私の名前はアストローギスト・モナ・メギストス   作:増殖する墓穴の灰流ニビル

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おばばなんて設定ほぼ無いようなもんやし実質オリキャラみたいなもんやろ…


はじめまして!

 皆さん初めまして、しがないTS転生者のモナです。フルネームはアストローギスト・モナ・メギストス。偉大なる占星術師モナという意味を持っています。

 はい、3歳の誕生日に高熱を出し三日三晩ベットの上でうなされた私は見事に前世の記憶を思い出しました。前世の私はしがないオタクのおっさんでした。あ、無職のニートではなかったですよ?

 それよりも肝心なのは私の前世において私は【原神】というゲームにおけるキャラクターの1人だったということです。前世の記憶を思い出して元気になった私は最初こそ転生だと喜び……いえ、喜び半分性別が違うことに困惑半分でしたかね?ま、まぁそれなりに喜んでましたが自分の名前をよくよく思い出して青ざめました。あの【原神】世界かよって。

 いやまぁ【アークナイツ】とか、【ダークソウル】とか【fate】とかその他諸々の地獄のような世界よりはマシでは有るんですけど、決して平和な世界とは言い難いのが【原神】世界です。私の記憶では7つある国の内5カ国までしか実装されていなかったですが、その5つの国全てで治安がまぁまぁ悪いです。

 それぞれの国の都市とか町の中の治安は別に悪くないのですが、一歩外に出ると、宝盗団と言う、いわゆる盗賊団の様な奴等や、ヒルチャールというゴブリンみたいなモンスター、ゆるキャラみたいな見た目してるスライムやトリックフラワーという動くし擬態とかもする植物型モンスターなどが闊歩しており、普通に人を襲ってきます。つまり良く有る中世ファンタジー世界レベルの危険度って事です。

 前世の記憶を思い出すということはイコールで大量の性知識をインストールしたという事なので、スライムやトリックフラワーといったTheモンスターみたいなのなら兎も角、宝盗団やヒルチャール……はだいぶ怪しいですが、人ないしは人型の敵に負けた場合がヤバいです。今は3歳なのでそういった対象にはならないでしょうが、今後成長して原作通りの美少女となった場合まず間違いなく慰み者コースでしょう。前世()の私もそうだそうだと深くうなずきながら言っています。

 そうならないためにはどうするか?そうですね、暴力ですね。やはり暴力!暴力は全てを解決します。治安の悪い世界において「弱いやつは死に方も選べない」という名言が示すとおりです。

 というわけで外で遊ぶ名目で鍛えます!少なくとも家の周りは安全ですからね!

 

「おばば、お外で遊んできます!」

「あんまり遠くに行くんじゃないよ」

 

 あ、言い忘れてましたが今は占星術師の師匠でもあるおばば(祖母)と二人で暮らしてます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 5歳の誕生日も既に過ぎた私ですが、今更になって私は確信しました。いやまぁ前々から薄々察してはいましたが…さてはこの世界【原神】じゃないですね?なぜ確信したかって?祖母が私にとある人物と引き合わせたからです。

 

「ほらモナ挨拶しな。こいつはあたしのお得意様の一人であるルシウス・マルフォイと」

「息子のドラコ・マルフォイだ。ドラコ、お前も挨拶しなさい」

 

 はい、【騙されたなポッター】の画像等で有名なドラコ・マルフォイ(ショタの姿)が父親の後ろに隠れながらこちらをチラチラと伺っているからですね。

 

 

「初めまして、私の名前はアストローギスト・モナ・メギストスです。わかりにくいですがアストローギストが苗字でモナが名前です。モナと呼んでください」

 

「は、はじめまして…ドラコ…マルフォイで、です。」

 

 

 この世界【ハリポタ】の世界ですか。どうしましょう。

 

 私の祖母は魔法族、非魔法族問わず相手にする高名な占い師をやっています。そして祖母の占いは良い事でも悪い事でも絶対に当たる占いで有名で、また運命を見る場合は結果がどうあれ、絶対に高額請求する事でも有名です。なので、非魔法族なら政府の高官や、弁護士、検察、警察のお偉いさん、大企業社長や会長等といった金持ち連中が主な商売相手です。魔法族だとこれらにプラスして純血一族が入ってきたりします。因みに顧客は世界中に居ます。嘘かホントかは知りませんがおばば曰く、過去に自由の国の大統領と赤い国の国家主席がうちの家で同席したことがあるそうで。

 そして今回祖母に紹介されたのはイギリス魔法族の純血一族を代表するマルフォイ家次期当主たるルシウス・マルフォイと、その御子息であるドラコ・マルフォイ君5歳です。

 

 私は【ハリー・ポッター】シリーズを良く知りません。原作も実写映画も本編を見たことがなく、ネット上でネタにされてる有名な部分くらいしか知りません。具体的に言えば【騙されたなポッター】やアウラ、セセリアと並び知名度や人気に反して作中登場時間が短い奴三銃士の一角で有るドラコ・マルフォイや、「スリザリンは嫌だスリザリンは嫌だ」「アズカバン!!」とか、「お辞儀をするのだポッター」、【音割れポッターBB】シリーズ等など。変わり種で【薩摩ホグワーツ】や、真占いをご主人の人狼と誤認して援護してたら真占いなのに気付いてしかも対抗占いが狐なのほぼ確定したから狂人COした穢れた血とか、殆ど役持ちニックとかその程度です。原作知識と言えるかもしれないし、言えないかもしれない。どう見えるかです。まだまだ心眼が足りません。

 原作知識と言えますかこれ???いやまぁこれらの知識でドラコ・マルフォイの存在を認知してたお陰でこの世界が多分【ハリポタ】の世界だと気づけましたけどね???

 いや一旦落ちちちちつきましょう。情報を、情報を整理します。

 

 【ハリポタ】シリーズは確か児童文学が原作で、前世の学校の図書館などで見かけた記憶は微かにあります。実写映画化もされ大ヒット。金◯ロードショーでしょっちゅう流されて、ネットの海にいくつものネタが生まれました。ただ前世の私は原作も映画も一見た記憶は有りません。強いて言うなら【ホグワーツレガシー】を買うかどうか迷っててネットで軽く調べたり、ネットの友人に聞いたりしたくらいですかね。

 えーネットの海で拾ったゴミみたいな知識のパッチワーク、この世界で実際に暮らして得た知識、さらにはメタ推理なども含めて考察しましょう。

 

 まず主人公はほぼ間違いなく【ハリー・ポッター】というメガネの男の子でしょう。推定ラスボスは名前を言ってはいけない例のあの人…長いのでヴォ卿としましょう。強大な闇の魔法使いであるヴォ卿が当時赤子である【生き残った男の子】ハリー・ポッターに殺されたという話はこの世界で暮らして嫌と言うほど聞きました。つまりハリー・ポッターは赤子でありながら推定ラスボスを殺せる化け物ということです。赤子とは??????これ児童文学の話ですよね????これ本当に原作からこうなんです????ワンチャン転生者ハリー・ポッター説あります???もしくはクロスオーバーで中身プリンセスハオとか縁壱とか五条先生とかだったりします???推定ラスボス既に死んでるんですが????

 いえ逆に考えるんです私。この世界ではバタフライ・エフェクト先生がバタフライバタフライしてラスボス【ハリー・ポッター】が産声を上げたのかもしれません。

 え?これ私鍛えたとして勝てます???………考えるだけ無駄なのでこの話は無かったことにしましょう。

 仮にハリー・ポッターが転生者で初手ヴォ卿を殺して原作ブレイクしたとして、転生ポッターが善良なる人間ならもう既に勝った!ハリポタ完!!終わり!閉廷!解散!でヨシ。悪い人間なら詰みです。頭を垂れて平伏し許しを請うか頑張って戦って死ぬかです。

 え?なぜ戦うと死ぬの前提なのかって?仮に私が赤子の頃から前世の記憶があったとして、そこらの普通の大人相手に殺し合いして勝てたかというとNOだからです。今の私ならそこらの一般人を(精神的な諸々を度外視すれば)殺すくらいは訳ありませんが、魔法を使う治安維持組織と前線でバチバチに殺し合いしてたやべー奴筆頭相手に勝てるかと言うと……。つまり推定で、一応は2年ほど独自に鍛えた5歳の私<当時赤子の【生き残った男の子】ということです。いや無理では????お、おしまいです…勝てるわけが無いんです…。

 というわけで仮に既にヴォ卿殺害が原作通りの話の流れだとしたら、音割れのBGMと共に記憶を掘り起こす限りヴォ卿は実は生きてたか、死んでたけど復活したか、その複合でギリ生きてて復活したかですかね。お辞儀をするのだポッター。挨拶前のアンブッシュは一度だけ許されると古事記にも書いてますよポッター。殺るのだポッター。

 物語の舞台はほぼ間違いなくホグワーツ魔法学校で学校物のストーリーでしょう。だって私と祖母の住んでるイギリスで魔法学校ここだけらしいですし。それにヴォ卿が暴れてたというのも全部イギリス国内での話です。ホグワーツは全寮制らしいですし、入学すれば1年間の殆どをホグワーツ内で過ごすことになると祖母は言っていました。ついでに言うとその生き残った男の子と私は同い年らしく、いつの日だったか、もうしかしたら同じ寮になるかもねと祖母が呟いてた気がします。

 なんで皆【ハリー・ポッター】じゃなくて【生き残った男の子】って呼称するんです???おかけで今になってやっと原作発覚したんですが????

 

 

「……ナ……ナ!!……モナ!!!!」

 

「うわっ!耳元で叫ばないでくださいおばば」 

 

「はん!急に上の空になって話を聞いてないお前が悪いさね」

 

「うっ……それはその…ごめんなさい」

 

 確かに考え事に集中してしまった私の落ち度ですので素直に謝罪します。

 

「はぁ…まぁこんなんでもあたしの後継者さね。しかもあたしより占星術師の才能は上さね。最終的にあたしの跡を継ぐのかはまぁこの娘が大きくなって本人の意志次第だが、コネなんていくらあろうが困らないからね」

 

 ため息を吐き祖母は私の頭をグリグリと手のひらで撫で回しながらそう言います。いきなり思考を明後日の方向に飛ばしたのは確かなのでぐぅの音も出ませんので抵抗はしません。

 

「……いやはや全くコネの大切さはここ近年で身にしみて理解しているので耳の痛い話ですな」

 

 対面に立っているルシウス氏はいかにも酷い隈を携えながら哀愁漂う声音でそういった。……社畜でしょうか?あぁいやそういえば貴族みたいなものでしたね。貴族とコネの単語2つでもう大体察せられますね。

 

「一応今のところはホグワーツに行かせる予定さね。スリザリンに入るかどうかは…微妙なとこだねぇ。強かさは有るが割と向こう見ずなところもある。変に生っちょろい所もあれば知識欲も貪欲。あのポンコツもこの娘の組分けは困るんじゃないかねぇ。あんたはどこに賭ける?」

 

 えっと前世のネット友達たる【アジアフライ】さんが言うには思うところが無い訳では無いがまぁ可愛そうな【スリザリン】。ああゆう勇気はヒップのYOU、本当の勇気とは違うものな頭【グリフィンドール】。ガリ勉の巣窟【レイブンクロー】。3つ共当てはまらない奴はとりあえず全員ぶち込んどけ【ハッフルパフ】。の4寮でしたっけ?この情報本当に信じて良いやつですか?????あとなんかサラッとおばば私を賭けの対象にしませんでした?

 

「では願望も込めてスリザリンに」

 

「ん〜ならあたしゃグリフィンドールに」

 

 うーんブリカスゥ……お互い私は兎も角ドラコ君という子供居る事忘れてませんか???

 

「さて、そろそろ子供は子供で、大人は大人で分かれるかい」

 

 賭けの話する前に分かれるべきだったのでは?モナは訝しんだ。

 

「ほらドラコ、あの子と遊んできなさい。教えは忘れていないな?マルフォイ家たるもの?」

 

 ルシウス氏は後ろに振り向きしゃがみこんで背後に隠れてたドラコ君と視線を合わせながら優しい声音で問いました。

 

「えっと…れ、レディにはやさしく…?」

 

 ドラコ君は辿々しくもしっかりと答え、それに対しルシウス氏は「良い子だ」と言って頭を優しく撫でながらドラコ君をこちらにそっと押し出しました。緊張でガチガチになっているのが誰の目にも明らかですが、それでもこちらに近寄って頑張って声をかけようとしています。

 であれば、ここは精神的に遥かに年上の私が優しくリードするべきでしょう。なんか頭上で「ほーんレディに優しく、ねぇ?」「なにか言いたいことでもありますかな?」「いやぁ?別にぃ?なぁぁぁんもないさね」という会話が聞こえますが無視です無視無視。

 

「改めましてドラコ君。私はモナ。ぜひとも私とお友達になってください」

 

 はいにっこり笑顔で手を差し出します。さぁドラコ君、私と握手しましょう!

 

「えっあっう…あっ…よ…よ、よし!きょうからおまえをぼくのさんにんめのこぶんにしてやる!!」

 

 ん~~????なんか想像してない変化球投げられたんですが????今私の脳内で恐らく将来の貴方である金髪オールバック少年が騙されたなポッターって画像で煽ってきてるんですけど????

 

「ぶ!!くっはっははははず、ずいぶん上等な教育してるようじゃないかえぇ????ははははははは!!!」

 

「……」

 

 おばばは腹を抱えて笑ってますしルシウス氏は苦虫噛み潰した様な表情してます。いま笑顔で手を差し出した状態で私固まってるんですが、これ私がフォローしたほうが良いですか?あ~うん、もうこの際子分でも良いですかね?まぁしょせん幼い子供ですし…

 

「はは〜今日から私はドラコ親分の子分でさぁ。あ~……よし、靴でも舐めます?」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

「汚いからやめときな」

 

 今の靴舐める発言は完全に私の失言だったのでマルフォイ親子の反応は甘んじて受けますがおばばの発言はおかしくないですか????

 

「人の家庭の教育にケチを付ける家庭はずいぶん特殊な教育をなされているようで」

 

「いやなにぶん勝手に育っちまったもんでねぇ。可愛い孫娘の成長を肴に旨い酒が飲めるかと思ったんだが宛が外れちまった。ムカついたんでアメリカに居る息子夫婦に孫娘がクリスマスプレゼントに弟か妹がほしいって言ってたよと唆しておいた」

 

 ちょっと????おばば????いやその節は本当に申し訳なく思いますがそれはそれとして何してるんですか????ルシウス氏がドン引きしてますよ?

 

「あぁ安心しなきっちり『当たる日(・・・・)』も見て(・・)一緒に伝えておいたさ」

 

 やめろヤメロやめやめろォ!!!!貴女普段から占うなら兎も角気軽に運命見るのはやめろって口が酸っぱくなるほど言ってたじゃないですか!!しかも占った(・・・)じゃなくて見た(・・)って事はつまり…いやあんた自分の息子夫婦の情事…しかも的中率100%とかほんと…もう…ヤメテ…ヤメテ…。

 

「いやぁ来年のクリスマスが楽しみだねぇ!!!!既に旨いチキンの予約とシャンパンは確保しとるさ!!あんたも来るかい?」

 

「あいにく暇を持て余して出歯亀する耄碌した老人と違って私は家族を大切にしているのでね。毎年クリスマスは家でゆっくりと過ごすと決めている」

 

「良かったねドラコ坊!弟か妹が増えるそうだよ!!」

 

 おっとここでルシウス氏がおばばに掴みかかる!ルシウス氏にはぜひとも頑張ってほしい。それはそれとして教育にめちゃくちゃ悪いので私はドラコ君を避難させますね。

 突然親が取っ組み合い始めて困惑してるドラコ君の手を握ってさっさと隣の部屋に行きます。こんなところに居られるか!私は自分の部屋に帰らせてもらいます!!




なんかおばばが勝手に喋ってるよぉ
基本的にネットの海ネタの元ネタ様には許可を頂いていないので御本人様から怒られたら該当部分を消します

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