【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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雄英入学
入学試験


「さーて、やるぞぉぉー」

 

 雄英高校試験会場で気合を入れるかの様にそう呟く少女、名前を鈴仙・優曇華院・イナバと言う。

 足元に届きそうなほど長い薄紫色のストレートロングヘアと、ワインの様に鮮やかな紅い瞳を持った少女。

 頭頂から伸びるどこか作り物然としたクシャクシャでヨレヨレのウサミミがあり、仙骨部の少し上からは兎特有の丸いモフモフとした尻尾がぴょこんと出ているその姿は愛玩動物さながらの愛くるしさであり周囲の男女問わず一度は必ず振り返って見るかその可愛さに足を止めていた。

 

 白のブラウスに赤いネクタイを締め、紺色のブレザーをその上に着用。ブレザーの胸元には三日月形のブローチを付けている。

 下は薄桃色の膝までのミニスカートを着用し足元は三つ折りソックスと茶色のローファーを着用しているその少女は意気揚々と筆記試験会場へと向かう。

 

 筆記試験後に実技試験となり、要綱を纏めた資料が配布される。

 

「ポイントを稼ぐと……なるほどなるほど」

 

 この実技試験で対象は機械、つまりはロボットである。

 故に少女は配布された書類にその眼を通して呟く。

 

「さーて、いっちょやったりますか」

 

 そうして試験会場へと移動し、すぐさま試験官であるプレゼントマイクより間延びした声音と共に告げられる。

 

「はい、スタート」

 

 そう告げられる、その言葉を聴いた刹那、私は駆け出して行った。

 

 自身の全てをフル活用して、自身の個性を自身に適用させつつ大量に寄ってくる仮想(ヴィラン)であるロボットの電気回路を的確にショートさせて2度と動かなくしていく。

 

 そうして80ポイント程取っていた最中、ロボットの攻撃により試験者の1人が右腕と右脚を酷く打ち付けた。

 あの様子だと骨折は免れないだろう。

 即座にロボットの電気回路をショートさせて動かなくさせると『Call-A-CAB-N-Go-Hot』に則り周囲の警戒後、少なくとも今、この時、現時点では安全である事が確認された後に腕と脚を骨折した受験者へと近づいて的確に応急処置を行う。

 壊れたロボットの廃材から添え木の代替品になりそうな物をあてがって自身のジャージを三角巾代わりにして腕を固定し脚も同じく固定する。

 

「大丈夫⁉︎ 腕と脚以外で痛む所は?」

 

 問いかけに対して答えられない程に痛みがあるのか呻くばかりで答えが返ってこない。

 落ち着かせる為に自身の個性を眼前の少女へと行使する。

 自身の魔性の赤い瞳で眼前の少女を見据えながらその力を行使する。

 

「もう一度聞くわ? 痛い所はある? 腕と脚以外で」

 

 そう問いかける私に対する答えは呻き声ではなくはっきりとした発語であった。

 

「い……いや、無い……痛みも消えた」

 

 少女が固定した腕を動かそうとしたので慌てて止める。

 

「ストップ‼︎ ストップ‼︎ 良い? 腕と脚は確実に折れてるしかなり酷い折れ方してる、今は痛みを感じてないけど、私の個性を使って痛みを感じなくしただけだから‼︎ 今動かしたらその腕と脚、2度と動かせなくなるわよ⁉︎ 片腕でも個性は使える?」

 

 その問いかけに対してコクコクッと首を縦に振る少女、刹那……その表情が強張る。

 しかし鈴仙がゆっくりと笑みを浮かべて語りかける。

 

「安心して、私が貴女を守るから」

 

 そう言葉を紡いだ刹那、鈴仙は腕を背後に回して指鉄砲を作り今まさに眼前へと迫り来るロボットへと指を向ける。

 ロボットの鉄腕が鈴仙へと激突し吹き飛ばされそうになる刹那、鈴仙が形作った指鉄砲の先端からロボットの外装部を容易に貫通する威力の虹色のレーザーが放たれてロボットの腕諸共コアたる電子頭脳を撃ち抜いて2度と動けなくさせると鈴仙は眼前の少女をお姫様抱っこの要領で抱え上げ呟く。

 

「貴女、ポイントはどのくらい取れたの?」

 

 その問いかけに対して腕と脚を骨折した少女は答える。

 

「67ポイント」

 

 それを聴いた鈴仙は少女を抱き抱えたまま語る。

 

「私と貴女で急造のチームアップと行きましょう、貴女の名前は?」

 

 そう問いかけられて腕と脚を骨折した少女は答える。

 

「拳藤……拳藤一佳」

 

「そ、よろしく私は鈴仙・優曇華院・イナバ、さて……お喋りしてる余裕は無さそうね、来るわよ(・・・・)、私は足止めするから貴女の個性でロボットを壊せそうなら壊して下さい、私も可能な限りの援護をします」

 

 拳藤一佳が鈴仙のその言葉を聴いた刹那、10体の仮想(ヴィラン)が襲いかかってくるが、不思議と心の奥底で感じていた怖いという気持ちが無くなっていた、鈴仙の個性だろうか? そう思案する間もなく仮想(ヴィラン)が接近してきた為に意識を切り替える。

 

「りょーかい‼︎」

 

 そうして順調に仮想(ヴィラン)を撃破していく2人。

 

 そうして、順当に仮想(ヴィラン)ロボットを撃破していき残り時間も僅かとなっていき時間となる。

 

 そうして、試験を終えると、鈴仙は抱き抱えていた拳藤一佳を降ろして告げる。

 

「リカバリーガールが来ましたね、あの人の個性ならば貴女の怪我も問題なく治るでしょう、では……雄英で会える事を祈っております」

 

 そう言って拳藤一佳さんをゆっくりと地面に降ろして立ち去ろうとした刹那、拳藤一佳から呼び止められる。

 

「ま……待って‼︎」

 

 呼び止められてゆっくりと振り向く鈴仙。

 

「私はまだ貴女に御礼を言ってない、助けてくれてありがとう鈴仙」

 

 それを聴いた鈴仙はクスッと笑うと拳藤一佳へ言葉を返す。

 

「えぇ、どうも……拳藤一佳」

 

 互いに手を振りあい試験会場を後にする。

 

 そうして、数日後。

 

 試験の結果が鈴仙の家へと届き鈴仙はそれを八意永琳から受け取る。

 

「不安で胸が張り裂けそうです、お師匠様」

 

 白衣を身に纏った女医、八意永琳にそう語る鈴仙。

 しかし、そんな弟子の都合など知った事では無いと言わんばかりに合否通知の入った封筒を投げ渡して告げる。

 

「良いから……いつまでも俯いてないで手に持ったその封筒、ちゃっちゃか開けちゃいなさいな、鈴仙なら平気よ、実際平気だったでしょう? 筆記も実技も……特に筆記なんて医師の国試に比べたら楽なもんでしょ」

 

 禁忌肢がある医師の国試と高校の入試はどう見ても比較できないんじゃ……そう思った鈴仙だがそれを八意永琳に言ってもしょうがない。

 心労からかウサミミをペタンと力無く俯かせる鈴仙。

 

「はぁ……」

 

 力無くため息をついて封筒を開ける。

 そして投影される雄英高校の教師陣の1人。

 

 結果は合格であった。

 

 

 投影された映像は語る。

 

『ここが君のヒーローアカデミアだ』と。

 

 かくして、ここに鈴仙のヒーローアカデミアが幕を開けた。




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