ということで、万由里編2話目です。更新遅くてすみません!
気がついたらこんなにお気に入りに登録してくださった方も増えてくださり……、自分でも気付かない内に500人を突破していました。一体いつ?
何はともあれ、それではどうぞ。
何もしなくても汗が出てきそうな程の熱気。
ざっと見た感じでも、男性率の方が高いみたいだし、しょうがないことなのかな。
流石に、あそこの中には行きたくねえな。
「―――、―――、―――――♪」
視線の先には、煌びやかな衣装に身を包んだ、今大人気のアイドルの姿。
見惚れるほどの笑顔と踊りで観客を魅了する少女。
誘宵美九の、単独ライブだ。
三桁は軽く超えている観衆に、その熱気から離れた上階にいる俺ら。
いやまあ、熱気って上に昇ってくるので、離れていても暑いんだけど。
ちらりと視線を横にすれば、
「「いぇー!」」
お、おお、無駄にテンション高い奴が二人いる……。
いや、耶倶矢はいい、まだ常識範囲内。
だが十香は、いったい何があった? すっごいくねくねしてくるくるしてる。分かり難い。くるくねと言おう。
流石に八人も居るとやや狭いこの空間内で、残ったスペースを最大限活用してテンションが高いことを全身を使って表してる。
……美九の方観とくか。
音楽に合わせてサイリウムを振る。
思えば、こうした本物の会場で生で美九のライブを見るのは初めてなのか。いつもTVで見てたから。
特別にこんな席を用意してくれた美九の為にも、しっかり観ておかないとな。
……途中、明らかに俺に向けられた投げキッスについては、まあ、無視しておこう。
止めろ、お前ら。意味深に笑うんじゃない! 脇腹を小突くな!
「いいのか? 俺らも来てしまって」
「遠慮しないでくださいー。もともと、今日のライブの打ち上げ用に用意してもらったものですしー」
そ、そうか……?
まあ、俺が今更渋っても、既に他の奴らは楽しみ始めてるけどな。
十香や四糸乃はウォータースライダーで。耶倶矢と夕弦は、なんか、Tシャツ着たまま何かしてる。
狂三と美九、琴里は、俺と士道と一緒に休憩中。
がりっ、と胸を掻いて、皆が楽しむ姿を視界に収める。
やましい意味ではなく、何もすることが無いからだ。
上にシャツは着てるし、昔の古傷もわざわざ見せる気も無いので、俺はここで傍観に徹しよう。
「くかか! どうしたお主ら。水精の啼き声が主らを呼んでおるぞ」
「勧誘。夕弦達と一緒に遊びませんか」
あ、戻ってきた。
……っておいいいぃぃぃっ!?
俺は思わず二人から視線を逸らす。
そうだったなあ、そういやお前ら、シャツ着たまんまだったなあ!
「確認。やはり、これは効果的だったようです」
「む、確かに、七海が全力で顔逸らしてる」
一言で言えば、濡れ透け。
つーか、俺の反応見るの止めてくれませんかね。
「……二人とも、それは誰の入れ知恵だ?」
「誰って……そこの二人だけど」
俺の質問の耶倶矢が答える。
そこの二人……美九と狂三しかいねえじゃねえか。
じとっ、と軽く睨んでみると、
「あらあら、可愛らしい反応ですわね」
「おー! ちょっと二人とも、ここ、こう、手をこうして、こんなポーズをしてください! 記憶だけで永久保存しますからぁ!」
悪びれもしない、だと……!
いや、悪いことはしてないのだけれど。
修学旅行の時に二人のビキニ姿は見たことある筈なのに、やはり慣れないなあというか、濡れ透けというまた別のパターンだからなあというか。
美九の妄言をスルーした耶倶矢と夕弦は、琴里に目を向けた。
「どうだ琴里、お主も来たらどうだ」
「いや、私は別にいいわ。二人で楽しみなさい」
「理解。つまり、琴里は泳げないということですね」
「なっ!?」
む? 会話の流れがややおかしい?
「かか。成程。かの司令官も、泳ぎは不得手であったか」
「落胆。しょうがありません。夕弦達は夕弦達で楽しみましょう。泳げない司令官は置いといて」
「わ、私だって泳ぎくらいできるわよ!」
「さて夕弦よ。何をしようか。溺れてしまう司令官は置いといて」
「思案。そうですね。例えば、カナヅチな司令官には出来ないような遊びなどどうでしょう?」
「あ、あなた達ねぇ……っ!」
そして、琴里は来ていたジャケットを一気に脱ぎ去り、水着姿になると、
どっばぁぁぁぁん! とプールに飛び込んだ。
「かかか! そうら来い琴里! 我らを捕まえてみよ!」
「逃走。鬼ごっこですね」
「待ちなさぁぁぁぁぁぁい!」
ひゃー、という声と共に、二対一の追いかけっこが勃発した。
琴里、まんまと挑発に乗せられたな。
「は、はは、楽しそうだな、あいつら」
「そうだな。っていうか、耶倶矢に夕弦、着衣のままであのスピードで泳げるって、どんな身体能力だよ」
「あら、七海さんはそんなお二方に、水泳対決で勝っていたではありませんの」
「そういえば、そんなこともありましたねー」
あー、これまた修学旅行の時か。あれはしんどかったなあ。
はは、と笑いで誤魔化して、椅子の背もたれに寄りかかる。
ただただ声援を送ったりしていただけなのに、どうしてこうも疲れるかねえ。
「あらあら、お疲れのようですわねぇ」
「まあ、な。ちょっとばかり調子が悪いのは認めるよ」
こういう風に遊びに来ておいて今更だが、実は朝から少し調子が悪かったり。
季節の変わり目だからかな?
熱がある訳でもないし、喉が痛む訳でもないので、今日ぐらいは大丈夫だろうと思ったんだが……。
「……まあ、大丈夫だ」
「無理しちゃダメですよぉ? だーりん」
「ん、分かってる」
ぶっ倒れて、皆に心配かけさせる訳にもいかねえしな。
だからまあ、泳ぐのは控えておこうかな。
俺はそう思い、美九と狂三に声をかけた。
「ほら、二人も泳いでこいよ」
ひらひらと手を振りながら言うと、美九と狂三も一応納得してくれたのか、同時に席を立った。
そして、上に着ていたパーカーを脱ぐ。
……目、逸らしとくか。
「ふふ、照れなくてもよろしいですのに」
「そういう問題じゃねえんだよ」
がりがりと胸を掻いて、狂三のからかう声に返事をする。
しかし、狂三が恥ずかしがるラインと大丈夫なラインって曖昧だよなあ。
ともかく。
「それじゃあだーりん」
「ん?」
何だ?
「目一杯―――――見惚れてくださいね?」
…………。
「……あいよ」
「今日はありがとね、美九」
「いえいえー。私も楽しませてもらいましたしー」
ああそうだな。お前が途中で暴走し始めたからな。
止める俺や琴里のことも考えようぜ?
……楽しそうだったのは確かなんだろうけどな。
「いいのか? なんなら俺が一緒に行くが……」
「心配しすぎですよぉ」
「だが、もう暗いぞ」
「だーりんは、今日はゆっくり休んでくださいー。もし体調が悪化したらどうするんですかぁ?」
「う……」
そう言われると退くしかない訳だけども。
やっぱ無理はしない方がいいのかな。
「疑問。七海、体調とは」
「あ、いや、別に何でもねえよ」
あんまり心配させたくないし、夕弦には黙っておくか。
「それに、私よりも後ろの娘達に構ってあげたらどうですかー?」
「後ろ……?」
後ろって言ったって、あるのはケーキ屋ぐらい……。
何となく、今この場に見受けられない数人の精霊達のことが気になった。
ので、後ろを振り向く俺。と、琴里。
「「……あー」」
うむ、やっぱりか。
俺らが見た先には、やはり、今この場にいない奴らがいた。
耶倶矢、十香、四糸乃の三人だな。……あ、あとよしのんも合わせた三人と一匹。……匹?
ともかく、この三人+αがそのケーキ屋のショウウィンドウに張り付いていたんだ。
「ふふ、買って差し上げたらどうですの、七海さん?」
「……実はお前も食べたかったり?」
「あらあら、一体何のことやら」
「む、七海よ、主もかの純白の甘味を所望するか?」
俺らの話が聞こえていたのか、耶倶矢が振り向いた。他の二人(+α)は未だ物色中。
しかし狂三も、別に隠さなくてもいいのに。
昔だったら狂三もあっち側にいたのかあ、とか思いつつ、俺は琴里と士道に目を向けた。
俺に見られた琴里は、一つ溜息を零すと、
「……帰りの間、大人しくするっていうのなら、買ってもいいわよ。あなた達」
琴里からのその言葉に、へばりついていた残りの二人も反応した。
「お、おお! する! 大人しくするぞ!」
「わ、私も……!」
『おーう、琴里ちゃんったらやっさしー!』
すっげえ喜んでる。
まあ、美味そうだしな、実際。
ちょっと興味が引かれたので、俺も見に行くと……、
「ね、ねえ、七海?」
くいくい、と、二度服の裾が引っ張られる感覚。
「耶倶矢?」
「その、わ、我らも、この、あの……」
ん、ああ、そういうことか。
俺は耶倶矢の頭に手を置き、ぽんぽんと撫でる。
「そうだな、俺らも買ってくか。夕弦ー、狂三ー、お前らも選べー」
「っ! あ、ありがと」
返答代わりに、もっかい撫でとくか。髪が気持ちいいし。
「わたくし達もよろしいんですの?」
「おう、好きなもの選んでこいよ」
「深慮。どれにしましょうか」
ん、まあ、もう少しだけ、美九と喋っておこうかな。次は何時ゆっくりと会えるか分からないし。
翌日、朝。
いつもの通り、早朝ランニングをしていると、突然、寒気がした。
「ッ!?」
い、今のは……?
殺意に似た、だが、決して殺意ではない、何か。
ぼんやりと表すなら、見られている感じ、と言おうか。
足を止め、周りを見渡す。
「義兄様? どうかしやがりましたんで?」
いつの間にか一緒にランニングをするようになった真那も、俺の突然の行動に疑問を覚えたようで、少し先で足を止め、こちらを振り向いた。
「いや、別に、何でもない」
ざっと見た感じでも、人影は無かったし、やっぱり気のせいか。
むー、体調が悪くなってんのかな。寒気がするってことは。
右手で首筋の後ろを擦って、左手で真那に何でもないことを手振りで伝えながら、俺はまた走り出した。
真那も、一度首を傾げたものの、何も言わずついて来てくれた。
数十分後。
俺の感覚は気のせいではなかったことを知る。
か、書き方を忘れてる……っ!!
色々迷走しています。ごめんなさい。
あと、内容も大分曖昧で、大まかな流れぐらいしか覚えていませんでした。ごめんなさい。
あと、夕弦と真那の出番も少ないです。ごめんね。その内増えるから。(多分)
それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。
時間があれば、もう一回ぐらい観に行きたいなあ。