その日はいつも通りの日だった。
いつも通り、悟と喧嘩して、仲直りしたくて、ちらっと悟を伺った時、悟の足元に魔法陣が輝いた。
「!??」
驚いた悟の顔が、夢のように消える。
「さと、る?」
恐る恐る声に出したけど、返事はない。
先生も硝子も目を見開いていて。
「索敵に強い術師を呼んでくる。硝子はそこにいて何かあったら連絡してくれ。傑。念の為周辺を見てくれ。そうだ、携帯の位置情報を調べるという手もあるな」
「……あ」
「傑!!」
「さ、悟が!!!!」
「すぐに動け。悟の事だから大丈夫だとは思うが」
「悟が!!!!」
「傑。大丈夫だ。すぐに連絡が来る。信じろ」
私は学校中を残穢を見ながら探した。悟はいない。
嘘だ、こんなの。もう会えないのかな。嘘だろ?
だってちゃんと仲直りしてない。
悟。悟。嘘だ。悟。
すぐに五条家に連絡が行って、五条家の人が来た。
外は暗くなって。携帯の位置情報でも駄目だって。悟。悟。
そんな時でも任務はあって、それはもう急いで片付けて、教室で待機して。
嫌な事ばかり考える。あれは魔法陣だった。残穢は感じなかった。
異世界召喚? そんな、まさか。
勇者召喚とか悪魔召喚とか、色々考える。
勇者召喚だとしたら、そんなの戦闘奴隷と変わらないし、召喚主の言うことを聞かされる話だってある。
どうしよう、悟が洗脳されたりしたら。戦わせられたら。
もう戻ってこれなかったら。
もしも召喚主がいたのなら。
殺してやる。殺してやる。殺してやる。
例えそれが神であろうと。
「帰ってこれたぁ!」
唐突にそんな声がして、質量が私にぶつかった。
悟がいた。それを認識した途端、私はぎゅっと悟を抱きしめていた。
手元から、何かが落ちる。ぬいぐるみ?。
「傑っ……!! 心配させんなよっ!」
「それはこっちのセリフだ……っ」
悟が泣いてる。あの悟が。そのことに驚愕する。
「あっ やべ。トイレ行きたい! うげっ汚れてるのに抱きついちまった、ごめん! とりあえず俺、トイレ行ってくる。ちょっと待ってて」
悟が涙を拭きながら、私の胸から顔を上げる。ぎゅっと抱きしめた。
悟。こんなにボロボロになって、一体何があったんだ。
土で汚れている風ではなかった。でも怪我をしていたし、服はボロボロだった。
「心配だから一緒に行くよ。あと、自分を汚れてるなんていうな」
「悟さま! 心配しました!」
「!?」
「心配させんな、クズ」
口々に声をかけられ、怯えたようにビクッと肩を跳ねさせる。連れ攫われている間一体何が。
嫌な想像ばかりが頭をめぐる。
「あーっと、ごめん! トイレ行ってから報告する」
そうして、トイレに行って念入りに手を洗う。
「うー。手ぇ冷たっ」
寒そうにしてるのに手を洗うのをやめない。
その手を取ると、冷たく悴んでいた。
「悟。お湯にしな。っていうか疲れただろ。シャワーにしなよ」
「ん。そうしようかな。わ、服ボロボロ。でも待たせてるしなぁ」
そんなのどうだっていいんだよ。
「ちょっとくらい大丈夫だよ。呪霊使って連絡する」
「そこまでしなくても」
これからお風呂に入ると連絡すると、硝子と医師がやってきた。
怪我も心配だが、攫われていたんだ。ましてや、悟は顔がいい。
「そういうこと」も心配だった。
「五条。怪我の様子見せろ」
硝子に手を伸ばされて、思わずと入った様子で悟は叩き落とす。
頭が怒りで真っ白になる。そういうことをされたんだ。
「ごめっ」
「気にすんな」
「えっ まさかトラウマ? 俺そんなタマだっけ? 弱っ えっちが」
「五条」
「ごめん硝「気にすんな。でもちょっとだけ我慢してくれ」」
「私の手は大丈夫? ちょっと抑えるよ、ごめんね。嫌だったら言って」
治療と調べるのと。少しホッとした。あとが残るような事はされてない。
「とりあえず、大丈夫っぽいな」
「サンキュ」
「他に気になるところはあるか。苦手になったものとか。なんでもいいから言え」
「あー。悟って女の声で言われるの、ちょっとびっくりするかも?」
「わかった。男の声は大丈夫かな?」
「それは多分大丈夫。むしろ、こんなんで苦手出来るの嫌だから、硝子も悟って呼んで」
「……わかった。無理すんなよ、悟」
犯人は女。だからってたった1日であの悟の心に傷を作るなんて。
何をされたのか慄くと同時に、怒りが募って吐きそうになる。
ココアを渡し、話を聞く。
「ごめん、縛り結ばされて、言えねーんだ」
「つまり、犯人はまだ健在ということですか。その手の甲の印は」
「わりぃ。気が動転してて、そういや二回目防ぐ方法とかも全然考えてねーや。この手の甲は、あー。所有印的な? これもなんとかしないとな」
悟。悟、悟、悟。君は最強でなきゃ駄目なのに。まるで自分に焼き印がつけられたように、胸がムカムカする。
「とりあえず、いつ召喚されても大丈夫なように、合同任務無しにしてもらえるかな」
「逆だろ!!!!!」
思わず、大声を出してしまって謝る。
「ご、ごめん。とりあえず、呪霊を護衛につけるし、解決するまでずっとそばに居るから」
「マジで? あー。どうしよ」
「問題があるのか、悟」
「ちょっと一人で考えたい事があって。でも、今一人は嫌かも」
「考え事の邪魔はしないよ」
「本当悪い」
「とにかく、今日は温かいものを食べてもう休め」
夜蛾先生がそういって、私は悟の部屋に泊まる事になった。
悟と二人、毛布を羽織る。悟は寄りかかり、じっと考え事をする。
何を考えてるんだろう。対策か、されたことを思い返しているのか。
悟が吐きそうになり、すぐにゴミ箱を用意して背をさする。
「悟。対策考えるのも大事だけど、今日はもう何も考えなくてもいいんじゃないか?」
心配で胸が張り裂けそう。もちろん、本当に辛いのは悟なのだけど。
「傑。お前、ずっと一緒にいろよな。どっか行くなよ。何があっても。いや、俺がなんとかするし」
「……悟。あの人形、もしかして、私を出汁にして脅されたりなんかしたのかい?」
考えたくなかったけど、悟がただどうこうされるなんて考え辛い。
まさか、私を出汁にされてどうこうなんて馬鹿なことになるようなタマじゃないと信じたい。
両親を人質にされたとか? まさか。だとしたら、私は自らの手で両親を殺してしまうかもしれない。
「何があったかは言えねーんだ」
「悟。私は君に守られるほど弱くはないよ」
悟の弱みになるなんて、絶対に耐えられない。そんなことになるなら死んでやる。
「お前が弱いなんて言ってねーよ。つか……俺が助けてほしーし」
「助けるよ。私が出来る事、なんでもする」
「俺の事助けんの、すげー大変みたいだぞ。今も監視されてるかもだし」
困ったようにいう悟。でも、私たちは最強なんだろ?
二人揃えば、世界を相手にだって戦えるはずだ。
監視がどんなものかわからないから、毛布で包んで口元を隠し、囁く。
「どうすればいい?」
「ん。誰にも言わない? 下手に動くと逆効果だし」
「言わないよ」
「とりあえず、来年春までにすげー強くなって。でないと下手すると、俺殺されるかも」
「わかった」
それが悟の命を救うためならば。
私は、世界で一番強くなって見せるよ。
マシュマロ
https://marshmallow-qa.com/lucaluca
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主人公は
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