AFTER STONE ~最終話のちょっと向こう側~ 作:三柱 努
ケータイ電話が現代戦の最強武器になるわけがない。
そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。
いや確かに考えてみりゃ通信手段っていうのは古今東西の最終兵器だな。それがなきゃ話にならねぇ。
なるほど携帯電話を作って・・・どうするんだ?
「いや~、その頃ね。司帝国には俺らのスパイがいたわけよ。その名もご存知、大樹くんと杠ちゃん」
そうか。久しく出番が無かったと思ったら、大樹くんがスパイになっていたんだな。
だけどぶっちゃけ、大樹くんたちだけで大丈夫なのか? 危ないだろ、そういうの。
「ま~他にも司帝国から科学王国に寝返ってもらっちゃった子がいたからね~」
ほぉ、ゲンくんみたいに寝返ってくれたのか。科学の魅力に心打たれたわけだな。
「科学というか・・・まぁ」
「そこいらは私が説明するよ」
口を濁すゲンくんとバトンタッチ。現れたのは筋肉もりもりの女の子。
女子大生のニッキーちゃん。
「アタシが司帝国から寝返った第一号だよ。大樹と杠の紹介で電話使って科学王国とつながったのさ」
ほぉ、寝返り第一号なんて物騒な言葉をなんて自信満々に。
「まぁ正直最初はビビったよ。電話越しにいきなり歌姫リリアン聞かされたんだから」
ん? リリアン?
ってまさかアレか! 俺たちが残した瓶底レコードの!
「いんや。最初の最初はゲンの声真似リリアン」
「ゴホン。[そゆこと]」
うげっ! 男の口から飛び出たリリアンの声!
え? そゆことがどゆこと?
「えっとねぇ。当時の科学王国と司帝国の戦力差って人数差からしてジーマーで絶望的でね~」
人数差か。ん? それがリリアンと何の関係が?
「だから一芝居打つことにしたわけよ。アメリカと科学王国がタッグ組んでるから、司帝国裏切って~って。アメリカ復活の証拠がリリアンちゃん、ってこと」
・・・俺たちの瓶底レコードぉ!
地獄に落ちるぞゲンくん。
「その辺、科学の世界に神様お留守って、ご子息の了承済みなのよね~」
せ、千空のリアリスト!
うわぁ俺の遺産の悪用・・・いや、結果として原始共産主義の手から科学を守るのだから仕方あるまいと言うべきか・・・
「まぁおかげで司帝国と科学王国の戦力差をカバーできたわけ。決戦の時にもジーマーでその差が無かったらヤバかったのよ。あとプラスで科学の力で戦車とかダイナマイト作れちゃったのも勝因なわけだけど」
サラッと携帯電話よりヤバいワードが飛び出したな。ここまで来たら何も驚かないぞおじさんは。
「そういやぁ千空のお父さん、いや石神飛行士に聞きたいことがあるんだけど。ずっと聞きたかったことが」
ん? なんだいニッキーちゃん。藪から棒に。
「コハクにリリアンの面影があるのは、アンタも感じてくれたと思う。リリアンの子孫ってことだ」
うん。そうなるな。でもってニッキーちゃんの視線が怖い気がする。答え次第ではどうなるか分からない気が。
「リリアンの子。その父親は誰になるんだい?」
ノーコメントで。