クトゥルフ神話TRPGリプレイ風小説   作:水無月家

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※謎解き編


『果てにて』 ~水無月らいむ視点~

 

  ―― 着信・水無月らいむ視点 ――

 

 

 季節外れの雪、テレビの怪物、固まった人々、空白の一ヶ月。異常な状況に困惑する三人。

 

 

矢部「一体なにがどうなっているんや……」

 

らいむ「え? この三人の共通点って昨日のVRゲームしかないし、犯人は昨日の法被の男じゃないの?」

 

らいむ「たぶんこれシミュレーションの中だよ。昨日のゲームが終わった時から全部フェイク」

 

らいむ「私たちはまだVRゲームに繋がったままで、男が作ったシミュレーションの世界に取り込まれているんじゃないかな」

 

表「……そうかもしれませんね。ただ、まだ情報が足りないと思うし、こんな状況なので一度全員で集合しませんか?」

 

らいむ「はーい。了解。昨日の商店街に向かうね(まあほぼ確実にシミュレーションだろうなー。VRマシンとかどう見ても怪しいし)」

 

 

 初期の初期で実はギミックを見破っていた水無月らいむ。

 商店街へ向かう途中でも考察を重ねていく。

 

 

らいむ「うーん、なんなんだろう? 【オカルト】か【歴史】で判定できますか?」

 

KP「貴方の知識にはこの状況に当てはまるものがないことがわかります」

 

らいむ「あー。やっぱりなー(【医学】でも【オカルト】でも判断できない。やっぱり原因は【クトゥルフ】で確定)」

 

らいむ「(この世界そのものは【シミュレーションの世界】。動かなくなった人は【神話生物】でほぼ確定)」

 

らいむ「(そうするとどっちかだね。【シミュレーションの世界から出る方法を探す】パターンか、それとも【シミュレーションの中で全滅すると次に進む】パターンか)」

 

らいむ「(どっちかだと思うけど、多分【全滅パターン】の方だろうなー)」

 

 

 停止した世界と止まった人々を見て水無月らいむが考える。

 【らいむ】というシナリオの中のキャラクターではなく、その枠組みの外側にいるプレイヤー【水無月】視点も含めたメタ推理と裏読みだ。

 

 

水無月「今回のシナリオは最初に【初心者向け】の【低ロスト】シナリオだとKPさんが言っていた。KPさんが嘘をついている可能性は低い。そういう性格じゃないという【性格読み】を含めて、最初に言っていたことは真実だろう」

 

水無月「となるとこのシナリオは【初心者向け】かつ【低ロスト】になるんだけど、そうするとどう考えても【シティアドベンチャー】は難易度が高い。クローズドサークルならやることが限定されるけど、シティアドベンチャーのシナリオは自由度が高すぎて初心者には向かない」

 

水無月「それなのにシティアドベンチャーを選択したということは、このシナリオは【プレイヤーが何もしなくても解決する】シナリオという可能性が高い」

 

水無月「つまり、この時点で【シミュレーション世界の全滅シナリオ】であり、【全滅するまで話が進まない】という可能性が高い」

 

水無月「もちろん、KPさんが用意したお助けキャラ、表さんが誘導役として謎を解いてくれる可能性もあるけど、たぶんそれはない。まあこれも【性格読み】だけど、クトゥルフの醍醐味の全滅エンドを避けるためにNPCが全部謎を解くなんて展開はしないだろうね」

 

水無月「だからこれから私がすることは、【全滅シナリオなのかどうか見極める】こと。そして万が一【全滅シナリオじゃなかった場合に備えて、情報収集をする】こと。この二つかな」

 

水無月「ただまあ、かなり高い可能性で【全滅シナリオ】だと思うから、気楽に楽しんでみよう」

 

 

 らいむたちが商店街で合流する。

 

らいむ「商店街だー! 昨日のVRゲームのトラックってあります?」

 

KP「見当たりません」

 

らいむ「むむむ。さすがにいないか(KPの反応から男が重要って感じでもない? ゲームから抜け出すために男を探すパターンかと思ったけど、それも違うっぽい?)」

 

 

らいむ「そういえば私たちの姿って一か月前と同じ?」

 

KP「同じですよ」

 

らいむ「髪とか爪とか全部?」

 

KP「はい、一ヶ月前の状態そのままですね」

 

らいむ「ふむふむ。わかりました(一か月前の状態の私たちが突然この世界に現われたわけだね。シミュレーション世界に私たちを放り込んだと考えると辻褄があう)」

 

 

らいむ「そういえばこの固まった人たちって何時頃に固まったかってわかります?」

 

KP「商店街の人たちを見ると、先ほどのシャッターを上げている人や通行人の他に、逆に店を閉めようとして固まっている人の姿も見えます」

 

らいむ「え? じゃあ朝に固まった人と夜に固まった人がそのまま残ってるってこと? 固まった人って移動はできないんですか?」

 

KP「試してみると移動させたり持ち運べることがわかります」

 

らいむ「んー? じゃあ先に固まった人がいるのに、他の人は放置したまま普通に生活を送ったってことになる? なんか変じゃない?(明らかにおかしな点があるのに放置されている。神話生物の影響で認識が誤魔化されているのかもしれないけど、これもシミュレーション世界と考えた方がry)」

 

 

 

らいむ「うーん、病院に行ったら人がいるかな? 固まっている人が運び込まれているかもしれないし」

 

表「ショッピングセンターはどうですか? なんとなく生存者が集まっているイメージがありますよね」

 

らいむ「ああ、ゾンビ映画とかの。じゃあショッピングセンターに行ってみる?(男を追跡するんじゃなくてそっちに誘導するんだ。ならやっぱり犯人の男を追いかけても手がかりがないパターンかな)」

 

 

 

らいむ「道路の様子ってどうなっているんですか? 運転中に固まってしまって事故を起こした車とかあります?」

 

KP「そういう車は見当たらないです。車は全部道路の脇に止まっていて、乗っている人も運転はしていないようです。ただ道路の上にも固まった人たちがいるので移動するならバイクなどじゃないと移動できません」

 

らいむ「ふーん? 車を運転していた人はどうなったのかなー(本当にチグハグだなー。この世界はどういうシミュレーションしてこうなったんだろ? 変な世界)」

 

 

  ―― 頼み ――

 

 

 ショッピングセンターへ移動する時点でシミュレーション世界だというのがほぼ確定になっていた。

 降りしきる雪の中を歩き続け、三人は無事にショッピングセンターに到着したが、やはり生存者はいない。

 

KP「では貴方は刑事の勘で商店街に他の生存者がいないか調べましたが、一人もいないということがわかりました」

 

矢部「あー! 手がかりが手に入らねー!」

 

 

 次に図書館に移動したが、ここでも手がかりらしい手がかりが得られずに時間だけを浪費する。

 

 

KP「図書館に到着しました。何を調べますか」

 

矢部「やっぱり新聞やろ。俺らの記憶にない一ヶ月分の新聞を調べるで」

 

KP「わかりました。すぐに調べられる情報なので判定は不要です。一ヶ月分の新聞を見てみましたが、一週間前に例の怪物が出現するまでは特におかしな点はありません」

 

矢部「なに? 一週間前まで何にも起きてなかったんか?」

 

らいむ「記事の中に人々が固まったって記事や雪が降っているって記事はありますか?」

 

KP「新聞の中にそのような記事はありませんでした」

 

らいむ「ふむふむ。となると人間が固まったのも雪が降り出したのもつい最近なのかな(やっぱり新情報はなしか。固まった人は時間がバラバラだからともかく、雪が強くなっているのは神話生物が接近している影響っぽいんだよね。現在地がわからないし、多分この街にやってくるんだろうね)」

 

 

 ショッピングセンター、図書館と来て新しい手がかりが一つもない。

 

水無月「ショッピングセンターは人が多い所、図書館はいろんな情報が集まるところ。普通のシティアドベンチャーなら真っ先に寄りそうな場所に手がかりがない。これはつまり、普通なら事件解決の手がかりを手に入れることができないってことだね」

 

水無月「どっちもKPの誘導で来たのに情報一切なしだからなー。まあ普通に考えてこれは【全滅シナリオ】確定でしょう。表くんを使って罠に誘導するようなKPさんじゃないし、ここは素直に判断しよう」

 

水無月「さっきのショッピングセンターで生存者が一人もいなかった時点で大分臭かったけど、もう全滅前提で遊んじゃおうっと。なにしようかなー」

 

 

 ショッピングセンター、図書館と経てどんどん気楽になっていく。

 早く全滅しないかなーという気分になっていた。

 

 

青年「僕は間もなく口も利けなくなるでしょう。その前にお願いがあるのです。僕の頭を、ここに居る人たちの頭をこのハンマーで砕いてはくれませんか。僕たちの体が固まってしまっても、脳は死なずに生き続けます。そんな苦しみを味わいたくはありません。僕は死にたい」

 

らいむ「(ふーん、これもNPCかな)」

 

らいむ「(そもそもの疑問なんだけど、【体が固まっても脳は死なずに生き続ける】とか、【苦しみを味わう】とか、それどこ情報なの? ソースを出せ、ソースを)」

 

らいむ「(まあたぶん、この状況を作った犯人が私たちの様子を見るために用意した罠NPCなんだろうけど。犯人が私たちに情報を与えようとしているって考えると、【苦しみ続ける】というのは本当の可能性が高い)」

 

らいむ「(これって【死ぬ】か【永遠に苦しみ続ける】かを選択させようとしているんだよね……。たぶんこのシミュレーションの中で死んだら本当に死ぬから、死ぬって選択はないけど)」

 

 

KP「青年の頼みを聞いてもいいし、断ってもいい。皆さんはどうしますか?」

 

らいむ「やりたくないからやらない!(好き好んでグロ画像見なくていいよね。NPCだし)」

 

 

矢部「どうすりゃええんやろなぁ。打つ手なしや」

 

らいむ「手詰まりだねー。KPさん、【アイデア】か【幸運】で振れますか?」

 

KP「何についてですか?」

 

らいむ「この状況を打破できるような何かがないかなーって」

 

KP「うーん、無理ですね」

 

らいむ「なるほど。やっぱり無理かー(最後に確認しようと思ったけど、やっぱりこれもなかったね。この世界から脱出する方法は存在しません)」

 

 

 

水無月「完全に行き詰っているので、もしもこの世界から脱出するルートが存在するなら【アイデア】か【幸運】でダイスロールをしたはず」

 

水無月「それなのにKPさんがダイスを振ることなく無理と答えたということは、最初からそんな方法は存在しないってこと。まあ、もしもダイスを振ってクリティカルとか出しても困るし、ダイスを振らないのは仕方ない」

 

水無月「でもこれでこのシナリオは【全滅シナリオ】で確定。私たちが全滅したらシミュレーションから目覚めるんだろうなー」

 

水無月「プレイヤーの私はいいけど、【らいむ】はこんなメタ読みできないから、本当だったら迫り来る【終わり】に怯える演技をした方がいいんだろうなぁ」

 

水無月「でも【らいむ】ってPOW18で精神力の化け物なんだよね……。性格的にも終わりを迎えると分かってて笑って死ぬタイプだし、このままでいいかな?」

 

 

 

  ―― 破壊 ――

 

 

らいむ「じゃあ私もお兄さんと一緒にここに残るね。雪除けを作ってあげる」

 

表「いいのかい、らいむちゃん?」

 

らいむ「うん。お兄さんには庇ってもらったし、私ももう限界だからね(矢部さんは一人でも自殺しそうにないし、というか【自殺】っていう選択肢をすっかり忘れている気がする。性格的に)」

 

らいむ「(ここで表さんを放置して万が一自殺とかされても後味が悪いんだよね。全員生還エンドのためにこっちに残って私が見ておこう。まあ表さんも自殺しそうにないけど、万が一ダイスとかで決められたら困る)」

 

 実は青年の頼みを断る時にダイスを振って決めていたのでちょっと怪しんでいた。

 

らいむ「(矢部さんへの助言は……下手なこと言わない方がいいか。多分最後まで生き残って足掻いてくれるから、そのまま生還できるはず。余計なことを言うのは止めよう。なにか歌でも歌おうかなー)」

 

 

 

 

水無月らいむ「(とうとう終わりかぁ。でも最後の最後でファンブルって酷くない?)」

 

水無月らいむ「(矢部さんも最後まで警察官だったなぁ。お疲れ様でした)」

 

 

 

  ―― 果て ――

 

 

水無月らいむ「やっぱり来た! ずっと待ってたよ!!!」

 

水無月らいむ「よし、よし、よし!!!」

 

 

 

  ―― 現実 ――

 

 

水無月らいむ「やっぱり犯人はお前かあああ!!! 死ねええええ!!!!!」

 

 

 長い間待ち続けた瞬間が、ついに訪れた。

 

 

水無月らいむ「おじさん、お兄さん! あの男が犯人だから取り押さえて! みんなでボコボコにするよ!」

 

矢部「お、おう。わかった。俺らに任せい!」

 

 

 ここで会ったが百年目。今こそこの恨みをぶつけてやると、水無月らいむは男を睨みつけた。

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