その日、道端で黒い本を拾った。
立派な装丁の本で、なぜか狂おしく惹かれて、思わず拾ってしまった。
なんと、召喚術の本だという。何それめっちゃ面白そう。
私は、その本に書かれている通り、なんちゃって召喚の儀式をする事とした。
えーっと、召喚目的は、と。ぺ・ろ・ぺ・ろ・す・る・た・め。
捧げ物は夏油傑のぬいぐるみ。五条悟といえば夏油傑。
きっと五条悟も喜んで来てくれるに違いない。
コスプレをして魔法陣を描き、捧げ物をして、抱き枕を抱え、呪文を唱え儀式を行う。
「悟!悟!悟!悟ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!悟悟悟ぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!五条悟たんの白銀の髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
0巻の悟たんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
アニメ2期決まって良かったね悟たん!あぁあああああ!かわいい!悟たん!かわいい!あっああぁああ!
小説も発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!小説なんて現実じゃない!!!!あ…コミックもアニメもよく考えたら…
さ と るち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!呪術界ぃいいいい!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵の悟ちゃんが私を見てる?
表紙絵の悟ちゃんが私を見てるぞ!悟ちゃんが私を見てるぞ!挿絵の悟ちゃんが私を見てるぞ!!
アニメの悟ちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!私には悟ちゃんがいる!!やったよ傑ぅ!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックの悟ちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあメロンパン様ぁあ!!ナナミィ!!灰原ぁああああああ!!!硝子様ぁあああ!!
ううっうぅうう!!私の想いよ悟へ届け!!呪術界の悟へ届け!私は実は五夏萌えなんだっ!! 」
「出でよ! ピッチピチの五条悟!!」
五条悟の抱き枕を抱きしめ、狂乱する私。
トランス状態に入ったとでもいうのだろうか? とにかく興奮し切った私は、魔法陣が発光しているのに全く気づかなかった。
とにかく、私が叫んでふぅやれやれ喉が渇いたとジュースを飲もうと顔を上げた時。
魔法陣枠に沿ってに光の壁ができていて、その中に怯えた表情で呆然とするハイパーイケメンの男子学生が囚われていた。ルイズの気持ちがわかった。
私の人生おわた。
てへっ召喚失敗失敗なんて言っている場合じゃない。
いや、この場合成功なんだけど。
ありえない。男子校生誘拐拉致監禁の罪で新聞の一面にのる自分を想像し、顔色が一気に悪くなる。
シンプルに背の高いイケメン怖いのもある。
目が合ってしまった怯えたイケメンの行動は早かった。魔法陣の中で、何らかの力が爆発する。
しかし、それは魔法陣の光壁に阻まれる。
「くっそ変態! 変態! 変態! 変態! 変態!!!」
「はわわわわわわわわわ」
怒涛の変態コール。
そもそも目の前のイケメンは誰だ。
いや、予想はつく。予想はつくよ? でも信じられないっていうか、そうだったら私終わらない?
どのみち終わってましたね、誘拐は対象が誰であっても人生終了やったー!
暴れるイケメン。
どうやら、魔法陣の光の壁は無敵のようだ。
私はただただ五条悟の抱き枕を抱きしめ、恐怖に震えた。
「くっそ、ぺろぺろしたいってなんだよ、いうこと聞かないと戻れないってなんだよ、クソが!!」
「えっ」
「ひっ」
一瞬怯えた様子をみせ、それから敵意と殺気をバリバリ浴びせてくる少年。
マジか。マジか。
それは私にもハードルが高いですぞ。
イケメンをリアルペロペロ? セクハラ通り越して逆レで捕まるのでは????
二次元ペロペロしたい私ですが、三次元ペロペロはそもそもノーサンキューである。変態かよ。変態だわ。
大体どこをどこまでペロペロしたら契約終了なの?
そこんところ、どうなのよ私。
こんな時こそ、落ち着いて元凶の本を見るべき。
「なんだよ、その本」
「あ、これ、落ちてて! この本の通りにしたら本当に召喚できて、召喚できると思わなくて!! あのあの、殺さないで……!」
まずい、焦れば焦るほど全然頭に入ってこない。
「じゃあ帰せよ! 家に帰せよ!! 大体、どうして傑のぬいぐるみ持ってんだよ! 傑と間違えたのか? お前、傑のストーカーか!? それとも今度は傑を召喚するって脅しか!?」
「最強コンビのストーカーですっ」
「最悪じゃねーかっ」
「ごめんなさいっ ごめんなさいっ えっと! お家に方法が、えと、私、生贄とか無理で! でも、報酬を払って言うこと聞いてもらって目標を達成したら帰還できるので、えと、報酬がっ」
「俺も生贄なんざいらねーよ! 何もらっても舐めさせる気ねーし!! とっとと帰せよ!」
「だ、だから、えと、これ! これ読ませてあげます! コミックス持ってなくて、電子書籍で買ってて、五条先生に渡せる価値あるものなんて、これしか思い浮かばなくて!」
「なにそれ。きっしょ。俺達の似顔絵……?」
それから、私は電子書籍を見せた。
イケメン、いや誤魔化しはやめよう。五条悟は顔を青ざめさせていた。
「……そんな。なんだよこれ。どこだよここ」
魔法陣が光り輝く。そして、五条悟の手の甲に契約紋が現れる。契約が成立したのだ。五条悟が納得できるだけの代価を支払えてしまった。
もはや、五条悟は逆らえず、私にペロペロさせるしかないのだ。
そんな双方にとって非道なことある???
よく考えて欲しい。リアルペロペロだぞ。
クリアファイルをペロペロするのとは訳が違うんだぞ。
顔とか舐め回したりするわけ? 絵面最悪じゃん犯罪者か。犯罪者だったわ。誘拐犯は犯罪者。
報復が怖いので、私は五条悟といくつかの縛りを結んだ。
ペロペロする時攻撃しないとか、この激ヤバすぎる本と召喚術について誰にも言わないので、私のやらかしたことも黙っててくださいとか。訴えないとか。
「わかった。縛る」
私はもはや泣きそうだった。嬉しさと恥ずかしさと申し訳なさと罪悪感と緊張で爆発しそう。
指ぺろで済んでくれ。
どうか指ぺろで契約済んでくれ。いや、指ぺろでも相当ハードル高いけどな!??
ぺろり
「ひゃっ」
五条悟は鳥肌を立てて悲鳴を上げた。
地獄である。地獄がそこにあった。
「け、契約成立? 成立したよな? 成立しろぉっ」
「お願いします、契約成立で! 成立でお願いシャス!!!!」
二人の必死の祈りが通じたのか、魔法陣は消え、五条悟も消えた。
拝啓、ルイズ様。
あなたの召喚を心から面白がってしまい、申し訳ありません。
下手な召喚には二度と手を出しません
私は本を押入れの奥底に封印し、写真を撮ったり夏油傑の事を聞けば良かったと後から気づいて慟哭した。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
今度からマシュマロ返信していくことにしたので、よろしくお願いします!
返信不要の場合は返信不要と書いておいてください。
こっそりな感想はこちら
https://odaibako.net/u/karin2022v
リクエスト、返信不要の匿名感想はこちらにお願いします。
主人公は
-
死ぬ
-
死なない