ポケモンの無い世界に迷い込んだポケモン界の女性 作:メリルメリルメリル
誤字報告ありがとうございます!
広い広い牧場。
そう表現されてしまうとそんなに広いだろうか?と疑問に思う程度の広さなのだが、実際大きなスポーツ大会を開くような施設を一回り広くしたくらいはある牧場。
ペットのココロ(ウインディ)をモンスターボールに入れた赤司は電車とバスを使用し2時間と少しの時間をかけそんな牧場へと到着した。
「うわぁ……本当にポケモン多いな」
「バウ」
この言葉を聞いていた何人かは同じ気持ちだがそれ以上に一際大きいポケモン連れておいて何を言っているんだと思ったことだろう。
現在この場所には13人程集まっており全員が全員、それぞれ多種多様なポケモンを側に置いていた。
「うわー!ウィンディーだ!」
「ナンジャワレェ!?」
「ん?」
「あの!ウィンディー触っていいですか!?」
「ウィンディーじゃなくてウインディだけど、ココロどうする?」
「わん!」
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
「わうぅ!?」
「オワッタワ!」
参加者達の中でも一際テンションの高い中学生入ったばかりくらいの少女は喧しい鳥ポケモン、イキリンコを頭に乗せ目を輝かせてウインディに触っていいか聞いてきた。
なので許可を出すと触るを通り越しダイブして吸うという行動に出て流石のココロもビビリ、イキリンコはどこか聞き覚えのある音程で的確な言葉選びをしながらダイブ直前に飛んで緊急離脱した。
「ありがとうございました!
あなたウインディを連れてるって事は『レッドフラット』さんだよね!
カミラさんが合いたがってたけど遠すぎて諦めてた人!
私は『モコモコポテト』!
最近だとカミラさんにヌオーの事を相談したんだけどわかる?」
「あ、知ってる。ヌオーって水地面複合タイプのポケモンだよね?」
「そう!ヌオーのサンちゃんです!
ちなみに牧場の人を除いて私が唯一ポケモンを3匹持ってるんだ!」
「そりゃ牧場の人と比べたら……ミルタンク多いなぁ」
「うん!沢山いるよね!」
参加者は募集をかけた牧場の人が30歳くらいでたぶんこの人が最高年齢という印象。
だいたいが20代であり、俺やモコモコポテトさんのような学生は他に2人と少なかった。
モコモコポテトさんは保護者同伴だったようでポケモンを所持していない保護者を入れると最高年齢が上がる感じだった。
お互いにアカウント名で自己紹介はするけれど、このイベントでポケモンかぶりを起こしたのは3人だけだったのでそれ以外は持っているポケモンの人と呼ぶ方がポケモンの名前やタイプなんかを覚えやすいだろうと話しが纏まった。
カミラさんの反応があまりにも印象的だったせいでウインディの人で俺事レッドフラットというアカウント名は参加者のほとんどが最初から覚えていてほんの少し居心地が悪かった。
だがそう思うのは最初だけで実際にイベントが始まるとなるとそんな気持ちはすぐに吹き飛んだ。
牧場の人でありデンリュウの人が何かあったときのために獣医の人を呼んでいてくれたのと、参加者の中にも獣医の人がいたらしく「ポケモン相手じゃどこまで通じるかわからないけれど怪我の手当はできる」というのが2人の獣医の意見が一致している部分だった。
参加者の方の獣医の人はブラッキーの人でカミラさんに毒を持っているけれどちゃんと向き合って大事にしてあげてと言われていた人だ。
話し合いの結果最初はちっちゃくて危なそうじゃないポケモン同士からにしようという事でわりとすぐにまとまり、チョロネコ対アチャモになった。
フィールドはミルタンク達が作るのを手伝ってくれたらしいリングだ。
そのリングは駐車場としても使われる広いスペースだったらしく、そのスペースの半分程を堀り平坦にし、掘り返した土は壁としてスペースを囲むようにしたのだと説明してくれる。
そしてこのスペースを作るのに重機の類いは一切使用しておらずミルタンク達の力があってこそなのだと言う。
これだけでもポケモンという生き物の凄さがわかる。
最終確認として公式戦のルール説明を行ってからポケモンバトルが開始された。
フィールドのおかげもあって引火の心配もなくアチャモが火の粉を沢山使っていたが途中から乱れ引っ掻きで押されてチョロネコの勝利。
あまりに勢い良く引っ掻かれ皆してアチャモの心配したが、引っ掻く勢いに比べたら怪我らしい怪我は見当たらず、ミルタンクが提供してきた牛乳?を飲むとあっという間に回復した。
その様子に安堵したのか次からのバトルは多少「不味いか?」と思うような当たり方をしても反応する者が減り、配信でカミラさんが言っていたようにポケモン版の格闘技なのだと受け入れるのにあまり時間はかからなかった。
だが、カミラさんに習って素人がポケモントレーナーの真似事をした結果いろんな問題が発生した。
例えば、ブラッキーの人のブラッキーは受け止める気マンマンでどっしりと構えていたところに「避けて!」と指示が飛んだもので「えっ?」と言いたげにブラッキーが振り向いている隙にワンパチのスパークがクリーンヒットしてしまう。
例えば、ペラップの人が自分のペラップに突くと指示をしたのだけど、その時ホーホーの突進が迫ってきていたという局面。
ホーホーは突進を止めて技を突くに変更し、それを見たペラップはホーホーの事を「は?お前何してんの?」と言いたげに無防備に見つめ突くが命中し、命中させたホーホーは興奮し過ぎで指示を聞けない状態となってしまいバトル中断という結果になったりとか本当に沢山の問題が発生した。
そんな様子を見続けた参加者は(これカミラさん必要だわ)と思った局面が絶対に一度はあっただろう。
「次はウインディの人!」
「あ、はーい!……ココロー!戻ってこーい!」
ようやく自分達の番が来てココロを呼ぶ。
ココロの奴、昔は散歩中走り出す事が結構あって、ウインディになってからせっかく元気になったのに全然走らないな~とか思ってたけど、牧場を走り回るココロ見てたら走らない理由が良くわかった。
だってさ、物凄く軽やかな動きで走っているくせして思わずチーターかよって言いたくなるスピードで駆け回るんだぞ。
もし最初からこの速度を知っていたらリードつけて散歩しようなんて自殺行為できなかった。
赤司がウインディの足の速さを知らなかったのはカミラが教えていなかったからであり、カミラも『ウインディにリードつけて散歩する』なんてあまりにもあり得ない行動が予想できなかったのでポケモンが常識の世界とポケモンが存在しない世界の大き過ぎる認識の違いによって起きてしまった事だ。
これでカミラを責めるのはあまりにも理不尽すぎると言える。
例えるなら、爪楊枝を使った人に爪楊枝の製造会社が『この爪楊枝から木の匂いがするんだが、おたくいったいどういう管理してるんだ?』とクレームを入れられてしまうレベルの理不尽だ。
サバンナを駆け回るチーターのような猛スピードで戻ってきたココロは減速する様子がなかったのに近くに来た瞬間ビタッと止まる。
それも土を巻き上げるなんてこともなく、とても綺麗に座った体制………なのは良いのだけど、「はっはっ」と犬みたいに舌を出している姿を見てるとやっぱデカイ犬なんだなと思わされながら一度ボールに戻す。
そう思ったのは対戦相手も同じらしく軽い雑談をしてからポケモンバトルに入る。
「イワークの人対ウインディの人の試合を始めます!」
「いけ、ココロ」
「出てこいイワーク」
「………デカ過ぎるだろ」
あまりにも巨大なイワークというポケモンに皆が黙ってしまい、イワークを出した本人も物凄く申し訳無さそうにしている。
「これ、何の動物が進化したんです?」
「元野生のポケモンで最初からイワークだった。職場の近くで痒そうに体を岩に擦り付けていたのでデッキブラシで擦ってあげたら懐かれまして……」
イワークの人の説明に「進化じゃない!?」「勇者かよ……」といった言葉が外野から飛ぶ。
その中で「さわってみたい」と前のめりになっているヌオーの人ことモコモコポテトは「流石にあれはやめて」と親から言われてしまっていた。
「でもうちのココロはやる気マンマンなんで、やりましょう」
「ガウッ!」
「やるんですか!?」
「出したのそっちだよな!?」
確かに大きいけれどなんというか、ココロがウインディの姿、炎が生物の形に変化し獣になるなんてあり得ない現象を目の前で見ちゃったし、そんなココロならなんとかなりそうな気がしてポケモンバトルを始めることした。
アレだ、俺はココロの事を漫画ネタだけどたぶんメラメラの実でも食べた奴ってわりと本気で思ってるのかもしれない。
ただ、不死身と勘違いして……なんだっけ?
とにかく無敵だと思ってたら即死トラップで死ぬこともあるから気を付けないといけないがたぶん大丈夫だろう。
不死身と勘違いして……した?……駄目だこっから先のセリフが思い出せない。セリフのニュアンスはわかるんだが………
「ではあらためて、試合開始!」
こうしてポケモンバトルが開始し、予想通りというかウインディであるココロが素早い動きで翻弄し、あまりに素早くて俺は指示を出せない程だ。
一応「相手は岩タイプだから炎タイプ技の火炎車じゃなくて悪タイプ技の噛み付くで攻撃だ」くらいの指示を出すことができたくらいだ。
そして初めてのバトルで熱くなったのかココロは……
「ちょっ!」
「ストップ!ストーップ!!」
「ゆっくり!ゆっくりおろして!」
なんと噛み付いたイワークを、魚を釣り上げる時の釣り竿の引っ張るような持ち上げ方をして本当にイワークの全身をふわりと持ち上げてしまい危な過ぎと本日何度目かのバトル中断で決着となった。
その後時間が余っているし元気が有り余っている子達でもう一勝負するという話になったのだけど、前の試合でイワークを持ち上げていたウインディをヌオーが押さえつけ、押さえつけられているウインディは本気で脱出ができないのか「キュウーン」と情けない鳴き声を上げているという光景に何人か宇宙猫みたいな顔をしていた。
そしてヌオーに限らずイワークを持ち上げられるポケモンはわりと多いということも今回のイベントで大きな収穫になったと思う。
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牧場で開催された初のポケモンバトルのイベントは危なっかしいと感じる部分が多々あったものの無事に終了した。
解散少し前に主催者がメガホンを取り最後の呼びかけと質問をする。
「答えたくなければそれで構いません、近くに住んでいる人がいたなら連絡先を交換するのも良いと思いまして。
ではまず、大阪辺り住んでいる人手を上げてください」
と、順番に纏め上げられていき、兵庫住みの赤司は最初の大阪の枠組みとして分けられた。
電車乗って兵庫から大阪まで30分くらいだし実質大阪。
家からだと1時間かかるが大阪。
大阪メンバーで連絡先を交換したのはペラップの人、エモンガの人、イワークの人、カクレオンの人、ミミロルの人、ヌオーの人だ。
ヌオーの人は保護者の方の連絡先も貰い、基本的に保護者の方へ送る形になった。
ヌオーの人中学1年っていうしそりゃそうだよなと皆了承して解散となった。
今回のイベントの様子は録画されており、その映像は当然のようにカミラさんに送られた。
『え?経験者0でポケモンバトルイベント?だ、大丈夫だった???
そんなイベントがあった事は凄く嬉しいのだけど、興奮しすぎて言う事聞けなくなった子が出たり、体格がガラリと変わったばかりで変な転び方したり、ポケパワーの消耗具合がわからなくて唐突に立てなくなった子が画面外にいたりとかしない???』
おっかなびっくりといった様子で再生をし、映像が始まってからは終始微笑ましいモノを見守るような態度だったのにイワークが持ち上がったところで止めに入ろうと近付く人を見て思わず小さな悲鳴を上げていたのが印象的だった。
やっぱりあの場面はベテランポケモントレーナーの目線でも危なかったんだな……
あと、流石というか何というか、カミラさんの上げた心配事は悪いことに全て的中していた。
マジモンの経験者ってスゲー。