タロちゃんに「ターロタロタロ」って言わせたい 作:エアプタロちゃん概念好き
「カメリア先輩、本当にいいの?チャンピオンのバトルだけど……」
「いいのいいの、俺は終わらせなきゃいけない課題が沢山あるし」
「そっか…」
『チャンピオン』……公的な場でそう呼ばれるトレーナーは基本的に各地方の頂点に立つポケモントレーナーだけだ。
……そう、チャンピオンとは文字通り他のポケモントレーナーとは一線を画すトレーナーだ。たとえシングルバトルであってもダブルバトルであっても……トリプルバトルやローテーションバトルといった変わり種であってもチャレンジャーが殿堂入りできるほどの実力者でない限りは負けない存在なのだ。
ただ、この学園においての『チャンピオン』は前者とは変わり、あくまでも『学園最強』に留まる。いや、確かにトレーナーの育成に力を入れてるこの学園で最強なんだから並のトレーナーが束になっても負けないくらいには強いんだけど。
「ほら、早く行かないと遅れちゃうよ」
「あっ、本当だ!それじゃあねカメリア先輩!また今度ファイアローの特訓に付き合って!」
そう言ってフライパンを担いで走っていった元気な後輩の背中を、手を振りながら見送る。
話を戻そう。
この際だからぶっちゃけるが、俺は現チャンピオンのことはマジで知らない。
チャンピオンと同じ部活に所属している知り合い曰く、「前までは楽しそうにバトルをしていたのにある時期をきっかけに人が変わったように勝つことだけに執着し始めた」とのことだが、そもそも俺は変わる前も変わった後も知らない。よって現チャンピオンのことについてはノーコメント。
そんなこんなでアカマツくんと別れてから、現在は課題に追われている真っ最中。なんだよ『カエンジシがくしゃみする瞬間を写真に撮れ』て。運要素強すぎだろ。バカか?バカなのか?
「……スグリくんのことは嫌いですか?」
「近くにいたなら声くらいかけろよ」
「すいません。出るタイミングが無くなって…」
カエンジシの群れから少し離れたところでスマホロトムのカメラを起動しながら待つこと数十分。後ろからこっそり近付いてきたタロに話しかけられる。
「………まあいいか。で。スグリのことだっけ?別に嫌いじゃないよ。そもそも顔しか知らないから好きも嫌いもないし……ていうかいいのか?」
「何がですか?」
「チャンピオンのバトル見なくていいのかってこと」
「実はわたしも明日提出の課題が終わっていなくて…」
「期限ギリギリまで粘るなんてお前にしては珍しいな」
「『ゼブライカとドードリオ、もしくはシママとドードーが競走してるところを撮れ』っていう課題なんですけど……」
「ああ……そっちもあの先生の課題か」
なぜよりにもよってこんなめんどくさい課題を出すのか。もしかしたら俺たちに何か恨みでもあるのかもしれない。
「タロ、お前恨まれるようなことした覚えは?」
「ありません」
「本当に?ピーチ学園の生徒会長として無理難題押し付けたりピーチドンでボコボコにしたりしてない?」
「…バカにしてますよね?」
「至って真面目なんだけど」
「もういいです。それには慣れましたから」
その言葉をゆっくりと咀嚼して吟味してみる。『慣れた』、『慣れた』……慣れたのか。ならばと思いスマホロトムをカメラからアルバムに切り替えて一つの動画を開く。
『ターロタロタロタロ!!』
「えっ!?…やめてください、聞かれてたらどうするんですか!……ていうかいつの間に録画なんか。今すぐ消してくださ…………あっ、カエンジシどっか行っちゃいましたよ」
「え゛……嘘だろ?群れ探すだけで一時間使ったのに!」
「自業自得ですよ。これに懲りたら反省してください」