トリニティはトリニティでも、違う作品ですよねコレ? 作:ペルフェクティ
次話以降で、原作の時間軸になる予定です。
……
…
「う、うぅん…?」
意識が浮上する。ぱちっと目を見開くと、夜空や昼空ではなく、無機質なタイル張りの天井が目に入った。
「あ、アレ…?ここは、一体?」
「あら、漸く目が覚めましたか」
自分の声に応じる様に、誰かの声が耳に入る。
驚いて跳ね起き、挙動不審の様に周りを見渡す…までもなく、すぐそこに、声の主は居た。
「おはようございます、お寝坊の狐さん?」
その人物は一言でいえば…薄幸の美少女…と言えばいいのだろうか、
色素の薄い肌に、白とも銀ともとれるような髪、エルフのような耳をしていて…
近未来的な車いす(?)に座って、こちらを見て微笑んでいる。
「え、えっと…あの…?」
「うふふっ…初めまして、私はヴェリタスの部長兼、特異現象捜査部の部長…
ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女ハッカーの明星ヒマリと申します」
「あ、えっと…は、初めまして…」
思わず見とれそうになる美貌に心が奪われそうになっていたが、
なんだか凄い自己紹介が飛んできて、変に落ち着いてしまった。
「あら、アナタは名前を教えてはくれないのかしら?」
そしてそんな自分に意地悪をするように、笑いながら言う。
名前、名前か…少なくとも今思い出せる名前はこれしか無くて…仕方なく、そう名乗ることにした。
「…ハヤト、と言います」
「なるほど、ハヤトさんと…」
「あ、あの…此処は一体?」
気になっていた疑問を投げかけると、美少女は少しキョトンとしたのち、にやっと笑って。
「うふふっ、ここはミレニアムの中でも秘密裏に作られた特別な場所…
そう!連れ去ったアナタを改造して怪人として私の手駒に」
「部長、変な冗談を言ってる場合じゃない」
ヒマリと名乗った少女の後ろから……なんだアレ!?
水着、いやなんで胸の部分にチャックついてるんだよ!?
驚愕する自分を他所に、言葉が続く。
「…すこし茶目っ気を出しただけですよ、エイミ。…コホン、それでは改めて」
「ここはミレニアムサイエンススクール、その特異現象捜査部の部室です。」
「アナタは偶々見ていた監視カメラに写っていまして、気絶していたため、
部下のエイミにここまで運んできてもらったのです」
「な、なるほど…どうやら助けてもらったみたいで…ん…?ミレニアム、特異現象捜査部…?」
お礼を言おうとして、耳に入った言葉の単語単語に、何かを感じ取った。
…俺は、何か知っている?無いハズの記憶が、無理矢理掘り起こされるような感覚と共に、
突如として、あることを思い出した。
「…ブルー、アーカイブ…?」
「? なにかありましたか?」
「あ、いえ…聞いたことない場所だなぁと あはは…」
…ブルーアーカイブ、突然記憶に浮かんできたそのタイトルは、
男性だったころの自分がやっていた、ソシャゲ…だと思う。
断言できないのは、あくまでも朧げに、目の前の人物や単語が、
ブルーアーカイブに出てくるモノだ という漠然とした感覚でしかなく。
どんなキャラが居て、どんなストーリーだったかも、思い出せないのだから。
「…なるほど…ところで、少しお聞きしたいのですが」
「え、あっはい 何でしょうか?」
「…『名もなき神々の王女』という言葉に聞き覚えは有りますか?」
「名もなき神々の王女…?」
何かの隠語か、はたまた暗号なのだろうか?しかし、少なくとも自分はその言葉に聞き覚えがない。
そもそも自分が誰だったのかすら思い出せないわけで。
「その、申し訳ないですが…聞き覚え無いですね」
「……」
じーっと見つめる様にヒマリさんが私を見る。
…正直美少女にそんな風に見つめられるのは、こう、恥ずかしさが来るもので。
「あ、あの…そんな見つめられると、恥ずかしいというか…」
「あら、ごめんなさい。……本当に知らない様ね」
落胆とも、安堵ともとれるようなため息を一つして、再びヒマリさんは私に語り掛ける。
「さて、ハヤトさん アナタはこの天才美少女ハッカーに命を救われたと言っても過言ではない状態です。」
「気絶したところ運んだだけだし、なにより運んだのは私だけどね」
「指示を出したのは私なので問題はありません、…つまるところ、私はアナタの命の恩人と言うわけです」
「そ、そう、なのか…?」
「そうなのです そして恩人ということは、私に恩を返さないといけないわけです」
「…うん?」
なんだか雲行きが怪しくなってきたぞぉ…?
「と言うわけですので、アナタにはしばらく、特異現象捜査部の部員として働いてもらいます」
「…チョットナニイッテルカワカンナイ」
「あ、拒否権はありませんので」
じ、人権の侵害だ!?…あ、いや機械だからこの場合はない、のか?
「そこまで無茶な要求をする訳ではありませんし、それにここを出て、どこか行く当てがありますか?」
「むぅ…それは」
そう言われると、何も知らないし、どこにも居場所のない自分な訳で、あてもなく彷徨うよりは…
要求をのんだ方が得策、なのかな。
「…わかりました、よろしくお願いします ヒマリさん」
「うふふっ、それじゃ頑張ってくださいね、ハヤトさん?」
こうして、俺の、特異現象捜査部の活動が始まった。