魔法少女リリカルなのはVivid〜深緑の輝きは癒しと未来を創る光〜 作:グリューン
―グラハムside
部下が散っていく中現れた蒼く緑に輝く剣を携えた機体、その機体に乗っているのが我が最大のライバルである少年……刹那・F・セイエイ。月と同規模の超大型ELSへとまっすぐ進んでいく様子が見えて、隊員たちに指示を出して少年の近くへと向かった。
しかし、何故か少年は撃つのを躊躇っている。
「何を躊躇している!」
そんな少年を見ていられず、傍へ寄り一括する。
「生きるために戦えと言ったのは、君のはずだ!くっ!」
ELSの放つ紫のビームが掠ったことにも構わず、言葉を発する。
「たとえ矛盾を孕んでも存在し続ける、ぐうっ…それが生きることだと!!」
私が隊列を抜けても果敢に攻め続けるソルブレイヴスの精鋭たち。
「トランザムッ!!」
右のGNキャノンが吹き飛ばされるのにも怯まず敵をGNビームライフル『ドレイクハウリング』から放たれるビームで薙ぐ。
「行け、少年!生きて未来を切り開け!!」
少年は私の叱咤激励を受けて前へと進んでいく。
「それでよい、進んでこそ我がライバルだ。」
<た……隊長、囲まれてます!>
だが、少年が進んでいったのを見届けていたのが隙になってしまい、小型ELSにいつのまにか囲まれてしまっていたことにネフェルに警告されるまで気付かなかった。
「何、くうっ!」
GNビームライフルで先程と同じように砲撃をしながら一回転、周りの小型ELSを薙ぐ。
戦艦の形をした大型ELSの砲撃が仕返しとばかりに放たれるが、ギリギリで左へ回避。変形、急加速、急停止と高速で接近してくるELSの大群をやり過ごす。
が、右後方から急接近する一体のGN-XⅣを模倣したELSに気付くも既に遅く……
「ぐおっ!」
遂に背中に取り付かれてしまった。
<そんな、隊長が……!>
機体構造を示すモニターから背中からこのコクピットに向けて赤く表示され、ELSの侵食が進んでいることを表している。
どうやら、遂に私もそちらへ逝く時が来たようだ、ハワード、ダリル。
だが私は軍人、この命尽きるまで生きる為に戦う!それに私はまだ少年の役に立ててない!!
自分の体を無視したジグザグで最大にスピードを上げた動きで周りを囲む小型ELSをビームで消し飛ばしていく。
「かふっ、この粒子ビームは……少年か!」
と無茶な機動を止め、我慢していた血反吐を吐いたその時、視界がピンクの光一色となった。
少年のガンダムが月を両断出来るぐらいの有り得ない放出量のビームを放っている。
少年のガンダムはそのビームを収束させて、超大型ELSを両断しようと斬りかかる。
だが、超大型ELSは超巨大粒子ビーム砲の巨大な砲撃を弾いた時と同じように膜のようなものでビームが弾いてしまう。
「それで駄目なら……!?」
ふと嫌な感覚がしたと座席を見れば、いつのまにかコクピットが侵食され、私自身も今正に侵食されようとしていた。
「うっ、くはっ!」
戦闘時独特の緊張状態が一時的に解けて吐血。にも関わらず内臓の痛みを感じない、いよいよ時間がない……ならば特攻、つまりはカミカゼアタックだ!
最大加速で邪魔なELSをまだ動くドレイクハウリングで撃墜しながら、超大型ELSの膜の部分へと突っ込んでいく。
「少年!未来への水先案内人は、この、グラハム・エーカーが引き受けた!!」
左はグリップ以外が侵食で操作出来ず、代わりに右手で自爆の操作を行う。
「これは…死ではない!」
この機体には擬似GNドライヴが二つ搭載されている。風穴一つ開けることなど造作も無い!!
「人類が、生きる為の……!」
いよいよシャッターのように閉じていくELSの壁の隙間へと入り込み…耳を劈く(つんざく)激しい爆発音、そして先に逝く不孝を盟友とまだ戦っている隊員たちへの謝罪を最後に、私は……人類の未来の礎となった。
筈だった…。
だが次の瞬間、座っていた感覚が無くなり、何か(・・)が私から抜け落ち、変わりに……
「な、地上だと!?」
惑星がいくつも見える見慣れない夜空が見え、そして浮遊のち落下する感覚が私を襲った。
「ぬううううおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
.
ミカヤside
私の名前はミカヤ・シェベル、抜刀居合術「天瞳流」の師範代を務めている。
毎日、ジークリンデ・エレミアの打倒を目標に日々鍛錬を欠かさず行っている。
だがその日常に、いや、自分に今までになかった変化が起こった。
それは4月に入ってからのこと。
いつも通り、夕方になり道場での稽古を終えて掃除をしていたら……
「ぬううううおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
突然何かが天井を破って落ちてきた。
「な、何だ!?」
道場の隅で雑巾掛けをしていた私はすぐ落下場所へと向かった。
道場の天井を破って落ちてきたのは、全身を覆う白いスーツでヘルメットを被った男だった。
が、ヘルメットから覗く男の顔をよく見ると血を吐いている。黄色のバイザーだが、明らかに口元に黒ずんで見えるものが垂れている。
慌てて落下場所から運び、仰向けにしてヘルメットを取ると、案の定男は口から血を吐いていた。
その男は身長が180cmぐらいはあり、金髪で、所々髪が跳ねている。だが、それ以上に額、右目と右頬にかけて広がっている傷痕と端整な顔立ちが目に付く。
時空管理局ではなさそうだが、顔の傷や鍛え上げられた体つきを見る限り軍人のような戦いのプロなのは間違いないだろう。
とにかく意識がないようだから、運ばなくてはいけない。
と頭を膝に乗せて、両手で男の脇を持とうとしたところで男が目を覚ました。
「ぬっぐっ、ここは……涅槃、と呼ぶには違いがありすぎるようだな。それに君は何故私に膝枕を?」
開口一番に奇妙なことを言う。
膝枕にしているのは、他に枕に出来るものがなかったからだ。
「それは、貴方が私の道場の天井を破って落ちて、意識を失っていたからです。」
と男が顔を穴の開いた天井に向けると、いきなり起き上がり、私に向かって正座、そして土下座をしてきた。
流石に私も面食らってしまった。
「君の大事な道場の天井を破ってしまって申し訳ない!私にはどうしてこうなっているのか分からないが、壊してしまったものは弁償しなくてはならない!!」
おそらく、敵意がない限りは誠意をもって接する、そんな男なのだろう。
「か、顔を上げて下さい!確かに驚きましたが、怪我をしている貴方にそこまでされてしまうとこちらの方が申し訳なくなってしまいます。それより、貴方の名前を教えて下さい。」
彼が生真面目で紳士的な性格だと分かり、許すことにした。
「私の名前はグラハム・エーカー。地球連邦軍所属の軍人だ。」
「地球連邦軍?時空管理局ならともかく、そんな組織は知りません。」
ナカジマちゃんが以前に地球という管理外世界があって、その地球出身の管理局員を3人も知っていると言っていた。
連邦軍というのなら国を統合して出来た軍隊ということだが、ナカジマちゃんからそんな組織があるとは聞いていない。
「…地球連邦軍を知らない?それに時空管理局とは何だ?」
このミッドチルダで時空管理局を知らないということは有り得ない。
「グラハムさんの言い分から察するに、グラハムさんは多分次元漂流者…ということになります。言い方が稚拙になってしまいますが、宇宙規模の迷子ということです。一応、知り合いから地球という惑星があるとは聞いてますが、地球連邦軍という組織は存在してません。つまりは、その地球とグラハムさんが生まれ育った地球は別物ということになります。時空管理局は詳しいことは私には分かりませんが、ここミッドチルダ含めた次元を守っている軍隊と言えます。」
私はグラハムさんが動揺、或いはショックを受けると思っていた。
だが、グラハムさんは驚くどころか力なく笑うだけだった。
「ふっ、そうか……。」
私には何故それだけで終わらせられるのか解らなかった。元の世界に未練が無いのだろうか?
私はここにいたい。私には、道場の運営とインターミドルでのジークリンデ・エレミアの打倒とチャンピオンになることなどここでやることがあるのだ。
だが、グラハムさんは私が思っていることに気が付いたのか、もう一度わざとらしく微笑んだ。
「私が一言で終わらせたのが不思議なようだ。何故なら……
私は、本来既に死んでいたはずだからだ。」
私は驚きで目を見開いた。
グラハムさんが嘘を言っているとは思えない。いや、この人の性格からして姑息な手段、嘘をつくのは嫌いなのだろう。何よりその瞳は真っ直ぐに私の目を捉えている。
よく見れば凛々しい。そして顔の傷も相まってかっこいい。
普段御目に掛かれないような堂々としたタイプの男だからか、余計なことを考えてしまったようだ。忘れよう。
「私がここに落ちる……いや、落とされたというべきか?まあいい。その前に、私はかつてない強敵と戦っていた。戦力差は10000:1、この上なく最悪な展開の戦いは初めてだった。」
圧倒的な戦力差に想像が追いつかない。
だが普通に考えれば、結果としては……
「まず勝てる道理のない戦いだ。それでも、私達が戦わねば私達の世界が滅んでいたかもしれないのだ。」
本物の戦場に立ったこともない私が言うのはおこがましいかもしれないが、試合は勝つこと、負けても学ぶものがあることはある。しかし、戦争となれば死が付き纏い、死んでしまえば後がない。
だが、私はここでグラハムさんの言葉に何かが抜けていることに気付いた。
「それで、相手はどのような敵だったのですか?」
ここまで見た目で強いと解るぐらいの彼が勝てない言い切った相手なら、まずその相手のことを言うはずなのだ。試合にしても同じこと。なのにさっきからその片鱗すら話してない。その訳は…
「……すまない、何故かその敵のことが全く分からなくなっているのだ。」
落胆した表情をするグラハムさんに本当かとまだ記憶がないと決まった訳ではないため、言葉を掛けることが出来なかった。
「……無理に思い出そうとしなくてもいいですよ。圧倒されるぐらいの強さなら思い出したくない……」
「違う!!」
突然怒鳴ってきたグラハムに思わず硬直する。
何て気迫だ、私が圧されてしまうなんて……。
「思い出さなくてはいけない、そう思うのだよ…!」
私は自分の失態に気付いた。相手を知るという欲を優先してしまってグラハムさんのことを疑ってしまった。
「ふう、怒鳴ってしまってすまない。」
「い、いえ、私の方こそ失礼なことをしてしまい申し訳ありません。」
私は自分自身の反省の意も込めて、土下座をする。
「ふっ、ふふっ、はははははははははははははっ!!」
突然グラハムさんに笑われて唖然としてしまった私。多分間抜けな顔をしているだろう。
でも、笑われた理由が『お互い土下座している』ことだと解り、私も可笑しくなってしまう。
「は、はは、あはははははははっ!!」
腹を抱えて笑うなんて久しぶりだ。
「はははははは、いや、私と君はどうやら似た者同士かもしれんな。」
「ははは、そうかもしれませんね。」
性格などの違いはあるけど、きっと通じ合うものがあるんだろうと思う。
……私はこの男が好きになった。恋愛感情というのはまだよく解らないが、この男の真摯な瞳には心惹かれるものがある。
「そう言えば、申し遅れました。私の名はミカヤ・シェベルです。この道場、抜刀居合術『天瞳流』の師範代をしています。」
「抜刀居合術だと!?何という巡り合わせ、君と私は出逢う運命だったようだ!!」
前言撤回、少し変わり者でもあるようだ。……何故か、何かが音を立てて崩れたような気がした。
「えっと、興味があるのであればしばらくここにいませんか?」
本来なら管理局に連絡して保護してもらうというのが本来の次元漂流者への対応だけど、グラハムさんのことがもっと知りたい私は自分の家で居候してもらうことにした。
「それはありがたい!だが、まずは休ませて欲しい。激戦の疲れが出て限界が近い。」
今は既に19時を過ぎている。
「そうですね。それに今日は遅いですし、休みましょう。」
これがグラハムさんとの出逢い、彼との出逢いで私は未知の体験をすることになる。
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今回、午後5時に予約投稿をしました。
不定期にしたり午前0時にしたりと試していますが、統一した方がいいか、それともこちらの自由にしてもいいか、感想、メッセージ、活動報告のコメントなどでお答えいただければと思います。
コピペの方はともかく、新作の方は適当だと好意新したのに気付かない方もいるかもしれないと考えてこうして皆さんに聞くことにしました。ただし、
①午前0時
②午後5時
③午後9時
④作者の自由でいい
⑤その他(提案を書いてください)