【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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対立する意思

 鈴仙は10秒程湯に浸かった後でヒーローコスチュームを着込むと指をパチンッと鳴らして波長を操り日本全域を精査する。

 捕縛できていない(ヴィラン)全員の位置情報、元学舎である雄英の安全、妹である壊理ちゃんと大好きな母の八意永琳の無事を纏めて確認する。

 

 緑谷さんはA組の決死の説得によって今はA組と一緒にいるのか。

 良かった……そう思案し波長を別の方向へと操作する鈴仙。

 

 凄まじい情報の洪水とそれに伴う処理で脳を焼かれる様な感覚が鈴仙を包むがそんな物は無視してオール・フォー・ワンの位置を確認する。

 何ともはや……めんどくさい所に逃げ込んだものだ……。

 

 そう思案して全ての元凶たるオール・フォー・ワン、死柄木弔、荼毘……その他(ヴィラン)連合の全員を纏めて捕縛しようと該当箇所に向かおうとした刹那……鈴仙の波長操作で探知した(ヴィラン)40人。

 

 全員が雄英から20km離れた場所にある廃墟群の付近におり全員がタルタロスからのダツゴク。

 

 愛しい妹である壊理ちゃんと大好きな母である八意永琳は今……雄英に居る。

 その事実は……(ヴィラン)連合を纏めて捕縛出来る可能性と、愛しい妹と母の安全が脅かされているという天秤に掛けるまでもない事象。

 鈴仙を何の躊躇いもなく雄英付近に居る(ヴィラン)40人の場所へと突き動かすには充分すぎる理由であった。

 

 光速で移動する最中……何故か付近の波長が乱反射しており映像としての視認性が絶無……しかしながら波長操作に引っかかった(ヴィラン)40人が居るのはつい2分前にクラッキングした人工衛星から抜き取った情報で虚偽でない事は判明している。

 

 倒壊し廃墟と化したビル群が立ち並ぶその地域……確認した最期の波長は其処であり(ヴィラン)40人が居るのは間違いなかったが……。

 何故か波長が乱れている為に一先ずは調律から行う鈴仙。

 

 しかし、足元のアルミ片を見て顔色が変わる。

 

「……チャフ? *1……ッ⁉︎ なッ‼︎」

 

 足元のチャフの破片を摘まみ取り確認する鈴仙。

 

 刹那……廃墟群を取り囲む様に煙幕と爆煙、大量の水、それに大量のチャフがばら撒かれる。

 

 鈴仙が普段使うレーザー弾幕には致命的な弱点がある。

 

 それはブルーミング現象と呼ばれる物である。*2

 

 鈴仙の波長操作は確かに万能であるが……レーザー弾幕はもとより……波長操作の全てに於いて言える事であるが……物理法則や自然法則を改変する物ではない。

 

 重力波を操作して一定範囲を圧し潰したり、その逆に浮遊したり、レーザーを生成して弾幕と成したりする事が出来るがそれらはあくまでも物理法則に則っている。

 

 故に……徹底して対抗策を取ってきたのが見てとれた。

 

「波長によるレーザー弾幕を封じて……光としての移動もチャフでぐちゃぐちゃに乱反射させて封じて……成程成程……徹底した対策……しかし、そんな対策は私だって理解している、波長操作の大前提だよ……吹き飛ばす‼︎」

 

 2挺のルナティックガンをエネルギー源として熱音響冷凍を行おうとした刹那……ビル群の1つから鈴仙の眼前へと凄まじい速度で飛び込み低姿勢から蹴りと拳による強襲を仕掛けるオレンジ色のサイドテールが特徴的な……見間違える筈がないその相手を……親友の姿を見て、鈴仙の動きが一瞬止まる。

 流れる様に打ち込んできた拳や蹴り技をすんでの所で回避した鈴仙。

 

 鈴仙は信じられない者を見たかの様に辺りを見回して理解した。

 

 嵌められたと。

 

 眼前の親友はもとより……A組B組の皆がこの場所にいるのだろう。

 鈴仙は武器(ルナティックガン)を展開したまま凡そ4ヶ月ぶりに対面する親友に気さくに語りかける。

 

「……久しぶりだね、一佳……私なら大丈夫だよ……後もう少しで全てが終わる……だから……」

 

 だから心配しないで……そう言葉を紡ごうとした瞬間、一佳が思い切り叫ぶ。

 

「だから心配しないでってか⁉︎ 巫山戯んな‼︎ なぁ……鈴仙‼︎ 壊理ちゃん泣いてたんだぞ‼︎ 私達に心配かけない様に気丈に振る舞ってるけどな‼︎ 泣いてたんだよ‼︎ 何でだと思う⁉︎ あの子はな鈴仙の事を……心配して泣いてたんだ‼︎ 戻ってこい‼︎ (ヴィラン)連合に無謀な突貫なんてさせないよ‼︎」

 

 一佳のその言葉を聞き終えて……鈴仙は逡巡しかけるがその迷いすら断ち切って一佳に告げる。

 

「……この戦いが終わったら許しを乞うよ……だから、今は……今だけは邪魔しないでよ‼︎ 一佳‼︎」

 

 ルナティックガンを構えてそう叫ぶ鈴仙。

 対して、一佳もその拳を握り締めて叫ぶ。

 

「口で言って分からないならブン殴ってでも止めてやるよ‼︎ この大馬鹿ヤロウ‼︎」

*1
チャフとは、電波を反射する物体を空中に撒布することでレーダーによる探知を妨害するもの。電波欺瞞紙とも呼ばれる……金属は電波を反射する性質があるため、これを撒布すればレーダーからはその撒布地点に目標があるように見える。この原理を利用したのがチャフである。

 チャフとして使用されていたものは、初期のものはアルミ箔をレーダーを反射するのに必要な長さに切り、これを紙の両面に貼って使用した。現在では、滞空時間を重視しプラスチックのフィルムやワイヤーにアルミを蒸着させたものが主流となっている。

 撒布に特化した形状をしたチャフをディスペンサーやランチャーによって空中に放ち拡散させる手法が従来から採用され、小型機や艦艇がチャフを撒く場合には現在でもその手法が採用される。

*2
レーザー兵器の妨げとなる現象

 ブルーミング現象。

 レーザー兵器級のレーザー光が大気を通過する時、約1立方cmあたり1メガジュールというエネルギー密度のレーザー光が、大気を温め膨張させる。その結果、大気の密度が小さくなりレーザー光自身を屈折させてしまう。この現象を「ブルーミング現象」と呼び、大気中でのレーザーの集束を乱し焦点の位置をずらしてしまう原因となる。サーマルブルーミング現象を起こさないためには澄んだ空気が必要であるため、レーザー兵器の長距離での使用には限界がある。

 ビームの吸収・拡散

 空中を通り抜けるレーザー光や粒子ビームは、雨、霧、雪、粉塵、煙、スモッグなどがあると吸収されるか拡散され、ブルーミング現象を増幅させる。目標が見えている限り、雨や雪は大きな障害ではないが、特に雷雲は厳しい。このような気象条件はレーザー兵器の効果を弱める。

 また、このような気象条件ではレーザーのエネルギーにより衝撃波が発生し、雨、霧、雪、粉塵、煙、スモッグなどを押しのけ「トンネル効果」を作り出す。




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