魔法少女リリカルなのはVivid〜深緑の輝きは癒しと未来を創る光〜 作:グリューン
―ニールside
まだ午後2時と日が高く昇っている頃、俺は白い教導官用の制服が汗ばむのを気にせず走っていた。武装隊教導訓練を終えたばかりもあって疲労も一潮だ。
「はあ、はあ、ただいま!」
そう言って俺はブラウンに塗られたドアを開けて、体を落ち着かせながら今から3年前から住んでいる我が家に帰ってきた。
「お帰り、二ール。そんなに息を荒げて大丈夫なの?」
リビングから黄色のエプロンを付けたなのはが出てくる。そのお腹は見てすぐ分かる位に膨らんでいる。そう、なのはは妊娠している。もう10ヶ月は経過してて、いつ陣痛が起きてもおかしくない状態だ。
「ふう……おう、体調はどうだ?」
「問題なし、元気いっぱいだよ!」
笑顔で腕を少し上げるなのはだが、俺は靴を手を使わず足で器用に脱いでなのはを抱き締める。
「そう言いながらお前は無茶するから急いで帰ってきたんだよ。」
「もう……バカ。」
そう言いながら抵抗せずに受け入れる辺り自覚はある。十中八九、性分でなかなか直せないということだ。
俺はしゃがんでなのはのお腹を優しく擦る。
「もう少しで産まれるな。」
「うん。」
そこに桃色の羽を出したレイジングハートが宙を浮きながらこっちに移動してきた。
[マスターとお腹の赤ちゃんのバイタルは異常ありません。]
レイジングハートには今、ヴィヴィオの魔法の基礎の勉強を手伝ったり、なのはのお腹の子供の体調管理をするなど色々やってもらってる。そのため、羽が付いた状態で単体飛行が出来るようになっている。
<サンキュー、レイジングハート。>
レイジングハートにお礼を言いながら再びなのはのお腹を擦る。この子たちが産まれる頃にはもっといい時代になるように、今俺たちは頑張っている。当然、そこにはヴィヴィオやナンバーズたちも含まれる。
なあ、お前らは今どうしてる?
刹那、アレルヤ、ティエリア、そして……ライル。
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ヴィヴィオside
St.ヒルデ魔法学院初等科・中等科棟 図書館
今私は図書館でさっき送ったメールの返信を待っています。
送ったのは教室で撮ったリオとコロナの記念写真。
パパとママ二人は勿論、ママのママの桃子さん(お祖母ちゃんと言ったら何故か士郎さんが首を閉められていたのでそう呼ぶのは止めた。)、ギンガさんとパパの友達のヴァイスさん含めた元機動六課の皆さん、聖王教会のカリムさんとセイン、無人世界カルナージに住んでいるルールー、ストライクアーツを教えてくれるノーヴェです。
皆さんのおかげで今でもヴィヴィオは元気ですという感謝を込めて……。
次々と「仲が良いね」とか「いい友達見つけたね」とか「いい友達見つけたね」など返信が返ってくる中で、二ールパパから返信が最後に返ってきた。
「その子たちか、ヴィヴィオがいつも楽しそうに話していた友達は。いい子たちじゃないか。実は近々1日休みが取れそうなんだ。」
と私がパパのメールの内容を読み上げたら、
「ねえねえ、私ヴィヴィオのお父さんに会ってみたいな!」
「私も会いたい!」
とリオとコロナが食いついてきた。
「だって、お母さんの事を話す時のヴィヴィオは楽しそうなんだけど、お父さんの事を話すと決まって目が輝いてるんだもん。」
「だから私もリオもどんな人なのか実際に見てみたいんだよ。」
わ、私そんな風に見えたんだ。うわ〜、ちょっと恥ずかしくなってきた……。
でも、本当に二人とも私の憧れ。
だから私もそんな二人のようになれるよう、毎日頑張っている。
最初は独学だったけど、今はノーヴェと一緒に修行をやっている。
そういえば、ママがメールで「早めに帰って来るとちょっと嬉しいことがあるかもよ」って言ってたんだっけ。
帰った後が楽しみになってきた!
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ライルside
終わった……本当に、終わった。
奴ら、ELSの母体が集まって黄色の中東に咲いている花の形に変わった事で戦いは終わった。
つまり刹那が対話を成功させたという事だ。
本当にギリギリ、俺のサバーニャは武器は右手のライフルビット一つのみで左腕も右足もない半壊状態だった。
「ふう、お疲れさん。」
俺をサポートしてくれた青ハロとオレンジハロに労いの言葉を伝える。
<<オツカレサマ、オツカレサマ。>>
「他の皆は?」
<ロックオン、大丈夫?>
「フェルトか、俺は大丈夫だ。そっちとアレルヤは?」
<トレミーはクルーは無事だけど、艦がもう使い物にならないの。あとアレルヤとマリーさんも無事だけど、ハルートは大破しちゃったんだって。>
ということは、今動けるのは俺の機体だけか。
「刹那はどうした?」
と刹那の事を聞いた途端、右側のモニターから制服姿のティエリアが映った。
<刹那はELSの母星へと対話をする為に旅立った。おそらく戻ってくるのは50年は掛かるだろう。>
その頃じゃ俺はもうじいさんになってるか死んでるかだな。
「そうか。なら今からアレルヤたちを拾ってからトレミーの皆を……何だ!?」
サバーニャを移動させようとしたその時、突然目の前にブラックホールのようなものが現れ、機体ごと飲み込まれていった……。
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アインハルトside
私は、ベルカ古流武術を流派とするアインハルト・ストラトスといいます。
今、私は街頭試合を格闘系の実力者を倒すために、武装形態へと姿を変えて移動しています。
今回はストライクアーツ有段者であるノーヴェ・ナカジマさんを狙うことにしています。
と移動していたら突然、上から何かが落ちてきました。
「きゃあ!」
でも考え事をしていて気付くのが遅れてしまい、下敷きになってしまいました。
「ううっ、一体何が……?」
体を起こして何が落ちたかを見ると、茶髪で肌の白い男の人が私に覆い被さるように倒れていました。
「う、うん……アニュー。」
と男の人が何故か右手を伸ばし、武装形態の私の右胸を掴んで…
右胸を、掴んで…?
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」
一気に頭の中がピー!という音がしてもおかしくないくらいに沸騰して、脳天に加減をした『覇王断空拳』を叩きつけました。
「どはっ、何す……ってわ、悪い、すぐに退く!」
気が付いた男の人は慌て私から離れました。
「そ、その、貴方は何故上から落ちてきたのですか?」
私は胸を掴まれた事に動揺し睨みながらも男の人にこうなった経緯を聞くことにしました。
だけど、その答えが予想外でした。
「上から?それこそ俺が聞きたいくらいだ。俺はずっと戦っていたんだからな。」
戦っていた……つまりは管理局の魔導士?でもそれだったら私を捕まえようとするはず。
「それより、ここは何処だ?地球にこんなにはっきり惑星なんて見えないはず…だよな。」
よく分からないけどさっきの話からして、この人は授業で習った次元漂流者かもしれません。
でも何だかこの人はどこかで見た気がします。それも時空管理局関連で……。
確か、4年前に多くの犠牲者を出し、恐れられた赤い悪魔を倒したという英雄が茶髪で青い瞳で背の高い男の人だと聞いたことがあります。
だから……
「私はアインハルト・ストラトスといいます。なので貴方の名前を教えて下さい。」
私の名前を聞いた途端に初めて驚いた表情を見せたものの、すぐに飄々とした態度に戻った。
「まさか名字がストラトスとはな。俺の名前はロックオン・ストラトスだ。よろしくな、アインハルト。」
「ではロックオンさん、お手合わせをお願いします。」
覇王であるこの身が強くあることを証明するために英雄と呼ばれる貴方を倒させていただきます!
それに、さっきのセ、セクハラはまだ許してません!!
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ライルside
突然サバーニャごとブラックホールみたいなものに飲み込まれた俺は一度気絶した。で気が付くとそこにはライトグリーンの髪と妙な格好をした見た目が18歳ぐらいのお嬢ちゃんが気絶していた俺に押し倒される形になっていた。
慌てて離れて周りを見たら空も大きな恒星が見えたり景色も見たこともない形のビル群と地球と明らかに違う。
しかも俺の格好はパイロットスーツではなく、ソレスタルビーイングの制服だ。
だが、そんなのは問題じゃない。
今の問題は、目の前の嬢ちゃんが襲ってきていることだ。
正直、何で襲われているのか分からない。
「ちょっ…うおあっ、危ねえなおい!!」
右ストレートやハイキックを紙一重で避ける。
さっきまでELSと戦っていたから、すぐに見切れるがなかなかに速い!
「避けるとは、やりますね。ですが、これはどうですか?」
バックステップで距離を取ろうとした途端、俺の右腕からライトグリーンの色をした光の鎖が現れた。
当然、俺は対処できずに腕を拘束されてしまう。
そこに左ストレートを繰り出してきたアインハルトの拳を左手で掴む。
何てパンチしやがる、掌がすげえ痛え!
「くっ!?何だこりゃ、まるで魔法みたいに……!」
「いえ……本当に、魔法なんです。」
俺の知る限りではこんなこと、ELSでも出来ねえ。
[これがこの世界の現実なんですマイスター。この世界では魔法を科学的に使用しているというのが一般的なんです。]
「何だ、どこから声が?」
[マイスターのズボンのベルトに付いています。]
見ると、確かにズボンのベルトにサバーニャの2つのホルスタービットを合わせてキーホルダーにしたものが付いていた。見る限り、ライフルビットも入っているようだ。
声は、アニューとそっくりだ。
「いつの間に……。」
[マイスター、私は貴方と共に戦ってきたガンダムサバーニャです。]
「は?何を言って、だはっ!!」
驚きのあまり、手を離してしまい左フックを腹に喰らってしまった。
幸い腹筋を鍛えていたのと後ろに少し下がったことでダメージはそんなにない。
それよりもガンダムサバーニャって、あれだけの大きさのものがこんな小さな端末になったってのか!?
[GNドライヴでしたら内蔵されていますのでご安心下さい。]
「いや、そういう……問題じゃなくてだな……。」
あまりに色々不可思議なことがあって内心頭を抱えてしまう。
「私を嘗めてるんですか?デバイスを持っているのに使わない、しかも会話してるなんて!」
サバーニャと会話しながら攻撃を捌いていたのが気に入らなかったのか苛立たしげに連撃を放ってくる。
それを俺はぎりぎり左手と左足で捌くが、いい加減左手が動かなくなってきた。
多分、あの激戦からすぐここに跳ばされてきたから疲労も相当に溜まっているのだろう。
アインハルトは埒が明かないと思ったのか、一旦距離を取った。
「ぐっ、別に嘗めてねえさ。色々慣れてないことばかりで、くうっ……。」
いきなり力が抜け、膝を着いてしまう。
[マイスター!?しっかりし……。]
そして疲労がピークに達したのか、サバーニャの声を聞き終わらないうちに俺は意識を失った。
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ヴィヴィオside
~ライルがまだ跳ばされてない頃~
下校時間になって帰ってきたら、フェイトママとニールパパが帰ってきてました。
「おっ、帰ってきたかヴィヴィオ。おかえり!」
「おかえりヴィヴィオ。」
フェイトママはおやつのカップケーキを作っていて、二ールパパは焼きあがったカップケーキにトッピングをしています。
ママとパパどちらも料理が上手いです。
「ただいま。バルディッシュとケルディムもただいま。」
[Hello lady.]
[おかえりなさい、ヴィヴィオ。]
テーブルの上に乗っているバルディッシュとケルディムはいつも私の挨拶に返事してくれます。
ママ二人とパパが揃うのは滅多に無いのですごく嬉しいです。
ママは気分転換を兼ねてレイジングハートと一緒に夕食の買い物に出かけたそうです。
「ヴィヴィオ、出来たぞ。」
どうやらおやつが出来たみたいなのでテーブルに座って三人で手を合わせていただきますをして食べます。
「!?」
と食べていたらニールパパの目が金色に光りだしました。
二ールパパはイノベイターという……よく分からないけど、凄くなりました。
「二ール、どうしたの?」
パパ自身もあまり分からないらしいです。でもあまり気にしてないのがパパらしいです。
「いや、何か感じたんだが……どうやら気のせいのようだな。大丈夫だ。」
パパは心配させまいと笑顔で何も無いことをアピールする。
こういう時のパパは心配させたくないか、本当に分からないかでこういう作ったような笑顔をします。
でも今回は本当に分からないみたい。
という訳で残りのカップケーキを食べちゃいます!
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ニールside
「ごちそうさまー!」
夜になり、フェイトを加えた4人で夕食を食べた後、ヴィヴィオがいつもの魔法の練習をしに出かけようとしていたのをなのはが止めた。
「ヴィヴィオはもう4年生だよね。魔法の基礎も出来てきたし、そろそろ自分のデバイスを持ってもいいんじゃないかなって。」
するとフェイトが隣にある自分の家から帰ってきて、持っていた掌より大きいくらいの白い箱をヴィヴィオに渡した。ここに来る前にマリエル女史から受け取ったそうだ。
「いつの間に……。」
俺はそうつぶやいたが、別段気にせずに見ていることにした。
ヴィヴィオが箱を開けると中にはウサギのぬいぐるみが入っていた。
「そのウサギは外装か。」
「そうだよ。中の本体は普通のクリスタルタイプね。」
俺の質問にフェイトが答える。
とヴィヴィオが俺たちを見ているうちにウサギが箱をよじ登って浮遊する。
「と、と、飛んだよ、動いてるよ!?」
ヴィヴィオはビックリしてなのはとフェイトの間に入ってしまった。マリエル女史が付けたおまけ機能だとフェイトが言っていた。
「色々とリサーチもしてヴィヴィオのデータに合わせた最新式ではあるんだけど、中身はまっさらな状態なんだ。」
「名前もまだ付けてないないから付けてあげてって。」
なのはとフェイトでデバイスの説明をしていく。
ああ、随分年月経ったなあ。俺なんかもう31歳だ。
「えへへ、実は名前も愛称ももう決まっていたりして。あっ、そうだママ!リサーチしてくれたってことはアレ出来る!?アレ!!」
「もちろん出来るよ。」
ヴィヴィオが言っているアレとは……ああ、なるほどアレか。フェイトだけは分かってないみたいだが。
[マスターも意地が悪いですよ。]
ケルディムの念話を無視してヴィヴィオの方に目を向ける。
庭に出たヴィヴィオの足元から七色に輝くベルカ式魔法陣が現れる。
「――――マスター認証、ヴィヴィオ・D(ディランディ)・高町
術式はベルカ主体のミッド混合ハイブリッド
私の愛機(デバイス)に個体名称を登録
愛称(マスコットネーム)は『クリス』
正式名称『セイクリッドハート』」
なのははその名前が余程嬉しかったのか、顔を赤くする。
フェイトも多分俺もまっすぐなヴィヴィオの気持ちを感じて笑顔になる。
「セイクリッドハート、セーットアーップ!!」
ヴィヴィオの周りを七色の光が球となって覆い、その光が止むとそこには…
18~20ぐらいの姿、それもゆりかごで俺となのはと対峙した時になった格好の一部をなのはと同じ白に変えた、いわゆる「大人モード」になったヴィヴィオがいた。
「ん…!やったあー!ママありがとー!」
「あー上手くいったねー。」
[Excellent.]
ヴィヴィオとなのはとレイジングハートが喜ぶ中、フェイトだけは驚愕の表情をしてへなへなと尻餅を着いてしまった。
「……あ。」
「なのは、お前フェイトに教えてなかっただろ。」
[マスターは最初から気付いてました。]
「なのは、ヴィヴィオが……ヴィヴィオがああー!!何で聖王モードに!?」
大人モードの事を知らなかったフェイトは心配症もあいまッて混乱しだした。
予想以上だな……って!
「あ、おいケルディム、余計な事を言うな!」
「いや、あの、落ち着いてフェイトちゃん、これはね?」
「ちょ……なのはママ、何でフェイトママに説明してないのー!?」
「いやその……うっかり。」
「うっかりってー!それとパパもフェイトママに意地悪するならもう口聞いてあげないもん!」
「わ、悪かったからそれだけは止めてくれー!!」
いくらガンダムマイスターであっても自分の娘には弱い、というのが今日よく解った。
その後は、ヴィヴィオはなのはと一緒に外へ出かけていった。
フェイトもリビングでさっきのヴィヴィオの大人モードについてエリオとキャロに定時連絡で聞いていた。
俺はというと皆から罰としてまだ片付いてない食器をキッチンで洗っていた。
洗いものをしている間、俺はおやつを食べていた時に伝わった言葉を思い出していた。
僅かに聞こえてきた『天上人が来る』という言葉。
それは俺の知る限りでは……ソレスタルビーイングしかない。
誰だか知らないが、刹那たちが来るということを言いたかったのだろうか?
完全な憶測でしかないから今は保留に……。
「二ール、ちょっと来て。」
しようとしたらフェイトが呼んできた。
黙ってフェイトの近くまで来たら、エリオが神妙な顔つきで俺を見ていた。
「実は二ールさんに会いたいという人がいるんです。」
そうしてエリオが横に退いて、その人物が画面に現れた。
その人物は……
「生きてて良かったよ、ロックオン。」
ヘアスタイルが変わったが見間違えようがない。
「ア、アレルヤだってのか!?」
金と銀のオッドアイをしたキュリオスのガンダムマイスター
アレルヤ・ハプティズムだった。
to be continue...
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