AFTER STONE ~最終話のちょっと向こう側~ 作:三柱 努
「そもそもタイムマシンは俺らが現在進行形で開発中だ。出来上がるのは何百年後か、何千年後か。そいつはわからねぇ」
ドラえもんの話だもんな、タイムマシンって。
「ああ、まさにドラえもんだ。百夜、てめぇはドラえもん的発想で生き返ったんだよ」
ドラえもん的発想?
「先取り約束機だ。ドラえもんのび太の大魔境の」
うん。何それ? 千空いつも「みなさんご存知」的に言う癖あるけど、隣のゲンくんも苦笑いしてるよ。
「ならドラえもんは忘れろ。俺らベースの話をするなら、俺らの中で唯一寿命が長いホワイマンだけはタイムマシン完成まで生きながらえる。当初の予定じゃ、完成した暁にホワイマンが過去の衝突を防ぐ方法を過去に伝えるって寸法だった」
うん。でもタイムマシンで過去を変えることはできなかったんだろ?
「ああ。過去に送れるようになるのは“わずかな石化光線”だけで精一杯。そんなんじゃ仲間も地球も救えない。だがこのホワイマンも価値観が突然変異的に狂ってやがってな。“せめて救える命を救う”ってことだけを約束してくれてんだよ」
せめて救える命?
「てめぇだよ百夜」
・・・・・まさか。
「ああ。アホほど優秀な地質学者様に計算してもらって、百夜の死亡推定位置を割り出した。死亡推定時刻も百物語である程度は割り出せた。だからタイムマシンで飛ばした石化光線は“その場所に”ピンポイントで送っていただいたわけだ」
そうか。そういうことなのか。
「まぁ俺らも最初、その死んだ場所に百夜の石像があると思っていたが、いくら探せど見つからねぇ。失敗だと思った。だが考えてみりゃ当時の宝島の新人類は石化した百夜を丁重に扱うに決まってる。でもって百物語に従って本土を目指した連中が、その石像を連れていくのは自然な流れだろ?」
つまり俺は・・・
「ああ。石神村の集団墓地に埋められてた。ご丁寧にその真上に例のレコードがあったが、当時の俺はてめぇの存在に気付かず、レコードをゲットしてご満悦してたからな。テメェを掘り当てるのに20年くらいかかったな」
そうか。これでようやく着地したな。全てが繋がった。
どうして俺が生きているのか。
千空がどうしてちょっと老けてるのか。
納得だよ。
なぁ千空、ちょっと人払いしてもらっていいか?
「ああ。ゲン、悪ぃが」
「オッケー」
「で、何だ百夜」
千空、お前も分かっていると思うが。石化は永遠の命もそうだが、多少の体の不調の修復とかの効果もあるんだよな?
「ああ。老人性の体調不良なんざ吹き飛ぶな」
だがあくまで不調の回復だ。寿命の延長じゃない。
「ああ」
ハッキリ言おう。俺の死因は事故死じゃない。
寿命だ。
無理がたたったのもあるが、今も普通に82歳の体なんだよ。
だから石化で多少は延命したが、持って生まれた寿命はどうしようもない。
先は長くない。
「・・・ああ。分かってる」
だが生き返らせてくれたことは感謝している。これは本当だぞ。死ぬほど嬉しい。
これ以上の幸せはない。
もうこれ以上、何かを欲しがるのは欲張りすぎる話だ。
「んな謙虚さは科学王国にはいらねぇよ。百夜、遠慮すんな。科学王国は“欲しい”と思ったもんを作る。だから何でも言え。俺が絶対に叶えてやる」
言ったな?
じゃあ千空、俺の願いは「孫の顔が見たい」だ!
「・・・はぁ?」
男に二言はねぇだろ?
俺、孫の顔が見たい! 孫を抱っこしてあげたい!
「・・・」
お前、話聞く感じ、イイ感じの子いるっぽいじゃないか。
あんまり待たせてあげるのは男として、大人として失礼極まりないぞ。
お前、まさか一度結婚したから逃れられる話だと思ってんじゃないよな?
ノーカウント、ノーカウントだ! ノーカンノーカン!
「だから」
俺の寿命か? 欲しけりゃ教えてやる。
体感、まだまだ生きれますけど? 孫抱っこするくらいの残り寿命余裕でありますけど?
「テメェ」
言ったもんなお前。俺が絶対叶えてやるって。
はい言質。
ゲンく~ん。キミの言う通りだったよ~。
さあ千空。たぶん俺だけじゃなくて、みんなが思ってるよ。
唆るぜ、お前の縁談は!
=FIN=