デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 うわあ、半年以上も空いてるー(泣)

 生存報告となります。なんだかんだで生きてはいます。しかしそれと同時に屍。つまるところのリビングデッド。
 お気に入り登録者数が800を越えていました。こんないつ更新されるか分からないような拙作を登録してくださり、本当に有り難う御座います。
 しかし自分でなぜ増えているのか分からない。忘れられているだけか。

 それでは、どうぞ。


第74話

 途中で殿町やタマちゃん先生とばったり会ってしまい、少し時間を取られてしまったものの、学校中を駆け巡り、ようやく七海の言っていた『犯人』とやらを屋上にまで追い込むことに成功した。

 まあ若干、そう誘導されていた節はあるが。

 そして何より驚いたのは、チラリと見えたその姿が、まさしく《士道そのもの》であったことだ。

 勿論自分は士道であるし、自分のそっくりさんが近所にいるという話も聞いたことがない。

 そして騒動の犯人が今追い掛けている士道(偽)だとすれば、皆の証言も分かる。とてつもなく迷惑だが。

 息を荒げながら屋上への扉を開け放つ。

 

「よう、意外と早かったな」

 

 声に振り向くと、塔屋の上で不敵に笑っているのは、やはり『士道』であった。

 姿は勿論、細かな仕草や口調までがまさしく『士道』のそれである。

 その『士道(偽)』は塔屋から飛び降り、士道の目の前に着地した。

 

「お前のいない間に、色々と楽しませてもらったよ」

 

 でも、と目の前の『士道』はどこか不満げな様子で続けた。

 

「予定の半分くらいしか楽しめてないんだけどな。七海やその周囲の奴等にはどうも警戒されちまっててな。お前は何か知らないか?」

「……お前は、一体何者だ? 何で俺と同じ顔してるんだよ。それに、どんな目的があってこんなことを……!」

 

 口角を上げて問う『士道』に、自分と同じ声を聞くということに若干の気持ち悪さを感じながら、その真意を計ろうとする。

 

「まったく、質問に質問で返すなよ。それに、本当に――――気付かないの? 士道くんったら」

「な……」

 

 突然に、『士道』の声が女のそれに変わる。

 士道はその声に聞き覚えがある。それはもう、ごく最近。その声の持ち主は、

 

「まさか、七罪……?」

「ぴんぽーん! 正解。よくできました。偉い偉い」

「な、なんだよ、その姿……」

 

 片手で丸を作って『士道』は妖しい笑みを浮かべる。

 その声は確かに、先日士道が遭遇した精霊・七罪の声である。

 しかし同時に、その時のことを思い出せば納得いくことでもあった。

 彼女はAST隊員やミサイル等の攻撃を全て別の姿に変身させていた。それが彼女の持つ天使〈贋造魔女〉の能力だとするならば、確かに説明がつく。

 ――――物体を、別の何かに変化させる能力。今回はその力を、自分自身に使ったということなのだろう。

 しかし、それでも分からないことがある。

 

「一体、何が目的だ? 俺に化けて、皆に悪さして……」

 

 すると、それまで楽しそうに喉を鳴らしていた『士道』が、ふ、と表情を失くし、鋭く士道を睨み付けた。

 

「……分からないの? 本当に?」

 

 思わずたじろぐ士道の脳裏に、ある台詞が思い浮かぶ。

 そう、それは、別れ際。彼女が何処かへと飛び去る直前に、

 

「まさか、俺の人生を滅茶苦茶にするって……!」

 

 士道はあの日、七罪にそう言われたのだ。

 詳しい理由は分かっていない。ただ突然に彼女の態度が豹変し、順調だった筈の好感度もがた落ちして、そう告げられたのだ。こちら側としては、何が何だか分からない。

 なんとなく七海は何かを知っているようだったが、教えてはくれなかった。曰く、俺が教えていいことじゃない、とのこと。

 

「…………二十点」

 

 戦慄した調子で士道が言うと、七罪は半眼を作りながら返してきた。

 

「へ……?」

「言ったでしょう? 私の秘密を知ったからには、ただでは済まさないって。こんな嫌がらせ程度で許してもらえると思ってるのかしら? ふざけるんじゃないわ。もっとめっちゃくっちゃのぎったんぎったんのへっちょへちょにしてやるんだから……!」

 

 鬼気迫る士道の姿をした七罪の表情。その迫力に、士道は思わず後ずさる。

 

「ま、待てって。秘密だなんて、俺は何も――――」

「うっさいわね!」

 

 ダンッ! と床を踏み鳴らす七罪。どうやら話を聞いてくれるような状況ではないらしい。

 しかし、秘密とは何だろうか。

 誓って、士道は七罪の言う『秘密』なんて知らない。むしろ彼女について、知らないことの方が多い。昨日出会ったばかりなのだ。当たり前であろう。

 そんな時、屋上への扉が開かれた。

 二人が同時に目を向けると、そこにいたのは、

 

「な……シ、シドーが、二人……?」

 

 士道が二人いるという状況に目を丸くする十香と、

 

「……成程」

 

 何か考えている様子の七海であった。

 驚くのは無理もない。何しろ全く同じ姿の人間が二人も存在しているのだから。

 しかし同時に、これはチャンスでもあった。ここで自分が本物だと信じてもらえれば、今までの悪事が目の前の『士道』の所為だと分かってもらえるのだから。

 

「十香、七海! 聞いてくれ、こいつは――」

「こいつは偽物なんだ! 俺に化けて、皆に悪戯したのはこいつだったんだよ!」

 

 が、士道の言葉を遮るように、七罪が大きな声を発した。

 無論、完璧に士道に化けた声で。

 

「な……! だ、騙されないでくれ、二人とも! 本物は俺だ!」

「何言ってやがる! 俺が本物だ!」

 

 七罪が士道と全く同じ声、口振りで二人に訴えかける。

 十香は未だ状況がよく呑み込めず、士道が二人いるという事実に困惑しているようだ。

 対する七海は、一度本物の士道に目を向けると、すぐに視線を外し、七罪が化けた方の士道に視線を注いでいる。

 その不自然な様子に七罪も気付いたらしい。今度は七海個人に訴えかけ始める。

 

「七海! お前なら俺が本物だって信じてくれるよな? アイツが俺に化けて悪さしていたんだって!」

「ち、違う! 本物は俺なんだ。頼む、信じてくれ……!」

 

 七海は小さく笑うだけだった。

 

「……とまあ、士道が二人いて、それぞれこう言ってる訳だが」

「ぬう……これは、どちらかが本物でもう片方が偽物ということなのか?」

「ああ。なあ十香。偽物はどっちだと思う?」

「なんだ、お主も分かっておるのではないか? 片方が偽物というのならば簡単だ。偽物は――――」

「まあな。偽物は――――」

 

 そして二人は指を差す。

 

「「こっちだ」」

 

 ――――まっすぐ、七罪の方に向けて。

 

「な……!?」

 

 まさか当てられるとは思っていなかったのだろう。驚愕に染まった顔で、それでも往生際悪く言葉を続ける。

 

「な、何言ってるんだ、二人とも。俺は――――」

「無駄だよ。意見を変える気はねえ」

 

 七海がそれを遮り、十香は本物の士道の方に歩み寄る。

 そこで七罪も観念したらしく、憎々しげな視線で三人を睨み付ける。

 

「……どうして、分かったんだ? 変身は完璧だった筈。当てずっぽうでも確率は半分。どうしてそんなに自信をもって俺を指せる?」

 

 七罪が問うと、十香は頬を指で掻きながら、困ったように口を開いた。

 

「何でといわれてもな……なんとなくだ。確かにシドーにそっくりだが、本物と並び立つと、何か匂いが違うような気がした。それだけだ」

 

 七罪が次は七海へと視線を向ける。

 七海は少し躊躇するような間を開けてから、ゆっくりと口を開いた。

 

「まあ、俺の目を舐めんなってことで」

 

 二人の言葉を聞いた七罪は、信じられないというように頭を振って、呻くようにぼやいた。

 

「な、なんなのよこの子たち……どうかしてるわ……」

「……いや、それは、まあ……」

 

 士道は曖昧に返すしかなかった。

 十香の超感覚や、七海の言う『視界』とやらは、七罪が想定していなかったとしても仕方あるまい。

 見事に本物を当ててくれたのだから、二人には感謝するべきなのだが……七罪に少し同情してしまう士道であった。

 七罪は忌々しげに歯噛みすると、バッと右手を高く掲げた。

 すると虚空から箒型の天使が現れ、その手に握られる。

 それに対する七海の反応は早かった。

 七罪が右手を掲げた時点で素早く士道と十香を下がらせ、七罪との間に出来たスペース自身を滑り込ませたのだ。察するに、視界を使っていたようだから、天使を呼び出されたことにいち早く気付いたのかもしれない。

 箒の先端が放射状に開き、あたかもプリズムのように輝き出す。

 次の瞬間、七罪が淡く発光し――――その姿が、士道が昨日見た長身の美女へと変貌する。

 

「な……っ!」

「……ふむ」

 

 十香が驚愕に目を見開き、七海は納得したように警戒を若干緩めたようだった。

 それに違和感を感じた士道だが、それがはっきりとした疑問へと変わる前に七罪が動く。ギリギリと悔しそうに歯をすり合わせ、ガリガリと頭を掻く。

 

「あり得ない……あり得ない……あり得ないィィィッ!」

「なん……」

「秘密を知られた挙げ句、私の完璧な変装まで見破られたって言うの……?……嘘よ……こんなの嘘! 絶対……絶対認めないんだから……ッ!」

 

 七罪は憎々しげに叫ぶと、ビッ! と士道達に指を向けてきた。

 

「このままじゃ済まさない……! 絶対一泡吹かせてやるんだから……!」

 

 そして士道達に敵意剥き出しの視線を向けながらそう言い、軽やかな動作で箒の柄に腰掛けると、物凄いスピードで空を飛んでいってしまう。

 

「あ――――お、おい!」

 

 慌てて声をあげ、追い縋るも――――遅い。士道を一瞥もすることなく、シルエットはみるみる小さくなってしまった。

 これから好感度を上げて霊力を封印しなければならないと言うのに、結局進展のないまま、いやむしろ、さらに好感度が下がってしまったまま終わってしまった。

 とはいえ、唐突なことでもあった。これからのことも踏まえ、琴里には報告しなければなるまい。

 

「シドー」

 

 油断なく七罪が飛び立っていった方向を見ていた士道に、十香から声がかかる。

 

「ど、どうした、十香?」

 

 士道は何となく次の言葉を察しながら、若干声を上擦らせながらも返す。

 

「あやつは一体何者なのだ!?」

 

 ほぼ予想通りだった。

 士道はどうにか七罪のことをぼかして説明するため思考を巡らせると同時、助けを求めて七海の方へと視線を向ける。

 七海は先の士道と同様、七罪が飛んでいった方を見ていたが、士道の視線に気づいたか、苦笑しながらもこちらへとやってきた。どうやら助けてくれるらしい。

 しかし、

 

 (七海は今、どこを視ていたんだ……?)

 

 視線は空を見ていても、実際には違う何かを視ている――――いや、これも違う。どちらかと言えば耳を澄ませている時の猫が虚空を見つめているような、深い思考をする時に無意識に視線が上に行くような、そんな印象を受けたのだ。

 後で訊いてみるか、と取り敢えずそれ以上の考察を止め、目下最大の難題である十香への七罪の説明へと思考を切り換えた。




 原作リーク多くてごめんなさい。

 どうしてもイベントが起きないと原作リークが多くなってしまう。ダメじゃん。恐らく事件が起きてもそのままでしょう。原作との解離が大きくなるのは化けた相手が分かってからかな。

 アニメ第三期の噂を聞きますし、バレットも面白い。デアラ熱ですね。
 狂三の設定が明らかになってきたことで、本作における狂三の設定をどうしようか悩んでます。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 原作ではこの後DEMの話がありますが、七海が出ないのでカット。原作と大した差はありません。
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