いえ、最初は夏休みだぜいぇー! 頑張って更新するぜー! とか息巻いていたんですが、
夏休み入ってすぐに、半日以上教室に閉じ込められる勉強合宿。
教科書の内容が終わらないから、というふざけた理由で行われる補習。
そして宿題。
ようやく前期の補習が終わりましたので、10日程の休みです。
先生「夏休みは大体40日ぐらいだけど」
先生「実質休みは10日位ね」
自分「(あれ矛盾ッ!?)」
とかいうこともあったような。
とにかく、ようやく休みに入ったので、せめて狂三編を終わらせれるよう頑張りたいと思います!
それではどうぞ。
最初に確認しておこう。
今回の目的は勝つことではなく、時間稼ぎだ。
『あと約十分もないよ。いや、今回は十分は稼いでねと言うべきだね?』
オーケー。
狂三がいる影は、言わば狂三本人のようなものだという可能性も考えると、ここ付近で戦闘するのは避けるべきか。
だから、場所移動もしないといけない訳だな。
「―――――さぁてAST、来るなら来い。じゃねえと、俺から行くぞ?」
『神威霊装・統合』だけを展開させ、あからさまな挑発。
ていうか、何か人数が増えたな。ま、俺にはあまり関係無いか。
その中でも、俺はどう戦闘を展開するか考える。
派手な攻撃は駄目。且つ、AST隊員全員をこちらに惹き付けないといけない。
派手な攻撃、規模の大きい攻撃をすれば、惹き付けるのは簡単だが、それが出来ないんだよなあ。
「な……っ!? 貴方、生きていたの?」
「あ?」
俺がそんなことを考えていると、見覚えのある白髪が声をかけてきた。
「ああ、鳶一か」
あれ、そういや名前って何だっけ。
……ま、いいか。
「はん、生きていたの、とは、また失礼な物言いだな」
「だって貴方、心臓を刺されたじゃないの!」
ん、そういやコイツが見た最後の俺って、大分死に際だったっけ。
「そうだな。俺も狂三がいなければ死んでいたかもな」
「何ですって……?」
「俺はな」
呟いた疑問符に、俺は即答を返す。
少しでも、あいつは悪じゃないと、お前らが言うような存在じゃないということが伝われば良いと思いながら。
「狂三のお蔭で生き永らえているんだ。アイツが、自分を二一六人分殺すことで。自分の、二一六人分の時間を喰い尽くすことで!」
いいか?
「アイツは、狂三は! そんなに自分を犠牲にしてでも俺を救ってくれたんだ! その手を赤く染めてまで、俺の為に力を尽くしてくれたんだ! 確かにそれは自分の命だけど。それでも、殺したという事実は変わらないのに、だ!」
俺は手振りを付けて、AST達に訴えかける。
せめて、狂三がこれから、襲われなくなるように。
「狂三は、お前らが言うほどの悪じゃない! 寧ろ、そんな優しき少女を問答無用で殺そうとするお前らの方が、行いとしては悪だろうがッ!」
はーッ、と息を吐く。
どうだ。ここまで聞いて、コイツ等はどんな反応を返してくる……?
「―――――そう、分かったわ」
「っ!」
よし、これは好反応を期待でき―――――
「つまり、アイツは、二一六人の『人間』を殺したということね」
…………ぇ?
「ありがとう、貴方のお蔭で良い言質が取れたわ。これで、アイツを悪だと定義できる」
「……どうして」
「あら、貴方が言っていたわよね。アイツは、ただの人間だろ、って」
「…………か、は、はっ」
あれ、何だか知らねえが、笑いが込み上げてきた。
何だかなあ。ああ、何だかなあ。
「か、は………は、はは、ははははッ!」
そうか、そう言うことか。
ごめんな、狂三。俺は、手を間違えたみたいだ。
「成程な、成程なあっ。やっと繋がった。何でお前らが知っているのか疑問だったが、ようやく繋がった! 何だ、俺が原因だった訳だ! これは失敗だった、ああそうだ、悪手としか言いようがない大・失・態だった!」
「何……? 何を言っているの? というより、壊れた……」
目の前の敵の言葉すら耳に届かない。
俺が間違えたから、狂三は罪ある者となった。真那が、偽りの魔力処理を施されてしまった。
全て、俺の所為。
だけどよォ……
「……お前らも、お前らだよなあ!」
かははッ、と笑い、辺りを睥睨する。
そういや結局コイツら、狂三を一度も、『狂三』とは呼ばなかったよなあ。
「常に狂三を悪だと、人間ですらないとほざいておきながら、自分達の都合の良い時だけ人間なんだからとほざく! そこまでして自分達を正当化したいか。そんな風に拡大自己解釈しておきながら、自分たちは正義だと、どの口が言うのか! これじゃあどっちが悪なのか、分かったもんじゃねえよなァッ!」
ぐっ、と拳を握る。
確かに俺は失敗した。
だが同時に、コイツらは、またしても俺の怒りの琴線に触れてきた。
「か、は、はッ。……ざけんなよッ!」
加速。
一気に鳶一との距離を詰め、その肩を掴む。
「……ッ!?」
「まずは、お前からな。鳶一」
言って、膝蹴り。
鳩尾。鳩尾。次いで肘打ちで心臓部。息を詰まらせたところで、顎を殴る。
身が横向きに吹き飛びそうになったところでその細い腕を掴んだ上で、身を蹴り飛ばす。
ごぎり、と嫌な感触がした。
「う、がああぁぁぁっ!?」
「大丈夫。どうせ脱臼ぐらいだろ」
自分で言っててなんだが、何が大丈夫なんだろうな。
「ほら、もう一度言うぞ? 来るなら来い」
今度は手も付けての挑発。
今しがた戦闘が始まったばかりだから、これには乗りやすいだろう。
「チッ、ナメるな!」
「か、は、はッ。ああ、そうだ。それでいい。テメェらから来い!」
一人の隊員がレーザーブレイドを展開して接近してきた。
俺はその敵に、炎を以って迎撃する。
ふむ、霊力を使わずに戦うってのも、そういや殆どやったことなかったけな。
手刀を横薙ぎに振るう。軌道に沿って、炎が、斬撃が生じる。
空いた左手には、手の延長上に氷の刃を創りだし、接近戦に移行させた。
そして、敵は一人じゃねえんだよなあ。
「お前らは、俺だけに来ればいい。全員、俺が相手をする」
だから、
「―――――余所見してんじゃねえよっ!」
氷と魔力の刃が、さも互角であるかのように切り結んでいたが、俺の視界にある情報が映った。
俺から離れようとする数人の隊員だ。
おそらく、この人数だ。殆どを俺に向かわせ、ごく少数で、狂三の霊力の捜索を敢行しようとしたのだろう。
だけどよ。俺が逃がすと思ったか?
翼で、空気を打ち鳴らすようにはためかせることで相手への威嚇も兼ねつつ、俺は真後ろに飛ぶ。
もともと俺のこの翼は、生物のように空気を打って飛ぶことも、ブースターのように、加速による飛翔も出来る。
そして、両方同時も出来る。
流石に距離を消す時の疑似瞬間移動程の速度は出ないが、ただのAST隊員なら、これでも十分の速度だ。
「ら、ァッ!」
体を右に捻るように方向転換。ついでに、風を纏わせた蹴りとする。
咄嗟に防御は出来たようだ。強めの反動が返ってきた。
だが、衝撃は消せなかったようで。
「うわああぁっ!?」
そんな悲鳴を残して、一人の隊員が吹き飛んで行った。ダメージはあまりないと思うが、風の効果だな。
続けて、他の奴らも同じ方向に蹴り飛ばしていく。
それに追撃をしにいく。
膝蹴りで身を折らせ、掌打でその顎を狙う。鳶一の時と似たようなコンボだな。
極接近戦闘。
正直、俺が一番得意な戦闘方法と言えるかもな。
「がっ、ごっ、ぁ」
他の数人も一緒に狙う。
横にいた奴を身を捻らせた肘鉄で怯ませた後、装備を掴んで投げ飛ばす。また別の奴は、俺に反撃しようとしていたが、顔を狙っていたそれを顔を振って避け、鳩尾に衝撃波。
早く、早く吹き飛べ……っ!
この際ダメージは度外視。どれだけ相手を吹き飛ばせるか。
「っ!……遠距離か!」
左から向かってくる気配。これは……ロケットランチャーってところか。
左手を翳し、水球で速度を殺し、爆破を防ぐ。
まだあんな所にいたか。もっと、こっちに近付かせないと……!
遠距離で攻撃してくるというのなら、敢えて離れて射程距離から出るって方法を取るか?
いや、それで逆に離れて行ってしまっては本末転倒。やっぱり、俺が飛ばすしかないか。
また加速して、今しがた撃ってきた隊員の前に躍り出る。
向かってくる俺を見て、遠距離武器ではなく近距離武器での迎撃を選んだのは良い判断だった。
ただ、どちらにしろ、意味は無かったけどな。
俺は突き出してきたブレードを、
「な……っ!?」
「残念。お前らの武器では、俺に届かなかったみたいだな」
こいつらと戦っていて知ったことがある。
その一つが、ブレードにも種類があることだ。
エレンが使うブレードは、普通のASTのものと比べて切れ味が良い。
何故か。
視界があったからこそ気付いたことだが、魔力を直接刃状に展開させるものと、もともとの刃に魔力を付加したものとがあるからなんだな。
因みに、前者がエレン、後者が一般。
切れ味以外で何が違うのかまでは分からないが、今目の前にいる奴は、後者のパターンということが大事なのでどうでもいい。
俺は魔力を気にせず、直接その元を掴んだんだ。そして、折った。
折られたブレードは、その魔力を霧散させた。もう使い物にはならないだろう。
俺はまた重量過多気味な装備を掴んで、また放り投げる。
しっかし、遅いな……。
今まで誰かに接近している間、他方から援護攻撃されなかったのは、単に追いつけなかったからだ。
だから、援護する前に終わってしまっている。
「ん、もうそろそろ時間か?」
『そうだねー。ボクの見たところによると、あと二分も無いかな』
そんなにっ!?
『ほら、終わらせるなら早くしたまえ。もうすぐ君は現代に戻ってしまうんだからね?』
あー、ていうか、お前俺があとどのくらいこの時間軸にいられるか分かっていたのかよ。
『まあボクだし』
ふん、それだけで納得できるからお前は困る。
『それはボクの能力を褒めてくれているととっておくよ」
へいへい。
もう大分移動した。あとは、こいつらを行動不能、もしくは撤退させれば終わりか。
でも、ちまちま戦っていた所為で結構な人数がまだまだ動けるみたいなんだよな。
またしてもブレードの元を折る。
残り約一分半ってところか。
炎の爪を創りだす。
向かってきた二人のブレードを無理矢理折り、装備の一部を焼き切る。
それだけで相手は飛行不能になった。
氷の槍を創りだす。
下がろうとした一人を刃先で引っ掛け、振り回して投げ上げる。体勢を崩したところを肩と太腿を突き刺す。
これで、とりあえず今の戦闘中は動けなくなった筈。
雷の小球を複数個、自分の周りに創りだす。
それらを飛ばし、避ける暇すら与えずに、一度に三人の装備を壊す。
『にゃははー、そうだね、久しぶりにボクがやっておこう』
「あ? お前も戦うのか?」
『も、というより、が、だね。だって、もうすぐ君は帰っちゃうんだから』
「俺が帰ると、お前も一緒に帰って来てしまうだろ?」
だって、現代から過去に来る時もそうだったんだし。
『ま、そこはボクだから。心配無いね。さて、残り十三秒』
「マジかよ!?」
もうそんなに残り時間が……っ!
そう焦るも、やることと言えば武器を無力化させていくことだけ。
そして。
『――――一、タイムアップ。じゃ、ちょっとお別れね』
俺の視界が捻じれていった。
その現象は、周りにいたASTにも勿論視認できていた。
「消えた……?」
今の今まで戦っていた精霊が、突如として消えたのだ。
いや、この現象は、
「ああ、『消失』ね……」
似たようなことなら、精霊との戦闘中に頻繁に起こっていたので、大した驚きではない。
鳶一は、外れた肩を庇いながら、今回の被害を確認しようとした。
だが、次の事態までは予測出来なかった。
「さて、あとはボクが引き継いだわけだよ」
「……ッ!?」
突如、聞こえてきた声。
しかし、後ろにも左右にもいない。
「上だよ、上」
反射的に上を向く。
……そこにもいなかった。
「と見せかけて実は君たちのど真ん中だったりね」
気が付けば、自分たちが集まったいや、集められた場所の、さらにそのど真ん中にいた。言葉通りである。
いつからそこにいたのか。というよりまずもって、いつから存在していたのか。
にゃははー、と笑う少女には、余裕が見受けられる。
「面倒だから、一気に終わらせるね」
少女が手を挙げる。
攻撃動作かと思い、数人が構える。
「さて、ちょっとの間眠っていてね」
ぶつり、と。
コンセントを引っこ抜かれたテレビの如く、全てのAST隊員の意識が途絶えた。
「おー、流石〈奪う能力〉。さて、七海くんも困ったものだね。ボクの仕事が沢山あるじゃないか。まあ、後処理はやっておくって言っちゃったしね、しょうがないけどね」
「えーと、ASTの記憶処理、記録処理……が目下の課題かな。あーでも、きょうぞうちゃんへの捻じ曲がった解釈は残しておかないといけないかー」
「それにしても、七海くんにもこれは分かっていなかったみたいだけど」
「―――――きょうぞうちゃん、起きているよ。そして、全部聞いていたみたいだね」
そして。
楓は狂三から自分の記憶だけを消して、姿を消した。
狂三はその時、微かな違和感を覚えたものの、その意識は全て、ある少年へと向けられた。
その手に、一枚の紙片を手にして。
あー、なんかスッキリしたー。
主人公がついに壊れましたね。書いてて楽しくはなるんですけどね。
そのうち、『か、は、はッ』を定着させようかなとか思ってたり。ほら、狂三の『きひひひひっ』みたいな。状況によって出てくるアレ。
しかし、話の辻褄合わせを、自分自身が神様ちゃんに丸投げしちゃってますね……。
まあ、狂三編が何とか10話以上にはなりそうでよかったです。
今回も、どうにか平均文字数程度にはなりましたし。
それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
そのうち、友人に提案された、ssでよくやるアレ、というアンケートをやろうかと思います。