デート・ア・ライブ  ~転生者の物語~   作:息吹

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 お久しぶりです。三か月半。ケッ。

 気が付けばお気に入り登録者数が遂に1000を越えました。登録してくださった皆さん、本当にありがとうございます。
 何だかんだ話数がそれなりにあるので、アニメの流れに乗じて見つけてくれた方がいたんでしょうか……?
 しかし遅筆。申し訳ない……。

 それでは、どうぞ。


第87話

 勝負の結果、七罪の士道に対する好感度は最悪の状態からは脱したらしい。戸惑いや動揺が大きく、あの場は逃げ出してしまっていたが、悪くは思っていないようだった。

 令音さんの推察と問診、解析によると、七罪は他の精霊と比べて現界している回数が極めて多く、その時、ありのままの自分を誰も相手してくれなかった、蔑まれたといった経験の積み重ねが彼女自身の価値観の歪みに繋がったのだろうとのこと。だから、変身していない状態での過剰なまでのネガティブさが形成されていったのだろう、とも。

 結局は、認めて欲しい、ということらしいけどな。

 

 ということで。

 

 琴里の主導で、自分は可愛い、と七罪に自信を持たせる作戦が始まった訳だが……。

 

 無関係だが都合のいい第三者による客観的な意見を直接伝える作戦。

 殿町に頼んでみた結果、最終的に七罪が暴れ出して撤収する羽目に。

 

 少しは事情を知っている人物を使ってみよう。

 神無月さんがモデルのスカウトを装って接近した結果。人殺しと勘違いされて平手打ちを喰らってた。良い笑顔だった。

 

 まずはそもそも会話に慣れさせるためにレベルを落とすことにし、某ファストフード店で椎崎さんを店員として紛れ込ませて注文をしてみる。

 コークスクリュー。

 

 ……どれもこれも、失敗に終わったのだった。

 俺の、そして七罪の監視の意味も込めて同行してたのだが、原作の記憶が多少はまだ残ってるから分かるとはいえ、それを差し引いても七罪の思考回路は読めん。どうなってんだあれ。

 今は気分を落ち着かせようということで俺達は管理室で監視、七罪自身は元の部屋に戻っていて、布団を頭から被ってもぞもぞしてた。

 ……あ、大人しくなった。傷が開いてないといいが。

 ちなみにここには今俺と令音さん、あと少しのクルー。琴里と士道は地上もしくは〈フラクシナス〉である。

 

「――ということで、何か別の良い案ないですかね」

「ここまでだと、まず普通の会話に慣れさせることからした方がいいのかもしれないね」

「んー。目的は違ったとは言え、最初の殿町との会話があんな結果だったんですし、少し捻らないといけないかもですね」

「……あの時はあの時で彼女を持ち上げすぎた所もある。普通とは少々言い難いと思うよ」

「あー……それもそっか」

 

 暇なので雑談兼作戦会議中。

 少しでも七罪が極度のネガティブを解消ないし脱却する方法を色々と模索しているのだが、いやまあ見つからないものだね。全部士道に投げつけたくなるわ。

 基本的に女性を憎悪と見違える程に嫌悪しているし、俺はなんか怖がられてて一緒に居ると精神が微妙に安定しない。極度のコミュ障でもある七罪じゃ、知人がいない場で見知らぬ人との会話なんてできるとも思えない。

 やっぱ士道しか適任がいないと思う。うん。

 

「そういや、七罪の容態ってどんな感じなんですか?」

「……まだ傷は塞がっていない。あれだけ大暴れしていたんだ。もう危険視する程のものではないだろうけど、もう暫くは様子を見ていた方がいいだろうね」

「ふーん……」

 

 じ、と監視カメラに映る盛り上がった布団を見る。

 先程から、一切の動きを見せない、その塊を。

 疲れて寝た、傷が痛む、単純に大人しいだけ――なんて筈もなく。

 いやまあ、うん。知ってはいたんだけどね? それを言うのはまた違うじゃん? ここで七罪はこうしてなければならないのだから。

 詰まる所。

 

「あの」

「……なんだい?」

「七罪、逃げ出してますけど」

「…………」

 

 令音さんは何事か手元のコンソールを操作すると、少しして動きを止め、連絡端末――琴里へと報告を行った。

 

 

 

     ◇◆◇◆

 

 

 

 およそ二時間後。俺は変わらず令音さんと一緒で、場所だけは変わって〈フラクシナス〉の艦橋内であった。

 あの後七罪の捜索を機関員総出で行ったが、地下施設のどこにもその姿は無く、何人かの証言により琴里に化けていたことまでは分かったが、それが判明したところで今更どうなる訳でもなかった。

 士道は休憩の意も込めて、地下施設に持ってきていた宿泊道具を自宅に持って帰ってもらっている。

 現状手掛かりもない。闇雲に探すのは時間の無駄だろうしな。きちんと観測器はフル稼働させてるので、捜すのを止めた訳じゃないぜ。

 ……うん? ああ、勿論俺は七罪の居場所の目処は立ってる。確証はないけどな。だが、それを教える訳にもいくまい。

 さて、士道はこの後自宅にてエレンと邂逅、ほぼ同じタイミングで、爆破術式を搭載させた人工衛星を観測……だったかな。大まかな流れはまだ覚えてるが、流石にもう曖昧だな。

 出来れば士道の方に付いていってやりたいが……緊急事態のこの状況で俺を士道と二人にするはずもなく、琴里と令音さんがいるこの場所で待機を言い渡されてしまっている。

 まあいい。

 さて、そろそろか?

 

「……ん?」

 

 うん、箕輪さんが見つけた。

 琴里に詰め寄られ、箕輪さんが自身のパーソナルディスプレイに映っている画面をメインモニタに表示させる。

 拡大を何段階か重ね、ようやく映像が映し出されると、クルーの人達全員が怪訝そうに眉を顰めた。人工衛星というのは分かるんだな。

 

「微かにですが、魔力反応があります! しかもこれは……爆破術式……?」

「何ですって?」

 

 御木本さんの声に琴里が眉根を寄せる。

 うむ。やっぱりな。

 確かDEMの中でアイザックに謀反を起こそうとした連中が、天宮市ごとぶっ壊してやるぜー、みたいな話だったような。

 

「もし……天宮市にこの人工衛星が落ちてきたりすたら、どうなると思う?」

『…………ッ!」

 

 言葉を失うクルーの人達を前に、俺は一人拳を握った。

 流石に、このの後の状況を考えても、俺が出ないというのは俺が我慢できない。多分戦力的に出ざるを得ないだろうとは言え、だ。

 それに、一つ気懸りな点もある。

 ……これについては一応予測、推測は立てているとはいえ……あまり確信は持てない。何せ、原作でも語られていなかった部分だ。知る由もない。

 いや、今は目の前のことに集中しよう。もしかすると、八舞姉妹や狂三たちの力を借りることになるかもしれん。

 視線の先、琴里は携帯を取り出し、誰かへと繋げる。会話から察するに、士道か。

 琴里が人工衛星の件を説明している途中で、空間震警報の音をマイクが拾う。士道は焦るが、琴里の推測通り、これはDEMが意図的に流した誤報。わざわざDEMが人工衛星をこの街に落としに来る理由についてはイマイチピンと来ていないようだが。エレンの件もあって混乱しているようだ。

 まあ、ここについては少し口出ししてもいいだろ。

 

「DEMの一部の人間が、エレン辺りに一矢報いようとしたんじゃないのか? ま、士道の言葉から考えると、寧ろエレンにというより、もっと上の人間に、かもしれんが」

「DEM内部での反抗運動……? 少し突拍子すぎない?」

「あくまで予想さ。結局考えても仕方ないんだ。早いとこ迎撃やら避難やらを済ませよう」

「……そうね。墜落までの猶予もあまりないし、これについては一先ず置いときましょう」

 

 最後に士道に人工衛星迎撃の作戦を大まかに説明したところで、通話は終えたようだった。

 だが、しかし、待っても士道が玄関から出てこない。今はもうその数分すら惜しいというのに、だ。

 苛立たしげに、再度士道へと電話を掛け直す琴里。

 半分キレながら通話する琴里だが、急にその勢いが衰える。

 彼女は口にした。

 ――未だに見つかっていない、『七罪』の名前を。

 そうだ。士道がこの状況で安全圏である〈フラクシナス〉に素直に回収されるとは思えない。アイツなら間違いなく、時間ギリギリまで七罪を探して街を走り回るだろう。

 士道が自分の安全を顧みずに捜索に出ていると言うのに、俺はこうしてモニタを見ることしか出来ないのか? 琴里と士道の会話に耳を傾けることしかできないのか?

 ――んな訳ねえよなあ?

 

「琴里、令音さん」

「……どうしたんだい?」

 

 まだ通話中の琴里に代わり、令音さんが応える。琴里も、一応顔だけは向けてくる。

 告げる。

 

「俺も出る」

「……そう言うとは思っていたよ」

 

 大した驚きもなく、令音さんはそう返す。

 流石に、こういう時に俺が何をしようとするのかぐらいはもうお見通しか。

 

「正直な話、君の手を借りれるのはこちらとしては有り難い。こういう状況だからこそ、監視がどうのという話は一旦置いとくべきなのだろうからね」

「じゃあ……っ」

「あとは、司令官がどう判断するか、さ」

 

 二人分の視線が、今度は琴里へと刺さる。

 数秒、琴里は俺の眼を覗き込むように見つめると、一つ息を漏らした。

 

「……行くなら早くしなさい、二人とも。時間は限られてるわ。こっちも自律カメラで行方を捜すけど、まあ、あまり期待しないでちょうだい」

「っ。ああ! ……ありがとうな」

 

 俺には準備なんてこの身一つで十分。あと必要なのは覚悟と決意。

 転送装置で地上に送られる間際、琴里に振り向いて感謝を短く伝える。そして、足が地面の感触を捉えると同時に、俺は空へと飛び立った。

 




 前哨戦というか嵐の前というか。

 これ以上書くと区切りが悪くなるのでここで一度カット。いつもより1000文字弱少なめとなっております。
 次回は恐らく七罪編後半で一番の盛り上がる部分。尚、当作品において盛り上がるかどうかは別問題とする。
 原作では封印状態の精霊総動員&士道くんの鏖殺公で頑張ってたけど、ここでは未封印の精霊が少なくとも五人&チーター主人公がいます。さてどう絶望させようか。無理じゃね。
 
 前書きでも申し上げましたが、お気に入りが1000人を越えました。改めて、心より感謝を申し上げます。このような拙く、筆も遅い作品をお気に入り登録してくださり、本当にありがとうございます。

 それでは、次回も読んでいただけることを願いつつ、ここらで終わりとさせていただきます。

 折紙さんも書っかなっきゃなーっ。
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