騎馬戦が終わり1時間のお昼休憩を挟んで最終種目が行われる、
なお始まる前にA組女子一同はチアリーディングをやらされた、上鳴と峰田実にチアリーディングがあると騙されて……であるが。
美人が揃っているA組の女子陣だが中でも特に鈴仙のチア姿が一際注目を集めていた。
ウサミミにウサギ尻尾、そして出る所はしっかり出ており無駄な肉の一切が削ぎ落とされたお腹周り、同性である八百万百や芦戸三奈達が羨むほど鈴仙のボディラインが完成されていた。
最終種目は『ガチバトルトーナメント』だとか。
もう名前からして何をやるか察せられる。
リカバリーガールが居るから多少の怪我、骨折程度なら即日で完治まで持っていけるし……。
審判であるミッドナイトより主なルール説明が為された。
制限時間無し。
ギブアップさせる・気絶などで試合続行不能に追い込む・場外へと叩き出す・いずれかの条件で勝利。
何ともまぁ分かり易い。
初戦、第一試合から鈴仙VS八百万百。
鈴仙は控え室の椅子に座り目を閉じて精神集中をし自身の頬を両手でぷにぷにとイジる、それが鈴仙の精神を統一させて落ち着かせる為の一連の動作、ルーティーンであった。
時間になり、控え室を出て試合会場へと向かう。
観客やスカウト目的のプロヒーロー達の歓声が熱狂となり響く。
そんな熱狂渦巻く観客やプロヒーロー達へ和やかな笑顔と共に手を振って答える鈴仙。
対するは八百万百。
鈴仙は呼吸を整えて眼前の相手に全神経を集中させて研ぎ澄ませる。
不思議な事に、大歓声が響く中、聞こえるのは自身と八百万百の言葉のみ。
鈴仙と八百万百は互いに、2メートル程しか離れていない相手に向けて同時に言葉を交わす。
「「絶対に勝つ‼︎」」
そう叫びあい実況であるプレゼントマイクの開始宣言と共にスタートされた。
八百万百が即座にグロック19を創造してゴム弾を撃ちこんでこようとしたが鈴仙は即座に彼我の距離を詰めると八百万百が構えているグロック19から撃発されたゴム弾を至近距離で避けつつ八百万百の手とグロック19を捩り無理矢理グロック19を奪い取ると即座に八百万百へと撃ち込む。
しかし八百万百も同様に銃弾を避けつつ鈴仙の手からグロック19を奪い取ると構えて撃ち込む。
互いに2度同じ行動を繰り返しこのままマガジン内の弾丸が尽きるまで続くかと思われた美しさを感じる程の超至近距離での銃の強奪戦、八百万百が鈴仙の手からグロックを奪い取ってその身を翻しつつ撃とうとしたが弾が出ない。
いつの間にかマガジンが抜かれて、尚且つ薬室内に装填されていた弾丸も排莢され地面に落ちていた。
あまりの早業に驚愕する八百万百。
そして、観客は元より実況席からも見えなかったのかハイスピードカメラを用いた映像での実況と解説が為される。
解説の相澤先生が語る。
『相手が銃を撃ち撃発が為された直後に弾丸の軌道上からすぐさま身体を退かしてそのまま相手の手と持っている銃とを捩り上げて奪い取ってるな、3回目の攻防の際に、鈴仙は八百万に銃を奪われる前にマガジンリリースボタンを押してマガジンを抜いて尚且つ奪われる前に薬室に残った弾丸をスライドを引いて排莢までしてやがる、銃の扱いに手慣れてるな、2人とも……』
『初っ端から魅せてくれるぜシヴィィィィィー』
八百万百は使い物にならなくなったグロック19を即座に投げ捨てるとジャージと腰の間に挟んでいた『STACCATO P』を引き抜いて構えて撃とうとしたが撃発されない。
八百万百は手元の『STACCATO P』を確認するとマガジンがいつの間にか抜かれており薬室に残った1発もいつの間に排莢されたのか足元に薬莢が転がっていた……もはや使えなくなった『STACCATO P』を見て歯噛みする。
鈴仙の手を見ると構えた一瞬の間に外したと思われる『STACCATO P』のマガジンがあった。
「探し物はこれかしら? 銃は無粋だった様ね、身体が温まって来たわ」
ヒラヒラと見せつけるように、手に持った『STACCATO P』のマガジンを地面に投げ捨ててそう語る鈴仙。
八百万百は鈴仙によって行われていたブートキャンプにて鈴仙から学んだクラヴ・マガを用いた近接格闘戦に持ち込んできた。
「貴女から学んだ技術と磨いてきた個性で勝ちます……いえ、絶対に勝たせていただきますわよ」
そう告げた八百万百に敬意を表して同じ構えをして鈴仙は語る。
「ならば……私も磨いてきた技術と個性で貴女に勝ちます」
八百万百はカランビットナイフを創造して構えつつ鈴仙へと殴打とナイフを織り交ぜた攻撃を行う。
鈴仙はナイフを避けつつ殴打にはカウンターで対応するが予想以上に八百万さんのカランビットナイフの扱いが習熟している。
何よりも……。
「創造、厄介なんてものじゃないですね」
カランビットナイフの一閃を避けた瞬間、体勢を崩した八百万百に殴打を加えようとした鈴仙であるがそれを読んでいた八百万百が創造し撃ち込んできたソードオフショットガンの銃弾が鈴仙の頬を掠める。
バク転で距離を取ると鈴仙は右手で指鉄砲を形作りつつ八百万百へと語る。
「さて、行きますよ?」
鈴仙は体勢を低くしクラウチングスタートの様な仕草を取り八百万百へと高速で接近する。
八百万百がソードオフショットガンを構えた瞬間に鈴仙は指先からレーザーを放ち銃本体を壊すと何かを創造される前に背後へと回り込み裸締めを繰り出して八百万百の頸動脈洞を的確に締める。
八百万百は締められながらもどうにか落とされる前に完全に極められた鈴仙の裸締めを逃れようとその手に創造したゴム弾装填済みのデザートイーグルを鈴仙の脇腹に押し当てて撃つが八百万百の頸動脈洞を締めている鈴仙の腕の力が緩む事はなく、数秒後……八百万百は気絶に追い込まれる。
数秒してから八百万百が覚醒して咳き込みながら起き上がり自身の敗北を察する。
「……負けてしまいましたわ……けれど、次は勝ちます」
そう言って手を差し出してきた八百万百。
鈴仙もそれに応えるかのように手を差し出して握手を交わしながら言葉を告げる。
「えぇ、楽しみにしています……次も私が勝たせてもらいます」
そう言って鈴仙が第二回戦へと駒を進めた。