デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 大学無事に合格いたしましたー。

 なんとか国公立受かってました。よかったよかった。
 もう大学生ですかー……早いようなー、遅くはないようなー。

 若干短いですが、それでは、どうぞ。


第76話

 次の日。学校。

 七罪から手紙が送られて一日が経ったが、予想に反してこれといった動きが無かったため、取り敢えず日常通りに学校へとやってきた士道である。

 逆に、何も無かった七罪に対し、七海がやけに慌てていたのが気になる。

 今は朝のホームルームも終わり、一限目がもうすぐ始まろうかという僅かな時間だが、七海は腕を組み、耶倶矢や夕弦、狂三とも会話もせずに考え事をしているようだ。

 その三人も何か察しているのか、自分達から七海に話しかけようとはしていない。

 

「どうしたってんだ……?」

 

 一応、今朝何があったのか訊いてみてはしたものの、大丈夫の一点張りで、七海は事情を話そうとしなかった。

 曰く、『過ぎたことはしょうがない。今回はそうだったってだけのことだ』とのこと。

 令音の推測によると、七海の知識との相違が起きたんだろう、とのことだが、具体的に何が違うのかまでは流石に分からない。

 

「シドー!」

 

 ううむ、と士道もまた一人唸っていると、横から十香が亜衣麻衣美衣の三人衆と話し込んでいたのを終え、声をかけてきた。

 

「どうしたんだ、十香?」

「もしや、今日の弁当は、ころっけではないか?」

「え? いや、違うけど……?」

「む、そうなのか? てっきり、そんな匂いがしたのでな。ころっけだと思ったのだが……ちなみに、本当は何が入っているのだ?」

「……昼休みまで楽しみにして待ちましょう」

 

 正解は唐揚げである。

 いやそうではなく、

 

「急にどうしたんだ?」

「ぬ。いやな、麻衣が今日弁当を忘れたーという話題になったのでな、なんとなく気になっただけだ。べっ、別に、もうお腹が空いたとか、そういう事では無いからな!?」

「はは……今日のは自信作だからさ、楽しみにしてていいぞ」

「本当か!? うむ。では楽しみにして待つとしよう!」

 

 確かに、そんな話をしていたような気もする。何せすぐ隣だ。騒がしくしなければ会話の内容もそれなりに聞こえてくる。

 少し上の空だったので自信は無いが、まあこういうこともあるだろう。

 するとそのタイミングで一限目の開始のチャイムが鳴る。担当の先生はまだ来てないが、よくあることだ。数分もすればやって来る筈である。

 ちらりと七海を見遣ると、変わらず腕組みをしている姿が。依然、何を考えているかは分からない。

 昨日の夜、夕弦と共に七海に無理をさせない、一人で背負わせないという協定を結んだのはいいが、それが逆に七海へのさらなる負担になってしまうのでは本末転倒だ。二人が七海にあまり強く出れないのはそういう理由なのだ。本当なら夕弦は、勿論士道も、七海が悩んでいるなら無理矢理にでも手助けしたい。今の七海は明らかに何かを抱えているのだから。

 無論、行動が無かった訳ではない。ただ態度がいつまでも変わらないため、とりあえず折れるしかなかっただけで。

 

 (何かあるなら、きちんと言ってくれないと分かんないぞ……)

 

 七罪について、立ち位置上そう易々と喋れないのは分かる。

 ただ、士道には、七海が抱えているのはそれだけじゃない――――そんな気がしていた。

 

 

    ◇◆◇◆

 

 

 昼。

 睡眠導入にしか思えない授業も一旦終わり、いつものごとく十香や七海と机を合体、やや遅れて登場した万由里を加えての昼食である。

 本当はこんなに呑気にするのではなく、七罪探しに尽力すべきなのだろうが、手掛かりも無ければ彼方からのアプローチがある訳でもない。どうにも動きにくい状況である。

 弁当のおかずの唐揚げに目を輝かせる十香を横目に、昨日の時点でデート(一部抵抗有)を済ませた四人に思いを馳せる。

 

 (十香、四糸乃、殿町、そして夕弦。この四人に怪しいと思える要素は無かった)

 

 皆、普段通りで、反応も至極真っ当だった。誰かが偽物とは考えづらい。

 勿論七罪候補はまだまだ居る上に、まだデートをしていない人物の方が多いのだから、この四人の誰かが七罪である可能性は低い。

 今日もまた放課後は犯人探しとなるが、やはり七罪側から何もないのが空恐ろしい。

 手紙にもあった、『誰もいなくなる前に』という文句が何とも言えない不安を掻き立てる。七海は時間制限と予測していたが、それにしては少し言葉が物騒だ。

 

「どうかした、士道?」

「ん、ああいや、ちょっと考え事をな」

「そう。難しい顔してたから、少し気になっただけ。……あまり、自分を追い込みすぎないようにね」

 

 万由里がこちらの顔を覗き込みながら心配そうに声をかける。

 そういえば、万由里は精霊の中でも大分特殊な立ち位置にあるが、今回の件について何か知っていることはないのだろうか。流石にここで堂々と話す訳にはいかないので、デートの時に聞いておくべきだろう。

 

 (いや、万由里も候補なんだから、直接訊くわけにはいかないのか……?)

 

 難しいものだ。

 信用出来る情報源が自分と〈フラクシナス〉だけで、どうも時間制限があるらしい。

 士道の身体は一つなので一日に行動するにも限界があるため、そうゆっくりはしていられない。

 それを言うなら今こうして皆で弁当を食べている状況は一体何なんだということになってしまうが……。

 

「そう言えば士道、放課後少し付き合ってくれないか?」

「え? お、おう、別に良いけど……どうしたんだ?」

「ちょっと買い物に行きたいだけさ。今夜のメニューとかの相談にも乗ってほしい」

「分かった。じゃあ帰りにそのまま商店街の方に行こう」

 

 本当は〈フラクシナス〉がデートの順番等予定を立てているのだが、七海はそれは知らないらしい。態々断る理由も無いので、クルーの人達には悪いが、七海の誘いに乗ることにしよう。

 士道の中では七海は七罪でないとなっているが、形だけでも他の候補者と合わせなければならない。

 それに、七罪探しが始まって一日経ったので、経過報告というか情報交換もしておきたい。主な理由は此方だ。

 となると十香や万由里と一緒にいるのはマズいので、今回は耶倶矢や夕弦達と時間を潰してもらうことにした方がいいか。

 そう思い、心底幸せそうに唐揚げを食べてくれている十香に目を向ける。

 

「十香、今日は耶倶矢達と時間を潰しててくれないか? なんなら先に帰っててくれてもいいけど……」

「む? 一緒に行ってはダメなのか?」

「士道は今日の夕食は内緒にしときたいのさ。夕弦や狂三も、付いて行ってやってくれ」

「了解。分かりました。十香、今日は帰りにゲームセンターでも寄りましょう」

 

 七海のフォローに軽い黙礼で感謝し、残っていた弁当へと手を付ける。考え事をしていた所為か、他の皆よりやや遅れ気味だ。

 気持ち早めに掻き込む。自分では味の良し悪しは分からない。流石に食べられない程にマズいということはないと思うけれど。十香はあんなに幸せそうに食べてくれているし。作った身としては何よりも嬉しいものだ。

 と、弁当で思い出す。

 そう言えば何故十香は、今日の弁当のおかずがコロッケだと思ったのだろう、と。

 答えはすぐに明らかになった。

 

「あら? これ、中身が……」

「かか、お主も気付いたか、刻の支配者よ。封じられ眠る白き贄に」

「グラタンをアレンジしてみたんだ。偶々ネットにあってさ」

 

 成程、十香は七海達の弁当のおかずを自分の分と勘違いしたらしい。嗅覚が異様に鋭い彼女なら、まあ有り得ないことではないのかもしれない。

 物欲しそうな表情をしていたのか、夕弦からコロッケを一つ貰ってこれまた幸せそうに頬張る十香。

 お返しに残していた唐揚げを渡し、さらにそのお返しなのか七海からコロッケを渡されながら、皆の動きを注視する。

 昼食によって頭が一度スッキリしたのか、こういう日常の小さな動きに何かヒントがないかと思い至ったのである。

 このぐらいなら七海も思い付いているだろうが、七罪探しを七海に頼り切りにする訳にもいくまい。こういうことを含めて、今日の放課後に共有した方がいいかもしれない。

 そういう点で見れば、両者に動きがない今の状況において七海の申し出はタイミングが良かったのだろう。

 

「お、美味い」

「ほう、士道からのお墨付きか。そりゃ良かった」

「そんな大袈裟に言うことでもないだろ。でも、今度……なんなら放課後にでもレシピを教えてくれないか?」

「オーケー。と言っても元は調べれば出るんだけどな? ちと俺流の変更はしたが」

 

 我流のアレンジを加えた上でここまでの味を出せるのは普通に凄いことなのでは。

 料理が出来ない人の中には、あまり料理をしないにも関わらず自分流のアレンジを加えてしまうからだ、とどこかで聞いたことのある内容を思い出しつつ、自分も台所を預かる身として負けてられないと一人意気込む。

 そんな思考を読まれたか、くすりと笑みを溢す七海。

 若干気恥ずかしい思いをしながら、照れ隠しするように弁当へと箸を伸ばす。

 

「あれ?」

 

 おかしい。最後に唐揚げを取っておいた筈なのだが、消えている。

 先程自分で夕弦にあげたと思い出すのは、モヤモヤしながらも弁当箱を片付けた直後であった。




 次回は七海含む三人程度とのデート回ですかな。

 読みにくいというか、流れが悪くなるのは分かっているんですが、一区切りということでここで切らせていただきました。
 っていうか容疑者多すぎないですか。なんですか十五人て。調整メンドくさいんですが。
 万由里とか普通に気付きそうなものですけどねえ。

 前書きの通り、無事春から大学生です。
 春以降の執筆スピードは、新生活に依ります。果たして書く余裕はあるのか。
 他の人の見ていると、皆さん課題やレポートで忙しい中無理くり書く時間を作って書きあげているようでして、高校ですら全然書いていなかった私に果たして大学ではできるのかと。そんな気持ちでいっぱいです。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 新生活に不安しかねえ!
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