スペシャルマッチが終わったあと評定となるがその前に相澤先生は開口一番、鈴仙を怒る。
「鈴仙……年頃の女の子が軽々しく裸体を晒すんじゃない‼︎」
操縛布で首をギリギリと締め上げる。
それに対して鈴仙は呼吸が封じられて涙目になりながらヨレヨレのウサミミと共に訴える。
「あいじゃわせんしぇい……ぎぶ……ぎぶ……私の裸体なんてもう世界中に晒されてるから……検索すれば出てくるから」
そう呟くと操縛布の締め付けが更に強くなり相澤先生が怒気を孕んだ眼差しで鈴仙に対して叫ぶ。
「そーいう事じゃねぇ‼︎」
コントのような場面にA組B組の面々は緊張が弛緩し苦笑いを浮かべる。
そして、評定に移る。
「とりあえず、主軸を決めて鈴仙に挑んだのは間違いじゃない……火力に長ける爆豪を中心に組んだのは正解だ、鈴仙相手に無策で挑む事をしなかったのは一歩ずつ前進したな」
そうして……評定も終わり……鈴仙は制服に着替えた後で仮眠室に足を運んでいた。
ガララッと音を立てて扉を開けると其処には緑谷と爆豪、オールマイトがソファに座っていた。
謹慎した際にある程度の話をオールマイトから聞いたのか妙に納得したような表情であった。
「すみません、遅くなりました」
ペコリと頭を下げてそう呟く鈴仙。
それに対して三者三様の反応を見せる。
「いや、私達もついさっき集まったところだ、気にしないでくれ鈴仙少女」
「鈴仙さんも知ってたんだね……個性の事」
「どーせクソナードから漏れたんだろ……マジで何でバラしてるんだクソデク……」
そうして、話しは今回の授業で緑谷から突如として発現した謎の個性についての話になる。
スキンヘッドの後継者、聞けば歴々の継承者なのだとか。
歴代の個性は歴代の継承者の間で伝えられており聞けばオールマイトも、その師匠から伝えられて来たらしい。
ノートを見るとそれらが纏められており拝読させてもらう。
「黒鞭……危機感知、煙幕……変速、発勁、浮遊……浮遊?」
そう呟き……鈴仙は嫌な予感を感じた。
あの時の、神野の記憶が呼び起こされる。
あの時……オール・フォー・ワンは宙に浮いていた。
あの時は丸3日動きっぱなしなのと緊張感が切れた為に気絶したが今思い返すと明らかに異常な点がある。
「オールマイト……先代の志村奈々さん……その孫が死柄木弔だとお聞きしました……志村奈々さんの子供の個性はご存じですか?」
そう問いかける鈴仙、オールマイトは暗い顔をして語る。
「いや、お師匠の最期の言葉であの子にはどんな事があっても関わらないで欲しいと言われていてね……私は一切関わっていないんだ、なぜそんな話しを?」
鈴仙はノートPCをいじり神野の戦闘シーンがアップロードされている動画を開く。
其処には全裸の自身が映るがそれはどうでも良い。
問題なのはこのシーン、オール・フォー・ワンが何のサポートアイテムも使わないで空中に浮いて、今まさに片手を空気砲にしているシーンである。
そこで動画を一時停止し鈴仙は3人へ語る。
「……そうですか、死柄木弔が志村奈々さんの血縁……孫であるならば……志村奈々さんの息子さんは過程はどうあれ結婚して子を成したという事になります……そして、孫である死柄木弔に個性が発現した……しかし、気になるんです、個性は遺伝する……無個性か余程の突然変異でもない限りは父母、若しくは親類縁者に似通った個性が発現する筈なんです……なのに死柄木弔には崩壊という突然変異の個性が発現した……何故? 突然変異の個性自体発現しない訳ではないけれど確率自体は0.1%にも満たない、だから突然変異と言われる……オールマイトのお師匠の孫が、たまたま
そして、鈴仙は一度言葉を切り茶を飲み喉を潤して再度語る。
オール・フォー・ワンはオールマイトに嫌がらせをする為に死柄木弔が志村奈々の孫である事を明かした。
その事実に3人が凍りつく。
「そして、神野の、この時……オール・フォー・ワンは宙に浮いていました、何かのエネルギーで浮遊が可能なのは波動ねじれさんの波動やエンデヴァーのヘルフレイム、そしてグラントリノさんのジェットが証明しています、私も壁や音の振動を利用して宙を浮遊したり空中を跳ねたり出来ます……爆豪勝己さんも爆破で擬似的な浮遊が可能でしょう……しかし、何のエネルギーも使わないでただ浮くなんてのは個性溢れるこの超人社会であっても非常に珍しい、そして、死柄木弔の崩壊の条件……何処かで見た事があると思ったんですよ……手で触れるのが絶対条件で、破壊と再生を司る個性……治崎廻、オーバーホール……オール・フォー・ワンは個性を与えたり奪ったり出来るんですよね? ……個性を改造したりする個性なんて物も探せばあるでしょう……そして、気になるのはこれです」
そう語る鈴仙はとある古い記事を3人に見せる。
古い新聞記事の電子版であり……其処にはこう書かれていた。
民家が一件崩壊、住んでいた家族全員と連絡が取れず生死不明。
行方不明者は以下の通り。
志村狐太郎(夫) 直(妻) / 華(娘) / 転弧(息子) / 真子(義母) / 千津夫(義父) と連絡が取れずと。
「この時期を見ると志村転狐は5〜6歳……そして、この時に家族が個性を発現させた直後の崩壊に巻き込まれたとして、天涯孤独となった志村転狐をたまたまオール・フォー・ワンが拾った? オール・フォー・ワンにとっては、素晴らしく出来すぎた幸運ですね……あまりにも」
そう苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて吐き捨てる鈴仙。
その言葉の意味を理解した3人、オールマイトは血の気が引いて……緑谷は青褪めて、爆豪はキレながら『悪趣味だな』と溢す。
もしかしたら……志村転狐の、死柄木弔の人生は、出生から何から何まで……オール・フォー・ワンによって操られている可能性がある事が浮上してきた。
その悍ましい事実に……吐き気を催す3人。
その後は……緑谷の個性の話に戻ったが、結局のところ……次に何が発現するのかが分からない以上はどうしようもないという結論に至った。