魔法少女リリカルなのはVivid〜深緑の輝きは癒しと未来を創る光〜   作:グリューン

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第6話 覇王vs深緑の銃撃士(ガンナー)

 

―なのはside

 

双子が生まれてから三日後に退院し、自宅で二週間は静養と共に子育て。家事は、毎日時間に都合を着けられるチンク以外のナンバーズの皆を中心に変わりばんこに来て手伝うことになりました。

 

ただし料理は、二ールとライルさんとフェイトちゃん、たまにセインとシャマル(・・・・)さんがやっています。皆上手いのですが、シャマルさんは上達してなくて……お世辞でも上手いとは言えません。でも厚意でやってくれているので流石に断れませんし、調理中におかしな味付けをしないように誘導してます。…案の定、お菓子のカップケーキを作る時に本来肉料理に使うはずのナツメグを入れようとしてました…。

 

JS事件の時は、二週間の安静の後に完治する前に仕事復帰していたけど、退院前に同じ事をしようとしたらニールやフェイトちゃんとシャマルさんどころか、ヴィヴィオに両親、偶然お見舞いに来ていて聞いていたリンディさんにまで怒られました。

 

特にお母さんとリンディさんには、子育てに集中してもらう為に一年間仕事復帰は禁止と釘を刺されました。お母さんとリンディさんにあそこまで厳しく言われたのは初めてかも…。

 

でも、お母さんが私を産んだ頃にお父さんを頼れず片時も離れることなんて出来かったことを話して、どっちにしても無茶が過ぎる復帰計画だったかなと反省しました。

 

実際昨日も片時も離れてません。

 

でも双子の笑っている顔を見ると疲れなんて吹き飛びます。ヴィヴィオもそうだけど、自分の子供の笑顔を見ると癒されるんだよね。

 

「ママ、刹那が泣いてるよ!?」

 

ふと最近のことを掃き掃除をしながら思い返していたら、リビングで面倒を見ていたヴィヴィオが玄関を出てベビー刹那が泣いていることを教えてきました。

 

「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ……!」

 

「今行くね!」

 

今日もまた双子に追われる一日になりそうだ。

 

 

.

 

ヴィヴィオside

 

刹那とラーナが生まれて、私はお姉ちゃんになりました。

 

最初はどうしたらいいのか全然分からなくて戸惑ったけど、今は抱っこやオムツの交換、ミルクをあげたりすることも出来ます。

 

で今何をしているかと言いますと、朝のジョギングを終えて戻ってきたら双子が泣いていたのでなのはママに教えたところです。

 

「おう、ヴィヴィオお帰り!」

 

「んぐ、んぐ、ふう……ようヴィヴィオ、邪魔してるぜ。」

 

「お帰りヴィヴィオ。もう少しで出来るから今のうちにシャワー浴びてきたら?」

 

テーブルに座って新聞を読む教導官の制服姿のパパ、パパの隣で水を一気に飲みほしたジャージ姿のライル叔父さん、そして両手で色とりどりの野菜のサラダの入ったボウルを運ぶフェイトママがおはようの挨拶をしてきます。

 

「ただいま~。そうするね、フェイトママ。」

 

フェイトママに促されて、バスルームへ。予め用意した着替えを確認して着ていたジャージを脱いで程好い温かさのシャワーを頭から浴びる。

 

「う~ん、気持ち良い!」

 

次第に汗でべとついた体が流れて気分爽快!

 

今日もアインハルトさんに会ったら何を話そう?アインハルトさんは物静かであまり喋ったりはしませんけど、さりげなく入る校舎を間違えているのを教えてくれたりなど気遣ってくれるところもあります。

 

でも、まだ一緒に練習出来てないし、話とは言ってもまだそんなに色々話した訳じゃないし……。

 

「いけない、気持ちが沈んじゃ!まだ始まったばかりなんだ、頑張ろう!!」

 

格闘技も、アインハルトさんとの付き合いも、そして…双子のお姉ちゃんとしても!!

 

 

.

 

二ールside

 

双子が生まれて、晴れて俺の家族が増えてから17日経った。

 

あれから俺もなのはとヴィヴィオと一緒に子育て……とはいかず、教導官としての仕事が中心の毎日に戻っていた。それに加えて、毎年行っている無人世界カルナージにあるアルピーノ家での『オフトレを兼ねた異世界旅行』をルーテシアと話し合ったり、他のガンダムマイスター……つまりは刹那をそれとなくではあるが探したりしている。それでも休みが出来た時はなのはと一緒に面倒を見ている。

 

ティエリアについては二週間前にルーテシアがさらっと、

 

「そういえば、私の家に最近ティエリアという人が居候していて、二ールさんを見て号泣していたわ。」

 

と言ったことであっさりと分かってしまった。

 

今会いたいかどうかと聞かれたが、旅行で時間が空いた時にでも話す方が良いだろうということで断った。ルーテシアたちのところにいるのなら焦ることも無い。

 

だが、それよりも新たに俺を悩ませることがある。

 

それは、DSAA公式戦『インターミドル』の主催者側から、女子の都市本戦優勝者と対戦して欲しいと依頼されたことだ。つまりは都市本戦優勝者に優勝商品として俺と試合で勝負する権利が与えられるということだ。

 

正直、俺の戦い方は競技用ではないため、気が進まない。ただ、サーシェスを倒した俺の強さに憧れている子も多いらしく、そういった子たちの願いを叶えたいという思惑も大会を盛り上げることも絡めて頼んできている。

 

なので、未だに結論を出せずに悩んでいる。

 

「どうしたの、二ール?考え事?」

 

ふと、新聞を読んでいたようで読んでいなかった目をフェイトに向ける。ヴィヴィオはシャワーを浴びているが、なのはも双子の赤ん坊の面倒を看ている。

 

「ん?ああ、考えていた。考えていたが、少し話が長くなるし、今なのはは双子を看ていて落ち着いて話出来ねえし、旅行の時に話す。」

 

「うん、分かった。忘れないでよ?」

 

「大丈夫だぜフェイト。俺が覚えている。」

 

ウインクをフェイトに向けて放つライル。

 

「ライルには聞いてないよ、ふんだっ!」

 

頬を膨らませてそっぽを向くフェイト。何故か頬が少し赤い。

 

「あらら、振られちまった。」

 

おどけるライルだが、一体フェイトと何があったんだ?だが今詮索するのも無粋に思えたので止める。

 

「ん、もうこんな時間か。今日は特殊武装隊の教導が入っているから早く行かねえと。なのは、ヴィヴィオ、先に出るぞ。」

 

因みに俺がこれから教導する特殊武装隊とは、俺のケルディムが提供したデータとスカリエッティの研究所から得られたデータを元に作成された全身装備(メイル)型デバイス『MG―X(マギックス)』を試験運用する部隊のことだ。結成されたのはつい先月で、各部署で魔力ランクがCぐらいと低い魔導士を中心に構成している。その中には、自分から希望して入隊したヴァイスも入っている。

 

全身装備(メイル)型デバイスにはセットアップ時にデバイス内に造られた別空間に本体を移し、手足を壊されようが装甲を破壊されようが本体そのものには影響はないとケルディムと類似点が多い。

 

違いは、擬似MGドライヴで展開時に魔力ランクが1段階しか変化しないこと、GN粒子は魔力との結びつきが良く、GN粒子を魔力に変換することも出来たが、擬似GN粒子の場合は魔力との結びつきがそれ程良くなく、魔力が高いと擬似GN粒子と魔力とで反発し合って爆発を引き起こす。スカリエッティはその辺りをどうにかしたらしいが、残念ながらラボのデータは残されてないため、自力で探すしかない。その為に、運用出来る魔導師の2倍消費するために運用するには最高Aランクまでとなってしまう。これでは使い勝手が悪い。しかしバリアジャケットより頑丈で生存確率が非常に高いため、主な任務はバリアジャケットでは行けない火山や氷河、宇宙など過酷な環境が多くなる予定だ。

 

実験運用は当然俺で、現在はバリエーションを加えたMG―XⅡの試験運用中だ。ヴァイスは、MG―XⅡの武装バリエーションの一部に俺が使っていたGNスナイパーライフルを参考にストームレイダーを改造して運用している。

 

「あっ、待って。」

 

玄関から外に出ようとした俺にベビー刹那を抱いたなのはが歩いてくる。

 

「行ってらっしゃい、ヴァイス君によろしく伝えてね。」

 

いつものように笑顔で送るなのは。

 

「あ~う~。」

 

そしてまるでなのはの真似をするかのように笑いながら声を出すベビー刹那。

 

ベビーラーナがいないのは、まだ寝ているからだろう。ラーナに似て寝ぼすけだからな。

 

「ほら、刹那もパパ行ってらっしゃいって。」

 

抱えながら刹那が手を振るように動かすなのは。何とも微笑ましく、心温まる。

 

「ははっ、行ってくる!」

 

今日も、日常が始まる。

 

 

.

 

 

アインハルトside

 

08:26

 

ヴィヴィオさんとの試合から二週間が経ちました。

 

現在、初等科、中等科共に一学期前期試験の真っ最中です。当然私も勉強に集中しなければなりませんのでトレーニングを1時間だけに控えて、残りの時間は机に向かっています。

 

今日は数日間続いた試験最後の日で、登校途中です。

 

突然通信が入り、木の傍へ寄って繋いだら、ノーヴェさんでした。

 

<よう。今、大丈夫か?>

 

「はい、少しなら大丈夫です。」

 

<よし、なら単刀直入に言うぜ。次の週末にトレーニングを兼ねた合宿があるから来ないか?>

 

合宿とは言っても、きっとそんなに大したことはしないでしょう。

 

「合宿……ですか?すみません、私は練習がありますので。」

 

<だからその練習の為に行くんだって。あたしや姉貴もいるし、ヴィヴィオも来る。練習相手には事欠かねー、しかも魔導士ランクAAからオーバーSのトレーニングも見られる。>

 

……前言撤回、非常に興味があります。我ながら現金だと思いますが、それを聞いた以上は参加したいです。それに、ヴィヴィオのお父さんも参加するかもしれませんし……。

 

「はい……。」

 

「ついでに歴史に詳しくて、お前の祖国のレアな伝記本とか持っているお嬢もいる。まあたったの四日だ、騙されたと思って来てみろって。つまんなかったら走りこむなり一人で練習するなりしていいんだし。」

 

ですが、関係がない私がお邪魔して迷惑にならないでしょうか?

 

「あの……」

 

「いいから来い!絶対いい経験になる!」

 

思ったことを言おうとしたら、笑顔でサムズアップして来るようにアピールする。

 

選択肢がありません。

 

「後で詳しいことメールすっから、とりあえず今日の試験頑張れな!」

 

「……はい……。」

 

ノーヴェさんは言うだけ言って通信を切ってしまいました。

 

どうやら私が行くのは決定事項のようです。

 

でも……

 

今逃すと二度と出来ない経験かもしれませんし、参加しましょう!

 

そうしてさっきの合宿について決めて、時計を見ると既に5分も経っていました。

 

「いけない、遅刻してしまい……へぶっ!」

 

慌てて駆け出そうとしたら、何か固いものを踏みつける感触を感じ、滑って転んでしまいました。

 

「うう……あれは、デバイスでしょうか?」

 

私が踏んだところには、白をメインに黒と紫の縁取りされたカードが落ちていた。真ん中には淡い緑色魔力らしきものが丸いレンズで光輝いている。……いや、いつか見たニール・ディランディVSアリー・アル・サーシェスの映像(一般のカメラマンが撮った動画で戦いが空高くだったためにあまり細かく見れなかった)でガンダムになったニール・ディランディから放出されていた粒子の色に似ているため、魔力じゃないかもしれない。

 

<漸く気付いてくれるかと思ったら踏まれるとは思いませんでした。>

 

……どうやら、インテリジェントデバイスだったようですね。

 

「ご、ごめんなさい。今拭きます。」

 

土塗れになってしまったカード型デバイスを手提げバッグからハンカチを取り出して拭いていく。

 

ハンカチは帰った後に洗濯しましょう。

 

デバイスに付いた土を拭き取った後、歩いては間に合わないぐらいに時間が過ぎていたため、デバイスを持ちながら走っています。

 

「はっ、はっ、貴方の名前は、何て言うんですか?」

 

<私はラファエル。正式にはラファエルガンダムと言います。>

 

……ガンダム!?と驚いて思わず凝視してしまったために、喫茶店の鉢植えに気付くのが遅れて足を掛けそうになるも、ジャンプしてやり過ごします。ただ急いでいたため、スカートが捲れてしまいました。ちょっと恥ずかしいです……。

 

「はっ、はっ、ではニール・ディランディや、そのガンダムは知っていますか?」

 

<はい、デュナメスですね?>

 

「ひっひっふう、いえ、デュナメスとケルディムです。」

 

因みに、これは通り掛りの管理局員に聞いたら出て来た情報です。

 

<変ですね。ケルディムはロックオン・ストラトスを名乗るようになったライル・ディランディが乗っていた機体のはずですが。>

 

ライル・ディランディ……ライルさんがガンダムに乗っていた?ガンダムはデバイスで身に纏うバリアジャケットではないのでしょうか?

 

<でも、今は急いでいるのですよね?でしたら、続きは用事が済んだ後にしましょう。>

 

ラファエルの言葉に無言で頷いて、ラファエルをバッグに仕舞います。

 

疑問は後で聞きましょう、今は試験です!!

 

 

.

 

 

放課後

 

朝の登校とは違い、ゆっくり歩いて帰宅してます。

 

「では、朝の続きですが、ライルさんが二ール……さんの弟というのは聞きました。では、貴方は何故ケルディムは二ールさんではなくライルさんが乗っていると言ったのですか?」

 

<答えは簡単です。彼は……

 

本来なら既に戦死していたのです。>

 

戦死……!?なら、彼らは戦争をしていたということでしょうか?

 

<二ール・ディランディは家族を殺したテロ組織の元リーダー、アリー・アル・サーシェスとの一騎討ちで相討ちとなり果てました。彼の亡き後に組織は敗北、4年の建て直しを経てライル・ディランディがスカウトされました。彼はここに来るまで激しい戦いの真最中でした。>

 

私が知っている彼の経歴とここまで食い違っているということは…

 

「貴方が言っているのは、ここに来る前の彼……ということでしょうか?」

 

<その通りです。……ニール・ディランディは生きているのですか?>

 

ラファエルはさっき家族を殺されたと言ってました。

 

つまりは、二ールさんもライルさんも、戦いも失うことの悲しみも知っているということ……。そして、二ールさんが強いことは勿論、ライルさんも戦いを勝ち残れるぐらい強いということになります。

 

なら、私はライルさんを侮りすぎたということになるのかもしれません。

 

「はい、彼は生きてます。」

 

別のことを考えながらも首肯する。

 

ライルさんを侮っていたとそう思ったら、ライルさんの実力をもう一度確かめなければならないという衝動に駆られてヴィヴィオさんの家に来ました。前にここに居候していると聞いたのでここにいるはずです。それに、ヴィヴィオさんから二週間前の試合をしていた時にヴィヴィオさんのお母様が出産をしていたそうで、ライルさんがそわそわしていたのもそれが原因だったと聞きました。大いに気を遣わせてしまったため、私としても挨拶が出来ればと思っていたので僥倖です。

 

「ライルさんいるでしょうか?」

 

ピンポーンというインターホンを鳴らす。

 

「はーい。あれ、君はもしかして、アインハルトちゃん?」

 

出てきたのは、亜麻色の髪を左にサイドポニーで縛ったエプロンの似合う女性でした。

 

この方が、ヴィヴィオのお母様。

 

「初めまして、アインハルト・ストラトスです。二週間前のヴィヴィオさんとの試合の際、お子様が生まれたと聞いて訪ねさせていただきました。おめでとうございます。」

 

ライルさんと会うことも目的の一つですが、先に挨拶と祝いの言葉を言わないと失礼になってしまいますので忘れずに挨拶しました。

 

「わざわざありがとう。私はヴィヴィオの母の高町なのはです。娘がいつもお世話になってます。でも、用はそれだけじゃないよね?」

 

「はい、あの……。」

 

[割り込みすいません。マスター、彼女からデバイスの反応があります。デバイスは持っていなかったと聞いているのですが説明していただけますか?]

 

ヴィヴィオのお母さん……なのはさんの後ろから彼女のデバイスらしき赤く丸い宝石がピンクの光の翼を生やして浮遊しています。自分で言う前に言われてしまいました……。

 

「はい。実は今日登校中にデバイスを拾ったのですが、どうも二ールさんとライルさんを知っているようなのです。お二人のどちらかに会いたいのですが、どちらかいらっしゃいますか?」

 

鞄からラファエルを取り出して差し出します。

 

「レイジングハート、これってもしかして……。」

 

[間違いありません、デバイス内に流れるエネルギーはGN粒子です。]

 

[初めまして、ラファエルガンダムと申します。ラファエルとお呼び下さい。]

 

「うん、分かったよラファエル。それでアインハルトちゃん、申し訳ないんだけど二人とも今いないの。二ールは仕事で、ライルは隣のフェイトちゃんに居候しているの。でももしかしたら、ライルはいるかもしれないよ?」

 

慣れているのか、ラファエルに大して驚きもせずに説明してくれました。

 

「「おぎゃあ、おぎゃあ!!」」

 

すると、奥の部屋から赤ちゃんが交互に泣く声が聞こえました。

 

「あれ、もしかしてミルクの時間かな?ごめんね、アインハルトちゃん。待ってて~、刹那、ラーナ~!」

 

もてなしが出来ないことを謝るなのはさん。

 

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます、そしてお邪魔しました。」

 

頭を下げて、ヴィヴィオさんの家を後にして、隣へと向かいます。

 

 

.

 

 

隣の家……フェイトさんというなのはさんの友達の家の玄関にやってきた私。ヴィヴィオさんの家と同じくらいの大きさで庭の花壇に咲く黄色の花が綺麗です。残念ながら、あまり花に詳しくないので名前は分かりません。

 

インターホンを鳴らそうとしてスイッチを押そうとした瞬間……

 

ドンッ!!

 

「ふあうっ!?!?」

 

ドアが勢いよく開き、額を打ってしまいました。

 

「ううっ……。」

 

あまりの痛さに額を抑えて蹲ります。

 

「なっ、大丈夫か……ってアインハルト!?」

 

ドアを開けた人物はライルさんでした。

 

「あちゃあ、おでこぶつけたのか……。とりあえず、冷やすもの持ってくるから玄関で座って待っててくれ。」

 

頷いて、玄関の段差に腰を降ろして待つことにします。

 

……何だかライルさんと会う度に何か起こっている気がします。

 

 

 

少し待った後、保冷剤をタオルで包んだものを持ってきたライルさん。私は受け取ってすぐに額を冷やす。ひんやりした感触が少し心地良いです。

 

「いやあ、悪かったな。少し出掛けようと思っていたんだが、まさかアインハルトがここに来るとは思わなかったんだ。」

 

「いえ、不注意だったのは私も同じなので気にしないで下さい。」

 

言われて、逆に自分の迂闊さに少し恥ずかしくなってきました……。

 

「ここじゃ難だから上がって話すか?」

 

「はい、お邪魔します。」

 

額に簡易的なアイシングを当てながら靴を脱いでライルさんが予め置いてくれた虎なのか猫なのか分からない顔の形に出来ているスリッパを履いて上がります。

 

廊下を少し歩くと、ソファーと角が丸い四角のテーブルが置かれている居間に着きました。

 

「まあ、座ってくれ。」

 

そう言ってライルさんが私に促すように先に座ります。

 

「では失礼して……あの、これは?」

 

座ってみたら、破かれた感じで雑誌の紙片が何枚か散らばっていました。

 

手にとって何なのか気になって見てみたくなりました。

 

「待て、それは……!!」

 

ライルさんが慌てて取り上げようとするも、私の好奇心が勝って取り上げようとする手を避けます。

 

「!?!?!?!?!?!?!?」

 

肝心の紙片を見るとそこには……女の人の……乳首が、モノクロで、描かれてました。

 

「はああああああ……。」

 

見られたショックなのか、脱力して項垂れるライルさんですが、私は今、さっきの恥ずかしさも相まって頭の中が沸騰しそうです。

 

「あああああああの、こここここここの紙片は……。」

 

「……エロ雑誌の、だ。昨日フェイトにこっそり買っていたのがバレて破かれた……。」

 

渋々自白するライルさんから、哀愁が漂っているように感じます。というより泣いてます。

 

何だかラファエルのことを聞いたり挑戦しに来たのに、追い詰めに来ている感じになってしまいこっちが居た堪れなくなってきました。

 

 

.

 

[マスター、ここに来てからアインハルトが絡むと何かと起きますよね。もしかして狙っているのですか?]

 

「んな訳ねえだろ……!子供は守備範囲外だっての。」

 

テーブルに置かれた緑色のキーホルダーに睨むライルさん。

 

でも、そう言われると複雑です。

 

[とマスターのことは置いといて。アインハルト、貴女のバッグからGN粒子の反応があるのは何故ですか?]

 

ライルさんのデバイス、サバーニャに聞かれて、沸騰したり沈んだりと混乱している意識を無理やり戻してラファエルを取り出します。

 

[お久しぶり……いえ、初めましてと言うべきでしょうかサバーニャ。]

 

「まさか、ティエリアの……!」

 

先程の様子とはうって変わって驚くライルさん。

 

[はい、ラファエルガンダムです。]

 

「今日、登校中に木の傍に落ちていたのを拾いました。」

 

「兄さんからティエリアが見つかったって聞いたのにデバイスがないと思ったから変だと思っていたが、まさか道端に落ちていたなんてな。」

 

[私も何故マスターと一緒でなかったのか不思議でなりません。]

 

「……まあ、そこは今考えても仕方が無いから追々話そう。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

 

ライルさんが立って、キッチンへ向かう。

 

「では、紅茶で。」

 

「オーライ。」

 

 

 

お茶を用意したライルさんが戻ってきて座ったところでお話は再会しました。

 

「それで、ラファエル。ティエリアのことも知りたいだろうから教えておく。兄さんが言うには、今カルナージっていう惑星で厄介になっているそうだ。」

 

「ということは、ノーヴェさんが言っていた合宿で泊まる場所にいるということですね。」

 

これはなおこと、行くべきですね。

 

「ノーヴェからもう聞いていたのか。俺も皆から誘われているし参加するつもりだ。」

 

[そうですか。なら、何も焦ることもありませんね。]

 

どうやらラファエルの心配事は解決したようですね。

 

[これで二ール、マスター、アレルヤ、ティエリアとガンダムマイスターがほとんど集合した訳ですね。]

 

「あとは刹那だけだが、あいつはクアンタで旅しているだろうからそのうち自力でここに来るんじゃねえか?」

 

「じ……自力、ですか?」

 

飛躍した話に開いた口が塞がりません。ライルさんたちは、どこから来たのかまだ知りませんが、少なくとも自力で来るなんて時空航行でも出来ない限り不可能だということは解ります。

 

[ですが、そればかりは保障できませんよ?そもそも製作したイアン・ヴァスティをして能力も未知数と言わしめた機体なのですから。]

 

それは逆に言うなら来ないという保証も無いということになります。刹那さんという人は本当に何者なのでしょうか?

 

 

 

「あの……その刹那さんの実力は一体どのくらいなのでしょうか?」

 

「そうだな……。魔導士で言うならSランク以上は固い。少なくとも、俺は接近戦になったらあいつに勝てる気がしねえな。それに、実戦経験も豊富、剣も使うからアインハルトは相性悪いんじゃねえのか?」

 

確かに実力がライルさんの言った通りなら、間合いを詰めることが出来なければ一方的にやられるでしょう。

 

[それに、ダブルオーライザーの戦闘記録にはサーシェスを圧倒した記録も残っていますし。]

 

あのアリー・アル・サーシェスを圧倒!?もう私の想像を超えてます……。来るのであれば、是非一手お相手していただきたいところです。

 

ですがまずは……

 

「刹那のことが気になるのか?」

 

茶化すようにニヤニヤするライルさんですが、今は意に介しません。

 

「はい、気になります。ですが、今はライルさんが気になります。」

 

「おっと、俺をご指名か。」

 

予想外だったのか、ちょっとだけ驚いた顔をするライルさん。

 

[マスターはホストですか?]

 

「サバーニャ黙っててくれ……。それでアインハルト、合宿で時間作ってでも出来るんじゃねえのか?」

 

「いえ、すぐの方がいいです。」

 

合宿はどうなるか分かりませんし。

 

 

 

「じゃあ、ノーヴェに聞いてみるか。サバーニャ、繋いでくれ。」

 

[了解。]

 

数秒経って、回線が開き、モニターにノーヴェさんの顔が映る。

 

<あれ、ライルさんどうしました?>

 

ライルさんに手招きされて隣に移動します。

 

「実はアインハルトが俺と試合をしたいらしいんだが、前借りたところは借りられないか?今日が無理なら明日でもいい。」

 

<そうですね……今日は救助隊が使ってますから無理です。でも明日なら使えますよ。許可はもらっておきます。>

 

「そっか。悪いな、急に頼んじまって。」

 

<このくらい大丈夫ですよ。でも、明日はバイトが入っているので立会いは他の奴に頼みます。>

 

私の発言でライルさんの皆さんとの関係を悪くしたかもしれないと心配してましたが、杞憂だったようで安心しました。

 

「じゃあ、誰になるかも後で教えてくれ。」

 

<はい……つう訳で悪いなアインハルト。今日は出来ねえから我慢してくれ。でも、週末の合宿もあるからあまり無茶するなよ!>

 

釘を刺されましたが、私も合宿に怪我で行けないというのは嫌です。

 

「いえ、大丈夫です。頼みを聞いて下さりありがとうございます。」

 

<おう。>

 

通信を切り、ライルさんから離れます。

 

「そういう訳だ、今日は帰った方がいい。ラファエルはどうする?」

 

[私はマスターに再会するまでアインハルトと共にいます。]

 

「ではしばらくよろしくお願いします。ではライルさん、お邪魔しました。」

 

「おう、また明日な。気を付けて帰れよ。」

 

挨拶をしてフェイトさんの家を後にして、自分の家へ帰ります。

 

 

.

 

ライルside

 

翌日

 

15:32

 

以前ヴィヴィオとアインハルトが分かり合うための試合をした場所。今度は俺がアインハルトの挑戦を受けて試合を行うことになった。

 

でノーヴェの変わりは、ウェンディが行うことになった。唯一暇だったそうだが……ジャッジ出来るのか不安だ。それに……

 

「ライちん、今失礼なこと考えていたッスね?」

 

「さあな。ところでよ……何でヴィヴィオたちもいるんだ?ノーヴェに頼まれたオットーとディードならともかく。」

 

そう、誰から聞いたのかヴィヴィオたちも俺たちの試合を観に来ていた。オットーは結界を張って魔法で施設を壊さないため、ディードは吹き飛ばされるなど非常時のカバーとして来ている。

 

「だって、ライルさんもガンダムになれるんでしょ?どんなのか観てみたいんです!」

 

目を輝かせるリオ。

 

「アインハルトさんとライルさんが試合するって聞いてつい、気になってしまって……。」

 

少し申し訳なさそうに、でも好奇心が抑えられないことを話すコロナ。

 

「ねえ、いいでしょライルおじさん。ワクワク。」

 

そして、明らかにワクワクしながら俺を見上げるヴィヴィオ。

 

見世物じゃないんだが、まあいいか。隠していた訳じゃねえし。

 

「分かった分かった。でも危ないから下がっていろよ。」

 

「「「はーい!」」」

 

俺の言うことを聞いて離れる三人。

 

「おっほん。えっと、ここは以前にヴィヴィオとアインハルトが試合やっている場所なのは知っての通りですが、今回ライち……ライルさんは魔法を覚えてから一ヶ月も経ってないため、魔法を使用出来ます。なのでアインハルトも魔法を使用できます。ただしオットーに結界で張ってもらっていますが、あまり威力の高い魔法には耐えられません。なので砲撃魔法とトランザムは禁止です。」

 

結界破壊しちまったら意味ないもんな。それとウェンディ……

 

「手に持っているメモはノーヴェから渡されたものだろ。」

 

俺に指摘されたウェンディの顔が真っ赤になる。図星突かれて恥ずかしくなったか、可愛いな。

 

「……制限時間は5分、どちらかダウンした時点で勝負ありッス。」

 

「全力で行きます。」

 

おっと、おふざけはここまで。ここからは、真剣勝負だ!!

 

「ああ、行くぜサバーニャ!」

 

[デュナメスリペアとサバーニャ、どちらで行きますか?]

 

「サバーニャだ。ただし武装はピストルビット2丁、ホルスタービットは無しだ。」

 

フィールドが狭く、アインハルトは動きが速いから、ホルスタービットは邪魔になるし、ライフルビットでは接近戦に対応しきれない。

 

[了解。GUNDAMフォームへ移行します。]

 

指示を出した瞬間、俺は魔力とGN粒子の混じったライトグリーンの空間に包まれ、一瞬のうちに全身に装甲が張り巡らされていく感覚になる。ただし、これは異空間に移された俺の本体が装甲と感覚を共有しているだけである。装甲を吹き飛ばされたり、強力な攻撃を受けない限りは痛覚を感じない仕組みだ。とはいえ、頭部を破壊されたらGUNDAMフォームを強制解除されてしまうため、気を付けないといけない。

 

空間から出て、自分の手を確認する。

 

機械の手にピストルビットが予め持たされている。手、足、胴体にはマイクロミサイルコンテナが装備。頭部にはロックオン・ストラトスの機体特有のV字に近いアンテナとその真ん中にクリスタル製のカバーに覆われた狙撃とマルチロック用のガンカメラが付いている。

 

「これがライルさんの、ガンダム!」

 

ギャラリーでは一度見せたヴィヴィオ以外全員、向かい側では大人の姿になったアインハルトも驚きの表情で見ていた。

 

今のアインハルトの身長は、俺の胸ぐらいまであり、俺を見上げる。

 

「両方とも準備出来たという訳で、試合……開始!」

 

ウェンディが開始の合図として手を挙げた瞬間に、アインハルトが突撃してくる。

 

「なっ!?」

 

右のピストルビットでアインハルトの足元にアクセルバレットを一発撃ち込む。

 

ジャンプして避けたアインハルトに左のピストルビットのエッジを胸部に向けて叩き込むが、アインハルトにギリギリで腕を交差、ガードされてしまう。

 

吹き飛んで距離を取ったところで、すかさずフォトンマシンガンを乱れ撃つ。

 

「覇王流……『旋衝破』。」

 

アインハルトが避けもせず、防御魔法も出さず構えた?何をする気だ?

 

攻撃を止めて様子を見ると、アインハルトは、フォトンマシンガンの弾丸型の魔力弾をキャッチボールで捕る要領で全て指で掴んで止めてしまった。それも、魔力弾の形を維持したまま。

 

「受け止めやがった!!」

 

アインハルトの驚き方を思わず自分でやってしまうが、それよりも先にアインハルトが受け止めた俺の攻撃をそのまま返してきた。

 

「ちいっ!」

 

やむを得ず、フォトンマシンガンで返された攻撃を全て撃ち落とす。当然、小爆発が沢山起きてアインハルトの姿が見えないぐらいの煙幕が出来てしまう。

 

[マスター、来ます!]

 

煙幕の中からアインハルトが右拳を突き出してきたことをサバーニャの警告で察知した俺は紙一重で左に避けながら右のピストルビットを上に投げて右のストレートを顔に向かって突き出す。

 

[ピストルビットを浮遊、待機させます。]

 

女の子を殴るのはあまりやりたくないが、今は真剣勝負。

 

加減無しだ!!

 

「おりゃっ!」

 

だがそれも予測していたアインハルトは俺の右ストレートを左手で掴んで受けきる。

 

「ぬっぐうっ……はあっ!!」

 

苦悶の表情を浮かべながら、俺の右足を左足で踏みつけて逃げられないように抑える。

 

「覇王……」

 

アインハルトは野球の打撃のように足から腰への横回転という形でエネルギーを生み出す。

 

これは、ヴィヴィオがやられた技か!

 

「断空拳っ!!」

 

腹部を狙うアインハルトの右拳。この勝負はダウンした方が負け、たとえ装甲に傷一つ付けられなくても有効な攻撃だ!

 

「来やがっ……!?」

 

突然、左腕だけ動かなくなった。

 

くそ、バインドかよ!

 

魔法が有りなら捕縛魔法もありということ。

 

そのことを分かっていなかった自分の失態に気付いた瞬間に、腹部に猛烈な衝撃が走る。

 

「ぐっ、ぬうううううううううううう!!!」

 

ミシッという亀裂が入る音がしながらも足と腹に力を込め、更に歯を食いしばって踏ん張る。

 

衝撃が止み、アインハルトが驚愕の表情をしながら動けずにいた。

 

「だ、断空拳を……受けきった……!?」

 

「ははっ……結構痛かったぜっ……。じゃあ、次はこっちの番だ!!」

 

[accel bullet.]

 

痛みに耐え、左手のピストルビットの銃口をアインハルトの腹部に向けて撃つ。

 

「うっ……ぐうっ!」

 

予め上に投げて浮遊、待機させたピストルビットを下ろして右手に持って左脛を撃つ!

 

本当はピストルビットを上から撃ちまくるっていう指示も出来たが、それは流石に卑怯な気がしたので止めた。

 

アインハルトは堪らず膝を付く。

 

「悪いが、チェックメイトだ!」

 

アインハルトの腹部に再び撃ち込む。

 

断空拳を受けきられたショックがまだあったのか、防御も回避もせず当たり、敢えなく仰向けに倒れてダウンとなった。

 

「一本、そこまでっす!」

 

「アインハルトさん、ライルおじさん!」

 

試合が終わり、GUNDAMフォームを解除した瞬間に、俺も膝を着いた。

 

「いっててて!参ったな、まさかサバーニャの装甲に罅入れるとはな。危うく意識が持ってかれるとこだった……。大丈夫か?」

 

俺が呼び掛けると、既に子供に戻って半身だけヴィヴィオに起こされてこっちを見ていた。

 

「大丈夫です。加減していただいたお陰で少し休めば動けるようになります。それよりも、参りました。やはり私が思った通り、ライルさんは強かったです。何より、何となくですが何か覚悟を持って戦っていたという感じがしました。」

 

「そうかい……。そりゃ受けた甲斐があったってもんだ……。」

 

アインハルトの僅かに見せた控えめな笑みを見て、俺も満足感で痛みを……

 

ズキンッ!

 

……やべっ、思ったより腹が痛い。結構重いパンチだったから無理もねえか。

 

「少し横にさせてくれ。」

 

そうして、俺たちは休憩をした後に、その場で解散となった。

 

 

 

 

深夜 1:06

 

フェイトの家に着いてすぐに、フェイトから職場で泊まることを受信メールで確認した俺は、いつも通り隣の高町・ディランディ家に夕食を食べて、風呂に入って、空いている一部屋でフェイトが俺の為に買ってきた布団を敷いて寝ている。最初、木製の床が気になって寝れなかったが今は慣れてきて寝る事は出来ている。が、今日は別の理由で未だに寝つけなかった。

 

それは、アインハルトとの試合だ。

 

アインハルトがいかに覇王イングヴァルドの悲願を達成させようと必死になっているのか、少しぐらいだが解った。

 

それは、俺がアニューを戦って救おうとしていたあの気持ちと同じもののように感じた。

 

違いはあれど、救おうとしたのに救えなかった、その悔しさと悲しさを俺はあの断空拳という技を受けて感じた。

 

だが、一番の違いは俺がガンダムマイスターとして死んだ兄さんや家族、アニューの命を背負って生きると決めた時のような自分自身(・・・・)の覚悟を持っているか持っていないかということだ。自惚れとかではなく、何と言われようと揺らがない決意を含んだものだ。

 

アインハルトは、なまじ覇王の記憶を受け継いでいるために自分の決めたこととしてどこか消化しきれてないように思えた。とはいえ、こればかりは憶測でしかない上に聞くしかない。当然、本人が自分から言わない限り、周りから聞くのは無粋だ。何よりアインハルトが自分で越えなくてはいけない壁だ。

 

だが、多分良い出会いをしたあの子はきっと周りに支えられながら越えるだろう。

 

その最たるきっかけはヴィヴィオになる。あの子が今、一番アインハルトに近いからだ。

 

それは良い。

 

「なら俺に出来ることは何だ……?」

 

[マスターはガンダムマイスターです。]

 

枕元からサバーニャの声がした。

 

「聞いていたのかサバーニャ。」

 

[独り言が駄々漏れでしたよ。ブツブツと声に出して。]

 

気付かなかった……。

 

「はあ……。俺も年取っちまったなあ……。」

 

[30代前半で何を言っているんですか?老け込むには早いですよ。]

 

「手厳しいな。で、お前が言いたいのは、どこへ行ってもガンダムマイスターで、アインハルトの邪魔になる奴がいたら、そういう時は率先して対応するっつうことだろ?」

 

[それは想像にお任せします。ですが、その時最良と思ったことをやることが一番です。]

 

それだけじゃねえってことか。

 

「言われなくてもそのつもりだ。」

 

けど、ありがとよサバーニャ。

 

[何か言いましたか?]

 

「いや、何でもねえ。」

 

これで、今日は寝れそうだ。

 

 

.

 

アインハルトside

 

夜 21:26

 

自宅に帰り、夜の軽いトレーニングを終えた私にノーヴェさんから通信が入りました。

 

<よう、お疲れさん。今日行けなくて悪かったな。>

 

「いえ、色々してくれたお蔭で試合が出来ました。ありがとうございます。」

 

<いやいや、実はあたしもライルさんの実力知りたかったし。それで、結果はどうだった?>

 

「見事に負けてしまいました。全力で断空拳を当てたのに耐えられてしまいました……。」

 

断空拳を耐え切られてしまった瞬間、頭が真っ白になってしまい何も出来なくなってしまいました。

 

<あれに耐えたのか……。>

 

「私から見てですが、ライルさんの強みは勝負強さだったように感じます。それに射撃も正確で、隙を突くのも容易にではありませんでした。今回は手加減もありましたが、本気を出されていたら多分、何もさせてもらえずに負けてました。」

 

実際私の戦い方を見ていた彼は、何度も足を狙ってきました。それもわざと外したものもあったりと。これだけでも彼の技量の高さを窺い知る事が出来ます。そうなれば、刹那という人もヴィヴィオのお父様もどんな実力なのか気になります。

 

<ライルさんも強えんだなあ……。う~ん、合宿が楽しみになってきた!>

 

「はい、私も楽しみになってきました。」

 

<うんうん、これであとは二日経つのを待つばかりだ。じゃあ、お休み。>

 

「お休みなさい、ノーヴェさん。」

 

通信が切れ、私も汗を流すためにお風呂に入ります。

 

明後日が、楽しみです。

 

 

.

 

 

ティエリアside

 

ロックオン……ニール・ディランディの生存と彼の子供が生まれたことを知ってから二週間余りが経った。

 

今週末に二ールとアレルヤ、ライルを含めた一行がやってくるということで、僕はルーテシア、メガーヌ、ガリューと共に持て成しの準備を進めていた。レイヤー建造物の建造、アスレチックフィールドの資材運び、ルーテシアが掘って当てた天然の温泉の改造、そして宿泊ロッジの掃除やベットメイキングなど色々やった。前半の施設は訓練、後半の施設は休憩用だ。思えば正直、施設建造や掃除ばかりやっていたと思う。だが、時々かくれんぼやアスレチックフィールドで遊んだりもした。すごく、いい経験になった。

 

それはいいのだが、一つ問題がある。

 

それは……

 

「ねえティエリア、これ着てみて?」

 

ロックオンの一件から、時々自分の部屋へ僕を連れては何かと女性ものの服を着せようとしてくるのだ。

 

どこかの女子高生の制服(○神学園)、ナース服、何所かで見たワインレッドのドレス、ヒラヒラでピンクの服(○リズマイリヤ)など色々持って迫ってくる。そして、そういう時に限ってガリューがいないし、メガーヌに助けを求めたら、逆にルーテシアに協力する始末。

 

「今日は、これよ!」

 

そしてルーテシアが持っているのは、メイド服……しかもミニスカだ。

 

「だから、僕は……!」

 

「うふふふふふふふふ、どうなるか楽しみだわ!」

 

逃げようとする僕に、バインドを掛けるルーテシア。

 

頼む、誰でもいい。

 

この子を、止めてくれええええええええええええええええええええええええええ!!!!

 

 

 

To be continued...




グラハムの番外編でアンケートを取ってみたのですが、変なところで区切ってしまいました。ですが、何の含みもないので以下の5つからお答えください。

①午前0時

②午後5時

③午後9時

④作者の自由でいい

⑤その他(提案を書いてください)

締め切りは、今週の土曜日の10月27日までです。
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