駆逐艦「野風」出撃ス   作:テンペストMk2

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駆逐艦野風をどうしても真珠湾攻撃に同行させたい欲が強すぎて霰を外して無理やり第18駆逐隊に組み込んでしまいました。一応霰は別の駆逐隊に編成されている設定ですが、霰が好きな人には申し訳ないです。
あと、話の都合上ほんの少しだけ歴史が捻れますが日本がチートして勝ったりとかはしません。史実のように日本は負けますがその中で奮闘する野風と主人公である水雷長の応援お願いします。※野風乗組は全員実在しません。


「野風」抜錨ス

 

昭和16年 11月26日 択捉島単冠湾

 

冬が訪れんとする霜月の末頃、寒々とした北の地に鋼鉄の艨艟が集った。全ての艦が燃料、弾、食糧を満載し、喫水深く沈み込んでいる。勇ましい艦影をした戦艦比叡と霧島、作戦の要である空母赤城、加賀、翔鶴等の大型艦に加え、我が艦、野風の僚艦である陽炎、不知火、霞と大小様々な艦が勢揃いした。普段は賑やかな艦隊も、この緊迫した状況に置かれ、すっかりと静まり返っている。普段和気あいあいとした駆逐艦でもそれは同じだった。

 

 

野風 甲板上

 

キュッキュッ

寒空の下、乾いた音が静かに響く

 

「水雷長、その様子だと貴様も落ち着けないようだな。」

 

不意に話しかけられ少し驚いてしまった。

 

「いやぁ、何しろ初の実戦なので。」

 

私は橋本義雄、海軍兵学校を並の成績で卒業し、そのまま駆逐艦乗り組みとなった。幼少期は戦艦に憧れを抱いていたが、駆逐艦の家族同然の雰囲気に揉まれ、今では駆逐艦に愛着を持っている。

 

そしてこちらの方は、野風艦長の岩本二郎中佐だ。温厚で朗らかな人だが、生粋の駆逐艦乗りで先の戦では駆逐艦櫻に乗っていたと聞く。

 

「適度な緊張は薬となるが、あんまり緊張しすぎて魚雷を磨きまくってると、弾頭が爆発してしまうぞ、わっはっはっ。」

 

「ははっ、またまたご冗談を。」

 

艦長のジョークに笑って誤魔化したものの、緊張しているのは事実だ。普段は見ることがない九三式魚雷の実戦用弾頭、真っ黒な色の中にはあらゆる大型艦を沈めんとする殺意をも感じる。不思議と魚雷を磨く手にも力が入り、上手く布巾が動かせない。

 

「出航は0800、その時までに便所でも行って緊張をほぐして来い、長い航海になるぞ。」

 

背を向けて艦橋に歩いていく艦長の姿もどこか強ばっている様に見えた。

 

 

 

0800

 

「錨揚げ!」

 

ついに出発の時が来た。エンジンが唸りをあげ、煙突からはもくもくと煙があがり始める。第18駆逐隊の第1小隊である陽炎、不知火に次いで第2小隊の野風、霞が動き出した。北の荒い波で艦首が海豚の様に跳ね、艦橋は物凄い量の海水を浴びる。しかし我らが駆逐隊は怯まずに波を掻き分け狼が如く進み続ける。ハワイへの長い航路はまだ続く。

 

 

 

12月2日

 

果てしない航路を駆け巡り、1週間ぐらい経った頃、魚雷発射管の中で水雷の仲間と話していると、急に艦橋が騒がしくなった。

 

「水雷長、何かあったんですかね。」

 

ついに来たか…

 

この時、ハワイ島へ向かう空母機動部隊は連合艦隊司令部より無線を受信した。

 

ニ イ タ カ ヤ マ ノ ボ レ 一 二 ○ 八

 

言わずもがなこの暗号はアメリカとの交渉決裂を意味し、更にこれから我が大日本帝国はアメリカに対して戦争を行うということでもある。この報は艦内に瞬く間に伝わり、一気に空気が変わった。皆、強ばった表情をしている。しかし時は無情にも去り、運命の日は刻々と迫っていた。

 

 




処女作ですがどうでしたか?とりあえず開戦目前となりました。出来る限り資料などを漁って歴史に忠実に書きますが、ミリタリーや歴史に精通している方は変に思うかもしれません。間違ってる箇所などは指摘して頂けると助かります。
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