―― 破壊 ――
天気は悪化する一方で、吹雪で視界が損なわれる。
ふと、地面が大きく揺れた。
地震だろうか。いいや、何か大きなものがこちらへと近づいて来ているのだ。
吹雪の向こう、巨大な黒い影が――その太い触手をこちらに向けて振り下ろした。近くの建物が破壊され、暴風と共に瓦礫が飛んできた。
KP「ここで瓦礫を避けれるか判定です。【DEX × 5】か 【回避】 で判定してください」
らいむ「ふっふっふ、戦闘技能は持っていないけどちゃんと回避技能は振ってあるのだ! 回避は任せろー!(コロコロ)なんでえ?!」
らいむ CCB<=68 【回避】 (1D100<=68) > 83 > 失敗
矢部 CCB<=8*5 【DEX × 5】 (1D100<=40) > 30 > 成功
咄嗟に体が動いた矢部と違い、体が硬くなり、視界も不鮮明ならいむは突然の事態に動けず。そのまま瓦礫が直撃するかと思ったところで表がらいむを庇った。
らいむ「きゃあああああ(ころころ)」
つき飛ばされたらいむが転がっていくが、体が硬化しているので無傷で済んだ。瓦礫の破片を浴びた矢部も怪我はなかった。
だが、らいむを庇った表の右足は瓦礫に潰され、その場から動けなくなってしまった。
[ 表 颯 ] HP : 13 → 4
他にも大小さまざまな瓦礫の破片が表に当たっており、体が硬化していなければ今頃死んでいただろう。
KP「『怪物による破壊行動は続いたが、暫くして静寂が戻ってくる。どうやら遠くへ行ったようだ。怪物が去った後の町は酷く荒れ果て、戦後のような有り様だった。』」
KP「荒れ果てた街の様子に、皆さんは強い衝撃を受けます。――というわけでSAN値チェックです」
らいむ「またSAN値チェック来た! でもSANは余裕あるから大丈夫!」
矢部「それじゃあ振るで。(コロコロ)うん、俺は普通に失敗や」
らいむ「私も振るー(コロコロ)あっ」
SAN値チェック(1D3/1D6)
表 1d100<=63 【正気度ロール】 (1D100<=63) > 7 > 成功
矢部 1d100<=35 【正気度ロール】 (1D100<=35) > 73 > 失敗
らいむ 1d100<=69 【正気度ロール】 (1D100<=69) > 98 > 失敗
らいむ「ぎゃあああああああああああああああ!!!! ファンブルしたあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
※SAN値チェックの致命的失敗
・SAN値チェックで致命的失敗をするとSAN値が【最大値分】減少する。
・(1D3/1D6)の場合、6減少となる。
らいむ「ヤバいヤバいヤバい! 6減少だからアイデアロールだ! 一時的狂気になっちゃう!!」
まさかのファンブルに焦りまくるらいむ。INTが高いので【アイデア】が80あるのだ。ほぼ確定で一時的狂気に陥ってしまう。
そんならいむにKPが笑いかけた。
KP「大丈夫ですよ、らいむさん。私の卓だとSAN値チェックのファンブルはないのでただの失敗扱いです」
らいむ「えっ! あ、本当だ、【失敗】になってる! 【致命的失敗】じゃない!」
ダイス結果を見ると確かに【失敗】となっている。
このKPさんの卓では卓ルール(ハウスルール)としてSAN値チェックの致命的失敗はなしとなっていた。
らいむ「助かった~、本当にダメかと思ったよ~」
KP「それでは皆さん、SAN値減少のダイスを振ってください」
らいむ「さすがにここで5や6が出ることは……(コロコロ)よし、回避! 3です!」
矢部「俺は4。ギリギリやけどセーフやな」
KP「はい。全員大丈夫のようですね」
[ 表 颯 ] SAN : 64 → 61
[ 水無月らいむ ] SAN : 69 → 66
[ 矢部 謙二 ] SAN : 35 → 31
らいむ「ファンブルなくて本当に助かったよ~。アイデアロール振ってたら絶対成功していたもん。試しに【アイデア】で振ってみていい?」
KP「いいですよ。どうぞ」
らいむ「それじゃあポチっと。(コロコロ)あっ」
CCB<=80 【アイデア】 (1D100<=80) > 4 > 決定的成功/スペシャル
らいむ「なんでそこでクリティカル出すかなあああああああああ?!」
KP「綺麗な発狂への流れですね(笑)」
らいむ「ファンブルとクリティカルの申し子ですから……。でもここでクリティカルは要らない!!」
らいむはあと一歩というところで宇宙の真理に目覚めそうになったが、卓ルールに救われて九死に一生を得たのだった。
らいむを庇って瓦礫に挟まった表が、そんな少女に声をかけた。
表「らいむちゃん、無事かい?」
らいむ「ちょっと宇宙の真理に目覚めかけたけど無事だよ……、ありがとうお兄さん」
表「それなら良かった。……すみません、先輩。僕はここまでみたいです。どうか僕を置いていってください」
矢部「そんな、表、お前……!」
白く濁った瞳を向けて、表が矢部に後を託す。
硬化の影響で大怪我を負っても痛みはないようだ。ただ、瓦礫に挟まった足を引き抜くのは難しく、硬化が進んでいることもあってもう探索についていくことは難しいだろう。
らいむ「じゃあ私もお兄さんと一緒にここに残るね。雪除けを作ってあげる」
表「いいのかい、らいむちゃん?」
らいむ「うん。お兄さんには庇ってもらったし、私ももう限界だからね」
表と同程度に硬化が進行し、動くのも辛いらいむはここに残ることにした。
瓦礫を動かし、雪除けを作るとそのまま腰を下ろす。
らいむ「雪除け作り終わったらお兄さんの上に座ります」
表「僕の上に座るのかい?!」
らいむ「小さくて軽いしいいでしょー。最後までよろしくー」
表「そうか、らいむちゃんの下に敷かれたまま固まるのか……」
最後の場所を決めてしまった二人に、矢部も決意を固めた。
矢部「わかった。それなら俺は最後まで探索を続けるわ」
らいむ「はーい。電話でお話はできるのかな?」
KP「そうですね。全員の電話は通話可能な状態なので会話は可能です」
らいむ「わかりました。じゃあここから応援しているからやべーおじさんがんばってね!」
矢部「だから矢部のおじさんな?」
仲間たちと別れ、矢部が最期の旅に出る。
それからほどなく、らいむたちの硬化は進行してどんどん体の自由がなくなっていった。
もう自分の意思では、体を動かすことが叶わない。誰かがあなたの四肢を曲げたり、伸ばしたりしようものなら、全身が引き裂かれるような痛みに襲われるだろう。瞳は何も映さず、声をあげることすら困難だった。
表「らいむちゃん、最後までありがとう。先輩、最後まで応援しています……」
そう言い残し、表は何も言わなくなってしまった。
そしてらいむもまた、最後の瞬間が近づいていた。
KP「『とうとう体の自由が完全に奪われたことに気が付くだろう。視界は白を映すばかりで、感じられるのは聴覚だけだ。僅かに、僅かにだが、口はまだ動かせる。』
らいむちゃん、最後に何か言い残すことはありますか?」
らいむ「えー、うーん。最後に言い残すことかー。うーん……」
KPに問いかけられ、しばらく悩むらいむ。何を言えばいいか真剣に考えている。
らいむ「あ、歌を歌っていいですか? 最後に歌いながら固まりたいです。【歌唱】持ってないけど!!!」
なぜか最後の言葉が、歌を歌いたいに変わっていた。
KP「歌ですか? うーん、それなら【幸運】でどれだけ体が動くのかを判定しましょう。それで成功したラオーケーです」
らいむ「おお、【幸運】! 実質ボーナスですね。私の幸運90あるんで!(コロコロ)あああああああ!!!!」
らいむ CCB<=90 【幸運】 (1D100<=90) > 98 > 致命的失敗
らいむ渾身の三度目のファンブル。今回は間違いなく【致命的失敗】だ。三度目の正直である。
らいむ「なんでここでファンブルするのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!! 嘘でしょ?! おかしいって!! いやあああああああああああああああ!!!!!」
KP「(笑)。えー、では……、歌を歌おうとして息を吸い込んだところで、らいむちゃんは固まってしまいました」
らいむ「やだああああああああああ!!! 結局何も歌えてないいいいいいいいいい!!!」
まさにファンブルとクリティカルの申し子の面目躍如である。
主にギャグ的な意味で。
らいむ「ああああああああああ、歌を歌う前に歌う美少女の像になってしまった……」
KP「(笑)。では矢部さん、貴方は最後まで進んだものの、何も見つけることができないまま最後の時を迎えようとしています。何か言い残すことはありますか?」
矢部「え、俺か。そうだなぁ」
らいむ(硬化中)「ふぁんぶるしろー。ふぁんぶるしろー」
KP「(笑)。言葉を残すだけならファンブルはしないですね」
矢部「(笑)。えー、じゃあ、俺もカッコいいポーズを決めて固まります。考える人にしようかな」
KP「わかりました。では【幸運】で判定をお願いします」
らいむ(硬化中)「ふぁんぶるしろー。ふぁんぶるしろー」
矢部「わかりました(笑)」
最後の瞬間とは思えないほど笑いに包まれたまま、矢部がダイスを振る。
矢部 CCB<=40 【幸運】 (1D100<=40) > 93 > 失敗
矢部「あ、失敗です(笑)」
らいむ(硬化中)「やったああああ! 仲間だあああ!!」
KP「えー、では顎に手をやるつもりが、頬にくっつけた状態で固まりました(笑)」
失敗仲間が増えたことを喜ぶらいむと、一緒に笑う矢部とKPさん。
全滅を迎えたとは思えない空気の中で、三人の探索は終わったのだった。
―― 破壊・終わり ――
―― 果て ――
???『なぜ人間がここに居る?』
矢部「え?」
今にも最後の瞬間を迎えようとしていた矢部に、声をかける者がいた。
合成音声のような声が、矢部に話しかけていた。
???『人間の分際で我々のシミュレーターを使うからこうなるのだ。一体何の目的があってこんな未来をシミュレートした?』
矢部「な、なんなんやお前は?! 誰なんや?!」
???『ふむ……。何も知らないようだな。お前たちは利用されているだけやもしれん。何か思い当たることはないか?』
矢部「お、思い当たること……? どういう意味や?」
???『つい最近、特別な機械に触れるといった体験をしていないか?』
矢部「特別な機械? ええと……、もしかして祭りで遊んだゲームのことか?」
???『やはりそうか。その機械が原因だ』
矢部「どういうことや? お前がどうにかしてくれるってことか?! みんなは助かるんか?!」
???:『ふむ、ではお前たちの意識を現実世界に返してやる代わりに、我々に協力してもらおうか。我々のシミュレーターに干渉している人間を探し出す。その者が使っていたパソコンに、これから指定するコードを打ち込んでくれ。何を企んでいるのかは知らないが、ガタノソアが目覚めては厄介だ』
謎の声はお祭りで遊んだVRゲームが原因だと言うと、矢部たちを助ける代わりに協力するように言った。
矢部の脳に長いコードを記憶させると、声はプツンと途切れてしまった。
同時に、ノイズが走る。世界が分解され、崩れていく。
寒く寂しい終末が、やっと終わりを告げたのだ。
―― 現実 ――
矢部「お、おお? おおお? 助かったんか?」
矢部が飛び起きて、装着させられていたVRゴーグルを外す。目の前には驚愕の表情で固まっている男性がいた。
男性「っ! どうして目が覚めたんだ!」
驚愕の表情を浮かべる男の前に、小さな影が降り立った。
らいむ「やっぱり犯人はお前かあああ!!! 死ねええええ!!!!!」
VRゴーグルを投げ捨てたらいむが怒りの形相で男に飛び掛かった。
らいむ「というわでKPさん! 【こぶし】で殴り掛かります!」
KP「はい、判定をどうぞ(笑)」
らいむ CCB<=50 【こぶし(パンチ)】 (1D100<=50) > 56 > 失敗
らいむ「ああ、失敗した!! 避けるなぁ!!」
らいむの攻撃を避けた男性は、壁に立てかけてあった鉄の棒を手に持った。
どうやらトラックの扉は全て閉まっているようだ。中の様子が外に知られることはないだろう。
表「えっと、いったいどういう……?」
らいむ「おじさん、お兄さん! あの男が犯人だから取り押さえて! みんなでボコボコにするよ!」
矢部「お、おう。わかった。俺らに任せい!」
ついに事件の犯人と対面した三人。男との最後の戦いが始まった!