AFTER STONE ~最終話のちょっと向こう側~ 作:三柱 努
さっさと起きやがれ百夜。なるほど千空だ。
最初不安だったんだ。天国だとしても俺にいい夢を見させてやろうっていうサービス的な、うわべだけの喜びを与えるためだけに、それっぽい千空の幻を見せてくれるだけなんじゃないかって。そのほうがよっぽど残酷だからな。
でも目の前にいるのは本物の千空だ。ありがてぇ。
そういえばお前ちょっと老けた?
「だ~か~ら。さっさと起きやがれ百夜」
だ~か~ら。起きるも何も、永遠の眠りについた人間だぜ俺たちは。
「ここが死後の世界だと思ってんのか?」
思ってるもなにも、死後の世界だろ? さすが科学者はリアリストだな。
だが俺も馬鹿じゃない。死後の世界の証明なんて簡単な話だ。夢の中かどうかを確かめるのと同じ。こうやって頬っぺたをつねってやるだけで、ほら。
痛ぇ!
「馬鹿やってやがんな。ドラえもんじゃねぇんだぞ」
え? 痛いってことは、痛みを感じる系の天国? そういえば地獄って亡者に罰を与える場所だから、痛覚残しとかなきゃ駄目だもんな。
「テメェは生きてんだよ、百夜」
え? 生きてるって?
「俺らが生き返らせた」
生き返らせた・・・って、え?
実感が湧かない。そもそも意味が分からない。
でもって千空、困惑する俺の顔見ながら耳掃除しないで。癖なの知ってるけど、今そういう時じゃないよ絶対。
「創始者様がお目覚めになられたぞ!」
知らないオジサンが何か言ってる。いや、今や俺の方がお爺さんだけど。あと歓声すごい。
いやぁ、俺が目を覚ましたってことへの歓喜だよなコレ。すごい熱量。
だがよぉ。実感とか確信とか、そういうのまだ分かってねぇけど。
千空
俺は
お前とまた会えるなんて
思わなかった。
「ああ。俺もだ」
俺は気付いたら千空と抱擁していた。
すっかり皺だらけになった俺の腕。
昔よりも艶が無くなった白髪。
そんなジジイになった俺の腕に抱かれ・・・
って、なんか妙だな千空。お前ならこういうセンチメンタルなノリ嫌がるハズだが。
俺としては嬉しい限りだ。
だがいいか?
そもそも『生き返らせた』って何? 生き返ったって何?
「死んだテメェを石化させて復活させて生き返らせたんだよ」
・・・はい?
お爺ちゃんにも分かるように説明して。俺、その説明で理解できると思う?
周りの人たちも「そりゃ無理だ」って顔してるよ。
あと周りの人たち、もう一言いっていい?
キミたち今の説明で理解できたの?
「えっと、千空ちゃん。その説明理解するの、千空ちゃんパパでもリームーだと思うよ」
そうだぜ千空ちゃん。その説明で俺が理解するのリームーだぜ。
あとキミは誰?
「あ゛~。早い話、石化した人間はナイタール液ぶっかけりゃ元に戻る。でもって死体でも石化した後で復活させりゃ生き返る」
うん。何点もツッコミどころある。
メカニズムは分からないが、石化した人間を復活させる手段があるってのは分かった。それを千空が見つけてくれたんだろうなって。それで全人類を救ったんだろ?
まぁ俺のことを石化させたとか、そういう時系列のぶっ飛んだ点はガン無視しよう。
まず教えてくれ。
ナイタール液って何?