クリアするまで出られないホラゲーに、なぜかVチューバーがいる件について 作:プロトタイプ・ゼロ
続きです。みなさん!あけましておめでとうございます!!良いお年になることをお祈りしていますね!
「はぁ、はぁ……ま、撒けましたかね?」
「はぁ、はぁ、はぁ……どうだろう? 多分撒けたと思うけど不安だなぁ」
なんとかドンヌマを撒くことに成功したフブキとミオは、自動販売機で水を購入しベンチで一息ついた。水を一口含み、フブキは思考する。ドンヌマから逃げている際に手に入れた光る「なにか」のかけらのことを。ポケットから取り出した「なにか」はおそらくなにかの形なのだろうが、どういうわけかフブキから見て、これをちゃんとした形として認識することができない。
「あ、それ。さっき拾ったやつだよね?」
「うん。白上的に何かのキーアイテムなんだと思うんだけど……なにぶん情報が少ないからねぇ。ゲームが進めばイベント的ななにかが発生して、『これ』の正体がわかるんだと考えてる」
「ということは、またあの変な怪物がいるエリアとか歩かなきゃいけないのかぁ……もう帰りたいよぉ」
天を仰いで嘆くミオを見て同じ気持ちになる。フブキとミオは深夜丁度の時間帯に、画面の前でこの世界と全く同じホラゲーを起動した。その後すぐに睡魔に襲われ気づいた時にはこの世界に来てしまっていた。
噂に聞く異世界転生というわけでもない。ゲームの……それもホラーゲームに閉じ込められた。フブキはまだ大丈夫だ。だが、隣りにいるミオはホラーが苦手だ。フブキがなんとしても守るしかない。
「どうする? ここにいても駄目だと思うんだけど」
「そうだねぇ……嫌だけど……嫌なんだけど行くしかないよね」
キッと睨みつけるようにミオは目を開く。そして立ち上がった。
「よぉし! なら行こう! 早く戻らないといけないもんね!」
手が震えている。ミオが痩せ我慢してることくらいわかっていた。でも見なかったことにする。親友が立ち上がったのだから。
「……ん?」
「どうしたの?」
突然公園の外を睨みつけるミオ。釣られるようにフブキも見れば、公園の外に狐のお面をつけた少年が立っていた。
「お〜いますねぇ」
「敵……じゃないよね?」
「さぁ……?」
狐面の少年は二人が見ていることに気づくと背を向け歩き出す。
「あ、歩きましたね」
「どうする? 追いかける?」
「う~ん……取り敢えず追いかけよう」
置いてかれないように二人は慌てて狐面の少年を追いかける。狐面の少年は少し遠くの場所で立ち止まり、二人を持つように振り返っていた。
狐面の少年がどこに連れていきたいのかは二人にはわからない。だが、ついて行ったほうがいい、そうゲーマーとしての勘が言っている。今はそれに従うことに決めた。
「ここは……学校?」
「だいぶ綺麗だね」
狐面の少年を追いかけること数分。どういうわけかドンヌマに遭遇することもなくスラスラと学校のある校門前まで到着した。
まるでドンヌマがどこを通るのかわかっていたかのように移動していた狐面の少年。
「ここでなにかするんです?」
「……」
フブキはなんとなしに聞いてみる。だが狐面の少年は無言で校門を開け、中に入っていく。
形的に無視されたフブキは頬がつり上がった。その肩を掴んだミオは頭を撫でた。
学校の中に入り職員室の前につく。
「閉まってますね」
「だね」
目の前には鍵のかけられた職員室の扉が。
「えぇと……どうするの?」
今度はミオが狐面の少年に尋ねる。
「……」
狐面の少年は一度ミオとフブキを見ると、手に持っていた刀を鞘から抜き放ち、一閃のもとに扉を斬り裂いた。
「うわぁ……まさかの脳筋」
「流石に予想外だよそれは!!」
二人の驚きに狐面の少年は首を傾げる。が、すぐに中に入った。二人は肩を落としてついていく。
「……これ」
一つの鍵を取り出した狐面の少年がフブキに差し出した。
「しゃ……喋った!?」
「ずっと無言だったのに!?」
だが二人は狐面の少年が喋ったことに驚きを表し、僅かながら後ろに下がった。
「えぇと、これを何処かで使うんです?」
「……そう」
狐面の少年から受け取った鍵は、形が少し歪んだ鍵だった。どう見ても使えそうにない。だが、渡された以上は何かで使う必要があるのだろう。
「…………この鍵、神社で使う」
「神社というと、あの最初の場所かな?」
「そうなんじゃない?」
とにかく戻ろう、と職員室から出た瞬間……
「グガアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
遠くの廊下から窓を突き破ってどろどろに溶けたような触手塗れの怪物が現れた。怪物は獲物となる二人を見ると、手を動かして四つん這いのまま走ってくる。
「ひひぃ!! なにあれーー!?」
「またなんか新しいモンスターなんですけどーー!?」
二人が校舎に向けて走るのと同時に、狐面の少年は触手の怪物に向けて走り出した。
「ええぇぇ!?」
「そっち!?」
スラリと鞘から黒い刀を抜き放ち、触手の怪物をすれ違いざまに斬り裂いていく。その後触手の怪物の動きが徐々に止まっていき、最後にはバラバラに崩れ落ちた。
「嘘ぉ!?」
これには二人も驚いて声が出ない。いや出たけど。
「……こっち」
旋回して二人を追い抜いた狐面の少年が先導するように走る。またしても慌てて追いかける。
神社に向けて走る三人。途中ニタニタ笑いながら襲いかかってきたドンヌマがいたが、学校での出来事と同じように狐面の少年が一瞬で斬り倒していた。
出番がそれだけで終わったことに流石に同情した。それはもう思わず二人で手を合わしてしまったほどだった。
神社の長い階段を登り、上側に回る。するとそこには明らかになかったはずの扉があった。
「……ここ。さっきの鍵、使う」
狐面の少年に渡された歪んだ鍵を取り出し、乱れる息をなんとか抑えながらフブキは鍵穴に入れる。鍵を回しカチャリと音が響く。
ゴオォォォン、ゴオォォォン!!
突如として鐘の音が世界に響き渡る。自動的に扉が開きく。中は空間が歪んでいるのかゆらゆらとしている。
「……ここを渡れば、君たちは元の世界に戻れる」
「君はどうするんですか?」
「……僕がこの世界でやるべきことは終わった。あとは君たちが戻るのを見届けるだけ」
狐面の少年は動かない。二人が扉の奥に行くまで。
「また、会えますか?」
「……本当なら、もう会わない。会わないほうがいい。僕と会うってことは、君たちがまた、ホラーゲームの世界に閉じ込められたってことだから」
「それってどういう……」
トンと体を押された。見れば狐面の少年が二人に手を伸ばしていた。それにより理解する。二人は扉の奥に落ちていることを。
「って、落ちるんですかこれぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「予想外過ぎるんだけどぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
扉の中に落ちながら二人の姿が消える。それを見届けたあと、狐面の少年は仮面をずらし微笑む。仮面を被り直すと扉に背を向け、歩き出した。
そして、ゆらりとその世界から姿を消した……。
というわけで感想ください
ホロメンをヒロインにしますか?
-
します(作者が勝手に決めます)
-
しません