AFTER STONE ~最終話のちょっと向こう側~ 作:三柱 努
石化した百夜に復活液をかけたら、どんな反応ややりとりが待っているか、の物語。
百夜視点になります。
今、目の前にいる何年前か何千年前のどなたかわかりませんが
私は宇宙飛行士の石神百夜と申します。
って思ってはみたものの・・・いやぁ、天国って本当にあるんだな。死んで初めて知ったわ。当たり前だけど。
2019年6月3日。地球全体を覆った謎の光により、地球上の全人類が石化した。
あの日、宇宙空間にいた俺たち6人の宇宙飛行士を除いて。
地球に戻った俺たちに残された道は1つだけ。次の人類の祖先となること。
俺は願い続けた。人類はいつか石化から戻る。そして千空も復活を成し遂げる、と。
だがその頃に俺は生きてはいないだろう。
復活した人類が復興するためにも、科学資源が無ければ話にならない。
俺は後世のため子孫たちに知識を継承しつつ、いつか復活するであろう千空のために貴重な鉱石をひたすら集め続けた。来る日も来る日も川に入り、金やプラチナを拾う。
20年。40年。ヨボヨボのじいさんになって、立って歩くのも厳しくなってきても。
それで遂に、限界が来た。
夜だった。前のめりに川に倒れ込んだから、夜空の星が綺麗に見えた。
そっから意識も消えて、ずっと長い暗闇の中にいた。
ずっと。ず~っと。死ぬってこういう事だったのかって、死んでから知った。
でもってようやく。光の中に俺はいた。
ここが天国か。いや天国に違いない。少なくとも死んだ時に感じた暗闇の中じゃない。
たしかに「死んだら天国に行く」って話はあるが、あれってイメージ「死んだ直後に天国に行く」って思ってたよな。
でも実際、死んでからめちゃくちゃ待たされるんだな。待ち時間長ぇよ!
だが天国に行けただけマシだな。でもって“最悪”だ。
駄目だったんだ。石になった人類は助からなかった。最初から皆死んで天国に行っていたんだ。
俺の目の前にいる天国の住民たち。それは紛れもなく“石になって死んでしまった”人類だ。
彼らが“石になった人類”だと断言できる理由もいくつかある。
俺がよく知った顔が、若々しい姿のままいるからだ。
40年前。人類が石化した時に死んだから、その頃の姿なのだ。
それはつまり、俺が信じ続けた希望が無意味だったことの証明になる。
最悪だ。人類の進化は原始人から再スタートとなるだろう。
だけど俺個人としては最悪とまではいかない。
ここが天国だからだ。
地獄じゃなくて天国だと断言できる根拠はいくつかある。
1つはみんな笑顔だからだ。俺を囲むようにして、すごく嬉しそうに微笑んでいる。
そして最大の理由。
俺が一番会いたかった顔がそこにあった。
ここが地獄なら、そんな慈悲を与えてくれるはずがない。
千空・・・お前が笑顔で俺を迎えてくれたことが最高だ。
だが1ついいか?
せっかく笑顔見せてくれたのに、なんか急にシラケた顔になってないかお前?
手に持ってんの何? コップ? 水滴ポタポタ垂れてるぞ。天国のお酒か? お前、まだ未成年だろ。ならジュースか! でもって底が俺の方を向いてるし中身空っぽ。どういうこと?
周りにいる・・・俺が存じ上げない天国の住民の方々、苦笑いしているぞ? 視線、お前の方向いてるから、絶対にお前に対しての苦笑いだろ。
そういえば何人か、リリアンやシャミールや、コニーちゃんやヤコフ、ダリヤに似た人もいるけど。そういやぁ5人ともいないな。せっかくの俺の天国凱旋に来てくれなかったのは少し残念というか。知らない人にも出迎えてもらって心苦しいというか。VIP待遇的なおもてなしに感謝というか。
っていうか体軽くない? 羽根みたいとまではいかないけど。天国だから? 死んでるから? 幽霊だから? にしちゃ少し重い気もするが。
「あ゛~、絶対面倒な勘違いしてやがるなこの親父は。さっさと起きやがれ百夜」
※ついにDr.STONE最終回になりましたね。最高のクリスマスプレゼントに爆上げしたテンションのまま、本作の執筆に入りました。
全何話になるかわかりませんが、どうかお楽しみください。