【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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ヒーローネーム考案

 鈴仙が電車内で揺られながらスマホを見ていると突如として声をかけられる。

 

「……さん、ねぇさん……ヒーロー科の鈴仙さん」

 

 唐突に見知らぬ人から名前を呼ばれて顔を上げる鈴仙。

 サラリーマンの男性から笑顔と共にサムズアップで告げられる。

 

「体育祭、観てたよ、かっこよかった……応援してるよ」

 

 そう告げられて周囲の乗客も鈴仙に気付いたのか口々に応援してると言われてぎこちない笑みで会釈をする鈴仙であった。

 

 電車から降りて雄英の校門を潜り抜けるとため息を吐きつつ呟く。

 

「疲れた……朝から、はぁぁ……」

 

 そう呟いて、ふと飯田さんを見かけた瞬間に言葉が詰まり鈴仙のウサミミは無意識のうちに左右を別々にせわしなく動かしている状態、つまりは『ストレスや不安や焦りを感じている』になった。

 鈴仙は1人呟く。

 

「後でお話しをしないといけませんなぁ……あんな波長、お兄さんの事で相当思い詰めている様で……」

 

 そう心に決めて、ゆっくりと階段を上がり教室へと入りいつもの様に八百万さんや耳郎さんらと雑談に花を咲かせる。

 ワイワイガヤガヤとしていたクラスであったが相澤先生が入ってきた瞬間にビタァッと静まり返る。

 

「おはよう、今日のヒーロー情報学、ちょっと特別なモノが行われるぞ?」

 

『特別』……その言葉を聞いて怖気付く一部のクラスメイト達。

 相澤先生が『特別』と言う言葉を使った場合……大体、と言うか94%位は抜き打ちでの小テストや抜き打ちの筆記実技テストがある為だ。

 皆の顔が強張る中……相澤先生が語る。

 

「『コードネーム』……ヒーロー名の考案だ」

 

 ヒーロー名の考案、その言葉で一気にクラスが沸き立つが相澤先生に睨みつけられて一瞬で沈黙する。

 相澤先生が理由を説明する。

 

「と言うのも……休み前に話した『プロからのドラフト指名』に関係してくる、指名が本格化するのは経験を積んで即戦力として扱われる2年3年からだ。つまり今回来た『指名』とはお前らの将来性に対する『期待や興味』に近い、卒業までにその興味や期待が削がれたら一方的にキャンセルなんて事はよくある話しだ」

 

 そう聞いて峰田実や芦戸三奈、上鳴電気は嘆きの言葉を漏らす。

 そして、相澤先生がホログラフィックを映し出しながら語る。

 

「まぁ口で言うより見たほうが早い、指名はこうなった、例年はもうちょいバラけるんだがな」

 

 4桁を超える指名を受けていたのは3人であった。

 鈴仙・優曇華院・イナバ5904件。

 轟焦凍4712件。

 爆豪勝己3981件。

 続いて3桁。

 八百万百979件。

 飯田天哉841件。

 上鳴電気419件。

 常闇踏陰314件。

 麗日お茶子109件。

 後の者は指名が2桁かそもそも指名自体が来ていないかであった。

 

 

 そうして説明が為されていく。

 

「これを踏まえて指名の有無に関係なく、お前らにはいわゆる職場体験に行ってもらう、お前らは一足先に経験してしまったがプロヒーローの活動を実際に体験してより実りのある訓練や授業をしましょうって事だな」

 

 それを聞いて納得したクラスメイト達。

 砂藤と麗日お茶子がウキウキで語り合う。

 

「なるほどそれでヒーロー名か‼︎」

 

「楽しみになってきたぁ‼︎」

 

 それを皮切りにわいわいと喋り始めるクラスメイト達。

 相澤先生が語る。

 

「まぁ今回付けるのはあくまでも仮のヒーロー名ではあるが適当なもんは……」

 

 そう語った所でドアが開かれてミッドナイト先生が入ってきて語り手を交代して喋る。

 

「付けたら地獄を見ちゃうよ‼︎ この時仮だと思って適当に付けた名前がそのまま世の中に浸透しちゃって実質的に変更が効かずにそのままプロになって後悔してる人多いからね⁉︎」

 

 そう語るミッドナイト先生。

 そして相澤先生は用意していた寝袋に入りながら語る。

 

「まぁそう言う事だ……そこらへんのセンスをミッドナイトさんに査定してもらう、俺にはそう言うの出来ん……将来自分がどうなるか、どうなりたいのか、何を成したいのか、名を付ける事でイメージが固まりそこに近づいていく、それが『名は体を表す』って事だ……分かりやすく言うならば『オールマイト』とかな……俺は寝る」

 

 そう告げて本当に眠り始めた。

 確認なんだけど……給料出てるんだよな? この時間も。

 

 そうなんとも言えない表情で相澤先生を見る鈴仙だがそれはさて置きヒーローネームの考案というのは中々に胸が膨らむ。

 ワクワクするのはいつだって変わらない。

 そうして15分程経過した所でミッドナイト先生が笑顔で告げる。

 

「じゃあ……そろそろ出来た人から発表してね」

 

 その言葉にクラスの空気が凍る。

 まさかに発表形式である、てっきり後ろの人が集めて後ほど発表‼︎ みたいな事を考えていた者達が大多数を占めていた為2〜3分は誰も発表に行かない。

 

 最初に発表した、青山優雅と芦戸三奈のヒーローネームがあまりにも変なのが来たせいで大喜利みたいな空気になってしまった。

 そして……次なる発表者である梅雨ちゃんが空気を変えてくれたおかげでまた皆が続々と発表しだす。

 

「んー……なんだかなぁ」

 

 しっくりこない、というより1番ポピュラーで受け入れられやすいラビットヒーローは既にラビットヒーロー・ミルコという名前も実力も遥か上位に位置する先駆者がいる為に混同してしまうとのお言葉を頂戴して見事に廃案。

 再度考えてはいるが……そう言えばと、ふと自身のヒーローコスチュームに刺繍された月を思い出して考えるがしばし何も思い浮かんで来ない。

 むむむ……。

 手に持ったマーカーをクルクルと回しつつ思案する鈴仙。

 何故だか1番しっくり来るのは結局このヒーローネームであった。

 

「ムーンラビット」

 

 そう発表する。

 月には兎が居るという。

 どんな月夜でも兎は見ているぞと、そう思いを込めて付けたと説明する。

 

 テレッテレの感情を表情にこそ出しては居ないがその代わりにウサミミが存分に表情の替わりをしている。

 もはやクラスメイトにとっては見慣れたモノだ。

 鈴仙のウサミミは表情以上にモノをいう。

 

 そうして、残りの緑谷出久と飯田天哉はそれぞれデク、天哉というヒーローネームに決まった。

 

 なお、爆豪勝己は何度か廃案を喰らってまだ保留にするという事でショート、デク、天哉、バクゴー、と名前がそのままヒーローネームとなった。

 仮の……ではあるが。

 




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