クリスマス
クリスマス、この日……A組B組41人は全員A組の寮に勢揃いしていた。
12月25日、テーブル上には皆で作った料理が並んでいる。
油淋鶏。
フライドポテト。
パエリア。
フライドチキン。
グラタン。
パスタ。
チーズフォンデュ。
チョコレートフォンデュ。
その他、様々な料理が並べられていた。
肉や魚が所狭しと並べられている。
鈴仙も料理をしており鈴仙が作ったのは得意料理であるニンジンのグラッセ、巨大なハンバーグ、チキン南蛮、ビーフシチュー、そしてデザートとしてお団子であった。
ハンバーグやチキン南蛮、唐揚げ、ビーフシチュー、お団子はお師匠様のお墨付きをいただいた。
特にビーフシチューはブーケガルニと一緒に20日の早朝から煮込んでいたので出来上がりは最高のものとなっている。
ブイヨンも一から手作りしており完成に4日程かかっている為に非常に手間暇掛かっている。
ブイヨンもアクを取ったり、ビーフシチュー用の肉も下処理をしたりで非常に手間がかかるがその分上手く出来たと自分自身でも驚いている。
そうして、振る舞われる料理。
皆があと3人が揃うまで席について雑談がスタートする。
「インターンシップいけってさ、雄英史上1番忙しい一年だろ……」
「2人はまたリューキュウでしょ?」
「そやねぇ、耳郎ちゃんは?」
そんな話をしながら、色々な話しがわいわいと弾んで……鈴仙は緑谷に問いかける。
「そういえば緑谷さんはどうするんですか? ナイトアイ事務所、しばらく忙しくなるからって言ってましたけど……」
緑谷はそれを聞かれて頬を掻きながら答える。
「んー、今は別件で忙しいみたいで……グラントリノの所もダメだから、今宙ぶらりんなんだ」
話を聞くと、ナイトアイ事務所はこれまでにないレベルで忙しくなっているらしくルミリオン以外は受け入れる気は無いとの答えを貰ったという。
そうして、色々と雑談に花を咲かせている皆。
シュガーマンもとい砂藤力道が作っていたターキーも焼き上がったタイミングで扉が開いて相澤先生と壊理ちゃん、ブラドキング先生が登場する。
「すまない、遅くなった」
「とりっくおあとりーと?」
サンタの格好をした壊理ちゃんを見てあまりの可愛さから壊理ちゃんをギュッと抱きしめる鈴仙。
壊理ちゃんも鈴仙のウサミミを堪能しており笑みを浮かべている。
壊理ちゃんがいる時だけは鈴仙のウサミミは壊理ちゃん専用になる。
最高級品のタオルの様な素晴らしい手触りのソレを堪能できるのは
皆が揃った所で乾杯となりグラスに注がれたジュースを飲む鈴仙。
「やっ鈴仙、壊理ちゃんも楽しんでる? ……このビーフシチュー美味しいね、今度作り方教わっても良いかな? 一緒に作ってもらってもいい?」
「良いよ、じゃあ今度時間作って一緒に作ろ、一佳」
指切りをして……約束を交わし合う鈴仙と一佳。
試験で出会い……一緒に雄英高校に入り、今では互いに大親友と呼べる程に仲が良い2人であった。
「やぁ鈴仙さん、食べてるかい?」
隣に座る一佳からそう告げられて満面の笑みでYESと返す鈴仙。
右隣の物間寧人から尋ねられる。
鈴仙は壊理ちゃんを膝元に座らせており、全ての行動で壊理ちゃんを優先していた。
「えぇ、食べてますよ物間さん……どうですか? そのビーフシチュー、私の自信作です」
グッと親指を立てて感想をわくわくと待っていると絶品と言われた為に満面の笑みとなる鈴仙。
クリスマスソングを皆で歌いながら料理を楽しむ。
そうして、プレゼント交換会が行われる。
バスケットボールや純金のインゴット数本、カーディガンやカエルがモチーフの手鏡、結構高そうなコーヒー豆……その他様々な物がプレゼントボックスに包まれている……41人分も集まれば多種多様な物が揃うが……金のインゴットは色々な意味でやばそうな気はする。
壊理ちゃんが引き当てたのは耳郎さんの部屋に飾ってあった数あるギターの内の1本であった。
鈴仙は一佳のプレゼントである高級コーヒー豆の詰め合わせを引き当てており、一佳を見ると一佳も鈴仙のプレゼントを引き当てていた様で互いにハグをして喜びを分かち合う。
こういうプレゼント交換会は何が当たっても嬉しいのだがやはり狙っていた物を引き当てると嬉しいものだ。
鈴仙のプレゼントは玩具工場がその技術の全てを集めて作成した鈴仙モチーフのぬいぐるみ。
11月の下旬に全国のデパートで10000個のみ限定販売されたソレは発売から10分という極短時間で一瞬で完売したらしく……一佳は学業もあった為に入手不可能だったと嘆いていた。
鈴仙自体、ヒーローとしての人気が異常であり今ではホークスに追いつく程の人気を誇っていた。
ぬいぐるみやストラップ、マグカップのイラスト……その他商品化により鈴仙は学生ながらかなりの額を稼いでいる。
プレゼント交換会に出したぬいぐるみは稀少な商品故に転売屋が買う前に鈴仙のファンが全て購入した為に転売品は1個も無く、また再生産の予定も一切立っていない超稀少品である。
しかし、当の本人である鈴仙には見本品としていくつか送られて来ており一佳が引き当てたのは、それである。
そうして、クリスマスディナー会も終わり……船を漕いでいる壊理ちゃんを鈴仙は自分の部屋に運んで布団に入れる。
そして片付けを終わらせてソファで一息ついていると物間寧人が鈴仙に語りかけて来た。
「鈴仙さん、少し良いかい?」
片付けも終わりサンタコスをしたままの鈴仙は物間寧人の言葉に対して笑みを浮かべながら頷く。
「話しがあるんだけど……ここじゃちょっとアレだから、外に出て話しても良いかい?」
その言葉に一も二もなく頷いて物間寧人の背後を、ちょこちょことついていく鈴仙。
外へ出ると寒風が吹いており吐いた息が白く見える。
星々が煌めく夜空を鈴仙と共に見上げながら取り止めのない話しをする物間寧人。
授業はどうとか、テストがどうとか……必ず話題に上がるのは鈴仙自身の事だ。
トレーニング、ブートキャンプ、色々である。
懐かしい話しを笑いあいながら聞いていると物間は一旦言葉を区切って……真剣な表情をして鈴仙の眼を見ながら、緊張に震えながら……ゆっくりと語って来た。
「なぁ鈴仙さん……
その言葉の意味を察した鈴仙は言葉回しを理解してニコリと微笑んで物間寧人への言葉を返す。
「あなたと見るから綺麗なのです、今ならきっと手が届きますよ」