ポケモンの無い世界に迷い込んだポケモン界の女性   作:メリルメリルメリル

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進展の無い日々

 

 不味い、非常に不味い。

 この世界に来てから今日で8日目になるのだけれどまだ国の方々から連絡が来ない。

 あれだけ早く接触してきたのだから依頼もすぐに出してくれるだろうと考えていたのだけれどその様子は無い。

 

 それで何が不味いかと言えば、お金が無いんだよ。

 

 現在のウチはこの国で作成された身分証明書の類が無く、何よりも住所不定無職という扱いの為に口座を作成することができない。

 そのためせっかくのチャンネル登録者数100万を超えるナンジャモちゃんレベル……ナンジャモちゃん登録者数300万人前後だったような気がするから敵いませんね。

 じゃなくて、それだけ登録者かいても収益化の申請すらできない。

 

 ロトムの力を借りれば全て解決なのだけれど、お金が発生する事柄はなるべくやらせたくないという理性が邪魔をする。

 よくよく考えなくてもアカウントを作成する時に既にアウトだったのだから今更という言葉が出てくるのだけれどそれは違うでしょう。

 

 ホテルの従業員の方々とは良くコミュニケーションを取り、ほぼ全員の顔と名前が一致し、更にどんな話題が感触良いかすぐに出てくるくらいには仲の良い人も作れた。

 既にお金の事もオーナーの方に相談して無くなったら後払い、借金という形で払ってくれれば構わないという契約も交わしたもののやはり借金というのは気持ち的によろしくない。

 

 まだお金はあるものの、後に依頼が来るにしても借金する方が早そうだ。

 国の人達が来た時にせめて口座だけでも作れるようにしてもらえば良かった。

 

 ……いや、こうなったらダメ元で作れないか銀行へ聞きに行こう。

 うん、とりあえず口座さえあれば収益化ができそうなのとチャンネル登録者数見せればできそうな気がしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「できちゃった……これ、ウチの常識の方がおかしいのかな?

 ここ異世界だし違うのも当然なのだろうけども、どう思う?」

「ランクルー?」

 

 ウチの中でできないという固定概念があった為に今でまで銀行には行ってなかったのだけれど、ウチの顔を見た銀行員の人がウチの事を知っていたみたいで口座が欲しいと伝えれば異世界人で住所不定まで一瞬で察してくれたのか2階に案内され3時間ほど待たされた。

 待たされはしたものの、待ち時間の間に飲み物を用意してくれたりと待遇の良さは肌で感じられた。

 

 たぶんだけど、将来への投資として良い扱いをされていたのだろうね。

 銀行がいったいどんな手段でウチの事を有効活用するつもりか不明なのが少しばかり怖いのだけど、報道関係者に強過ぎる借りばかり作ってしまう事と天秤に乗せて考えると……

 

「ヤ~ン(ヤドンっぽく)どっちも怖い。

 五十歩百歩な気がするねこれは」

「ラーン」

「どおしたの?って、コラッタだね久しぶりに見た。

 出て来てギャロップ。背中乗せておくれ~。よいしょっと、それじゃ途中でガリガリ君でも買ってまた海の見回りでもしようか。

 ランクルス戻って」

「ラーン」

 

 ランクルスをボールに戻してギャロップを走らせ海へ向かい十分程が経った頃だろうか。

 信号待ちしているところでようやく気付く。

 

「日差しがあっつい~………んん?なんか引っかかる。

 何か見落としたようなぁ~……………あ。コラッタ!?

 ちょっと洒落にならないよそれは不味い!

 ギャロップ銀行の方に戻るよ!市役所行かないと!」

 

 コラッタが何故不味いのかと言えば、前歯でコンクリに穴を開けるし電線を噛み切ってしまうからである。

 コラッタのこの行動は猫がする爪磨ぎのようなものであってコラッタというポケモンである以上は止めようがない習性なのでそれを解消してあげる方法を用意しておかなければならない。

 対策を行っていても数年に一度はコラッタによる被害で停電等が起こるのだからコラッタによるポケ災はバカに出来ない。

 

 前回もフワンテを偶然見かけて市役所に行って市長に注意喚起をするように伝え、その後に人間に近付こうとするフワンテを探し回り見つけ次第れいとうビームで威嚇するのを繰り返し理解させた。

 この世界にもトレーナーと、そのトレーナーに従う強いポケモンがいる。

 あまり調子に乗りすぎれば痛い目に遭うのだと。

 

 ただこの世界の場合、人間の方が調子に乗りすぎている気がするけれどね。

 やっぱり生活圏が広すぎるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ~……お待たせ、話し合い終わったよ。海に行こっか」

 

 コラッタの姿、生態について、対策として鉄の板等を与えれば解消させることができると説明し終えて ギャロップの背中に乗り本来の目的地へと向かう。

 コラッタが不味いのは確かだけれども子供を誘拐するフワンテ程の脅威ではないのでここから先はウチが出しゃばるのは混乱を加速させる結果で終わる可能性が高すぎる。

 

 気分転換の為にもしっかりとアイスを買って食べられる子達にも渡し、ココドラの移動技術向上トレーニングもかねた砂浜散歩を行う。

 

「(う~ん、今日も今日とて海からネチャッとしていながらもピリピリとしたイヤ~な気配を感じるね。

 フワンテの時の事を見られたのもあって警戒の目線がウチ達に集中しているのは良い事なのだけれど普通に気になる。コッチから行けたらどれだけスカッとするだろうか。

 本当にお国の人達早くしておくれ。

 サメハダーは海から出ないから総合的な脅威度は低いけど間違いなくこの世界で出会った野生のポケモンの中じゃ最強の種族だから下手に離れられないの辛い。

 ギャラドスじゃなかったことが救いすぎてその辺は感謝するけども。

 あ、そういえば陸上で生活するポケモンを見たのは初めてだったね。

 コラッタも大変だけど、そんなことよりこの嫌な気配浴びすぎてウチの子達みんなストレスで力の発散欲が出ていて大変だあよ~ん。

 グレイシアはフワンテの時にバンバンビーム撃ったから涼しい顔してるけど、ホラ見てよウチのリザードンのこの表情。何て頼もしい笑顔を海に向けちゃっているのかしら?)」

「ココ!」

「どうしたの~って、あぁ、ハネッコだね。ハネッコじゃん。ハネッコだ。

 よし、捕まえよっか。ほれほれこっちこっち~………いよっと!」

 

 パンパンパンと良く音がなるように手を打ち鳴らせばハネッコがこちらを向きゆっくりと降りてくる。

 そこを狙ってジャンプして両手でキャッチし捕まえた。

 

「わ~い、ハネッコだ~。君はどうやってここに来たんだい?」

「ハネハネ~」

「なんて?」

「グレイシィ!」

「わかんないか~おそろいだね~。リザードン、優しくぼうふうお願い。またね~」

「ココォ!?」

「あはは、凄く早いよね~。ウチのギャロップより早いかふぅ、ふ、ふふふふふ」

 

 リザードンに指示したぼうふうに吹かれて台風の日のハネッコのように野生のハネッコはすっ飛んでいった。

 昔からコレがウチにとってのツボでコレが見たいがためだけに捕まえたと言っても過言では無いね。

 

「ふ、ふふ、イタッ!な、なに?……え?これ、モンスターボール?しかも未使用だコレ」

 

 ハネッコの様子を見てツボに入ってしまいお腹押さえて笑いをこらえていたウチの後頭部に何かが直撃し、周囲を見渡せばモンスターボールが落ちていたので拾い上げてみれば未使用だという事がわかる。

 

「グレシィ……」

「ダイケーン!」

「グレ?グレイシィ?」

「グアゥグゥ!グアアァウゥッ!!!」

「グレイ!?グレッ!」

「あ、信頼されてるのは嬉しいけどウチも油断する時くらいあるのだからそんなに警戒しなくても良いよ」

「ラーン」

 

 今のは「何やってんのさ……」「警戒しろ!」「え?どうしたの?」「カミラだけじゃなく俺ら全員の警戒をすり抜けて来た!気を引き締めろ!!!」「ヤバ!?油断はしない!」という感じのやり取りだった。

 実際警戒はしていたのだけど完全に警戒の外側から降ってきた。

 というかランクルスは降ってきてるの気付いていて無視したよね?呆れた感じに声出してるけどそうやって自分の腕撫でる癖が出てるって事は確信犯って言ってるようなモノだよ?

 ドサイドンも黙ったまま呆れた目を向けてるし。

 自分では気付いていないだろうけど妹はお兄ちゃんのそういう些細な癖もしっかり見てるからね?

 

「なんならジャストミートするよう微調整した疑惑もあるのだけれど容疑者ランクルス、何か言うことは?」

「ランクルー?」

「あぁもうお兄ちゃんのそのすっとぼけポーズ可愛いなぁームカチュクゥ!ってあぁあぁ!!!さっきのハネッコ飛んでくの撮影しとけば視聴数シビルドン登りだったかもしれないのに損したあ!」

「グレイシ……」

「グアゥ」

「……あれ?なんでここにボールが?」

 

 未使用のモンスターボールはウチが宿泊している部屋に戻れば沢山ある。

 けれどソレら全てハイパーやクイックといった競技用として売られているランクとお値段の高いもので、一般的な赤と白を特徴とした普通のボールは一つも持っていない。

 しかしこれは一般的な赤と白のボールで見間違いようがない。

 

 これを何処で見つけたか聞いてみると、どうやらリザードンがぼうふうを使う際、風の威力を極端に減らすために一度地面にぶつけたのだけど、その時に砂に埋まってたボールが飛んでったのが目に入ったようだ。

 

「ふむふむ……なんであるの???」

「ラン?」

「カミラさーん!やっと見つけたー!」

「ん?」

 

 そんな風に考えているとホテル従業員のユイナさんが珍しい私服姿でこちらに走ってくる。

 

「カミラさん!海にいなかったからホテルまで行ったのにいないからどうしようかと!」

「ごめんね、市役所と銀行に行ってたから。それより落ち着いて」

「落ち着く……いえ!そんなことより大変なんです!うちのペットのコウタロウが光ったと思ったら姿が変わって!なにか知ってますよね!?ほら見て!」

「あらら、かわいいデルビルですね」

 

 そう言ってズイッと突きつけてくる画像を見ればデルビルがそこにいた。

 確かコウタロウ君はジャーマンシェパードだて話だったけど、光ってその姿になったって事は進化したって事???

 え?動物がポケモンに???

 なんで?………なんで??????????

 

 さ、流石ふしぎなふしぎな生き物ポケモン(震え声)

 君達はいつもそうだよ。

 1つ新発見するたびに最低でも5つくらいは謎を用意して学者の脳ミソぶん殴ってくる!

 

 

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