【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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緩やかな日常
炬燵in1-A


 時間軸は冬休みに入る少し前へと戻る……。

 

 雄英寮、1年A組の共有スペースではガレージセールで購入された炬燵が設置されていた。

 冬場の炬燵は良いものだ、鈴仙もそれは知っている……知っているのだが、ジョギング中の焦凍と鈴仙に救護要請を出して来ており色々な物をスーパーで買う様にトークアプリで指示されて山の様な荷物を運び戻ったらこれだ……はっきり言ってため息しか出ない。

 

「……ジョギングを中断する必要ありませんでしたね……」

 

 ぬくぬくと温まり蜜柑を頬張る者。

 寒い日に温まって食べるアイスを楽しむ者。

 スマホゲームに興じる者。

 読書に勤しむ者。

 和気藹々としておりとてもほんわかとした空気が形成されていた。

 今の時間が平日の夕方であり、尚且つ……授業をすっぽかしたという、学生にあるまじき行為をしたという事さえ考慮に入れなければもっと良い空気であったろう。

 

 授業を丸一日欠席した挙句に八百万百がその個性で炬燵を増設し、炬燵を中心に冷凍庫付き冷蔵庫や水道、少し手を伸ばせば届く距離に置いてあるカップラーメンなどの食糧源などでコロニーを作り上げているバカどもを見ながら鈴仙はわなわなと青筋を立てながらウサミミを怒髪天を突くかの様にピンっと直立させながら苛立った様な声音で呟く。

 

「おい馬鹿ども……授業を受けに来ていたのが私と爆豪と轟と心操だけってのはどういう了見だ?」

 

 普段滅多な事では怒らない鈴仙だが授業に関わるとなると流石に話が違う。

 4人しかいないとなると授業もそれに応じて変わる。

 ヒーロー基礎学を行えない事はないが21人で行うのと4人で行うのでは内容が全然異なるものとなる。

 

 仕方なくB組の授業に混ぜてもらって事なきを得たのだが……。

 

 相澤先生からはやる気のない奴はほっとけと言われたものの……鈴仙は頭痛が痛いとばかりに左手を額に当ててため息を吐く。

 

「……抜け出せないだ何だって言って……自堕落なだけでしょうがっ……はぁ全く……」

 

 鈴仙も炬燵は好きだ、八意家でも炬燵は冬場になると必ず設置されていたし寒い日に炬燵にくるまって食べるアイスや蜜柑はとても美味しいものだ。

 

 しかし、それは授業をサボって良い理由にはならない。

 爆豪が爆破で炬燵をぶっ壊そうとしたが耐火装甲板とそれを支える作りとなっており壊れることは無かった。

 

「……ほっとけや‼︎ こんな馬鹿ども‼︎」

 

 いつも通りキレ気味で怒鳴る爆豪に対してペシっと丸めた紙屑が投擲され麗日が小声で叫ぶ。

 

「バカとは何だー」

 

 それに乗って芦戸もノリノリで叫ぶ。

 

「外の者は立ち去れー」

 

 ペチペチと投擲される丸めた紙ゴミや多様な物を浴びながら鈴仙は見惚れるような笑顔を浮かべて呟く。

 

「焦凍さん、爆豪さん……心操さん、あの馬鹿どもを炬燵から炙り出す良い方法があるのですが……ご協力ください?」

 

 氷の様に冷たい声音、そして素晴らしい笑顔を浮かべている鈴仙であるが……焦凍も爆豪も鈴仙の笑顔を見てヒェッと上擦った声音を上げた。

 

 鈴仙は普段そこまで怒らないしそもそも他者を怒ることは滅多にない、トラブルを隠蔽しようとしたり非のある人間がそれを認めない時は諭す様に話す程度である、というよりも鈴仙は八意永琳の影響を強く受けている為に怒るという行為そのものに意味を成さないと考える派の人間である。

 

 怒るという行為には総じて意味がない。

 怒ったらそれは解決になるの? それよりも事態の収束が最優先のタスクでしょ? と考えるタイプの人間である。

 

 鈴仙は怒らないがその代わりどんどん笑顔になっていくタイプの人間である。

 

 そんな鈴仙の表情は素晴らしい笑顔であった。

 

 炬燵を見ながら鈴仙は片腕を組むような仕草を取りながら3人に呟く。

 

「北風と太陽の寓話をご存知ですか?」

 

 北風と太陽とはある時、北風と太陽が力比べをしようとする。そこで、通りすがりの旅人の外套を脱がせることができるかという勝負をすることになった。まず、北風が力いっぱい吹いて、旅人の外套を吹き飛ばそうとする。しかし、寒さを嫌った旅人が外套をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができなかった。その次に、太陽が燦燦と暖かな日差しを照りつけた。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から外套を脱いでしまった。こうして太陽の勝ちとなった……。

 

「アレから学ぶべき教訓があります」

 

 一呼吸置いてから鈴仙は氷のように冷たい笑顔を浮かべてゆっくりと人差し指を立てながら語る。

 

「北風と太陽の話の一般的の解釈には“厳しさよりも優しさが勝る”なんて言いますが……個人的解釈をするなら教訓はこうです……“じわじわと蒸し焼きにしろ”……さてと、焦凍、爆豪、心操……炬燵に引きこもっている馬鹿どもをサウナにご案内しましょう」

 

 そう告げると、徐に甚平を脱ぎスポーツブラとスポーツウェアのみの姿となる鈴仙。

 唐突に服を脱いだ鈴仙に対して爆豪と焦凍、心操は即座に目を背け爆豪が怒鳴る。

 

「何で此処で唐突に服脱いでんだ‼︎ 痴女かテメェは⁉︎」

 

 目を背けながらそう怒鳴る爆豪勝己。

 サッと視線を背後に向けて鈴仙を見ないようにしている焦凍。

 後ろからでも分かる程に顔を赤く染めている心操人使。

 

「んー……あーんまり気にした事ないですねぇそういうの……それよりも今から滝のような汗を流すんです……こういう服装の方が楽でしょう? 3人とも一度着替えた方がいいですよ?」

 

 鈴仙は元々自身の裸や下着姿を異性に見られても特に動じない性格であったが、全世界に向けて全裸配信をされた為か自身の裸体や下着姿を見られても特に頓着しない性格になっていった。

 

 それはさておき……鈴仙の言葉を察した爆豪が焦凍と心操を連れてさっさとトレーニングウェアに着替えて共有スペースへと戻る。

 

「さて……とやりますか」

 

 コロニーと化している炬燵の3m前方に位置取ると坐禅を組み個性を使用する。

 焦凍は炎を、爆豪は爆破を、鈴仙は波長操作で遠赤外線を操作する。

 遠赤外線ヒーターと同様の動きを再現して遠赤外線を放射しその輻射熱で熱を照射する。

 

 10数分後……サウナと同等の室温にまで上昇した為にあまりの熱さから炬燵から這い出てくる17人。

 

 全員を捕獲し終えると……鈴仙は水分補給の為のスポーツ飲料を全員に配布してから諭すように説教を行い始めた。

 

 10分後。鈴仙の説教は終わり相澤先生が寮に入ってきて結果的にサボりを行った17人に対して告げる。

 

「17人は今回授業をサボった罰として4倍の宿題を課す……提出期限は明々後日だ……」

 

 そうして……雄英寮には炬燵の設置は教師の許可制となったとさ。




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