テストがようやく終わりました。あとは公立入試だけです。
今回の話は、本来なら前回と一緒にいれようと思っていた部分です。
ただ、前回は気力が持たなかったので、このように二回に分かれてしまいました。
なので、正直に言いましょう。
面白くないですよ。
早く狂三編入れという方は、もう読まなくても結構ですと言えるレベルで駄文です。
それではどうぞ。
美九が休憩の準備という名の下、逃げてしまったので、丁度二対二の構図になった。
正直不安だが、ま、やるだけやるか。
「ほれっ」
耶倶矢が、余裕綽々といった態度でサーブを打ってきた。
結構速い。ボールは弧を描いて、コートすれすれの場所へと向かう。
しかし俺は、耶倶矢がサーブをした瞬間にそれを読み取り、落下推測地点へと走る。
着く直前に見れば、既にボールは目の前。地面に落ちるまで、一秒と無いだろう。
「よっ……と!」
俺は伸ばす。
腕ではない。
足だ。
何とか足の甲でボールを受けることに成功する。
そのまま、
「狂三!」
味方の名を呼び、蹴り上げる。
本当なら、足の内側辺りで受ければよかったんだろうが、届かなかったので甲となってしまった。
だから、高く上げる。
微かにコート側に反れながら、ボールは打ち上がった。すぐに逆光に照らされて、よく見えなくなった。
だが、今ボールはどうでもいい。
今俺は、無理な体勢だったの所為で、背中から砂浜に倒れてしまっている。
だから、瞬時に起き上がる。
跳ね起きで立ち上がり、ネット側へと駆ける。
狂三の方を見ると、丁度ボールが落ちてくるところらしく、手を掲げたオープントスの構えだ。
それに向かって、声を上げる。
「思いっきり高く!」
「わァかりましたわ!」
言うと同時、ボールが狂三の手によって、高く高くトスされた。
本来なら、失敗になる。
こんなトスだと、アタックのタイミングとかを見極めやすくなるからな。少なくとも、俺はそうだ。
だけど、『本来なら』、なんだ。
トスと同時、砂を蹴る。
駆ける為ではない。
――――跳ぶ為。
先程の耶倶矢ばりに、もしくはそれ以上に、俺は跳ぶ。
その場所は丁度、ボールのやや上。腰あたりに、ボールがある。
「かか! 面白い! どう打とうとも、我らは防いでみせよう!」
「不敵。どんなに策略を張り巡らそうとも、夕弦達の勝利は揺るぎません」
どうだかな。
俺は、見えていないのだろうと思いつつ、笑みを浮かべる。
そして、ジャンプの加速が消え、重力に引かれ始める一瞬の停滞の時に。
「おぉぉぉぉぉらぁっ!」
打った。
右足を上げ、一気に振り下ろす。踵落とし、と言えば一番分かりやすいな。
中心を蹴れば、その力と重力によって、爆発的な落下を見せるボール。
向かう先は、耶倶矢でもなく、夕弦でもなく、コートすれすれライン際でもなく。
真下。
『!?』
二人から、驚愕の念を感じる。
確かに、真下というのは、死角ではあっただろうからな。
一瞬で落ちたボールは砂を巻き上げて、相手コートに入った。
ストン、と着地し、狂三の方に向き直る。
「……まずは、一点!」
言って、Vサイン。
ふっふっふ、どうだ?
「く、くく……姑息な手を使いよる。だがしかし、我らも慢心していたのは認めねばあるまい」
「余裕。ですが、同じ手が通じる夕弦達ではありません」
「分かってる」
もう、先程と同じことは出来ない。
確かに、耶倶矢と夕弦の運動神経は、驚異的で、脅威的だ。
だが、手が無い訳じゃない。
真正面からやって望み薄なら、ありとあらゆる手を使った上で、
今のもそうだ。
二人の死角を狙って打ったからこそ、一点が入ったんだから。
「さあ、勝負を、始めようじゃないか」
ボールを受け取りつつ、言う。
言外に、ここからが本番だと込めつつ、俺はサーブ体勢に入った。
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
「ふう……ふう……」
「疲……、労。はっ……はっ……」
何分経っただろうか。おそらく、それほど経ったとは思えない。精々、三十分がいいとこか。
俺らは、砂浜に倒れこんで、荒い息を吐いていた。
今コート内にいるのは、三人。
俺、耶倶矢、夕弦だ。
あれから、熱戦というか接戦が繰り広げられた。
どちらかが点を入れれば、すぐさまもう一方が取り返し。
取り返したと思ったら、またしても点を入れられたりな。
だが、俺には、一つ誤算があった。
顔だけ動かし、シートが敷いてある方を見やる。
そこには、ゆったりと団扇を仰ぐ美九と、うつ伏せの体勢で仰がれている狂三の姿があった。
誤算とはつまり、狂三の持久力の無さ。
最初の内はそうでもなかったのだが、点の取り合いが五回程になった頃から、目に見えて動きが鈍くなったのだ。
そして、間も無くダウンした。
もとより体力があるほうではなかったのか、遂に限界を迎えたらしい。
まあ、それでも、一般的なバレーとはかけ離れていたから、普通の人じゃあ、もっと早く動けなくなってたかもな。
ということで、一旦休戦し、狂三をシートに連れて行き、美九に看てもらっている、ということだ。
でも、
「どうする……? まだ、やるのか……?」
「当、然、であろう……。まだ、勝敗は、決まっておらぬ……」
「続……行。やり、ましょう……」
ただいまの点数、十四対十四。
途中でルールを明確にし、十五点先取で勝ちということになった。デュースは無し。
だから、両者あと一点で決着が着くのだ。
だが、俺が一点を入れた瞬間に、三人とも倒れこんでしまった。
理由は簡単。
繋がりすぎたから。
かれこれ十分以上、先程の一点を入れる為にラリーを続けたのだ。そりゃ、限界になる。
特に俺は、一人。
一応、俺は三回連続でボールに触れていいとはなってたけど、それでも、やっぱり一人。
でもね? この二人に対してよく頑張った方だと思うよ?
例えば。
コート右端に来たと思って返したら、今度は左端に返される。
それも何とか返せば、今度はネットすれすれにアタックされる。
なんとか手や足を伸ばしてレシーブしても、そこからアタックに繋げないといけない。
正直、死ぬかと思った。
そんなこんなで、とりあえずの休憩タイムになってしまったのだ。
「それじゃあ、やるか」
「お、応とも……」
「挑発。どんとこい、です」
最初に比べて、明らかにトーンダウンした声色だった。
だが、立ち上がれた。
なら、続けることも出来るだろう。
さてと、俺にサーブ権があるよな。
ボールを投げてもらい、コート真ん中あたりに立つ。
「ほっ、と」
軽く打つ。
さあ。
再度、燃やし尽くせ。
疲労の溜まる体に鞭打ち、視線を鋭くし、身構える。
それは二人も一緒らしく、互いの視線が交錯した。
しかし、それも一瞬。
すぐに二人は、迎撃体勢へと入った。
夕弦がレシーブ。打ち所が良かったのか、存外高く上がった。
「――――フッ!」
耶倶矢が短い裂帛と共に、トスなしで俺側のコートに、叩きつけるようにしてボールを打った。
それを受けて俺は、一気に駆け抜ける。
ボールを足の内側で受けれる場所に移動し、打ち上げる。
ネット上空に飛んだボールに、跳びつつの回し蹴り。
無言だった。
視線だけをぎらぎらにして、今の一連の動作を行う。
最早、バレーというよりセパタクローだな。
ともかく。
俺は、回る視界の中、ボールを蹴り――――
パァンッ、という音が響いた。
それは、ボールが破裂する音だった。
『……あ』
俺も、耶倶矢も、夕弦も。
一様に口を開けて、呟いた。
ボールだったものが、はらはらと舞い落ちていく。それを見ながら、俺は着地した。
「……えーと、この場合は……」
「……引き分け、であろうな」
「同調。……そうですね」
とまあ、そんな感じで。
俺と(途中まで狂三)対、八舞姉妹の勝負は。
このようにして、幕を閉じた。
だけど。
「かか! 次いでは水泳対決といこうではないか!」
「まだやんのかよ!?」
「首肯。当たり前です」
ま、マジか……。
どうやら、あのバレーですら一興に過ぎないらしく、一度小休止を挟んだ後、二人は俺に布告した。
「……ルールは?」
一応、訊いておく。
そのルール内容によって、受けるか否かを決めるためにだ。
ま、おそらく無理だろうがな。
「説明。向こうに見える対岸に泳いで渡り、何か目印になるものに触れる。その後、折り返してここに戻る、というものです」
「んー、まあ、それなら……」
出来ないこともない、か?
いくら三日月型とはいえ、流石に俺は対岸まで見えない。なので、視界を使って視る。
まだ自由時間なので、視た限りでは、そこそこ来禅の生徒が見受けられる。
「なら決まりだ。早速始めようではないか」
「はいよ」
返事をし、二人に付いて行く。どうやら、スタート地点も決めているらしい。
ということで、
「それじゃあ美九。狂三を頼んだ」
「分かりましたー」
「い、行ってらっしゃいませ」
「お前も、安静にしとけよ」
二人に手を振りつつ、スタートの位置に就く。
さて、
「とりあえず、俺がカウントするからな?」
「分かった」
「首肯。分かりました」
それじゃあ、
「三」
俺らは、クラウチングスタートの構えをとる。
「二」
腰を上げ、いつでもダッシュできる体勢に。
「一」
せーの。
「――――ゴー!」
走る。
結論だけ言おう。
俺が勝った。
「か、はっ……!」
膝に手を付き、止めていた息を吐く。
数キロの距離を往復すること、
二桁は下らない距離を泳ぎ切った俺らは、再度、休憩タイムである。
「美九、何か、飲み物、くれ……」
「はい、どうぞー」
ありがとう、と返しつつ、渡されたペットボトルを受け取り、その場に座り込む。
いくら殆ど水中だったとはいえ、渇くときは渇くのだ。
「くぅ……っ。な、何故、何故勝てんのだ……!」
「落胆。また、負けました……」
近くには、ずーん、といった感じの二人が。
まあ、今回は、色んなアクシデントが起きたからなあ。
鉄板物で言えば、途中、耶倶矢のビキニの紐が解けた。あの時はマジで焦った。夕弦以外。
想定外のところだと、亜衣麻衣美衣に追いかけられたこと。ガチで逃げた。本気。
とまあ、こんな感じのことに巻き込まれつつ、なんとか八往復した訳だ。
「狂三? 調子はどうだ?」
「ええ、美九さんのお陰で、大分回復いたしましたわ」
元の調子を戻したかのように狂三は、くすくす、と笑った。
「でェもォ……」
「な、何だ?」
いきなり迫ってきた狂三から、身を反らして逃れつつ、訊く。
「耶倶矢さんや夕弦さんばァッかり、ずるいではありませんの」
「お、おう……?」
ん? つまり、どういう?
「ひひひ、分かっていらっしゃらないようですわねェ」
そう言うと、狂三は、身を翻した。
そして、俺の横にぴとっ、と身を寄せる。
「く、くくく、狂三っ!?」
「なんですの?」
「そ、その、あの……」
体温が直に伝わってくる。腕からは、やわらかい感触がする。
動くに動けないこの状況において、美九が動いた。
「それじゃあ、私はこっちですねー」
ただし、俺を助けるためではなかったが。
「便乗するなよ!?」
「良いではありませんの」
「いいじゃないですかー」
「良くねえよ!」
くそっ、顔が熱い……!
「な、何やってるし!」
「命令。七海から離れてください」
か、耶倶矢! 夕弦!
今この状況を打破してやってくれ!
「ひ、ひひっ。お二人も、七海さんに寄り添えばいいではないのでして?」
「よ、よりっ!?」
「……納得。そういうことですか」
あ、あれ? 何か思ってたのと違う状況になっていってる気が……。
思うも、動けないので、声をかけることしかできない。
「えと、夕弦? 何しようとしてる?」
「……終了。これで分かるはずです」
「ま、まあ、そりゃあ」
俺の質問に答えず、少しの間を空けての夕弦の台詞。
何をやっていたかというと、
「……お前まで…………」
「憮然。駄目なんですか」
「いや、もう、別にいいけども……」
夕弦は夕弦で、胡坐をかいた俺の足に、こちらに背を向けて座った。
そのまま、後ろに体重をかけてくる。
……俺、椅子にされましたね。はい。
唯一動く首を動かし、天を仰ぐ。
「あー……、どうしてこうなった……」
すっごい嬉しいけどね?
でもさ、周囲に漂う甘い匂いとか、密着した肌に感じる温度とか、色々ヤバイ。
ぼかして言えば、それらに反応することが出来ない。したら、俺は死ぬ。
「ず、ずるい! 私も!」
あ、増えた。
皆に感化されたか嫉妬したのか知らないが、耶倶矢も、この人間団子に加わった。
夕弦の隣に座り(脚に感じる二人の臀部の感触に気を逸らしつつ)、これまた同じように背中を預けてくる。
抗う気の失せた俺は、そのまま後ろに倒れこむ。
「う、うにょわあぁッ!?」
「疑問。どうかしましたか?」
「あらあら、本当、お疲れのようですわね」
「ふふー、これはこれでいいものですねー」
耶倶矢だけは驚愕、といった感じの叫び声だったが、それらの声を無視して、仰向けに寝る。
「……脚、伸ばさせてもらうから、ちょと退いてくれ」
「了解。分かりました」
「う、うん」
俺の脚に座ったままだった耶倶矢の夕弦に一旦退いてもらい、脚を伸ばして楽な体勢になる。
まあ、なったらなったで、すぐに二人が戻ってきたけどな。
狂三と美九は、腕を絡めたままの体勢で。二人も、脚は楽にしてあるだろう。
戻ってきた耶倶矢と夕弦は、俺の体の上に乗る感じで。大して重くはないけど。
「ふわあぁぁ……」
欠伸を一つ。
もう、このまま寝てしまおう。
寝たら、変に意識しなくて済む筈だ。
「……すまんが、寝る。お休みー……」
言って、目を閉じる。
「うーん、こんな所で寝たら、流石に風邪引きますかねー?」
「わたくし達がいますし、この気温ですわよ? 大丈夫だと思いますわ」
「同調。ということで、夕弦も寝ます。お休みなさい」
「え、本当に寝ちゃうの?」
なんか聞こえる……。
でもな、もう、疲れたんだよ…………――――――
ざく、ざく、と砂を踏みしめる音がする。
エレンは一人、海岸を歩いていた。
ここは、来禅高校の生徒達がいる海岸の向かい側に位置する海岸だ。
どうやらここに、〈ディザスター〉がいるらしい。
「もうすぐ見えると思いますが……」
思いの外時間を食っていたので、急いでこちらに来たのだが、中々広くて見当たらない。
実はエレン、先程まで砂に埋もれていたのだ。
というのも、最初は大義名分である〈プリンセス〉の監視をしていたのだ。
しかし、カメラを持っていたのが災いした。
「えー? なになにー? カメラマンさーん?」
「うっわすっごい美人なんですけど」
「ねえねえ、名前なんて言うんですか?」
大中小と順に声を発してくる少女達に絡まれたのだ。どうやら、自分を学校が準備した秘密のカメラマンかなにかだと勘違いしたらしい。
これが、不幸の始まりだった。
エレン、と名乗るや否や、呼び方はカメラマンさんからエレンさんに。
そのまま無理矢理連れて行かれ、強制的に彼女達の遊びに参加。
確かに、対象をより間近に監視出来たが、何故砂の像にされなければならなかったのか。それだけは一生の疑問である。
そんなこんなで無駄な時間が過ぎてしまったのだ。
しかし、それは最早過去の話。
今は、ようやく追いかけることが出来た〈ディザスター〉と接触することの方が大切である。
「!……あそこですか」
幾許か歩いた折、ようやく人の影が見えた。
正確には、人がいるであろう、パラソルの影、か。
心なし早足で、その場に向かう。
着くとそこには、
「これは……?」
なんとも不思議な状態だった。
まずそこには、〈ディザスター〉がいた。
だがその他にも、〈ベルセルク〉、〈ナイトメア〉、〈ディーヴァ〉までもがいたのだ。
しかも、
「……寝ていますね」
寝ているのだ。
〈ディザスター〉に寄り掛かるようにして、五人全員がだ。
確かにまだ日は高いが、少し無防備過ぎると思う。
「どうしましょうか」
一人、呟く。
今なら、一秒と掛からず全員の首を掻っ切ることが出来る。
だが、
「……それでは面白くありませんね」
倒すなら、殺すなら。
――――勝った後。
無防備な彼らを殺したところで、強いことの証明にはならない。
ならば今回は、見逃してやることにしよう。
「大丈夫です。まだ夜や、二日ありますから」
自分に言い聞かせて、来た道を戻る。
そんな中、ふと。
「……まあ、折角ですし」
あることを思いつき、またしても〈ディザスター〉達のもとへと戻る。
そして、
カシャ。
と。
首に下げていたカメラを構え、一度だけシャッターを押した。すぐさま現像する。
使うとは思っていなかった機能だが、まあ、今回はあってよかったのかもしれない。
その一枚の写真を、近くに置いてあったペットボトルを重石代わりにして、置いておく。
「……それでは、また夜にでも」
言い残し、今度こそ立ち去る。
撮った写真には、
幸せそうな表情で中心の少年に身を任せる少女たちと。
ほんの少しだけ寝苦しそうな表情の、当の少年が。
一枚に収められていた。
エレンさん良い仕事したなー。
最後、エレンさんがいいことしてくれました。良かった良かった。
なんかキャラじゃない気がしますが、気にしたら負けです。
今日、活動報告にて、とある質問をさせていただきました。
よければ、そちらの方の返答をお願いします。
それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
自分も早く狂三編書きたい……。