魔法少女リリカルなのはVivid〜深緑の輝きは癒しと未来を創る光〜   作:グリューン

4 / 12
第3話 ライル叔父さんと親子の関係

 

 

―ヴィヴィオside

 

朝食を食べ終わったところで、玄関からインターホンが鳴りました。

 

パパが帰ってきたと思ったけど、パパがインターホンを鳴らす事はありません。

 

だから多分、今日来ると言っていたリオとコロナかもしれません。

 

私はすぐに玄関へと向かい、ドアを開けました。

 

「はーい。」

 

ドアを開けたら予想通り、リオとコロナでした。

 

予想が当たってちょっと嬉しいです。

 

「おはよーヴィヴィオ、遊びに来たよ!」

 

「こんにちはヴィヴィオ。クリスもおはよう。」

 

クリスは私の横でふよふよと浮きながらお辞儀をして挨拶をする。

 

「いらっしゃい、リオ、コロナ。さあ、あがって!」

 

「「お邪魔しまーす。」」

 

二人とも靴を脱いで、横にあるスリッパを履きます。

 

リオは黒猫のスリッパ、コロナははやてさんからもらった狸のアップリケが付いたスリッパです。

 

因みに、二ールパパは緑のシンプルなスリッパをよく履きます。

 

パパいわく、この歳になってそんな可愛いスリッパは履けないそうです。

 

ママが「男の人は可愛いよりかっこいいと言われる方が喜ばれる」と言っていたので多分そうなんだと思います。

 

「いらっしゃい二人とも。でもごめんね、今パパはいないの。だから居間で待っていてくれる?」

 

「はい。」

 

ダイニングの椅子に座るなのはママが二人に伝えます。

 

「ヴィヴィオ、何だか今日は朝食が遅かったみたいだけど何かあったの?」

 

コロナがダイニングでまだ片付いてないお皿を見て聞いてきました。

 

そこでリオとコロナにパパの弟のライルさん…かもしれない人を迎えに行ったことを話してみます。

 

「もしかして来ちゃまずかった?」

 

リオが心配そうに私に尋ねてきます。

 

「ううん、大丈夫だよ。あとヴィヴィオ、パパがもうすぐ戻るって言ってたよ。」

 

私に変わってママがパパのことも交えて答えました。

 

う~、パパ早く来ないかな?

 

「ただいま!」

 

「あっ、来た!二人とも、行こう!!」

 

いてもたってもいられずつい、廊下を走ってしまいました。

 

危ないよヴィヴィオというフェイトママの声が聞こえましたが止まりませんでした。

 

そして玄関で見たのは…

 

「ヴィヴィオ、どっちがパパなの?」

 

「リオ、流石に分からないんじゃない?…ってヴィヴィオ?」

 

「すごい、パパとそっくり。」

 

服装が違うけど、顔がほとんど同じなパパたち(?)でした。

 

 

.

 

ライルside

 

すぐに退院手続きを済ませて、コンビニで兄さんと軽い朝食を食べてアレルヤもこの世界に来ていることも聞きながら兄さんの家へと向かった。そんなに離れてなかったようで約1時間で到着した。

 

因みに今着ているのはソレスタルビーイングの制服だ。

 

「ただいま!」

 

元気よく兄さんがドアを開けて入る。

 

「お邪魔します、っと。」

 

俺も入ってみると、ドタドタと9歳ぐらいの女の子3人が走ってきた。

 

で俺と兄さんの顔を見るなり、相談し始めた。

 

「ヴィヴィオ、どっちがパパなの?」

 

「リオ、流石に分からないんじゃない?……ってヴィヴィオ?」

 

「すごい、パパとそっくり。」

 

と俺と兄さんを見て唖然とする。

 

どうやら真ん中のウェーブのかかった金に近い髪、赤と緑のオッドアイの女の子が兄さんの養子のヴィヴィオのようだ。

 

「もしかして、君たちがヴィヴィオが言っていたリオちゃんとコロナちゃんか?」

 

「あっはい、初めまして。去年の学期末にヴィヴィオさんとお友達になりましたリオ・ヴェズリーです!」

 

慌てて挨拶するリオちゃんの印象は元気っ娘ってところか。

 

「初めまして、コロナ・ティミルといいます。1年生からヴィヴィオさんと仲良くしてます。」

 

お辞儀をしながら挨拶するコロナちゃんは気取らないお嬢様といったところだな。

 

「二人とも、いつもヴィヴィオと遊んでくれてありがとう。自己紹介が遅れちまったな。俺の名前は二ール・ディランディ、でこっちが双子の弟のライルだ。」

 

兄さんから振られたため、しゃがんで右手を出す。

 

「三人とも初めまして。俺の名前はライル・ディランディ、またの名をロックオン・ストラトス。どっちでも好きに呼んでいいぜ!」

 

ヴィヴィオちゃんが差し出した俺の手を握って……

 

 

 

「初めまして、ヴィヴィオ・D(ディランディ)・高町です。よろしくお願いします、

 

“ライル叔父さん"!」

 

 

 

一瞬、石化したように体が硬直した。

 

[ぶふっ!]

 

念話でサバーニャが吹いたのが聞こえた。

 

<おいサバーニャ、今笑っただろ!>

 

[いえいえ、マイスターは既に三十路ですから…ぷくくっ!]

 

<サバーニャ、後で覚えてろよ…!>

 

「どうしたんですか、ライル叔父さん。」

 

ヴィヴィオの言葉で念話を解除する。

 

…俺、まだ若いつもりだったんだがな…。

 

厳しい現実を突きつけられた気分だ。

 

表情には出さないように努めるが隠し通せているか怪しいところだ。

 

「あ、ああ何でもない。それでヴィヴィオちゃん、出来ればライルさんの方がいいんだがいいか?」

 

「じゃあ、ロックオン叔父さん?」

 

可愛く首を傾げてロックオン叔父さんという剣を俺の心臓に突き立てるヴィヴィオちゃん。

 

「いや、叔父さんの方を抜いてくれるのが嬉しいんだが……うっ!」

 

「駄目なの……7?」

 

悲しそう……というか本当に悲しいからか、泣きながら俺を見るヴィヴィオちゃん。

 

一気に強い罪悪感が全身の温度を下げていく。

 

心なしか、リオちゃんとコロナちゃんの仇を見るように睨んでくる。

 

「何ヴィヴィオを泣かせてるんだ、ライル。」

 

そして、俺の後ろとヴィヴィオちゃんたちの後ろから威圧感を感じる。

 

俺の後ろは勿論兄さんだが、ヴィヴィオちゃんたちの後ろには亜麻色の髪でお腹の膨らんだ女性がニコニコと…しかし、明らかに怒っているという雰囲気を出していた。

 

何も言わずにこっちを見ているのが余計に怖い。

 

「あわわわわわ……。」

 

更にその後ろでは金髪の美女がわたわたと慌てている。

 

彼女に助け船は……期待出来そうにない。

 

正に、四面楚歌だ。

 

「分かった、叔父さんだろうと何だろうと好きに呼んでくれ……。」

 

結局、こっちが折れることで皆の機嫌が直り、無事に家の中に入れた。

 

重圧から開放されて、つい安堵してしまう。

 

…だが踏んだり蹴ったりで、この先が凄く不安になってきた。

 

「えっと、本当はああいったことはそんなにないから気にしないで下さい。」

 

と隣を歩く金髪の美女が俺に優しく話し掛けてきた。

 

「俺、そんなに顔に出てたか?」

 

「はい。あと私の名前は、フェイト・T・ハラウオンです。皆からフェイトと呼ばれているのでそう呼んでください。」

 

優しい笑顔と端整な顔立ちのフェイトのお蔭で憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。

 

「なら改めて、俺の名前はライル・ディランディ。よろしく頼むぜ、美人さん。」

 

「へっ?……ええっ!?」

 

何も、そう悪いことばかりでもないな。

 

[マイスターのスケベ。]

 

サバーニャが失礼なことを言っていたが、敢えて無視した。

 

 

.

 

ヴィヴィオside

 

ライルさんは私がなのはママとニールパパと血が繋がっていないから叔父さんと呼ばれるのが嫌なのかなと思い、つい泣きそうになってしまいました。

 

初対面なのに、叔父さんになる人を困らせちゃ駄目だよね……。

 

そうして心の中でライル叔父さんに対する態度を謝罪しながら、リオとコロナの間に居間のソファーに座る。

 

あれ、なのはママはまだ自己紹介してないよね?

 

「しかし、こうして見るとニールもライルさんもそっくりですね。」

 

フェイトママが微笑ましく言うとニールパパは面白そうにしているのに対し、ライル叔父さんは顔が苦笑いしています。

 

「でも、雰囲気もそうだけど匂いとか性格とか。」

 

なのはママがそう言ったら、ライル叔父さんの表情が明るくなった!

 

ライル叔父さんはもしかして自分は自分だということを理解してほしいのかな?

 

「っとそういえばなのはのことを紹介してなかったな。」

 

二ールパパが今気が付いて言ってくれた。

 

もう、ママはうっかりさんなんだから……。

 

「自己紹介が遅れてごめんなさい。二ールの妻の高町 なのはです。二ールから話は聞いているよ。」

 

「そうか、アンタが兄さんの奥さんか。全く兄さんも隅に置けねえなあ!」

 

ライルさんが悪戯をする時の意地悪そうな顔になった。

 

たまにパパもなのはママをからかうんだよね。

 

「ははっ、いいだろう?」

 

「やだもう、二ールったら、ふふっ。」

 

でもパパが一枚上手でした。

 

ママはほっぺたに手を当てて恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑ってます。

 

「うおっと、ご馳走様だ。」

 

ライル叔父さんはすぐにその話を終わらせました。

 

パパとママが結婚してから4年経っているのにラブラブだもんね。

 

「あっ!ヴィヴィオ、もう出掛けないとノーヴェさんたちに悪いよ?」

 

コロナが話し掛けて部屋にある置き時計を見ると既に出だす時間を過ぎていました。

 

「あっそっか、もう行かないと。」

 

実はこれからミッド中央第4区の公民館でストライクアーツの練習です。

 

「ヴィヴィオ、それなんだが俺とライルも行っていいか?ライルに案内と買い物がてらお前らのストライクアーツの練習風景を見たいからな。」

 

「えっええ!?」

 

突然のことで私どころかコロナもリオも慌ててます。

 

「は、はひ、いいでしゅよ!しひゃかんひゃった。」

 

リオが慌てすぎてカミカミの返事をしたけど、私もコロナも同意しました。

 

という訳で、パパとライル叔父さんと一緒に移動します。

 

 

.

 

 

ミッド中央第4区 公民館

 

ミッド中央市街地に着くと、ノーヴェだけでなくウェンディもいました。

 

遅れてしまったため、早歩きで公民館に行き、今ノーヴェ、リオ、コロナと一緒に練習着に着替えています。

 

パパ、ライル叔父さん、ウェンディはストライクアーツ練習場の隅で待っています。

 

「でもやっぱ意外~!ヴィヴィオもコロナも文系のイメージだったんだけどなぁ。」

 

そう言うリオとの出会いは無限書庫でした。

 

「文系だけどこっちも好きなの。」

 

「わたしは初心者(エクササイズ)レベルだけどね。」

 

「ほんと~?」

 

「あと読書はね~「パパの趣味の読書に影響、でしょ?」コロナのいじわる…。」

 

とか言って剥れている私ですが、最近話題にパパのことを加えてしまうクセが付いているのに気付いて困っています。

 

パパのことは好きだけど、一度あまりその話ばかりしてしまい別のクラスメイトの人に注意されてしまったので気にしています。

 

「さ、行くぞ。」

 

ノーヴェに呼ばれて私達はストライクアーツ練習場へ向かいます。

 

 

.

 

二ールside

 

ヴィヴィオたちが着替えを終えてストライクアーツの練習をしている。

 

「へ―――――、なかなかいっちょまえっすねぇ。」

 

「だろ?」

 

ウェンディの感想に嬉しそうに頷くノーヴェ。俺もライルも同じことを思っている。

 

ノーヴェがヴィヴィオやコロナに教えている。

 

本来なら俺やなのはが面倒を見るところだったが、どっちも教導で魔法を少し教える程度でそんなに面倒を見れてない。何よりストライクアーツとなればノーヴェの方が詳しい。その上ノーヴェは一番時間が作れることに加え、最初に自分からヴィヴィオに教えたこともあってヴィヴィオの信頼もあってなのは共々ノーヴェに頼んでいる。

 

「兄さん、ストライクアーツっていうのは格闘技なのは分かるが、この世界で一番有名なのか?」

 

「ああ。ストライクアーツは、ミッドチルダで最も競技人口の多い格闘技で、打撃による徒手格闘技術の総称だと言われている。…そういや、ノーヴェに礼を言ってなかったな、ありがとよ。」

 

とノーヴェの頭に手を乗せて撫でる。

 

「う、嬉しいけど、まだ子供扱いされてる…。」

 

ノーヴェの顔は茹蛸のように真っ赤。だけど、4年前ツンケンしていた頃に比べたら随分丸くなった。

 

「はは、兄さんはここでも人気ものだな。」

 

ノーヴェから手を離し、話しかけてきたライルに振り向く。

 

「そうっスよ、ニルちんは管理局員男性部門人気ランキング1位っスから。」

 

そういえば、1ヶ月前に雑誌で紹介すると記者の人にインタビューされたな。

 

っていうかニルちんは止めてくれ。

 

「おいおい、そうだとしたら顔隠さないと…って遅いようだぜ。」

 

ふとライルが向いている方向に目を向けると、ストライクアーツの練習をしに来た女子高生と思われる女の子数人が好奇と驚愕の目でこっちを見ている。

 

その中で一人の女の子がこっちに近付いてくる。

 

「あ、あの、ニール・ディランディさんですよね?」

 

この女の子から「サインが欲しい。」という願望、そして魔法のことがよく分からないという悩みが聞こえる。それはイノベイターになった後から時々起こるようになった現象だ。

 

「そうだ。先に言っておくが、俺はサインは書かねえ。」

 

俺は飽くまで人気取りじゃなくて、管理局を内側から変えていく手段とただ困っている人を自分の出来る限り助けるという目的で動いている。

 

断られてションボリとする女の子に少し申し訳ない気持ちになる。

 

「だがその代わり、一つ相談に乗ることなら出来る。」

 

「えっあっ、はい!それでしたら魔法のことを少し教えてほしいのですが…。」

 

「いいぜ。……悪いがライル、ウェンディ、ノーヴェ、ヴィヴィオたちを頼む。」

 

本当は練習が終わるまで見ていたかったが言った手前、仕方ない。

 

「……ったく人気があるっつうのも考えものだな。」

 

ライルの呟きに全くその通りだと返したかったが、その言葉は飲み込んで女の子に魔法を少し教えに歩いていった。

 

 

 

.

 

 

ライルside

 

娘とその友達が真剣に格闘技の練習をしているのに兄さんはどことも知らない女子高生たちの方へ行ってしまった。

 

しかも大人顔負けで色々チャレンジ精神旺盛でマジで良いこと言っていたのに勿体ねえぞ。

 

ヴィヴィオは型の練習から組み手の練習をしていたがすぐ気付いたのか、眉の端が下がった。

 

「でも仕方ないっすよ、ニルちんは仕事は教導だし。」

 

兄さんがいなくなった為、ウェンディが隣に寄ってきた。

 

ノーヴェはコロナの嬢ちゃんと一緒に組み手をしている。

 

「違う違う、あれは兄さんの性分だよ。」

 

ガキの頃から兄さんは何でも出来た。それで周囲は不器用で冷めやすかった俺と比べては兄さんを褒めていた。

 

でも言い換えれば面倒ごとを押し付けられやすいという欠点があることに後々に気付かされた。

 

要は良い点には必ず裏になる欠点があるということだ。

 

「ふ~ん、ライちんってニルちんと長年離れていたのによく知っているんっスね!」

 

「自分でも不思議に思うよ。」

 

正直勘もあったのだが、兄さんが元々の性格が変わっていなかったのが雰囲気で解ったのが一番の理由だ。

 

因みにあだ名については本人が皆に付けていると聞いたので突っ込まないことにした。

 

「あっ、ノーヴェとヴィヴィオが組み手やるっスよ!」

 

気付けばギャラリーが集まっていて、リオとコロナも観戦しようとしていた。

 

で、当のノーヴェとヴィヴィオは…って、あれ!?

 

「ウ、ウェンディ、あのサイドポニーの女の子はまさか……ヴィヴィオなのか!?」

 

明らかに成長している!?

 

「そうっス……ってああ、ライちんは初めてなんスよね?」

 

驚いたなんてもんじゃない。子供がいきなり大人になったら世の親御さんは間違いなくひっくり返る。

 

「二人の組み手は凄いっスよ?」

 

ウェンディがそう言うや否や、組み手が始まった。

 

[マイスター、お兄さんの為に録画します。]

 

<そんなことも出来るのか。じゃあ頼むぜ、サバーニャ。>

 

俺は左ポケットから小さなホルスタービットを取り出して手に乗せる。

 

ノーヴェがハイキック、右アッパーを繰り出すが、ヴィヴィオは右腕で防御、顔を引いて回避した。

 

お返しに右ストレートで突くもノーヴェは腕をクロスして防御する。

 

「へえ、様になっているなあ!」

 

観戦している三人が目を輝かせて見る中、俺も素直な感想を思わず溢した。

 

その観戦されている二人はハイキックとライダーキックとぶつけ合い、先に体勢を立て直したノーヴェが

着地したばかりのヴィヴィオに左ストレートをお見舞する。

 

ヴィヴィオは慌ててガードするも、左ストレートはフェイクでサマーソルトで腕の防御を崩される。

 

そして左足でヴィヴィオの顔を捕らえたところで寸止め、組み手は終わった。

 

ギャラリーから歓声と拍手が沸き起こる中、俺も拍手をしていた。

 

すると組み手を終えたノーヴェとヴィヴィオがこっちに近付いてきた。

 

「ライル叔父さん、どうでした?」

 

ヴィヴィオは大人から子供に戻って、遠慮がちに見上げながら俺に感想を聞いてくる。

 

「そうだな、俺がお前らと同じ歳の頃に同じ動きをやれと言われたらまず無理だな。要はそんくらいすごいってことだ!」

 

自分なりに素直に、しかし優しく言ったつもりだが大丈夫だろうか?それにあの表情も気になるしな。

 

「う~、やった~褒められた~!」

 

その心配も裏腹に大喜びのヴィヴィオ。

 

この子は本当にいい子だ。さっき叔父さんと言われたのが今では素直に歓迎出来るぐらいだ。

 

だが、あの様子を見るとどうやら最近兄さんは忙しさと持ち前の性格であまりヴィヴィオのことを構ってあげられてないようだ。しかも奥さんは妊娠中であまり無理をさせられねえし、フェイトも忙しいらしい。

 

 

 

こりゃ俺が一肌脱いだ方が良さそうだな。

 

 

 

.

 

 

二ールside

 

あの女子高生に魔法を教えていたことで夕方になってしまった。来たときには既に4人とも着替えていて練習は終わってしまっていた。

 

サーシェスを倒して以来、管理局の教導や試作デバイスの運用だけでなく色んな人に頼られている。

 

迷子探しから強盗事件の解決、救助活動、ボランティアなどソレスタルビーイングにいた頃では考えられなかったことを沢山やっている。

 

しかし、今回はそれが仇となってしまった。去年ゲンヤのおやっさんと飲みに行った時に「沢山の人の頼みを聞くのも良いが、足元(かぞく)見るのも忘れるなよ。」と警告されていたというのに。

 

で今はノーヴェ、ウェンディと別れて帰り道を歩いている。

 

当然、その途中に話しかけようとしたがリオ、コロナと喋っていて上手く話しかけられない。

 

更にヴィヴィオはそっぽを向いてしまった。

 

……やっぱり今回のはまずかったな。

 

思わず溜め息が漏れる。

 

「俺から言わせれば自業自得だぜ、兄さん。」

 

表情は微笑だが眼と口調で怒っているのが解る。

 

「手厳しいが、その通りだな。あれじゃあ誤解されても……。」

 

俺がそう言った途端ライルは溜め息を吐いた。

 

「解ってねえな兄さんは。ヴィヴィオは兄さんに一番自分の姿を見て欲しかったんだよ。それに、娘の練習を見ているとか理由付けて断ればよかったんだよ。」

 

本当は解っていたが、出来ていなかった時点で解っていなかったのと同じだ。

 

「そうだな、今後無いようにする。」

 

「よし。サバーニャ、さっきの組み手のデータをケルディムに転送してやってくれ。」

 

「録画してくれたのか、ありがとよ!」

 

[了解。……転送完了しました。]

 

[データ受信完了しました。ありがとうございますサバーニャ。]

 

これは夜寝る前にでも見ておこう。

 

 

 

.

 

 

ヴィヴィオside

 

リオとコロナと別れてパパとライル叔父さんの三人になって家に続く道路を歩いています。

 

クリスは私の頭に乗って座っています。

 

でも何故か私から話しかけられません。

 

「ヴィヴィオ。」

 

ふと話しかけられて後ろのパパに振り向きます。

 

「どうしたの、パパ。」

 

パパはしゃがんで頭を下げてきました。

 

「今日は、あまり見てやれなくてすまなかったな。」

 

どうしてああいうことをしたのかは解っています。

 

パパはママと同じ教導官だけど、沢山の人を犠牲にしたサーシェスという人を倒したことで皆に知られるようになりました。

 

だからさっきのようにお仕事以外でも色んな人から頼られることも多いのです。

 

でも……

 

ポカッ

 

「あたっ。」

 

パパの頭をグーで軽く叩きました。

 

「これと肩車で今は許してあげる。」

 

いたずらっぽくウインクしてパパの気持ちを和らげてあげます。

 

「はははっ、かしこまりましたお嬢様。」

 

オットーがよくやる「執事さんがやるようなお辞儀」をしてノってくれたパパ。

 

「それじゃ遠慮なく、えい!」

 

私はジャンプしてパパの肩と頭に乗る。

 

「おおっと!ヴィヴィオは本当に肩車が好きだな。」

 

「えへへ、私の特等席だもん。」

 

そのまま家に帰るまでずっと肩車をしてもらいました。

 

「これにて一件落着だな。頑張れよ、兄さん。」

 

ライル叔父さんもありがとう。

 

 

.

 

 

ノーヴェside

 

ヴィヴィオたちとの今日の練習と用事も終わり、今帰宅の途中だ。

 

ヴィヴィオが二ールさんの様子を見て少し不機嫌になったのは気になったが、それは二ールさんが自分でどうにかするから大丈夫だろう。あの人はそういう人だ。

 

今日のことは気にするのを止めて明日はどんな練習をしようか。

 

……上の街灯から人の気配がする。

 

「ストライクアーツ有段者、ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします。」

 

振り向きながら見上げるとそこには、薄い緑色の長髪であたしより身長が高い女がいた。

 

「貴方にいくつか伺いたいことと、確かめさせていただきたいことが。」

 

まさか、チンク姉とウェンディが言っていた『覇王』か?

 

 

 

.

 

 

ティエリアside

 

……何が起きたのだろうか?

 

刹那と共にELSとの対話の為に旅立ったはずなのに、何故か肉体もある上に制服を着ていた。

 

起き上がり周囲を見ると薄暗い森の中だった。そしてヴェーダにアクセスしてみたものの、何も起きない。つまりは信じられないことだが、地球とは違う星のようだ。

 

とになくここにいても埒が明かないため、今はそよ風の流れに沿って進んでいる。

 

せめて空が見えれば方角が早く分かり、色々と可能性を模索出来るのだが仕方ない。

 

もし長引くようなら野宿を想定しなくてはならない。刹那ならサバイバルに慣れているから対応が早かったかもしれないが僕はサバイバル自体経験したことがない。

 

と、思考しながら進むうちに前方の叢(くさむら)からガサガサ音が鳴った。

 

「誰だ?」

 

僕は身構え、何が来ても対処出来るようにする。しかしもし熊などであればいくら僕がイノベイドでも対処しようがない。

 

で、出てきたのは……

 

「虫……人間?」

 

僕は驚いて怪訝な目で見る。

 

だがよく見ると茸など山菜と思われる食材の入った籠を肩に背負っている。ということは住んでいる人がいるかもしれない。

 

「君、もし僕の言葉が解るなら頼みを聞いてくれ。この近くに住んでいる人がいるなら、その人がいる住居へ案内してほしい。」

 

すると通じたのか、付いて来いと言わんばかりに指を自分が出てきた方向を指差す。

 

僕は彼に礼を言って大人しく付いて行く。

 

 

 

――紫の革新者の導き手が彼らとは別の世界で戦友たちとの再会を待つ――

 

 

 

to be continue...

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。