【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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職場体験
職場体験①


 そして……早い物で3日間が過ぎ去り職場体験がスタートした。

 公共交通機関に集合したクラスメイト達。

 相澤先生より今持っているコスチュームはまだ公共の場では着用禁止の身だから絶対に紛失するなよと釘を刺される。

 まぁ……確かにヒーローコスチュームを紛失したとなれば大問題である。

 又、職場体験を受け入れてくれたヒーローに決して迷惑かけない様にと告げられる。

 

 鈴仙が数ある指名先から職場体験先に選んだのはギャングオルカの職場であった。

 音波による攻撃を行うプロヒーローが指名先のヒーローの中で唯一ギャングオルカのみであった為にギャングオルカを職場体験先として選択した。

 沖縄のとある水族館。

 そこがギャングオルカとの待ち合わせ場所になっていた、

 待ち合わせ場所として指定されていた水族館に到着したのだが休館日と札がかけられておりシャッターが降ろされている。

 水族館の前、ではなく水族館内なのでここから移動するのも憚られる。

 ヒーローコスチュームへと身を包んだ鈴仙はウサミミをヘニョォォォォッと力無く萎びかせつつ力無く呟く。

 

「休館日って……えぇ〜……」

 

 事前に頂いたギャングオルカの連絡先に電話をかけてここからの指示を仰ごうとした刹那、100m先から逃げられない様に自身を囲む様にしてナニカが集団で近寄って来るのを波長の振動で感知しその手にスマホを持ったまま静かに臨戦体勢を整える。

 

 そして、3秒後、謎の集団は躊躇う事なく鈴仙へと襲いかかってきた。

 ナイフやセメントガン、そして大量のサポートアイテムなどを持っており(ヴィラン)にしてはやたらに装備が充実している。

 そしてなにより……。

 

「ただの(ヴィラン)にしてはやけに統率が取れすぎてる……まるで軍隊」

 

 そう思わずにはいられない程の卓越した練度であった。

 しかも、1番面倒くさいのは緊急時限定個性自由行使許可証……通称ヒーロー免許を有していない鈴仙はこの様な状況下でも個性の行使は許されない。

 正確にいうならば保護管理者の指示なく『個性』を用いて危害を加える事は立派な法律違反、規則違反である、それは例え今現在、この様に囲まれていたとしても決して例外ではない。

 飯田天哉にアレだけキツく言った手前、自身がその法律や規則を破るなど論外……故に個性を絶対に『危害を加える』事なく使用する。

 鈴仙は自身の眼を通してなんらかの電波妨害が行われているのを確認する。

 周囲150mが電波暗室に近い状態になっており救援を呼ぶ事が不可能。

 かと言って既に20人に囲まれてしまっており逃走も不可能。

 

 波長を用いて謎の集団の位置を適宜把握し続け1番近い(ヴィラン)と思われる者から対処していく。

 今まで培った近接格闘術のみを用いて対処していく。

 

 ナイフを片手に突進してきた相手の腕を掴みつつ腹部に蹴りを加えて仰け反らせるとその手からナイフを奪い取る。

 そして、ナイフを構えながら威圧していく。

 そして、近くに居る(ヴィラン)から対処しているとセメントガンを構えるガチャっという銃器独特の機械音が波長として見えた為に取っ組み合いになっている自身と(ヴィラン)の位置を足払いして体勢を崩して入れ替えて(ヴィラン)に被弾させる。

 速乾性のセメントが(ヴィラン)の足に付着し動けなくなった為に顎に掌底を喰らわせて脳を揺らし動けなくすると別の(ヴィラン)を行動不能にする為に対処する。

 

 それを繰り返し続けて(ヴィラン)の身体検査を行い持っていたセメントガンやナイフ、スタンガンやハンドガンと言った武装を全て手の届かない位置へと蹴り飛ばし他に武器を隠し持っていない事、爆弾などを所持していない事を確定させる。

 そうして何とか全員を行動不能にすると鈴仙は荒い呼吸を抑えつつ腰に下げた『ルナティックガン』を(ヴィラン)の身体に向けて翳してある物を探し始める。

 何人かを続けて翳し14人目でルナティックガンが反応を示した為に対象の(ヴィラン)の衣服を弄り目的の物を発見する。

 即ち、電波妨害装置、かなり小型で高性能、そして高価な代物だが別に買えないって訳じゃない。

 スイッチをオフにして効果を消失させると電波妨害が消失する。

 ギャングオルカへと連絡すると少し離れた木陰から着信音が響いた。

 

 そして、その木陰からギャングオルカがヌルッと姿を現す。

 

 それを見た(ヴィラン)がため息を吐きながら言葉を放つ。

 

「シャチョー‼︎ ちょっと組み手するだけって事前に伝えてないんすか⁉︎ 腕を見たいってメッセージ飛ばしたんですか? って聞きましたよね⁉︎ なんか鈴仙さん対応が組み手の雰囲気じゃなくてガチで(ヴィラン)に対応するかの様な動きをやってましたけど⁉︎」

 

 そう告げられてギャングオルカは自身のスマホを確認し数分後、肝心のメッセージが送れていなかったと告げてきた。

 それを聞いて(ヴィラン)の集団もといギャングオルカのサイドキック達から大ブーイングが起きて陳謝するギャングオルカ。

 

 状況が飲み込めずに唖然とする私にギャングオルカが語る。

 

「ちょっと気になってな、事前に連絡を入れたと思っていたがこちらの確認不足で通ってなかった……すまない……改めて自己紹介しよう、ギャングオルカだ、そしてそこに倒れ伏してるのは俺のサイドキック(・・・・・・)達だ」

 

 その言葉が理解できず、数秒かけて脳が言葉の意味を理解する。その瞬間、鈴仙のウサミミは無意識的にグルグルと回転させながら、頬が紅潮するのを感じて……鈴仙は絶叫をあげる。

 

「……は? ハァァァァァァァ⁉︎ え? え⁉︎ じゃあ私、何ですか? 事もあろうにギャングオルカのサイドキック相手に掌底打ちこんだり裸締め仕掛けてたって事ですか⁉︎」

 

 ようやく状況を飲み込んで自身がやった事の重大さを即座に理解し顔色がサァァッと青褪める鈴仙。

 即座に自身が締め落としたり掌底を打ち込んだサイドキック全員に順番に頭を下げて謝罪を告げる。

 サイドキック達からは口々に君は悪くない、悪いのは連絡してないシャチョーだから……などと温かい言葉を掛けられる。

 

 そうして……なんとも言えない空気を形成してしまった状態で鈴仙の7日間に及ぶ職場体験はスタートした。




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