クリアするまで出られないホラゲーに、なぜかVチューバーがいる件について   作:プロトタイプ・ゼロ

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カセット2「街の探索」

「ミオ〜」

 

「フブキ!?」

 

 ぜぇはぁぜぇはぁと息切れを起こしながらも割と長い階段を登りきったフブキは、神社で座り込んでいるミオに勢いよく抱きついた。

 

 白上フブキは他のホロメンに比べホラー耐性は高いほうだ。絶叫を上げることも少ない(あくまで明真の主観入り)ため、ほぼ永遠に近い時間わけのわからない化け物に追いかけ回された彼女は、心の底からこの世界に恐怖心を抱いていた。

 

 そもそもフブキもミオと同じくなぜか離れた地点でスタートしているため、最初こそは恐る恐る探索していた。もしかしたら近くにミオがいるかも知れないと思ったから。

 

 そんなフブキの期待をバッチリ裏切り、彼女が見てしまったものは人の肉だと思われる赤いなにかをむしゃむしゃと汚く食べる白い仮面をつけた黒い人型の化け物。鋭い爪に、喉辺りまで裂けている口、赤く光る眼光……と恐怖心をあおるには充分であろう。しかも、口周りには先程食べていた血が垂れている。

 

 誰が見ても全速力で逃げる。武器もなにもない生身で挑むわけにもいかない。そう思ったフブキはゲームを開始する前に頭に入れていたセーブポイントのことを思い出し、必死に神社まで逃げてきたのだ。

 

 途中どういうわけか化け物が動きを止めたため、チャンスと見て神社の階段を登ったのだ。

 

 茂みに隠れている明真は段ボールの中から二人の様子を伺う。それから階段を下り段ボールの中に潜んだまま移動を開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この段ボールの凄いところは潜っている間は敵に見つかることがないということだ。そのため原作メタルギアのように隠れながら移動してもバレることはない。でもさ、ホラゲー化したメタルギアはガチで怖かった。

 

 以前クリアしたホラゲーワールドのバイオハザード4でも段ボールは大変お世話になったからな。寄生虫に寄生された化け物やラスボスに気づかれることなく、俺がやるべきことを遂行できたのはいい思い出だ。これは確かにスネークが気に入るのもわかる気がする。

 

アヒヒ?フフヒヒヒ、へへぇァァ〜

 

 よくわからない奇妙なうめき声を上げながら化け物は首を傾げている。マジでなんなんだこいつ……。気持ち悪いし、声を聞いているとなんかイラってしてくる。

 

ズパンッ!!

 

アヒィビィあ!?

 

 またもや奇妙なうめき声を上げて背中から倒れる化け物……分かりづらいな。勝手ながら名前でもつけるか。なにがいいだろう……よく見るとあの肉体部分の黒いやつ妙にドロドロしてるな。

 

 よし、こいつは今日からドンヌマだ!! なんとなく閃いただけだから理由はそこまで考えてない。あ、ドンヌマが手も足も使わずに起き上がって周りをキョロキョロしてる……誰に撃たれたのかを確認してるんだろうが馬鹿め。お前を撃った犯人は物凄く目の前にいるんだぜ?

 

ヌヒヒ……キヒッ! キャヒヘハハハハハハハ

 

 ガチでキモい。なのでもう一発!!

 

ヌヒヒリヴィ!?

 

 ヤバい。こいつが馬鹿すぎて楽しくなってきた。でもまぁ、もうそろそろ探索続けるか。

 

 ドンヌマがいなくなったのを確認してから段ボールを脱ぐ。どういった仕組みなのかはわからないが、この段ボールは捨てるとポリゴンのようなデータ化して消滅するんだよな。ガチでどうなってんだろうな?

 

「さてさてさ〜て、なにがあるかなぁ?」

 

 なんてことのない一軒家に不法侵入し、アイテムが落ちてないか調べる。たまにレアアイテムが落ちてる時があるが、基本的に回復アイテムが多い。

 

「ん……これは白い狐面か?」

 

 引き出しに入っていたなぜかホコリ一つもない美しい狐のお面。なんだろう……特撮アニメとかでありそうな仮面だが一応もらっておこう。

 

 結局家の中を物色して見つけられたのは、

 

 白い狐のお面。

 魔法使いのような白いローブ(同色のフードとマント付き)。

 ちょっとした装飾しかされていない真っ黒な日本刀。

 完全回復薬×4

 

 だった。一言言わせて?

 

 

 

 なぁにこれ?

 

 なんとなく全部装備してみたけど……うん、厨二病くさい感じがして笑えてきた。笑えよ。

 

『へぇ~面白そうじゃないか……ボイスチェンジャー付きとか豪華な狐面だなおい』

 

 だが、これによってより一層ミオ達のサポートがしやすくなった。フードを深く被り刀を鞘に納め家から出る。回復薬はバックに入れ込んだ。

 

 このときの俺はちょっとばかしテンションが上がっていたこともあり、外に出る瞬間狐面の複眼部分が一瞬だけ黄色に輝いていたことに気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!! もう追いかけてこないでよーーーーーー!!」

 

「コイツ一体なんなのさーーーーーーーー!?」

 

キャパ! キャヒヒヒ……キヒッ! キャヒヘハハハハハハハ!!

 

 仮面を大きく上下させながら涎を垂らして追いかけてくる化け物――ドンヌマから全速力で逃げるミオとフブキ。その不吉な笑い声にミオは大泣きしながらも死にたくないので足を止めない。隣で走るフブキも同様で一度追いかけられた経験もあり、ほぼ涙目である。

 

 いつまでも神社に籠もってばかりいられないと、神社の柱にしがみついて離れないミオをフブキがなんとか宥め引っ張ってきた。道路についた血の痕や所々落ちている死肉から目を背け、どこにあるのかさえ不明なゴールを目指し、そしてドンヌマに見つかり今ここ。

 

 見つかり始まった鬼ごっこ。その瞬間流れたのは音楽は……「グルメレース」だった。

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