが嘘だと言うのなら、この世の殆どは嘘でしょうね」
つまり、現実。
俺は、エレンを再度睨め上げる。
気が付けば、〈聖破毒蛇〉は手の届く距離にある。
ならば、
「くっ……〈聖破毒蛇〉」
右手だけで扱える武器って何があったっけ……?
「――――【小剣】」
創り出したのは、所謂、ダガー。
大きさは、元の両剣の状態からは想像出来ないほど小振りになっている。
それを逆手に持ち、構える。
左肩からは止め処なく血が流れているが、どうしようもない。
「どうやらあなたは、後ろの精霊―――〈ディーヴァ〉ですか。それを庇うようにしているようですね」
……おいおい、そこまで気付かれたのかよ。
いやまあ、たとえ攻撃をもらっても、常に美九を背にしているんだから、勘の良い奴はすぐに気付くか?
「では、〈ディーヴァ〉に危害を与えられた時、あなたはどうなるのでしょう」
!まさか……!
ただ直感に任せて、美九のもとに飛ぶ。
「――――――!?」
演奏を、音楽を止めないまま、驚きの声をあげる美九。まあ、あくまで推測な。
飛んで、ダガー状態の〈聖破毒蛇〉を構えた一瞬後、強烈な右からの衝撃によって地に飛ばされ落とされる。
ドシャアッと、耳元で聞こえた。
「……護りましたか」
そろそろ朦朧としてきた意識の中、未だ地に倒れ伏したままの俺の視線の先で、エレンは地面に降り立った。
美九の目の前に。
「………が、あっ!」
右手を付き、声を上げて自分を叱咤しながら、立ち上がる。朦朧としていた意識なんて、すぐに醒めた。
そして、一気に駆ける。
右腕を振りかぶり、攻撃する。
が、
「……!?」
気が付けば、目線は左に倒れ、低くなっていた。
そのまま、再度地面に倒れる。
左腕が無くなったことで、体のバランスが保てなくなっていたのだ。
「無様ですね」
「はあ、はあ……」
やべ、視界が暗くなってきた。
右手に持った〈聖破毒蛇〉が、霧散していった。
「七海さん!?」
美九の声が聞こえる。初めて名前を呼んでくれたが、こんな状況じゃ喜べないよなあ……。
息も絶え絶えに、横向きのエレンと美九を見る。
もう、力が入らなかった。
美九が【行進曲】の演奏を止めたからではなく、単純に限界だった。
「ふむ……それでは、〈ディーヴァ〉を殺してみるとしましょうか。あなたが、本気になる為に」
「や、めろ……」
俺の声は、既に掠れていた。
そんな声など意に介さず、エレンは美九の前に立つ。
「ひ……っ」
美九は、恐怖のあまり動けないようだった。
ただただ、泣きそうな目で、エレンが振り上げたブレイドを見上げるのみ。
く、そ。
俺はまた、誰かを失うのか?
俺はまた、護ることが出来なかったのか?
―――俺はまた、その正義を、希望を、貫けないのか?
視線の先で、エレンは何かを呟いたようだった。
なんて言ったのかは分からない。俺に向けたのかもしれないし、美九か、はたまた別の誰かにかもしれない。
「が、あああぁぁぁぁ―――――」
なけなしの力を
飛ぶように再度立ち上がる。
一歩目。
「や……!」
エレンがこちらを向く。釣られるように、美九もこちらを見た。
エレンのその表情は、どこまでも冷淡だった。
二歩目。
「め……」
一文字目よりも小さくなる声。右腕を伸ばす。
何が出来るかなんて考えてない。ただ、エレンの動きを止めたかっただけか。
三歩目。
「……――――」
もはや、言葉は出なかった。
視線の先で、エレンは、自身のレイザーブレイドを構えなおした。
「ぁ、ぁぁぁあああああ――――――!」
俺は、慟哭した。
どこからそんな声が出たのかさえ、分からなかった。
ただ、思うのは、諦めきらないままに絶望する気持ちだけだった。
ああ、ああ。
俺は、どうすればいい?
俺は、敵を倒さなければならないんだ。
ならば。
全てを、消そう。
創り出して救えないのなら、倒せないのなら、果たせないのなら。
悪を、絶望を、敵を。
ああ、だが、それだけじゃ足りない。
悪を消したところで、何になる?絶望を消したところで、何が残る?敵を消したところで、何を思う?
ならば。
そう、消すんだ。
悪だけじゃなく、絶望だけじゃなく、敵だけじゃなく。
―――――正義も、希望も、己すらも。
等しく、消す。
「ああああああぁぁぁぁぁぁぁ――――――」
泣くように、叫ぶ。
正義なんかじゃ、変わらなかった。希望なんかじゃ、救えなかった。
―――――己だけでは、護れなかった。
だから、消そう。
光を消して、全てを呑み込む闇であろう。
「―――『
そして、意識が。
ブツリ、と。
途切れ――――――
「し、司令!」
「なに!?こんな時に、どうかしたって言うの!?」
空中艦、〈フラクシナス〉の司令室にて、モニタリングをしていた一人のクルーが声をあげる。
前の大画面では、急遽襲来してきた人型の機械と、十香や四糸乃が戦っている姿が映っている。
こちらでも援護はしているが、戦況は良くもなく悪くもなくといったところだ。
「そ、その、ちょっと有り得ない霊力反応が……」
声を出した人物が、自身の画面を見ながら、何度も司令と呼ぶ少女を見る。
その少女、琴里は、何かを感じ取り、そのクルーに目を向けた。
「……どうしたの?」
「その、えと」
「早くしなさい!」
その声に押され、告げる。
「七海くんたちがいた場所付近に、新たな霊力反応がありました。いや、新たなというより……」
「というより?」
「……霊力反応、カテゴリーEです」
その会話を聞いていた他のクルーたちの間に、どよめきが走る。
「嘘でしょ!?一体、誰が?」
「そ、それが……」
そのクルーは、少し言いよどんだもの、意を決したというように口を開ける。
「どうやら、七海くんのようです」
「はあ!?どうしてよ!七海は霊結晶を持っていないのでしょう!?なのに、何で……!」
「……少し落ち着いたらどうだい、琴里」
琴里の後ろに控えていた令音の声に、彼女は静かになる。
絞るように、琴里は言う。
「大丈夫よね……」
「……!?」
エレンは、直感で振り下ろそうとしていたブレイドを、先程〈ディザスター〉が向かってきていた方へと向ける。
が、
「……攻撃ではない?」
予感していた敵影は、動いてなかった。
見れば、〈ディザスター〉は、動かずに、ゆらゆらとしながら立っていた。
今しがた走っていたのに、と思ったが、よく見れば立っていたのではなく、少しだけ宙に浮いているようだった。
「これは……」
その姿は、先程とは全く違った。
まず、暗い。
放っていた黒の光は無くなり、代わりに闇があった。
それは、彼の周囲に蟠っており、ともすれば、彼を守っているようでもあった。
そんな状態にエレンは、一つだけ覚えがあった。
以前、アイクが言っていたことだ。
「反転体、というものですか」
返事はない。
構わず、彼女は続ける。
「そうなってくれたのならば、惜しい。出来れば十全の状態のあなたと戦いたかった」
そう言って見るのは、先程自分が消した左腕。
闇に支えられ血を流してはいないものの、戦うならばあった方がいい。
そちらの方が、絶対に強い状態のはずだから。
「……問おう」
闇の中心が、言葉を発した。
思わず、身構える。
一種の恐怖からかもしれない。
(恐怖した?この私が?……ありえない)
自己否定し、完結させる。
そんな間にも、中心は言葉を続ける。
「……お前は、俺の、敵か?」
「あなたが十全の状態なら、そうなったかもしれませんね」
「……納得した。そうか」
直後。
世界は闇に包まれた。
「……な!?」
錯覚だった。
しかし、見えている景色全てに闇が映れば、それは包まれたと表現してもおかしくはない。
視線の先、〈ディザスター〉の霊装が、その形を変えている。
いや、変えていた、か。
一瞬、周囲より暗き闇にその身が包まれたかと思えば、その様相は変わっていた。
黒の光を放っていた霊装は、闇を漏らすものとなる。
翼は、対なす二つから、二対三本、計六本の漆黒の触手上のものとなっていた。
だが、それに、生理的嫌悪感を催すものはなかった。
その翼というよりは羽と言うべき先端は爪のようになっており、その中腹も、生物というよりは無機物のようであった。
その他にも細かい箇所に違いはある。
手甲、腕甲、ブーツのような足の装備まで、至る所に小さな差異があった。
唯一、体全体を覆っていた前を開けたロングコートのような所は、その大きさの割りに大して変わっていない。
いやまあ、よく観察すれば無数にあるのだろうが。
「……それで、どうするつもりです?まさか片腕が無い状態で、私と戦うつもりですか?」
またもや返事は無かった。
だが、動きはあった。
「…………」
接近するのではない。
七海が、無くなった左腕を上げるような動作をしたのだ。
その断面は、闇に包まれ見えない。
だが、
「ほう……」
左腕が、戻った。
闇の左腕が、だが。
色なんてものはない。ただ、闇があるのみ。
さらにそれは、人間の腕をしていなかった。
全体的に鋭利なフォルムで、手の先端は尖った爪すらあった。
言うならばそれは、竜の腕、か。
「成程。確かに、左腕を戻せば、十全ではありますね」
「……再度、訊く。これでもお前は、俺の、敵か?」
今度は、首を前に倒す。
「ええ、でしょうね。今のあなたと戦わない道理はありません」
「……理解した。ならば―――」
死ね、と聞こえたと瞬間。
背後に、気配がした。
(!見えなかった……!?)
思うが、反射的に体は動く。
直感だ。
体ごと、顔を横に動かすようにする。
その数センチ先を。顔がもともとあった場所に。
「……確認した。外したか」
手があった。
形は手刀。攻撃方法は、貫手。
髪が数本、宙を舞う。
それは、先程までの攻撃と違う、全力で殺しにくる攻撃。
「――――面白い!」
「……先に、忠告しておく。加減はしない。敵ならば、殺す」
うわ、いつもの2倍近くありますよ今回……
ということで、結局2話で終わらなかったVSエレン回です。
美九が登場するという割りに、あんまり出番ありませんでしたね。すみません。
ある意味、主人公初の敗北です。(料理対決は棄権しましたし)
でも、戦闘し、敗北しても、まだ戦闘は終わらない。
そこに熱い情熱なんて無い。
あるのは、ただ虚無の感情のみ。
……なんて書いてみました。
前書のとおり、活動報告の方で質問しています。
よければ、答えてください。お願いします。
あと、作中の(便宜上)反転体の主人公の霊装の描写についてです。
羽は、触手状とありますが、決してマイナスインフィニティ方面ではありません。(意味が分からない人は記号で書いてみましょう。マイナスと、インフィニティです)
イメージとしては、ポケ○ンの、ギラティ○の、オ○ジンフォルムの羽です。ポ○モンが分からない人は検索してみてください。主人公のためにも。
その他の描写については、あまり気になさらなくてもいいですよ。
それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
……一応まだ、美九編なんだけどなあ……