【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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個性把握テスト

 合格通知が来てから、初めての雄英高校への登校日。

 つまり入学初日。

 

 雄英高校指定の制服に身を包んだ鈴仙は1-Aと書かれたざっと2m以上はあるであろう扉を前にして緊張していた。

 何故ならば、この前の試験の際に救けた拳藤一佳さんも無事合格しており2人で喜びを分かち合ったのだが……クラスが見事に1-Aと1-Bで異なっていた為、唯一出来た知人と即座に離れ離れになってしまった為である。

 幸い、そこまでクラス間の距離は離れては居ないのと先程トークアプリで友達登録をした為に時間が合えば話せそうなのは唯一の救いだ。

 

 意を決して教室に入ると……既に喧嘩に近い口論が勃発していた……机に脚を乗せている男子生徒とそれを注意している男子生徒との。

 

「アァ⁉︎ なんだテメェは⁉︎ ぶっ殺すぞ‼︎」

 

 そんな言葉が聞こえて、鈴仙は開けた扉をスッと閉め再度確認を兼ねてもう一度開ける、今の光景は自身の見間違いであると信じて。

 

「何だテメェは‼︎ 開けたなら入ってこいや‼︎ ウサギ女‼︎」

 

 恐る恐る、戦々恐々として扉を開けた瞬間に先程の不良ぽい男子生徒から怒鳴られてウサミミがシュンと萎れるのを感じ、そして先程の光景は見間違いではなかったと小さくため息を吐く。

 そして自身の机を探して座ると前の席に居た前髪の右側だけを下ろし、ストレートの長髪をポニーテールにまとめている女子生徒と目が合い互いに挨拶を交わす。

 

「おはようございます、私は鈴仙・優曇華院・イナバです……よろしくお願いします」

 

 鈴仙は極度に緊張しているのか定型文ここに極まれりと言った感じの言葉で挨拶を交わす。

 それを受けて後ろの席の女子生徒も挨拶をしてきた。

 

「おはようございます、鈴仙さん、私は八百万百と言います……こちらこそよろしくお願いします」

 

 深々と頭を下げて挨拶をしてくる八百万百と名乗った女子生徒と少しの間、他愛の無い話をしていると扉の方から声が聞こえてきた。

 

「はい、君達が静かになるまで10秒かかりました、担任の相澤消太だ、さて各自机の中に体操服が入ってるからそれに着替えてグラウンドに集合」

 

 唐突にそう告げられてクラス中が一気にどよめきたつ。

 かくいう鈴仙も動揺していた、入学式は⁉︎ ガイダンス説明は⁉︎ そんな心の叫びも虚しく着替える為にゾロゾロと更衣室へと向かう一同。

 女子更衣室に入り着替える鈴仙。

 

 着替えの最中、明るいピンクの髪にピンクの肌、色が反転した目の生徒が鈴仙のウサミミとウサギ尻尾を見てその眼を爛々と輝かせておりウキウキした声音で問いかけてきた。

 

「ねぇねぇ‼︎ そのウサミミと尻尾‼︎ 後で触らせてもらってもいいかな? あ、私の名前は芦戸三奈、よろしくね……えーと……」

 

「れ、鈴仙です、鈴仙・優曇華院・イナバです……えぇ、別にウサミミと尻尾を触るくらいだったら別に……」

 

 そう告げた瞬間に、鈴仙は酷く後悔した。

 鈴仙・優曇華院・イナバを除く女子生徒ら全員の眼が肉食獣の如き眼に変貌したからだ。

 鈴仙は自身のその眼を通してハッキリと視認した、鈴仙の可愛い耳に触りたい、あの可愛い尻尾を撫で回したい、心ゆくまで揉んで撫で回したいといった鈴仙を除いた女子生徒全員の心の声がしっかりと聴こえてきた。

 鈴仙は引き攣るような笑みを浮かべながら今更出た言葉を取り消す事は出来ないなぁ、と渇いた笑みを浮かべるのであった。

 

 

 そして、グラウンドへと集合した1-Aのクラスメイト達。

 

 そこで担任の相澤先生より告げられた。

 

「個性把握テストぉ⁉︎」

 

 鈴仙だけでなくクラスメイト達がオウム返しをするが相澤先生は気にも止めずに喋り続ける。

 

「あぁ、お前らも中学の頃にやっただろう? ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力測定、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……鈴仙……中学の時ソフトボール投げ何メートルだった?」

 

 そう告げた相澤先生。

 

「確か……78mでした」

 

 朧げな記憶を探りながらそう答える。

 

 ソフトボールを投げ渡しながら相澤先生は告げる。

 

「個性を使ってやってみろ、円から出なければ何をやっても構わん……思いっきりな」

 

 ……そう告げられた瞬間、意識を変える。

 

何をしても(・・・・・)良いんですね?」

 

 そう問いかける鈴仙。

 相澤先生は無言で首を縦に振る。

 それを確認した私は、波長を操作して脳や筋肉のリミッターを解放する。

 

「セイッ‼︎」

 

 私の手から勢いよく放たれたボールは弾丸の如き勢いで放物線を描いていった。

 しばらくすると着弾音が聞こえどこまで飛んだかが計測される。

 

 984.6m、ソレが鈴仙の放ったボール投げの結果であった。

 

 その結果を見てクラスメイト達が沸き立つ。

 曰く、面白そう、と。

 ソレを聞いた相澤先生は復唱してゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

「面白そう……か、ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい? よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断して『除籍処分』としよう」

 

 除籍処分、その言葉を聞いたクラスメイト一同は驚愕の叫びを上げる。

 鈴仙も口をパクパクとさせウサミミをクシャァッと元気なく萎ませる。

 鈴仙は自身のその眼を通して理解した、相澤先生は見込みが無かったら本気で除籍処分にする気だと。

 現に、自身の眼を通して映る相澤先生から出る波長は一切乱れていない、つまりは真実を告げているという事。

 それを確認して再度ウサミミがペシャアッと元気なく萎む。

 

 第1種目、50m走。

 これは簡単であった。

 ボール投げと同じく波長操作で脳や筋肉のリミッターを外せば速度はどうとでもなる。

 記録・1秒97。

 

 第2種目、握力。

 こちらも50m走やボール投げ同様にリミッターを外せばどうとでもなる範囲なので問題ない。

 704.9kgw。

 

 第3種目、立ち幅跳び。

 こちらもリミッターを外して限界まで筋肉を酷使する。

 69m87cm。

 

 第4種目、反復横跳び。

 波長操作で神経を研ぎ澄まし筋肉のリミッターを外して挑む。

 942回。

 そろそろ筋肉と神経を酷使しすぎて反動が……。

 

 第5種目、持久走。

 八百万さんのバイクと競り合い鈴仙は僅差で2位となった。

 

 第6種目、上体起こし。

 こちらは筋肉と神経を波長操作でリミッターを解除して全力で動かし続けた。

 結果、897回。

 

 第7種目、長座体前屈。

 これは単純に自前の身体の柔らかさしか無い鈴仙は普通に取り組む他なかった。

 普通の結果に終わる。

 

 これで全種目終了して結果が発表される。

 

 鈴仙・優曇華院・イナバ、2位。

 

 文字通り酷使しすぎて千切れに千切れた筋繊維や酷使しすぎた神経系が痛みを訴えるが波長を操作して痛みを打ち消す鈴仙。

 

 そして、女子更衣室にて……宣言通り女子生徒全員からウサミミとウサギ尻尾を撫で回される鈴仙であった。

 

 そうして長くて短い雄英高校での初日が終了した。




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