【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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職場体験⑤

 鈴仙は今ギャングオルカさんより告げられたアドレスへ向かう。

 告げられたアドレスへと着くが……鈴仙はウサミミをペショリッと力無く垂れさせると茫然自失で呟いていた。

 スマホで宿の名前を検索すると……。

 

「一学生が気軽に入れる様な温泉宿の見た目してないんだけど……ギャングオルカさん……てか調べたら色んな賞を総ナメにしてる超有名な格式高い温泉宿じゃん‼︎」

 

 鈴仙は今心に決めた、よし、このお金は使わないで返そう……そして、自費で近くの銭湯にでも行こう……と。

 そう意気込んで宿から反転し別の場所へ移動しようとするが後ろから声がかけられる。

 

「鈴仙様ですね、空悟より仔細は伺っております……貴女さまがお見えになったら必ず気後れして絶対に帰ろうとするから帰る前に引き止めてくれ、とも……当旅館にようこそおいでくださりました、私、当旅館の女将を務めさせていただいております、桜木麗花と申します……1日限りではございますが鈴仙様に当旅館の精一杯のおもてなしをさせて頂きます、どうかお心ゆくまでゆっくりと過ごされます様に」

 

 妙齢の女性が綺麗なお辞儀をしながらそう告げてきた。

 ギャングオルカさんを名前で呼んでいる事からギャングオルカさんが言っていた知己の人、とはこの人だろう。

 ていうか……そこまで読まれてたのか……。

 此処まで退路を絶たれてなお逃げる気力は鈴仙にはないしギャングオルカさんの顔を潰してしまう訳にも行かない。

 故に取れる選択肢は1つのみであった、ウサミミをペショリと力無く垂れさせて渇いた笑みを浮かべて鈴仙は告げる。

 

「は……はは……、はい……よろしくお願いします」

 

 女将さんにこちらですと言われて入るなり仲居さんの1人がぺこりッと頭を下げて告げてくる。

 

「鈴仙様、私、鈴仙様の仲居を担当させて頂きます、木綿(ゆう)と申します、本日はお越し頂き誠にありがとうございます、何か御用がおありでしたらお気軽にお問い合わせ下さい、ではお部屋まで案内致します」

 

 そう告げられ木綿(ゆう)さんの後をガチガチに緊張しながら着いていく鈴仙。

 

「はっはい、よろしくお願いします」

 

 お辞儀をして木綿(ゆう)さんへとそう告げる鈴仙、2分程歩いて通された部屋は和室であり恐らく……この旅館で最高級のランク付が為されている一室なのであろう事は素人目にも朧げながら理解できた。

 正直、これ程までに厚遇を受けるとは予想していなかった鈴仙は余りの緊張でウサミミをピンッと張り詰めていた。

 

「では……何かありましたら内線番号47番が私直通のコール番号になっておりますので所用がありましたらどうぞ遠慮なく申し付け下さい、当旅館が全力を持ってお勧めしている大浴場は此処から出てすぐ左手の通路の突き当たりにございます、今のこの時期は絶景が一望出来ますのでもし宜しければぜひご利用下さいませ、浴衣はそちらの引き出しに2着入っておりますのでお好きな方をご使用してください、お昼は12時30分のご予定です、では一度失礼致します、ごゆるりとお過ごし下さいませ」

 

 そう、恭しく一礼をして襖を閉じて退出する木綿(ゆう)さん。

 余りの緊張に一旦落ち着こう……温泉にでも入って落ち着こう、そう切り替えて浴衣をその手に持ち大浴場へと移動する鈴仙。

 

 シュルシュルと衣服を脱いで畳んで籠に入れるとタオルを手に大浴場へと入る。

 身体を洗い、髪を洗い……気付く。

 シャンプーもボディソープも最高級品を置いていると。

 しっとりとした髪を弄りながら湯船に髪が浸からない様に纏め上げ崩れない様にタオルで留める。

 そうして湯船に浸かる鈴仙。

 

 ぐっと足を伸ばしてリラックスする。

 リラックスしながら考える……今職場体験中なんだよなぁ? と。

 しかし、職場体験先で受け入れた学生をどう扱うかは受け入れ先のプロヒーローに一任されている。

 温泉宿に向かう前に告げられた言葉……休むのも大事な仕事……ギャングオルカにそう言われたのを思い出す鈴仙。

 

 その言葉の通りなのだが……あまりにも厚遇が……。

 ゆっくりと景色を楽しむ鈴仙。

 確かに絶景であった。

 見渡す限りの大海原。

 

 絶景を楽しみつつのぼせてしまう前に湯船から上がる鈴仙。

 浴衣へと着替えて部屋へと戻ると充電していたスマホを見る。

 そこには大量の通知が……。

 一佳からであった。

 確か……八百万百と共にウワバミ事務所へ行ってるんだっけな、笑みを浮かべながら友人へと返信を送る鈴仙。

 

『えぇ‼︎ CM撮影したの⁉︎ 良いなぁ〜』

 

 一佳が休憩時間という事で向こうからかかって来た通話を楽しみながら状況を聞く。

 

『いやぁ……私としてはもっとヒーロー的な活動を体験したいんだけど……鈴仙はどうなの? ギャングオルカの事務所に行ったんでしょ?』

 

 そう問いかけられて鈴仙は答える。

 

『1日目は座学、2日目の深夜には密漁船を拿捕する為に海に潜ってた……て言っても(ヴィラン)との交戦は1人締め落としただけ、残りはギャングオルカさんやサイドキックの皆さんが上手い事やってた、私はただ後方支援とも言えない後方支援に徹してただけだよ……その後はイルカショーに呼ばれてギャングオルカさんとイルカショーに出演してた』

 

 そう告げると一佳から、あぁ〜だからか、そう前置きされて告げられる。

 

『鈴仙ってさ……SNSって今繋げてるライン以外やってたりする?』

 

 唐突に、脈絡のない質問に首を傾げながら答えを返す鈴仙。

 

『いいえ? あまりSNSには興味がないので……何故ですか?』

 

 そう問いかけると一佳からとあるURLが送られて来た為に開くと鈴仙とギャングオルカが出演したイルカショーの映像であった。

 なんか、ハートマークとリピートボタンに凄まじい数の数字が着いているが、そっち方面にはあまり詳しくない鈴仙は一佳に問いかける。

 

『これは?』

 

『今ネット上で大注目を浴びてる映像、大注目って言っても悪い意味じゃなくて良い意味の方な、分かりやすく言うと雄英体育祭で売れてた鈴仙の顔と名前が更に爆売れしてる』

 

『ぇ……ええええええー!?」

 

 波長操作を行いつつ絶叫が漏れない様に意識しながらそう叫ぶ鈴仙であった。




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