いやね、ホントにもういろいろとあったんですよ。もう現実を信じないって言うぐらいにいろいろとあったんです。ニューイヤーを病院で迎えるとかマジどうなってんの?くたばるの?リンゴジュースとアップパイを交互に口の中にツッコムの?ぐらいに甘いです。もう意味わかりません。
ともかくごめんなさい。もう新年向えてますね。しかも一月終わりますね。去年までの僕を殴り飛ばしたい限りです。と、言いわけとか見苦しいんでここまでにします。どうせ待ってくれてる人なんていないだろうし………。細々とチマチマとコネコネトやっていけたらいいなっていうぐらいの気持ちでやってますし……。
はぁ………駄文ですが、まぁ、読んでくれる人いるかな?わからないけど、よろしくお願いします。あ、ちなみに明けましておめでとうございます。今年もよろしくです。
あと、なにげにネプテューヌの総選挙、ブランが一位だったみたいですね。どうせみんなロリコンになるんですね、わかります。
イストワール先生の、問題集!
歴史
【第三問】
問 1167年、武士で初めて大政大臣に就任した人物を答えなさい。
吉井明久の答え
『平清盛』
イストワールのコメント
正解です。ちょっと意外でしたけど明久さんは歴史が得意なようですね。個人的な感情ですが有史を記録する者として好ましく思います。人があり、歴史もまたあり、歴史は語り継がれていき決して忘れてはいけない大事な記録です。これからの明久さんの記録もまた、語り継がれなくともその人の歴史としてしっかり残っていくのです。ですから、これからと今までを大切に想っていてください。それが私の、史書からのささやかな願いです。
ネプテューヌの答え
『ダース◯イダー!』
イストワールのコメント
『この時代で宇宙戦争を起こさないであげてください』
☆
ゲイムギョウ界という世界に飛ばされて以来、僕の生活は一変した。……あ、いや…ある意味疲れるのは変わらないけど、まぁ一変したんだよ。
具体的に何が、と訊かれたらまず第一に取り巻く環境と挙げるべきだろう。生活を送るスペースが自分の家から一人暮らしの女の子の部屋に変わり、街の姿は近未来化されてだいぶ様変わりをしていた。さらにそこで過ごす日々はモンスターや、悪趣味メイクのおばさんとの戦いやらで苦労とケガのオンパレードと常識から外れた………外れた………ケガや苦労に関してはあんまり変わってないが、まぁ変わったんだよ。
本来なら元の世界から飛ばされて嘆くような状況と言えよう。しかし、こっちの世界にきて良いこともある。家庭の脅威であるあの姉から解放され、学校の恐怖であるクラスメイトや補習の鬼、鉄人からも解放されたのだ。もし僕のいる場所が世界の中心なら今ごろ愛を叫んでいただろう。
けれど、そんなこと以上にうれしい出来事が、居候先の家主であるコンパと一緒に暮らせていることだ。コンパのあの優しさや微笑みをふれた日にはこれまでの苦労も洗い流されるような気分になる。なによりカワイイしお胸が大変よろしいことで、僕としては本当にありがとうございますと世界の中心で叫びたいところだ。
だがしかし、もしもそんな事をしようなら、同じ居候仲間であるアイエフに殺されてしまう。しかも彼女は胸という言葉を頭の中で想像しているだけで敏感に察知し、目を見張る暗殺術を披露するのだ。まさか癒しと殺気が混同する家庭で就寝をすることになるとはこの世界に来たときは思わなんだ。
でも、アイエフも若干アレな気もあるけど、少なくともこっちの世界にきてようやく知り合えた常識人として、いろいろと面倒を見てもらっているからまだいい。
改めて言おう。ゲイムギョウ界にきて、僕の生活は一変した。より具体的に言うと……だ。
☆
「おっはよーーーーーっ! 起きて起きてーーー! 朝だーーーーっ!」
どたどたとコンパ宅の中を走る足音が近づいてくると、大ボリュームの声が僕の耳を貫いた。あぁ……もう朝かぁ……。
ぼんやりする意識の中で、朝を報せるこの声で目が覚める。ここで寝泊まりしてからというものの毎朝、特に疲れてなかなか起きれない朝とかでよく聞くようになった声。騒がしいというか、元気いっぱいというか、要するにゲイムギョウ界にきてからネプテューヌに朝から叩き起こされるようになった。
「ほうら! 起きろ起きろ起きろーーーーっ!」
「ぐえぇ…。ゆ、揺らさないで…ネプテューヌ」
「なら起きろーーーーーーー!」
嬉々として楽しそうにする彼女はソファで寝る僕に容赦がない。というか、ネプテューヌはきっちり睡眠時間が取れてるからいいけど、こっちは寝たのが太陽が昇ってからなんだ。只でさえネプテューヌの相手は体力がいるのに、寝起きの、しかも睡魔に襲われてる状態でとか、しんどいなんてもんじゃない。
「もうちょっとだけ寝かせて……。あと五分だけでいいから…」
「おお、マンガ的によく使われるあと五分タンマ! けど実際は五分以上寝るんだよね、わかります」
「大丈夫……ちゃんと五分だけだから」
まあ嘘だけど。
「わかった。じゃあ一分、二分。三分、四プン、ハイ五分たった! おーきーろー!」
まあこの子に通用するとは思ってなかったけど……。
「わかった……わかったから…。いま起きるよ」
眠たい眼を擦りながらノソノソと起き上がる。かきむしる髪は寝癖でぼさぼさ、目は半分しか開けなくて、起きて早々大きなあくび一つこぼしてしまう。
「おっはよー、アッキー♪」
そして目の前にはらんらんとした瞳でいるネプテューヌの顔。相変わらず元気百倍です、って表しているような屈託のない無邪気な表情だ。毒気も抜かれる。
しかも起き抜けに見る顔が姉さんではない人というのは、ちょっと新鮮。しかも、こう…かわいい子だと、気分もちょっとは悪くはない……かな?
「どうどう? かわいい女の子に起こされる気分は! アッキーの人生じゃ味わえない経験だったんじゃないかな?」
あくまで黙ってればだけど……。
「寝起きそうそう、酷い言いようだね」
「だってアッキーが女の子に起こされる体験とか、してなさそうだもん。てか、あるの?」
「それぐらい僕にだって……」
…うん? おかしいぞ。思い当たるきらびやかな青春が思い出せない。いやいや、ちょっと待て。そんなはずはない。僕の周りには姫路さんや秀吉という天使がいるんだ。よーく思い出せ。思い出すんだ。僕の夢のようなあの日を。
そう。あれはまだ暑さが残る季節。その日は化粧道具を持った姉さんに起こされたんだ。………うん? 違う違う。姉さんじゃなくて、姫路さんとか姫路さんとか、もしくは秀吉との思い出だってば。そうそう。確か、海外から来てまた一緒に住むようになっての月曜の朝なんかは馬乗りで姉さんに起こされ……だから違うって。そうあの甘い一時は……水曜日では羽交い締めをされて(姉さんが)お嫁にいけないチューをされそうになって、週末でゆっくりできるはずの金曜日には夜から姉さんに服を奪われかけて…美波と秀吉とゲーセンに行った日には僕の命より大事な
「―――ネプテューヌ」
「? なに?」
「元気でね。コンパたちによろしく」
「いきなりの別れ台詞!? どったの急に!?」
「生きる意味を見失った……」
「予想外に重い返し! いったいアッキーの思い出になにが…!?」
そうですよね。僕にそんなおいしい体験をできるわけがないんだ。あの姉さんがいる限り。とういか思い出の後半もはや単なる嫌がらせでしかない。弟を何だと思っているのだろう、あの人は。
「はぁ……もうよそう。この話は僕に自殺をうながすだけにすぎない」
「サラッと爆弾発言!? アッキーって、実はデンジャラスな生活の中で生きてたのか……!? 『おれに近付くと火傷するぜ!』っ的な! アッキー危ない人ー!」
「なに言ってるの……?」
この子は時々唐突に変なことを言いだすから付いて行くのが難関だ。かわいいのに、勿体ない性格していると密かに思う。
「今に始まったことじゃないけど…」
「ん? なんか言った?」
「ううん、なんでもないよ。それよりネプテューヌ、そこどいて。起きるから」
「あいはーい」
ソファの前に居座る彼女をどかし、未だ覚醒しきれていない頭で体に命令を送り、ゆっくりと起き上がる。こっちに来てから女の子たちが布団で寝てるためにソファで寝てばかりだったけど、慣れるとソファでも疲れるが取れるらしい。睡眠不足なのは変わりはないんだが。
頭をボリボリとかきながら部屋の中を見渡し、同居者の気配がネプテューヌしか感じれず、あくびをしつつ洗面所へと向かいながら尋ねる。
「コンパにアイエフは? いないみたいだけど」
「二人とも買い物だって。酷いんだよ、あいちゃんってばわたしは家で大人しくしてなさいだなんて」
「毎回お菓子とかおねだりしすぎなんだよ。お金がいくらあっても足りないって」
コンパもコンパでネプテューヌに甘いから買っちゃうのはいけないけど、だいたいアイエフの耐用の仕方は間違っちゃいない。ネプテューヌはいるだけですさまじいからなぁ……。ん? ということは今、僕はこの子と二人っきりということか。
「………………」
「??? なにアッキー? わたしの顔になんか付いてる?」
自然と目がネプテューヌの方に向いてしまう。
こうして改めて見ると、確かに見た目は結構かわいい。クリッとした大きな瞳に、あどけなさがある顔。僕らのパーティーは全体的に身長の低いメンバーで構成されているけど、その中でも一番背が低く、少女という容姿のネプテューヌ。元気いっぱいの彼女はいつもお日様のようだ。元気があり過ぎて困ることもあるけどなんだかんだ憎めないのはその性格ゆえか。僕個人としてもかなり好む人格の持ち主である。そんなネプテューヌと一つ屋根の下で二人っきりとな。
「あ、もしかしてわたしが可愛すぎちゃって見惚れちゃってるの? も~う、アッキーったら。わたしはみんなのヒロインなんだから独り占めはできないからね! はっ!? まっ、まさか……!? アッキー、今自分たちしか家にいないからってわたしに酷いことする気でしょ!? R指定が付くスマート本みたいに!」
……なぜ。なぜコンパたちは僕を置いて行ってしまったのか。起こしてくれても良かったのに……。
「このままではこの小説が新年向えて大人バージョンにシフトチェンジしてしまうのか!? これがゴル◯ムの仕業!? えっ!? ってことはアッキー改造人間?」
「えっと……。あー…とりあえず僕、朝ご飯にするから…」
「キャー! 正義の味方なのにアッキーに食べられちゃうー! わたしは清純ヒロインなのに! キャー!」
「……もう好きにしてて…」
この子のすること言うことにいちいちツッコミを入れていたら夜になってしまう。朝ご飯もまだな僕にはそれは死刑宣告と同じ。そもそも、寝起きで対応できないし、今時計の針を見てみたら驚きのことに、もうお昼になっていた。さすがにお腹が空いてしょうがない。
確か冷蔵庫に卵とかあったからスクランブルエッグとかでいいかな……。手の込んだのはコンパ専門でいいだろうし。
「ぶぅ……アッキー無視しないでよ…。ボケはスルーされるのが一番つらいだからさ!」
と、考えてキッチンに向かう際中、テンションフルスロットルのネプテューヌが我に返ったように言ってきた。ホントに寂しそうにする表情をされてしまう。これだとまるで僕が悪いみたいで気分がよろしくない。はぁ…しょうがないなぁ……。
「ごめんごめん。悪かったから。ほら、何でもするからぶっちょ面はやめてって」
「お、なんでも? そんじゃアッキーのプリンちょうだい!」
「え? またプリン? 今朝も食べてなかったけ?」
僕が死んだみたいに寝ようとしてた横で。
「コンパのプリンが美味しいんだからしょうがない。それに、なんでもいいんでしょ?」
「ま、まぁ…それでいいならいいけど……。確か昨日の分が残ってるから、まだあるはず……って、あれ?」
「『あれ』って、そんな言葉訊くともうフラグ確定です本当にありがとうございます」
冷蔵庫の扉を開けてプリンがあるはずの棚を見るとそこにあるはずのプリンの姿がどこにもない。コンパ辺りが中身を整理するために位置を変えたのかと思って他を確認するけど、コンパが僕用にと作ってくれた愛の結晶がどこにも見当たらない。
「あ、あれ? おかしいな。確かにここにあったはずなのに……」
「え? 本当にないの、わたしのプリン」
「僕のだけどね。でも、なくなってるね。おかしいな」
「アッキー寝ぼけて食べちゃったんじゃない? ほら、今日だって帰ってきて水飲んだりしたし」
「ん~……記憶にないんだけど、そうなのかなぁ……」
正直、今朝自分がどんな行動をしたのかあやふやだ。帰ってきて喉が渇いて、キッチンに行ったのは確かだけど、思い出せるのはそこまで。食べた覚えはない。けど、そう言われれば……食べたかもしれない。プリンってするっと胃の中に入るし、軽く食事したい時にちょうどいい量だから眠る前に小腹を満たすつもりで食べてしまったのかも。
「あ~あ~。アッキーの食い意地の所為でわたしのお腹が背中とジョグ◯ス進化しちゃう」
「いや、元々僕のだから食べても問題はない気がするんだど……」
そして君はパイル◯ラモンにでもなるん?
「けど、本当に食べた記憶はないんだけど、どこやったんだ?」
~突然の回想!~
明久が朝方に帰ってきて死んだように寝静まった後―――
ネプテューヌがお尻をフリフリしながら冷蔵庫をあさっていた。
「お! プリン発見! いただきんか!」
「―――ねぷ子~。ちょっと私とコンパでこれから買い出しに行ってくるんだけど……って、アンタまたプリン食べてるの?」
「ふぁっれほんぱのふりゅんがほひぃんはほん」
「なに言ってるかわからないわよ。てか、ねぷ子の分、確か全部食べきってなかった?」
「ふぉうかっけ?」
「自分のことぐらい自分で憶えておきなさいよ……。まぁちょうどいいわ。私たち出かけてくるから留守番よろしくね」
「へぶっ!? (ゴ、ゴクリ)留守番なんてあいちゃんの外道! わたしに退屈死にしてもいいの!? わたし寂しくて盗んだバイクで走りだしちゃうかもよ!」
「そんなことしないでアンタは大人しく家にいなさい。アンタと明久は外に出るとなんかしらのトラブルを巻き込んでくるんだから、一日ぐらい家で大人しくする」
「それはもう監獄生活と変わらないって!」
「あら、いいじゃない。プリンにゲームがある牢獄暮らし、悪くないでしょ? どっちにしてもプリン食べてるんだから大人しく待ってなさいよ。おみやげぐらい買ってきてあげるから」
「あ! ま、待ってあいちゃん! 今すぐ食べるから―――って、もういない!? さては最初から連れていく気なかったな!? 酷いよあいちゃん! わたしたちの絆はかれこれもう4年以上(ゲーム発売時から)経つっていうのに! あいちゃんの愛はそんなものだったの!? 答えてよあいちゃん!」
▽返事がない。ただのボッチのようだ。
「………………」
▽ネプテューヌは虚しい孤独を味わった。効果はばつぐんだ。
「むぅ~! こうなったらプリンのやけ食いだーーーー!」
~回想終了~
「はぁ……楽しみにしてたのに、アッキーに裏切られた気分だよ」←この人が食べた
「わ、悪かったって。食べたつもりはなかったんだよ」
「あー! もうお腹が減って死んじゃうかも! わたしのプリンがぁ!」←この人が食べました
「だから元は僕の……」
「わたしのプリンちゃん……。コンパが丹精込めて作ってくれた史上最強に美味しいプリンちゃんとはもう会えない……―――アッキーが食べたから」←間違いなくこの人が食いました
おかしいな……。食べたつもりはなかったんだけど……。てか、なんかツッコまないといけないと心が叫んでる? いったいなぜ? とにかく今ないものはないのだし、考えても仕方ないか。ネプテューヌはプリンが好きだから、期待させちゃった分落ちこませちゃった。どうにかしないと。
「それじゃあこうしよう。ネプテューヌもお昼食べるでしょ? なんかリクエストあったら言ってよ。作るから」
「じゃあプリン!」
「お昼ご飯のリクエストだってば…」
「(`・ω・´)おまかせで」
「……へいへい……」
これ以上のツッコミは懸念してた通りになるから適当に相づち打って、冷蔵の中身を物色することに専念する。
一人で済ますつもりだったけど、とんだ誤算になってしまった。これじゃ手を抜けない。この前食材は買いこんであるから作る物のレパートリーに問題はないんだけど、ぶっちゃけめんどくさいことこの上ない。
う~ん……鶏肉あるからこれでなんか作ろうかな? でも僕としては寝起きそうそう肉系はキツイし、どうしよっか。昨日、コンパがタマゴを先に使いたいって言ってたけど……数は、四個かぁ……これじゃ使うにも中途半端になりそう。自分から言っておいてなんだけど、おまかせって一番困るんだよね。本当にどうすっか?
なんて、朝から(正確には昼から)頭を捻っていたら、キッチンテーブルの向こう側から注文者の顔がちょこんとでてきた。
「ところでさ、アッキー。昨日もモンスター討伐に出かけてたね? 朝帰ってきて寝てたし」
「そうだね。誰かの所為で警察の人に厄介になってから毎日のように行ってるね」
「毎日行ってるのにモンスターまだいるんだ。大変だよね」
あ、無視しやがった。
「報酬金くれるだけまだマシだよ。―――なんでも、モンスターが警察の情報以上にいることがわかって―――ああ、それでアイエフと討伐しに行くときは聞いていた以上の数を相手にするわけになったんだっけ? あのときアイエフ、『情報はより正確に鮮度を大事に』とか言ってカンカンだったなぁ」
「とってつけたような前回説明乙!」
……そういうことは言わんでよろしい。
「ま、旅用の資金集めしてたし、召喚獣がいるからたいていのザコなら僕一人でもいいからいい仕事に巡り合えたと考えればいくらか気が楽だね」
「なんやかんやケガも治ってきてるしね」
「……僕にも非がないって言ったらアレだけど、ケガ人にモンスター討伐させるあたりこの世界の公務員ブラックすぎでしょ」
真っ黒とおりこしてなんか得体のしれない真理の塊じゃないの。無理のないクエストを回してくれてたとは言え、若干このゲイムギョウ界の暗黒面を垣間見た気がする。
「もう包帯しているところ、だいぶなくなったもんね」
ちょんちょんと刺激しないように突きながらいうネプテューヌのつむじを見て、自身の全身を見直す。
コンパを(あくまで他意はない…………が……すこしラッキーなことに)押し倒して警察にお世話になり、罰としてのクエストを依頼されてからというものの、情報以上の数のモンスターを倒した腕を見込まれて、あの日から毎日のようにクエスト依頼を受けるようになってしまった。大半がアイエフのおかげだったし、僕は足手まといなだけだったんけど、なぜか依頼はアイエフと僕とになってる。しかも2人一緒ならまだいいのに、別々での依頼がほとんど。おかげで最近は帰りがかなり遅くなるようになって、今日はついに朝帰り。断るってことも考えたけど、報酬金もいいし、ガラじゃないけど治安維持にも少なからず貢献できるわけで、特に後者はコンパの住んでる街を守る=コンパを守るに繋がるから結局クエストは受け続けることに決まっていた。
おかげで仕事に熱中してるあいだ自然と時間の流れも過ぎ、お金も堪り戦闘経験も積みつつ、あの洞窟でおばさんとまじえて負った怪我もだいぶ癒え、コンパがしてくれた包帯もほとんど取れるようになっていた。
「ホント、我ながら頑丈に育ったと思うよ……」
元の世界での過酷な環境がこうも活かされる日が来るとは思いもよらなかった。……異世界に飛ぶってこと自体、そう経験することじゃないし、当然なんだけどさ。
「まだ痛い?」
「ううん。もう全然平気。コンパがどうしてもって言うから付けてるだけで、取ろうと思えば包帯はもういらないんだ」
「そっか。ならよかった」
安堵の息をつき、小さな胸をなでおろすネプテューヌ。普段ハッチャけてるけど、なんだかんだ心配してくれてるんだろうか。根はとっても良い子だし。
「―――さ、ケガのことは心配らないから。そんなことよりご飯だ。お腹すいたよね」
「うん! もう空きすぎが天元突破してる!」
うん。全然意味わかんない。ともかく、お腹空いているのはわかった。
「と、言ってもなにを作ろうか迷ってるわけで……。あ、そうだ」
「京都へ行こう」
「うん。ちょっと静かにしててネプテューヌ」
ボケで尺をいちいちとられてちゃいろいろと大変だから。
「今日はフレンチトーストと、ネプテューヌのご希望に沿ってプリンにしよっか」
「フレンチトースト? に、プリン?」
「そ。卵も使うし、これなら重たくもなく、量次第でお腹いっぱいにできる。せっかくだから、プリンもいつもと違う感じにしよう」
「いつもと違うって、なにが???」
コクンッと首をかしげるネプテューヌに楽しみにしててと言って、冷蔵庫の中らか必要となる食材を取り出す。
「今日使うのはコレ」
プリンの材料(2人分)
・しょうがのしぼり汁 小さじ2杯
・牛乳 200CC
・練乳 大さじ2
・ゆず茶 小さじ1
フレンチトーストの材料(1人分)
・食パン 2枚
・バター 10g
・卵 1個
・牛乳 100~120CC
・砂糖 大さじ1
「おお? なんか本格的な表記。もしかして…今回って料理番組?」
「ネプテューヌ。細かいことは気にしない」
やることは簡単だし。そこまで長くないから。
「まずはしょうがは皮をむいてすりおろしたのを絞って、小さじ一杯分を器に入れる。牛乳は中火、より心もち弱い火加減で温めて、沸騰しそうになったら止めて練乳を投入」
「ダジャレ?」
「//////」
「あ、ダジャレだったんだ」
やめて掘り返さないで死んでしまいます。
「つ、次にこれをよくかき混ぜる。泡が立たないよう、スプーンでね。ネプテューヌ、やってみる?」
「やるやる、面白そう。でも、なんで泡立てちゃダメなの?」
「う~ん、説明してもネプテューヌにはちょっと難しいかと。美味しく作る方法の一つということで憶えてればいいよ」
「あれ? もしかしてアッキーバカにしてる?」
「してなから安心して。それより手を止めない。おいしいプリンができないよ?」
「あ、はい」
ちょっとぎこちないけどネプテューヌにかきまぜさせること数分。
「ふぅ、できたよアッキー」
「うん。ご苦労さま。それじゃ今度は、それをしょうが汁を入れた容器に半分ずつ注いで、っと。ネプテューヌは冷たいのと温かいのどっちがいい? それによって加工が違うんだけど」
「じゃあちょっと考えるから三年待って」
「うん。じゃあ冷たいのだね。そしたら冷蔵庫に入れよう」
「アッキー……わたしに冷たい」
あ、ちょっと酷すぎた?
「ごめんって。ちょっと悪ふざけが過ぎたよ。ほら、プリンを固めてるあいだはフレンチトーストを作ろう。やり方、ネプテューヌもわかるよね?」
「もちろん! パンをバーンって浸してピシャーってフライパンにのせて、こんがり焼けましたまで炒める!」
「ごめん。やっぱもう少しのあいだ落ち込んでて」
よくわかった。彼女だけで料理は絶対にさせちゃいけない。
いや、ある意味させた方がいいのかな。下手にフリーにしておくと姫路さんみたいな独創でとんでもないダークマターを作る可能性が………は、ネプテューヌでもさすがにないか。
「えっと……それじゃフレンチトーストを作るよ。まずパンを食べやすいサイズに切る。次に卵と牛乳、あと砂糖を容器に入れ混ぜて、そこに食パンをひたす。ちなみにバニラオイルとか入れると風味がよくなるから」
「アッキーが本当に料理番組やってるよ。この小説、タイトル変えてアッキーの料理教室になっちゃう?」
「ならないから。そんで浸したパンを、バターを溶かしたフライパンに載せて両面とも弱火でじっくりと焼く。ほいっと」
掛け声に合わせてフライパンでポンっとパンをひっくり返す。ケガをしていたときは料理を作るのもコンパの手を借りなくちゃいけなかったけど、この調子ならもう万全。思うように体が動かせるってこんなに有難いことなんだと改めて実感する。
「おおーー! すっごいアッキー! 三ツ星レストランのシェフみたい! 行ったことないけど」
なんて、こっちはこっちで楽しんでるし。
「残りもいっきに焼いちゃおうか。ネプテューヌ、パンひたしてどんどん持ってきて」
「まかせろ!」
ネプテューヌが向ける羨望の眼差しに少し照れくささを感じつつ、一枚目のトーストを焼き、他のもパパッと焼いていく。途中、ネプテューヌがやってみたいと言ってフライパンを任せて大惨事になりかけたりして大変だったけど、二人で協力してしばらくすれば、うまそうな匂いがリビングに広がり、テーブルの上にはできあがったばかりのフレンチトースト、プリン、あとコーヒー(ネプテューヌはオレンジジュース)が綺麗に並べられていた。
「よし、いっちょできあがり」
「なんかテレビに出てきそうなオシャレな感じになった!? アッキーって料理ほんとに得意なんだ」
「少ない取り柄だからね。さ、食べよう」
「食べよう食べよう♪」
頷き返すネプテューヌと、それぞれテーブルに向かいあうように座って、手を合わせる。
「「いただきます」」
二人揃ってまずトーストに手を伸ばし、パクリと一口かじる。できたてだけあってまだ熱々で、カリッとしたのと、ふわふわの食感が味わえて口の中に香ばしい味が広がっていく。ネプテューヌはともかく僕はこの日最初の食事だけあってよく味わい、ゴクンと呑みこみ、コーヒーを流し込む。
そしてネプテューヌともう一度顔を向きあって、
「「うまい!」」
「これすっごく美味しい! さすが料理だけは得意なだけはあるアッキーだ!」
「一言余計だよ。けど喜んでくれたなら良かった。ちょっと簡単に済ましちゃった感はどうしても否めないけど、うん。
我ながら料理の出来に満足。さらに褒められたとなると大満足だ。
「それじゃ次はプリンいってみよう!」
「って、もうパン食きってる!? 早っ!?」
「ちっちっちっ……。舐めてもらっちゃ困るな。腹ペコなわたしにかかればこの程度トランでザム的なシステムを使うまでもないよ」
「よくわからんけどよくわからん」
彼女の口にするボケは時々危うい。正確に何が危ういとか言えないけど、危う気がする。
それもネプテューヌのパラメータなのだとしたらやはりこの子の潜在力は桁違いであろう。ある意味こういうタイプとの出会いは初めての経験だ。
「じゃ、いっただきまーす」
銀色のスプーンを手にしたネプテューヌがプリンに照準を合わせて捕食を開始する。ネプテューヌとってプリンを食べることは神々との戦いと同じ。血の力が覚醒する瞬間だ―――――あ、うん。違うか。
「ちょっと待った」
とりあえずつまらないこと言ってる場合じゃない。食べられる前の一手間がまだ残っているのだから。
「食べちゃダメなの?」
「違うよ。レシピに載せて、まだ使ってないのがあるでしょ」
「あったっけ?」
「……あったの。んで、それがこのゆず茶」
小瓶に入れたゆず茶を取出し、ネプテューヌのプリンに一滴、二滴、ちょびっとずつ垂らす。
「これでオッケ。食べてみて」
「それじゃあ、今度こそいっただきま~す」
気を取り直してプリンをすくい上げて、大きく開いた口にスプーンを運ぶ。
パクリ、なんて効果音が聞こえてきそうな食べ方でいって、何回か噛む動作を挟んで、ゴクリと呑みこむ。
そうして全身を極寒の地に立たされたみたいに震わせた。
どうかしたのかと窺っていると、さらにもう一口プリンを食べて―――
「なんじゃこりゃぁああーーーっ!?」
「うお、ビックリした」
いきなり大声を張り上げた。
「へ、変な感じ! いつものコンパのプリンと違うんだけど、このプリンもオツな感じでおいしい! 隠し味ってのがまた粋だよね」
「相変わらず大袈裟な表現…。気にいってくれたのなら良かったけど」
「こんなにおいしいもの作れるなんてアッキー良いお嫁さんになるね」
「言葉がおかしいよネプテューヌ。そこは婿じゃないかな?」
「このネプ子ちゃんが保証する! アッキーは将来立派なお嫁さんに成長すると!」
「人の話を聞いて! というかそんなの絶対にイヤだ!」
まったく、褒めたと思ったらすぐこれだ。ぬか喜びと言うか…上げて落とされた気分。
今に始まったことではないにしろ毎回ネプテューヌのボケには苦労させられるのには、慣れがまだまだかかる、てか常にハイテンションで攻めてくるからおのずとこっちが疲れてしまう。
「~~~~♪」
今みたいに、ご飯をおいしそうに食べてる姿は可愛げがあるんだけど。本当に不思議な子だ。
「あ、そうだ。アッキーこのあとまた仕事に行くの?」
「ん? 今日は休みだよ」
「じゃゲームやろ、ゲーム」
「ゲームって、なにやるの? もうほとんど遊びつくしたんじゃない? あ、まさかまたアイエフにナイショで新しいの買ったの?」
「違うって。コレだよコレ―――アッキーが貰ってきたやつ」
そう言って取り出したのは、アイエフと一緒に依頼を受けた変な着ぐるみの人……もとい内気な人からの報酬で貰ったゲームソフト。まだ市場に出ていない品物らしいんだけど、実はくれたあの日からクエストが忙しくて結局手を付けられずのままだった。
そんでクエストが落ち着くまでできないと諦めてネプテューヌにあげたんだっけ? 聞けばレース型対戦ゲームで面白いみたいなんだけど……せっかく貰ったのに一度もやっていないってのも失礼な話だな。
重労働での疲労がまだ残ってて休みの日だからゆっくりしていたい気分もある。が、ゲームとあっては断るのもはばかれる。なので返答は一つ。
「別にいいよ。僕もやりたかったし―――でも、ネプテューヌの方が有利なんじゃない。もう何度もやってるんだし」
「あれ~? そんな男らしくない台詞言って、負けたときの言い訳かな?」
と、いじわるな笑みで視線を送ってくる。……………ほほう、言い訳とぬかすかこのグータラ少女がぁ…。
「いいじゃないか。ならばこのゲーマーとしての腕を持ってして、君を打ち負かしてみせよう。その顔を泣きっ面に変えてみせる!」
「ふふん、やれるものならやってみろ! このわたしを超えることなど一万年早いとわからせてやるぜ!」
視線がぶつかり合い、バチバチと火花が散る(みたいな雰囲気で)お互い不敵に笑いあう。
そして、再び食事に戻ってうまうまと二人で仲良く食べる。あ、手拭とってとか、今度またこのプリン作ってだったり、コンパたちいつ帰ってくるんだろうねと談笑し、楽しく昼食を済ませた。
使った食器も協力して洗い終えると、コンパ宅のテレビの前に並んで構えた。
先程のゲームソフトをセットし、臨戦態勢でいる僕らの分身、コントローラーを手にする。
「それではスタート!」
ポチっと据え置きハードの電源を押し、テレビ画面にゲームスタート特有のロゴが映し出された。続くようにソフトのメーカーらやなにやらがでてきて、スタートボタンと連打して飛ばしたりし、セーブやロードが表記されたスタート画面が開いて―――
「え? あれ?」
開くかと思ったのに、画面は『初めてやるときの』初期設定の表示が映された。
「ネプテューヌ、これまだやってなかったの?」
「うん。だってアッキーとやるって約束してたし」
「へ? そんな約束してたっけ?」
「してたよ。アッキーが半分死んで半分眠たそうな状態だったから憶えてないみたいだけど」
「統計すると生きてないね、その時の僕」
そりゃ記憶にないわけだ。
「けど、意外だね。プリンとゲームが大好きなネプテューヌが律儀に待ってるなんて」
「わたしだって約束ぐらい守るって。空気が読めないどっかのボッチさんとは違うんだから」
「誰のこと言ってんの? いや、言わなくていいけど」
まだ、触れてはいけないと僕の第六感が訴えている。得体のしれないものの恐怖とはかくも計り知れないものなのだろう。
しかし、なんだろうか―――
「本当はやりたくてしょうがないのを我慢してたんだし、アッキーには今日とことんわたしに付き合ってもらなきゃ! あ、もちろん拒否権はナシで! さあやるぞー!」
日頃からグータラでゲームをしてプリンを食べてがデフォの彼女が、まさか僕との約束―――しかも恐らく半分ほどその場の勢いなんかの軽い程度の約束なんかをちゃんと守るなんて意外―――いや、むしろネプテューヌらしいのか。
こんな子だから、こんな子だからこそボケに苦労させられて、振り回されても、なんだかで仲良くなるんだなぁ。
「? どうかしたアッキー? 急に笑い出して変態くさいよ?」
「変態くさいは余計だよ」
自然と顔がニヤついてしまっていたんだろう。なんだか、単純すぎて呆れるばかりだ。もちろん、どっちとは言わない。
今日はずっとネプテューヌの相手をすることになるんだろう。きっとコンパたちが帰ってきても。
でもそれはクエストでモンスター退治をするより苦労することで、楽しいことだ。休みなのに疲れが取れるどころか、さらに疲労が溜まるに違いない。
僕の生活はこの世界にきて一変してしまった。
大変で、痛い思いもして、苦労の連続で―――元の世界となんら変わりないハチャメチャな生活の中で、新しくネプテューヌとゲームをするようになった。
ちょっとだけ、ゲームをするのが大変になっていた。
「ところで、僕のこと待ってたんなら僕の仕事付き合ってくれても良かったんじゃない?」
「さあゲームスタート! バリバリー!」
「………まぁ、もういいけど」
次回からラステイション編、第二章に突入です。第一章は基本通りであまりストーリ自体はあまり変わってませんが、おそらく第二章からストーリーにオリジナル展開が盛り込まれていくかもです。お楽しみに?
あ、それとどうでもいいですけどPS4買いました。てか買っちゃった♪サイフが悲鳴を上げてるよん♪マジヤバい♪
てなわけで次回に続きます(私はそう願う)