「鈴仙・優曇華院・イナバさん……僕は貴女の事が好きです……僕と付き合っていただけますか?」
そう告げられた鈴仙は……心臓の鼓動が飛び跳ねるのを必死に抑えながら、ウサミミや頬がマグマの様に熱く火照るのを感じながら……上擦った様な声音で返事を返す。
「物間さん……えぇ、喜んで‼︎ 嬉しいです‼︎」
鈴仙は飛び跳ねる心臓を何とか安定させて、物間さんに返事を返して、物間を抱き寄せて物間の唇に自身の唇を重ねる。
30秒程だろうか、長い長いキスを行って……重ね合わせていた唇を離す。
鈴仙は顔を赤くしながら呟く。
「勢いのままキスをしましたが……恥ずかしさよりも嬉しさの方が先にきますね」
そう物間に告げる鈴仙。
物間も鈴仙の突然のキスは過去何度か経験して慣れていたのだろうが心の準備が出来ていなかったようで顔を赤く染めていた。
そして、再度……どちらともなく唇を重ね合わせる2人。
夜空を見上げながら物間と色々と語り合おうとした鈴仙だが……3〜5m後方で突如として感知した波長を見て思考が止まる。
木陰に隠れていた芦戸さんや耳郎さん、八百万さん、そして……一佳の波長が確認できた……。
……は? ………………は!? え? 見られてた……物間さんとの一部始終……え? ……え? まじか。
理解した瞬間……カァァッと頬どころかウサミミも真っ赤に染まる。
熱く火照りすぎてボシュンッという音がする程に茹だる様な感覚に襲われた鈴仙。
……とりあえず4人の事は気にしないで物間寧人との取り止めのない会話を楽しむ。
色んな話しに花を咲かせる。
「I・アイランドの時の事を憶えてるかい? あの時は大変だった……鈴仙さんが所構わずハグをしてきたり……」
立ったまま夜空を見上げながら……どちらともなくぎゅっと手を恋人繋ぎで繋いで思い出を語り合う。
i・アイランドの時は中々に大変だったものだ……。
物間の言葉に鈴仙は苦笑しながら鈴仙は語る。
「感情表現としてのハグを多用してましたからね……男女問わず……今でも変わらないですけれど」
鈴仙は男女問わずにハグを行う事が非常に多い。
A組もB組も全員が20回は鈴仙に抱きつかれている。
背後からハグされる事もあれば普通にハグする事もある。
その後も取り止めのない話しを続ける鈴仙と物間。
林間合宿ではレクリエーションの時の鈴仙の驚き方が誰にも予想できなかったという物間に対して鈴仙は苦笑いしながら語る。
「そりゃ、私にだって怖い物の1つや2つありますよ? こー見えても女の子何ですから、ちなみに……私は幼児向けのお化け屋敷ですら無理でした……文化祭では心霊迷宮に行って出口直前で気絶しましたし……柳レイ子さんの持ってくる心霊ビデオや恐怖系の映画なんて怖くて観れませんよ……もう一つ怖いものがあるんですけれど……それは秘密にしておきます」
思い出した恐怖でゾワっとウサミミとウサギ尻尾の毛が逆立ち……ぶるるっと身震いさせながらそう語る鈴仙。
お化け屋敷での一幕を思い出したのかウサミミも毛が逆立ちながらヨレヨレになっている。
そうして、だらだらと星空を見ながら思い出話をする2人。
「そう言えば……物間さんと初めて出逢ったのは一佳の紹介でしたね、入学して2日目に開催した私主催のブートキャンプ……近接格闘の訓練に無理矢理連れてこられたんでしたっけ? いやぁ……懐かしいですねぇ、今でもたまーに、本とか読んでいる最中に思い出しますよ? 私に敵意と反骨心を剥き出しで『馴れ合う気はない‼︎』ってバッサリと言い切ったあの時の物間さん、ポーズまでビシッと決めててカッコよくて良い思い出です」
物間の顔をしっかりと見ながらにへらっと笑みを浮かべながら当時の事を思い返す鈴仙。
その表情はとても嬉しそうな表情であった。
対する物間寧人は……当時の事を思い返して恥ずかしいのか紅潮させて顔を手で覆い隠していた。
あまりにも恥ずかしいのか物間寧人は普段のクールな雰囲気からは想像も出来ない上擦った声音で小声で叫ぶ。
「鈴仙さん!? ……その事は忘れてくれると助かるなぁ!!」
物間寧人の最初の出逢いを思い返す鈴仙。
物間が首根っこ掴まれて一佳に無理矢理連れて来られたのが懐かしい。
一佳と私から徹底的にしごかれたのだ……。
走り込みや柔軟、水泳や潜水と言ったトレーニングの基礎の基礎からスタートして……身体検査訓練やクラヴ・マガや軍隊式格闘術を1週間かけて覚えさせた。
物間寧人の個性……『コピー』が如何に強力とはいえ、周囲に味方がいない状況では相手の個性をコピーするしかない状況下も往々にしてあるだろう。
その時に近接戦闘は無理です、出来ません……では無惨に死ぬだけである。
故に鈴仙と一佳は徹底して物間寧人をブートキャンプでしごいた。
敵意と反骨心剥き出しの当時の物間寧人は鈴仙に対して悪感情しか抱いてなかったが今では彼氏彼女の関係になっている。
全く持って、自分も相手も、当時はこの様な関係になるとは微塵も思っていなかった。
そう思い返すと、どちらともなく顔を見合わせて笑みを浮かべる。
そうして、今では……地獄の様な訓練を乗り越えて今では近接格闘の強さは一佳にはまだ遠く及ばないがそれでも心操人使さんと同等になっている。
ちなみに……個性を使わない近接格闘術のみの戦闘では一佳を除いたA組B組全員合わせても鈴仙には未だ及ばない。
個性使用可能だとしても鈴仙に勝てるのは一佳くらいのものだろうか。
確率的には10回に1回……いや、100回に1回勝てるかどうかと言う所とは一佳本人の談である。
近接格闘術で鈴仙に唯一勝てる可能性があるとしたら一佳のみである。
そうして……2時間近く経過して、消灯時間ギリギリになっていたのでそろそろ戻ろうかと話しになる。
戻ろうとした物間寧人に対して鈴仙は短く告げる。
「そうそう、物間さん……今日はクリスマスでしたね」
そういうと……鈴仙は物間寧人に声をかける。
振り向いた刹那、鈴仙の唇がゆっくりと……物間寧人の唇に重ね合わさる。
1分間……互いの唇を重ね合わせた鈴仙。
唇を離すと鈴仙は悪戯っぽく笑みを浮かべて物間寧人に語る。
「えへへっ……クリスマスプレゼントです、物間さん……大好きですよ……この気持ちは……ずっとずっと変わらないと信じています」