荼毘の爆発を轟一家が全員で防ぎ切った5分後に参戦しています
なので主要な戦いはほぼ終わっており残すところオール・フォー・ワンとの戦闘のみです
一振り一振りが暴虐の嵐となって天空の棺を沈めにかかる。
支柱の損壊をサポート科の全員、そして創造を行える八百万百が用意する資材により急ぎ修復されるが元より急ピッチの超突貫工事の代物。
ここまで持ったのが奇跡に近く……電磁シールドの一部が消失。
死柄木弔を縫い留めていたモノが……消え失せた。
高度300mに浮遊する鉄の塊。
数トンの重さを誇るソレは……ゆっくりであるが下降をし始めている。
それを理解して……鈴仙はここに来てクラッキング対処やその他に回していた個性の全てを死柄木弔へと注ぐ。
赤い眼を妖艶に光らせて……見据える。
「……不味いな、ソレは不味い、嗚呼とても不味いな……なぁオール・フォー・ワン……1つだけ聞かせてくれ、どれだけ人の道を外れればソレが出来る?」
そう語る鈴仙。
鈴仙は波長が見える、電磁波や放射線、凡ゆる波長が。
精神、心、思い、ソレらも突き詰めてしまえば波長の一端である。
故に鈴仙には今の死柄木弔の心が透けるように見えていた。
一瞬の虚無を突いて……死柄木弔の中に居たオール・フォー・ワンが復活、死柄木弔という存在の全てを全否定してたという事実を突きつけて文字通り精神崩壊させて文字通り肉体も精神も掌握した……。
もはや、アレに死柄木弔もとい志村転狐の存在は微塵も残っていないだろう。
もはや波長で見ても存在を感知できない……。
だが、崩壊を喪失したのは向こうにしても予想外であったのか苛立ちが目に見える。
崩壊があれば楽に鈴仙達を始末できたのだから。
鈴仙の問いかけに答える事もせずに凡ゆる個性を総動員して、文字通り全てを解放して壊しにくる
抹消は効いている為に個性は封じているが先程見せた強大な手の塊は肉体の変容であるが故に抹消できない。
「グェッ⁉︎ ゲホッ‼︎ ガハッ‼︎」
エッジショットとジーニストが爆豪の蘇生を試みていたが其方も成功したらしい。
ドロドロに固まった血の塊を吐きながら荒い息をして、闘志が消え失せていない眼差しで鈴仙と
戦線復帰直後だと言うのに修復途中の支柱やフィールドに当てないでいるのは本人の類稀なるセンス故。
爆破の爆炎を振り払いながら爆豪はか細い声音で鈴仙へと問いかける。
「状況は?」
「オール・フォー・ワンの意識が完全に死柄木弔の肉体を掌握……崩壊が喪失した様子……抹消で個性は封じてますが先程の巨大な手で天空の棺の全てを壊しに来てます、爆豪さん……30秒保たせられますか?」
その問いかけに対し爆豪は無言で頷く。
それを踏まえて鈴仙は波長操作で一旦離脱して物間と相澤先生が居る場所へと転移する。
血反吐を吐きながら物間寧人の頬へと触れる鈴仙。
異常に冷たいその手は……降り頻る豪雨のせいだけじゃない事を物間へと伝えてくる。
そして、コピーされる鈴仙の個性。
相澤はその両眼でしっかりと
物間は、コピーした鈴仙の個性から今の鈴仙の状態を把握する。
しかしながら、鈴仙の状態を察したが今やるのは感傷に浸る事ではない。
鈴仙の意図を汲み取って鈴仙が月に埋め込んだ装置への最終アクセス権を取得、解放する。
それを視認したのか鈴仙が口を開く
「
最終承認を終えたそのシステム。
神の名を冠するそれは……一言で言うなら演算処理補助装置。
物間や鈴仙らが個性を扱う際に脳に掛かる負荷を極めて軽減するそれは膨大な処理演算機能を有する。
そこらのスパコンなど比較にもならない演算処理能力によりある種の未来予知にすら到達する。
演算結果を波長で感じ取った2人は薄く笑みを浮かべていた。
ようやく……到達したのだ、もう一つの希望が。
「すいませんっ‼︎ 遅くなりました‼︎ 状況は⁉︎ 鈴仙さんっ⁉︎」
離島に飛ばされていた緑谷がようやく到着し戦線に立つ鈴仙を見て驚くも今やるべき事を理解し鈴仙から語られた情報を元にして把握する。
オール・フォー・ワンをどうにかしなければならない。
その為には……器となっている肉体、そして掌握した精神、その両方である内と外から叩くしかない、だが……外は兎も角、内側からも壊すとなるとソレが出来る個性持ちに限られる。
即ち……他者の精神世界に入り込める者。
鈴仙へと緑谷の視線が注がれ……鈴仙は語る。
「なれば、
爆豪と緑谷が外から叩く役目。
鈴仙が内側から叩く役目。
各々、視線のみで会話を交わして……役目を実行する。
電磁シールドをすり抜けて再度管制塔へと戻った鈴仙。
ゆっくりと床に座り込むと息を整えて……深淵へと潜る恐怖を押し殺そうとする。
魔王の精神世界に潜ったら最後、戻れる保証など虚空の彼方どころか涅槃寂静の彼方よりも小さい。
何よりも……精神とは肉体の核。
魔王の精神世界に入り込み、叩き込めたとしても一手しくじれば鈴仙の精神ごと消滅しかねない。
確率論に0はない、だが……0に限りなく近い数値を目の当たりにしてそこへ飛び込むのは恐怖が勝る。
だが……精神世界に入り込める個性持ちなどごく少数。
しかも今現在この場に居るヒーローでソレが出来るのは鈴仙のみ。
覚悟を決めて……魔王の精神世界の入り口へと踏み入ろうとした刹那……物間から声がかけられる。
「銀の弾丸……ソレに成れるのは何も君だけじゃあないんだぜ? 鈴仙さん」
鈴仙の肩へとポンと置かれた手の持ち主たる物間寧人がいつもの様に不敵な笑みを浮かべてそう告げてくる。
抹消の役目は相澤先生が常に行ってくれている、故に心配はない。
鈴仙の個性をコピーした物間は視線だけで鈴仙へと語りかけると……鈴仙と背中合わせになる様に座りこみその手を繋ぐ。
そうして……鈴仙と物間は魔王の精神世界に飛び込んでいった。