ポケモンの無い世界に迷い込んだポケモン界の女性   作:メリルメリルメリル

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大きく動く

 

 沢山いたヤミカラス達には悪いと思いつつもバラバラに飛ばれると困るので『ぜったいれいど』っぽい感じに凍らせる事に特化するよう改良に改良を重ねた『ふぶき』を披露するも練度不足が目立ち納得のできる出来栄えじゃなくてほんのちょっぴりションボリ気分だねえ。

 

 ピジョットでの飛行中に黒い塊を偶然目にできたのはラッキーだったよ。

 気付かれないよう離れた位置に降りて移動用の装備を脱ぎ捨てすぐに行動に移り、この場所に来るまでの間観察をしつつチマチマと削りながら慎重に群れを統率しているボスを探していた。

 だからこう、纏めてブワッ!とヤミカラス達を無力化できたのはスカッとした。

 

「スゲェ……って、何でカミラさんが?東京の方じゃ?」

「ふふ、ウチの子にはとびっきり速い子がいるからね。具体的にマッハ2くらいは出るんだよ~」

 

 あらら、この表情信じていないね。

 信じていないというよりも飲み込めてないだけな気がするけれども。

 

 ウインディを連れていてレッドフラットくんと呼んでも否定しないところから彼がウチによく質問してくれるレッドフラットくん本人で間違いなさそうだ。

 彼だからというわけではないけれど、可愛い生徒のピンチに間に合って本当に良かったよ。

 ウチの世界の話しだけれど最近じゃリモートワークでポケモンの授業をしている学校も少なくないって聞くし、レッドフラット君はウチの中では教員と生徒の関係って呼べる感じになっている。

 

 幼い頃ポケモンが大好き過ぎた故に無謀なことをしてポケモン恐怖症に陥るなんて事例は今時世界のニュース履歴なんかを見れば案外珍しくない事件だとわかるくらいだからね。

 せっかくポケモンに心を開いているウチの生徒がそんな事になってしまうと先生は悲しいよ。

 そろそろ取ろうかなと考えていた時期にこの世界に来ちゃったからちゃんとした教員免許は持っていないのだけれども……

 

「ク、クワァーッ!!!」

 

 上空から焦った様子で一匹のドンカラスが叫ぶ。

 言葉はわからないのだけど今のはなんて言われたかわかる。

 

「化物め!だってさ、良かったねグレイシア」

「グレイシィ」

 

 トレーナーと共に極限まで鍛え抜いたポケモンにとって『化物め!』とか『ポケモン止めてる動きをするな!』って言葉は褒め言葉以外のなんでもないからね。

 なので満面な笑みでお礼の言葉を口にするグレイシアだけど、ドンカラス達はそれだけで気圧されている。

 

「ク、クワァ、クワワァー!」

「グレシィ、グレ、グレシィ」

「この子が言っている通りちゃんと見逃すよ。

 君達が何でここを襲ったのかも大体だけどわかるしね」

 

 色々と複雑な事情があるのでしょうけど一番大きな理由は食糧事情でしょうね。

 ドリュウズとドンカラスなんて野生で一緒に行動する事はまずあり得ない組み合わせが手を組んでいるところを見るに他のポケモンも彼等に協力、あるいは守ってもらっている関係になっているはず。

 だとすれば『でんき』タイプの子を筆頭に食糧事情に大きな問題が発生しているはずだし、いろんな物で溢れ返っている大きな駅周辺を狙えば最悪物資を奪うだけ奪って領土は捨てれば最高の時間稼ぎにすることもできるだろうからね。

 

「(や~っぱり何かおかしいよね、この子達。

 いくら頭が良かろうと野生のポケモンは野生のポケモン。

 種族全体で貪欲な人間と違い、基本的に彼等ポケモンは必要以上にモノを欲したりしないから後世のために書物で知識を残そうだとか、そういったことをしない。

 だというのに、その戦術知識をいったいどこで手に入れたのだろう?)」

 

 考え事をしていると背後にいるドンカラスが岩でも落としたのだろうね。

 そんな感じの音がして、前方にいる2体のドンカラスが同時にくるのでウチは自分の頬に指を差しながら短く指示を口にする。

 

「アイアンテール、出て取り押さえる」

 

 指でカウントし、1でドサイドンのボールを投げ、0でウチは後ろに、グレイシアはウチの頬があった辺りを狙って飛ぶ。

 

 ウチのいた付近から飛び出したドリュウズは空中という回避不能な場所、『まもる』の発動も間に合わないタイミングでアイアンテールが炸裂し、

 ドリュウズにウチを襲わせ動揺することで隙を見せるであろうグレイシアを狙うドンカラスの前に現れた巨大な壁、ドサイドンが出現し受け止めると一切のダメージを受けた様子もなくドンカラスを2匹纏めてにその剛腕で地面へと抑えつけた。

 

「圧倒的に経験が不足しているね。せっかくだし良いことを教えてあげる。

 どんなに強い手でも一度見せたからにはそう何度も連続して使うものじゃないよ。

 既に見せたのなら相手がその手を忘れてしまうような状況に追い込んで使うのが最も効果的、なんせ知っていたのに許してしまった事への動揺が生まれるからね。

 あくまでもそれが理想という話だけなのだけれど」

 

 ドリュウズなんかは地中にいるのだと認識してしまえば特徴的な小さな揺れでどれくらい近付いているかわかるので対処は簡単だし、ドンカラスもペアと下手に速度を合わせているせいで右の子の方が頭一つ速いというのに生かせていない。

 何よりも羽ばたく飛び方ばかりで風を切る飛び方に慣れていないのか突撃するのに肝心な初速がまるで足りておらず止まって見えてしまうよ。

 

「(それでもやっぱり厄介だよね。何がって、この子らに上下関係が無いから。

 しかしそれがこの子達から感じる違和感をより強くしている。

 この子らは野生のポケモンで、その個体の度量で許される範囲は大きく異なるものの明確な上下関係が存在しているはず。 だというのに、今まで指示を出していたのとは別の個体。

 指示を出すのに都合の良い場所にいるからという理由でこうもスムーズに主導権を渡せる?

 野生のポケモンが? もしかしたら彼等のボスは…………………)」

「グレシィ」

「おっと、ごめんごめん。少し考え事をしていたよ。ドサイドン離してあげて」

 

 ドサイドンに開放されたドンカラスは何故開放されたのかわからないという様子で………

 う~ん、ちょっとこの子達覚悟決まりすぎじゃない?

 もしかしてウチが想定しているよりも遥かにポケモン達の状況は悪い?

 

「さっきも言ったけれど君達が帰ってくれるならウチ達は何もしないよ」

「ドリュ!ドリューズ!」

「クワァー!」

 

 ウチの言葉に強く反発するようにドリュウズが何かを言い出し、それをドンカラスが無理矢理黙らせる。

 おそらく言ってはいけない事を発言してしまい止めたといったところなのだろうと、グレイシアに翻訳を頼む。

 翻訳も当然黙らされた所で止まっているものの何を言おうとしたか十分に察することのできる内容であり、彼等が何故こんなにも覚悟が決まっていたのか理解できた。

 

「なるほど……つまり君達は既に1ヶ所人間の生活圏を制圧していてウチらという敵を知ってしまったから、そこにいる仲間のために引き返す事ができなくなったということか………」

 

 これもしかしてやっちゃったかなと思いながらわざと口にすれば案の定だよ。

 

 ドリュウズがウチに飛び掛かり攻撃をしかけ、ドサイドンが間に入りガードする。

 ドンカラス達が止めようと叫ぶもドリュウズは暴れる事を止めない。

 先程のチームワークはいったい何処へ行ったのか、しかし野生のポケモンらしいその行動は今までの中で最も力強さを感じた。

 

「ドサイドン、彼が戦闘不能にならない程度に、発散できるよう相手をしてあげて」

「グルウゥ……ガアアアア!!!」

 

 ドリュウズは技を使うがドサイドンは基本的に受けに徹し、技を使用しない打撃のみを放つその光景を見て面倒見の良い彼なら上手くやってくれるだろうと信じてドンカラス達へと向き直る。

 

「安心して。……と言っても無理な話だよね。

 これはあくまでもウチの考え方なのだけど、既に制圧し終えているのならそこはもう君達ポケモンの場所だとウチは信じるよ。

 ただ、今回この場所はまだ人間の場所だったから争いを止めるためにウチが介入しただけで、人間が君たちから奪う事を目的に行動していれば参加しないし、やり過ぎていると感じれば止めに入っていたよ」

 

 できるだけ優しい声色でそう語りかけるけれどドンカラス達は当然警戒を解かない。

 

 ならば仕方ない、ここは久しぶりに当たって砕けろ精神で人間のウチが直接ぶつかって怒りを受け止める感じで行こう。

 ウチのオーダイル、当時はアリゲイツもウチが自らの肉体で真正面からぶつかり合って仲間にしたしその時以来で本当に久しぶり~…………でもなったなぁ。

 だってアーマルドに受け身の取り方教えてあげるのにアーマルド本人にウチを投げて貰ったのもたぶん同じ枠組みに入るだろうからわりと最近もやっていたよ。

 

「………言いたいことがあるのならハッキリ言ってみな?」

「グレシィ」

 

 なにが「別に」なんだい?

 だったらその「またかよ」と言いたげな目は何って、ドサイドンも相手しながら似たような目をコッチ向けないでくれるかな!?

 

「ウチは最善だと思ってしてるのに酷いと思わない? ねえレッドフラットくん?」

「え?えっと……何するつもりですか?」

「ポケモンにも、いえ、ポケモンだからこそ通じやすい素晴らしいコミュニケーション方法だよ。

 裸の付き合いって文化を知っているかい?それと似たようなものだよ。素敵でしょ?」

 

 おっと、今度は何か嫌な予感がしているのか顔を引きつらせている。

 その勘は正しいから大切にしてもらいたいね。

 これからするのはカントー人やリュウの一族が好んでする方法で危険過ぎるから素人は絶対に真似しちゃ駄目だよ。

 

 ………カントー人と言えば、レッドフラットくん、良く見ると心なしか顔つきというかなんというか、リビングレジェンドレッドに似てる?

 

「(才能という面でもそっくり過ぎるし……)」

 

 ウチの中で色々と吹っ切れたと思った矢先、気になる事が重なってきている気がする。

 

 しかし今はドンカラス達の方が重要だ。

 彼等に信じてもらえるよう感情を物理的に受け止めるための準備として、万が一ボールが壊れないようにベルトだけ外そうとした時の事だった。

 

『やっと見つけた!この世界で最強のトレーナー!』

 

 この場にいる全員の脳内に言葉が届き皆が動きを止める。

 ウチのランクルスを含め一部のポケモンが鍛錬次第で使用できるようになる技術であるテレパシーだと判断し、一瞬だけ警戒したものの敵意を感じないので自然体に戻して周囲を見渡す。

 

「誰?どこに隠れているんだい?」

『あぁ、すまない。隠れているつもりはなかったんだ。

 ただ今はかなり不安定な状態で力を使わないと見えかったみたいだね。

 今出るから待って』

 

 そう言うとココロくんの後ろに光が出現し皆がそちらに視線を向け、思った以上に近い場所に現れた謎の光の球体にビックリしたココロくんは思わず悲鳴を上げていた。

 気配がとても薄い光の球体が至近距離にいきなり現れたのだから仕方ないね。

 

「えっと……それが君の姿なのかな?」

『ごめん、違うんだけど今はこれ以上こっちに力を割く余裕がないんだ』

 

 ううむ……ウチの目には光の球体にしか見えないのだけれど声を出す事ができるみたいでテレパシーと合わせて二重に聞こえて若干聞き取りにくいね。

 

『時間がないから手短に話すことを許して。 そして謝罪しなくてはならない事がある。

 この現象、世界にポケモンがあふれるように「レッフラくーん!!!」ったのは……』

 

 向かってきていたのは把握していたけれどナイスタイミング。

 ポケモンを連れた人達13人とそれ以外、警察と報道関係者かな?合わせて20人間の程の団体がこのタイミングで到着する。

 慎重に進んではいたのだろうけれど途中で冷気に気付き、そして氷の世界へと変貌している異常事態に足を早めたのだろうね。

 

「寒いしみんな凍ってるし何をどうしたの!?」

「エモンガ……トビくん?(あれ?だとしたら彼女がサンカク丸さん?

 てっきり名前からして男性だと思ってたけど女性だったんだね)」

「え?うわ!生カミラさんだ!?なんでここにって、まさかこれやったのグレイシアちゃん!?」

「正解だよ~」

『時間が無いから話しを聞いて!』

 

 本当に余裕が無いようで新たに増えた人達が唐突のテレパシー付きの声にざわつくも無視して話を続ける。

 

『まず、謝罪しなくてはならないことがある。

 それはこの世界で今起きている現象、数多の世界の一部がこの世界に吸収されている現象は僕達がアイツを取り逃したから起きているんだ』

 

 数多の世界?ウチのいた海底洞窟だけじゃなくて他にもこの世界に移動した場所があったのか。

 他の人も数多の世界と言われてそんなのある?という反応をしている。

 

「アイツって?」

『今のアイツを何て呼んで良いかわからない。

 アイツはバラバラになって空間の狭間に溶けて消えてしまった瞬間、この現象が発生し始めた。

 もうアイツは存在する筈がないというのに!本当に最悪の置き土産だよ!』

 

 言葉の節々から強い怒りを感じて名前すら呼びたくない様子だ。

 気にはなるものの時間が無い様子だし他に優先して知りたいことを聞くべきだろう。

 

「それで、この現象を止めたり解決する手段は?」

『すまない、現状その手段は存在しない。

 僕達にできることはこの現象を可能な限り食い止める事だけだったのだけれど、それももうできそうにない』

「今まではできていたんだ……そんな事ができそうな存在はパルキア様くらいしかウチはしらないのだけど……」

『ん?君は彼の知り合いなのかい?』

「………え?」

『だとすれば話は早い。彼は僕らの協力者で、今回の事で一番怒っているのは彼だからね』

「それは……まあ、あの方ならそうでしょうけれどなんて???」

『彼は僕らの協力者だと言ったんだ。それで……ん?あぁ、彼が協力者だと証明するためにそちらに行ってくれるらしい。

 ただ、彼本人は手を離せないので違う存在になるけれど……』

 

 光がそう言うと、空が歪み、そして………

 

「グギュグバァッ!!!」

「…………ディアルガ様?」

 

 空からウチらを見下ろす形で、映像越しでしか見たことのないシンオウ神話の神、ディアルガが降臨した。

 

 あまりの驚愕で停止していたカミラの中で様々な感情がゆっくりと動き、その事に気づくと同時に理性は決壊した。

 頭が焼け切れるくらい思考を巡らせ、巡らせ過ぎて自分自身でも今何を考えているのかわからなくなってしまう、その中で徐々に自身の胸元へと隠した切り札へ手を伸ばし………

 

「あ、あぁ……」

 

 カミラをじっと見つめていたディアルガが出てきた時と同じように消えてしまう。

 

「くぅううんぅうぅ~~~~~ッ!!!」

 

 目の前で姿を消した衝撃に声にならない悲鳴を上げ、自分の手が痛くなるほど強く握り締める。

 強く握りしめた痛みでようやく無意識に切り札へと触れていた事に気が付き、それによって自分が何をしようとしていたか理解してしまい、自分がしようとした行動の言い訳が脳内で光の速さで過ぎ去り宇宙へと放り出されるような感覚に陥る。

 

『だ……大丈夫かな?』

「………………ええ、大丈夫ですよ、だから話を続けて」

『な、泣いているじゃないか』

「えぇ、えぇ……良いものをみせてもらいありがとうございます。ですので話を続けてください」

 

 目元を押さえただ話を続けてくださいとしか言えない。

 彼は凄く優しい性格なのか、『大丈夫そうには見えないけれど……』と心配そうにしながらも話を続けてくれる。

 

『いきなり言われても信じられないだろうけれど、これからこの星は倍くらいに大きくなる。

 それは他の世界から様々の場所を飲み込む影響でそうなるのだけど、その時に本来なら強い地震が起こる。

 それこそ地割れや大きな津波が起きてしまうほどの。

 今までは飲み込まれないようにしていたけれど、それももう限界だ。

 だから僕達は可能な限り分散して強い地震を起こさないようにする。

 問題は世界に変化が起こる影響で他にどんな異常事態が起こるかわからないこと。

 既に何か起きているはずだけれど心当たりはあるかい?』

 

 光の球体はカミラの方を向いて話していると、何故かはわからないけれどなんとなくわかるのだが、肝心なカミラは話は聞いている(本当に聞いてるだけで理解できているか怪しい)様子なのだが、聞くだけで返事しようとしても感情がブレすぎて上手く言葉が話せない。

 なのでサンカク丸が手を挙げる。

 

「はいはーい!私達のペットがポケモンに進化しました!」

『なるほど……ならそれに似た影響も出るかもしれない。

 他にもあるだろうけれど、何が起こるか本当に予想ができない。

 その時に優れた操り人であるトレーナー……彼女に対処を任せたかったのだけど………』

「少し待って……スウウウウウゥゥゥ…………………よし、いつでもいける」

 

 ボールを取り出し、祈るような形で両手で握り大きく息を吸う。

 それだけでカミラが纏う空気がガラリと変わり、先程までカミラの情緒に引いていた者達は次はその威圧感すら感じる空気に気圧され無意識に一歩引いてしまう。

 

 この行動はカミラの中にあるスイッチング・ウィンバックの方法の1つであり、その中でも比較的簡単な方法なのだがコレをすると問答無用で強い闘志が溢れ出てしまう公式試合用の精神回復術。

 実際今のように周囲の人にも威圧感を与えてしまう程の効力があるため普段は周囲の迷惑なので絶対に使用しない方法で復帰した。

 

『もう少し早くそれしてほしかったな……』

「ある程度感情を爆発させとかなきゃ心の奥で燻り続けてココゾの時に大きな足枷になりかねないだろう?」

『……なんか凄くプロっぽい』

「プロっぽいじゃなくてプロだよ。チャンピオンリーグベスト4入賞」

『よくわからないけど凄そうだ。

 どちらにしろ君にしか頼めない。すぐにでも押さえつけていたモノを減らしたいんだ。

 本当に悪いのだけど、君達は説明を聞いていたことだしここですぐにでも起こさせてもらうね!

 それも押さえつけていた分最初はどうしても強く揺れると思う!』

「は?」

 

 その言葉は誰が発したか、もしかしたら気付いていないだけでカミラが自分で言ったのかもしれない。

 

 疑問符に反応する事無く光の球体は消え、大きな地震が起こる。

 

「っ!? 戻れ! テレキネシス!……くっ、サイコキネシス!」

 

 少し離れた見下ろせる高い位置に隠れてサポートして貰っていたランクルスをボールに戻し、再び近くに出してテレキネシスを指示し、この場の全員を浮かび上がらせる事で転倒等の危険から免れる。

 しかし予想以上に揺れが強く、大量のヤミカラスが暴れていた影響でヒビの入っていたガラスが割れ、ビルの上にあった大きな広告と一緒に降り注ぐのをサイコキネシスで止めた。

 

「(ごめん、無茶させているのはわかっている。でも耐えて!)

 ステルスロック!橋掛け!」

 

 ステルスロックが空中に浮遊し、そのステルスロック同士を繋げるように大きな氷の橋を作らせる事で地震の影響を受けない浮かぶ足場が完成する。

 

「サイコキネシス!」

 

 これでサイコキネシスを他の事に使用する事ができるので凍ってしまって動けないヤミカラス達を守る事に専念させる。

 

 少し余裕ができたという時にソレは起きた。

 

 光の球体がいた辺りの地面から、まるで水滴が落ち波紋が広がるかのように真っ白い光が広がりアスファルトが、ビルが、地面に接触している全てが真っ白に輝きだし……

 

「まもる!」

 

 ココドラを除いた全てのボールを投げ全員に『まもる』を使用させる。

 

 そして全てが光に飲み込まれた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視界が晴れる。

 光に飲み込まれた時間はさほど長くは無かった。

 今までカミラ達は間違いなく駅周辺のビルが建ち並ぶ広い空間にいた。

 

 だが、今いる場所は美しい花畑のある草原だった。

 

「あ~あ……うん、さっきの話し本当だったみたいだね。

 ディアルガ様が出てきた時点で信じてはいたんだけど実際に起こるとじゃ全然違うね」

 

 周囲の確認をすればこの草原は小さな島のようで湖の真ん中にポツンとある場所のようだ。

 狭いと言っても端の方をぐるりと歩けば30分~1時間程かかるような印象を受ける。

 湖の遙か遠くの陸は不自然に途切れた線路や舗装された道を確認することができ、そこに見覚えのあるビルと、そのビルの近くに落下し壊れた巨大な広告を確認できた。

 その広告には見覚えがあり、降り注ぐように落ちてきたガラス片に混ざって落ちてきた広告と同じモノでサイコキネシスでどけた時と同じ状態で置かれてある。

 

 この場所はまるで、さっきまでいた場所の大地を引き裂くように押し広げる事で無理矢理作った穴をこの湖に浮かぶ小さな島という蓋で埋めたかのような状態になっている。

 理解できたのは地形を把握する力に優れているのと、カミラの視力が常人離れした5.2もあるのが大きな理由で例え視力が2.5あったとしてもそれが広告だと判別することはできないだろう。

 

「みんな無事かい~?」

 

 そう言いながら、ステルスロックを基盤に突貫で作った氷の橋から飛び降りる。

 

「え?ちょっ!?」

 

 着地した衝撃でカミラのズボンがずり落ちそうになり、慌てて掴む事で難を逃れる。

 

「はぁ~、ビックリした」

「……え?え、あ、あの、カミラさん?」

「ん~?なあに?」

「あ、カミラさんなのですか……その、カミラさん、もしかして、その、ポケモンになって、ません???」

「………………えぇ?いやいや何を……」

 

 怖かったのかまだ震えているミミロルを大事そうに抱きしめなだめている男性がそんな事を聞いてくる。

 そんなバカなと思いながらも簡単に自分の体を見る。

 

「そんな……バカなこと…………」

 

 掴んで止めていたズボンを思わず落としてしまう。

 でも許してほしい。だって自分の腰とお尻の間にモッフモフな白と赤の尻尾が生えていたら誰だってこうなると思う。

 

「グレイシア!氷鏡!」

 

 指示を出すと困惑するグレイシアが側にやってきて……あれ?相変わらず見下ろす感じなのだけれどウチとグレイシアってこんなに顔の位置近かったっけ?

 そんな疑問を全力投球でぶん投げ出来上がった鏡のように反射する氷鏡に映る自分の姿を見る。

 

「な、なにこれえーッ!?」

 

 誰がどう見ても若返っている。

 少し大人びた雰囲気はあるものの10代前半といった容姿で、ウチは身長18歳くらいで止まったんだけど、12歳くらいまでは小さい方だったのだけど、グレイシアとの差を考えるとたぶんその頃より小さくなってる!?

 エレブーズのイメージカラーの片方の黄色(金髪)だった髪は真っ白になっていて、髪の先が赤くなっていて、頭の天辺に立派な獣耳!

 聞いてないよなあにこれえ!!!???

 





ようやく初期設定のスタートラインに辿り着いた……

ケモ度どれくらいにするかサイコロで決めてそんなポケ度高く無かったから女性主人公にした。
もっと高かったら男だった。

カミラの身長は身長175㎝前後くらいでしたが135㎝くらいにまで下がります。
すぐに気づかなかったのは自分より周囲の安否を優先した事、周囲の景色が変貌し浮いている氷の上にいた事など複数の理由が重なったからです。
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