デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 今度は約二ヶ月振りですかね。

 前よりは少し早めに投稿できて良かったです。

 そういえば先日、いつかの「しゅわしゅわソーダキャンディ」なるものを見つけました。
 味の種類を見ていると、ソーダ味やメロンソーダ味など、~ソーダが並ぶなかに唯一コーラ味があってどこか安心しました。レジスタンスですね。
 無駄話をスミマセン。

 それでは、どうぞ。


第73話

「ふぁふ……」

 

 思わず欠伸が出る。

 士道と俺が帰還した後、今後の対応についての会議が開かれた。

 いつもなら夜中には終わるんだが、今回は明確に敵対されてしまったらしく、今尚士道や琴里、クルーの皆さんは会議中の筈だ。

 まあ、流れ自体は知っていたんだが。

 俺の方は、直接的に関与していた訳でも無いので、ちょっとばかり原作知識を教えたところで帰らせてくれた。

 原作知識と言っても、精々名前や能力が良いところだ。

 あまり教えすぎるとどんな影響が出るか分かんないし、下手にこれから起こるであろう事を教えてもそれが確実な訳じゃない。

 なので、ちょっとばかり。

 

「ぬう……やはり、シドーがいないと寂しいものだな……」

「士道にも士道の用事があるんだ。こればかりはしょうがないさ」

「それは分かっている。分かっているんだが……」

 

 あ、はは……、目に見えて十香のテンションが低い。こればっかりは俺にもどうしようもない。

 まあ、昼頃には帰ってくるだろうし、その時に目一杯甘えさせて貰えばいいんじゃないかな。

 そんな時だった。

 ガラッと扉の開く音がした。

 あー、来ましたねえ。

 

「! おお、シドー!」

 

 今までの陰鬱な空気はどこへやら。飼い主が帰ってきた仔犬のような様子で十香が立ち上がる。

 んー、俺はあまり目立たないように、止めるべきではないのかなあ。

 

「早かったではないか! もう用事は終わったのか?」

「ああ、お陰様でな。それより十香、ちょっといいか?」

「ぬ? なんだ?」

 

 士道は鞄を自分の机に置くと、その両手で十香の乳房を鷲掴みにした。

 おおっ、すっげ。むぎゅう、とか、むにゅう、とか、そんな類いの音が聞こえてくるような、それはもう見事なセクハラだった。

 

「七海さん、これ以上はダメですわ」

 

 唐突に視界が塞がれた。声と感触からして、どうやら狂三が手で俺の目を押さえているらしい。

 うん、俺はちょっぴりイケナイものに興味を持ち出した子どもかな。そんな扱いされてる気がする。そしてそれを止める近所の綺麗なお姉さんが狂三。それはそれで違う方向に発展しそうな気がする。

 ともかく。

 まだ自由を得ている耳からは、士道だと思われる人を中心とするちょっとした騒ぎが聞こえてくる。断片的だが……、

 

「やっぱり天然物は違う」

「何を言っている!? ふざけているのか!?」

「フツーに犯罪なんですけど!」

「なんばしよっとかー!?」

『おおおおおおおっ』

 

 あ、最後のは周りの男子共だな。

 とまあ、予測していたからか、あんまり驚きはしない。あえて懸念事項があるとしたら、俺にどんな被害が及ぶか、といったところか。あの殿町を怯えさせるぐらいのことをやられるのか。はたまたスルーされる……は、無いんだろうなあ。

 

「ちょっと士道、何やってんの!?」

「憤慨。今のは流石に目に余ります。十香や亜衣達が可哀想です」

 

 げ!? そうじゃん今この場には耶倶矢達もいるじゃん!

 えーと確か原作では、耶倶矢は下着を取られて、夕弦はびしょ濡れになるんだったか。

 ……正直、見たいと思った自分がいるが、そこはちゃんと律して、

 

「すまん狂三、手を離して」

「え、あ、はい」

 

 とんとん、と狂三の手を軽く叩いて離してもらい、急いで立ち上がる。

 いつの間に、そしてどこから取り出したのか、士道の手には水風船が握られていて、二人と対峙していた。

 どうやら二人は、逃げ出そうとしていた士道を止めようとしていたらしく、場所は教室の扉の前だ。亜衣麻衣美衣は……只今戦意消失中っと。

 そろりと士道の後ろを取る。

 

「やあ、耶倶矢に夕弦。今日もいい天気だね」

「ふん、我にとって太陽とは忌まわしき存在。寧ろ最悪の天気だ」

「抑止。今はそんな挨拶をする気はありません。ここは通しません。制裁をくらってください」

「あはは、手厳しい。だけど、まあ、俺にも用事があるんでね」

「そうか。じゃあ悪い。行かせる気も、やらせる気もこっちにはねえんだわ」

「ッ!?」

 

 士道の右手首を手刀で打って、水風船を落とす。後ろからなので、片方だけだ。

 んで、偽物さんには悪いが、ちょいと痛い目にあってもらう。

 打った右手首を持って身を回させ、こちらに向かせる。そのまま背を向け、足を軽く払って背負い投げ。教室の後ろ側にスペースがあって良かったぜ。

 だんっ! と受け身の音が鳴る。

 だが、相手もまた、こういう荒事には馴れてるらしい。

 残っていた水風船をこちらの顔面目掛けて投げつける。怯んで俺がつい手を離すと、体勢を低くしたまま俺の脛を狙った直蹴り。

 俺がそれを横に避けると、相手もそれを読んでいたのか回し蹴りに移行。バックステップで避ける。

 そこで相手も下がりながらも立ち上がり、俺と偽士道。両者が向かい合う。

 誰かが歓声をあげ、誰かが口笛で囃し立てた。

 先に動いたのは偽士道の方だった。

 きゅっ、と上靴の底が鳴ったかと思うと、走り出したのだ――――窓に向かって。

 

「なあっ!?」

「悪い悪い。俺にも用事があるって言ったろ? 続きはまた今度な」

 

 アデュー、とでも言うかのように二本の指を振って、偽士道はベランダから飛び降りた。まさかの行動に反応が遅れた俺は、あと一歩のところで手が届かなかった。

 急いで下を見るが……ダメだな、もうどっか行っちまった。

 ふむ、どうやらすぐ下の階のベランダに降りたらしいな。

 ふう、と息を吐いて髪を掻き上げる。投げられた水風船のお陰で顔とか首もとがびしょびしょだ。

 そして、視界も解く。

 偽士道がどこに行ったのか分かったのは、狂三が手を離した時点で俺が視界を使っていたからだ。だからまあ、今の偽士道が誰なのかも確証できた。もとより知っていたんだけどさ。

 

「大丈夫ですの? はい、ハンカチですわ。使ってくださいな」

「ありがと」

 

 狂三から手渡されたハンカチで顔と首を拭う。ジェスチャーで髪もいいか訊くと、了承が返ってきたので、有り難く使わせてもらう。

 

「十香、大丈夫?」

「心配。麻衣、美衣、心の傷はどうですか」

「う、む。大丈夫だ。問題ない」

「ふ、ふふ……やってくれたわね五河くん……」

「この恨み、必ず返す……」

 

 ふふふふと不気味に笑う麻衣&美衣。

 んー。今回は擁護出来そうにないので、偽士道のとばっちりを本物士道には受けてもらおう。残念でした。

 がしがしと頭を掻いて、来る昼休みを俺は待つことにした。その間の偽士道については……まあ、できる範囲で。流石に干渉しすぎるのはよくないだろうし。

 

 

    ◇◆◇◆

 

 

「もう昼休みか……随分遅れちまったな」

 

 一応の仮眠は取ったが、やはり完全に眠気はとれていないらしい。

 結局朝方まで新しい精霊、七罪への対処に関する会議は続いてしまったのだ。理由としては、能力、意図が分からなかったこと。そして、去り際に士道に危害を加えるような旨の発言を残していったからだ。

 そう、士道は今、七罪からの好感度がとてつもなく低い。ただ、好感度が下がった理由もイマイチ士道含む<フラクシナス>のクルー達には不明であるのだが。

 七海は何か知っているようだったが、

 

『あまり干渉するのもいかんだろ』

 

 と言って情報を教えてくれなかった。

 そして、精霊〈デビル〉。

 直接会った訳ではないが、相当危なかったらしい。七海が居てくれたから自分、というよりも七罪に危害が及ぶようなことはなかったらしい。

 いずれ、そちらもどうにかせねばるまい。

 欠伸を漏らしながら、階段を上がり、教室の扉を開ける。

 

『…………ッ!』

 

 と、同時に完全に眠気が覚めた。

 そりゃあ、扉を開けた瞬間クラスの皆が一斉に視線を向けたのだ。驚きもする。

 

「え……? な、何だ? どうしたんだよ、皆……」

 

 皆のその奇怪な態度に士道が頬に汗を滲ませていると、教室の隅で集まっていた亜衣麻衣美衣がその視線を鋭く光らせ、素早い身のこなしで士道の方に迫ってきた。

 

「よくもおめおめと戻ってこれたな五河士道ォォォ!」

「自分が何したか分かってんでしょうね!」

「痛覚を持って生まれてきたことを後悔させてくれるッ!」

 

 口々にそう言うと、士道を取り囲んで獣のように喉を鳴らす。

 別にこの三人に怒鳴られるのは初めてじゃない。だが、今回は一切身の覚えがない。何しろ今しがた士道は学校に来たのだ。それなのに、三人の言葉からはまるで、少し前まで士道がここに居たように聞こえるのだ。

 

「ちょ、ちょっと待てくれ! 一体何をそんなに怒ってるんだよ!?」

 

 いきり立つ三人を宥めるように手を広げながら言うと、何が気に入らなかったのか、彼女らは更に語気を強めながら士道に迫ってきた。

 

「シラを切ろうたってそうはいかないんだからね!」

「そうよ! 証人はたくさん居るんだから!」

「この桜吹雪、忘れたとは言わせねぇぜ!」

 

 亜衣が女の子らしからぬハンドサインをし、麻衣が両手を広げて教室の皆を示し、美衣が肩を露出させるような仕草をし――――結局止める。

 と言われても、心当たりがないものはないのである。眉を八の字にしながら、助けを求めるように辺りを見渡す。

 すると、それに応えるように、亜衣麻衣美衣の後方から聞きなれた声が届く。

 

「三人とも、少しいいだろうか」

「! 十香!」

 

 士道は表情を明るくし、声の主の名を呼んだ。

 十香は口をへの字にしながら、三人の間を通り抜け、士道の元にやってくる。士道はようやく自分の無実を証明してくれそうな相手を見つけ、安堵の息を吐いた。

 彼女なら士道が今日は遅刻することを知っている。誤解を解いてくれる筈だ。

 

「助かったよ、十香。一体こいつらどうしたんだ? 俺は今登校してきたのに――」

 

 だが、十香は顔を赤らめると、ぽす、と士道のお腹にグーを当ててきた。

 

「……なぜいきなりあんなことをしたのだ。その、なんだ……驚くではないか」

「へ……?」

 

 聞こえたのは士道が思っていたような言葉ではなかった。

 それは士道を弁護するものではなく、士道を非難するものであったのだ。

 

「な、何を言ってるんだ、十香……? 俺は何も――」

「……何?」

 

 すると、十香は眉根を寄せて表情を険しくしていき―――目に涙を溜めながらぽすぽすと連続して士道の胸を叩いてきた。

 

「わっ、な、なんだよ十香、痛いだろ……」

「うるさいっ! 見損なったぞシドー! 百歩譲ってあれは許すにしても、自分のやったことを認めないとは何事だ!」

「いや、だからあれって何だよ!?」

「止めとけ士道。それ以上は墓穴を掘るだけだ」

 

 第二の救世主が現れてくれた。

 声の主は七海。同じく士道の無実を証明できる人物である。寧ろ半日と経つ前には一緒に<フラクシナス>で会議の場にいたのだ。

 

「七海! お、お前なら俺が何もしてないって分かってくれるよな!?」

 

 謂れの無い罪を着せられかけてると感じていた士道は、必死に七海へと助けを求める。

 すると七海は、小さな声で士道に話しかけてくる。

 亜衣麻衣美衣十香に抱きついて彼女を宥めているらしく、四人には聞こえていないようだ。

 

「ここは俺がどうにかしておくから、士道は逃げろ。出たら右だ。ずっと行けばこの騒動の犯人が分かる」

「は? 逃げろって言ったって、それに、犯人……?」

「早く行け」

 

 七海が士道の胸を押す。何が何だか分からないが、この場は七海に任せることにした方が良いのも確かだろう。

 七海の言う『犯人』とやらも気になるので、ここはお言葉に甘えさてもらう。

 

「――――悪いっ」

 

 開けっ放しだった扉から一気に駆け出す。後ろから、

 

『士道、逃げるな!』

『あんの狼藉者、易々と逃げられると思うなよー!』

『あら、あらあらあら、皆さんどうされましたの?』

『狂三ちゃん、ちょっとどいて!』

『そして起こるお見合い! 今はそれがもどかしい!』

 

 最初の七海の台詞は、怪しまれないためだろう。どうやら、彼と狂三が亜衣麻衣美衣を足止めしてくれているらしい。

 チラリと後ろを見れば、所謂『お見合い』状態の狂三と三人。さらにその後方には、三人に代わって十香に寄り添う八舞姉妹。あの四人は士道の無実を理解してくれているらしい。

 七海達の厚意を無駄にしないためにも、『犯人』とやらを探しださなければ。




 廊下は走っちゃいけません。

 え? 原作からのリークが多いって?……キノセイデスヨ?
 今回七海は士道のサポート役に徹します。あくまでメインは士道なのです。
 突如現れた水風船は、原作の方で夕弦への悪戯が「透けブラ」のためにびしょ濡れにするといったものなので、どうにか要素を混ぜられないかなとなった結果です。バックに入れてたんじゃないでしょうか。

 どうしても耶倶矢や夕弦成分が少なくなってしまうのは、我慢するしかないですかね。あと、狂三がホント使いやすい。単体で動いてくれるからですね。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 そういや、東方で話を書き溜めてます。こっちの更新も疎かになっているのに(オイ)
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