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これからも拙作をよろしくお願いします。
林間合宿①
鈴仙のショッピングモールの一件を受けて雄英としても対策を講じた様で
尚且つ行き先は当日まで明かさない事とした、と。
そうして、林間合宿当日になった。
バスに乗り込むA組の面々。
乗り込む直前にB組の物間から嫉妬を伴った様な波長でネチネチと告げられるが一佳が首筋をトンッと叩いて気絶に追い込む。
「ごめんな、A組……毎回毎回」
そう言って物間を引き摺っていく一佳……もはやお約束の流れだ。
ワイワイと騒いでいると相澤先生が来た、隣に心操人使を連れて。
「おはよう」
そう告げた相澤先生に対して皆が挨拶を返す、ここだけはクラスメイト達がどんなに騒いでいようと一瞬で静まり返る。
そうして……相澤先生は隣にいる心操人使について説明を行った……バスの中で。
移動中に説明した方が合理的だとか……まぁ言わんとする事は分かる、分かるが心操さんの顔見ましょうよ……相澤先生、心操さんガチガチに固くなってますよ。
「体育祭の結果を鑑みて、我々教師陣の協議の結果……心操人使をヒーロー科に編入する事が決定された、林間合宿にも参加する、クラス分けは夏休み明けになるが取り敢えずA組のバスで移動する事となった、心操、挨拶と自己紹介」
そう相澤先生から告げられて自己紹介と挨拶を行う心操人使。
心なしか声が震えている……。
そりゃあ緊張するだろうさ、既にある程度人間関係が馴染んでいる所にいきなりぶち込まれるのは誰だってごめんこうむる。
鈴仙はウサミミを無意識でクルンクルンと器用に回しながら『がんばって〜』と言わんばかりに忙しなくウサミミを動かしていた。
数秒の沈黙の後、心操人使が喋る。
「心操人使です……この前の雄英体育祭の結果を鑑みてヒーロー科へと編入する事となりました、俺はまだまだスタートラインにすら立てていないですが、皆さんと一緒に頑張りたいと思います、よろしくお願いします」
そう頭を下げつつ語る心操人使。
数秒の沈黙の後、拍手の嵐と新たなクラスメイトになるかもしれない人を歓迎する声がバス全体に響き渡る。
それに戸惑う心操人使に鈴仙や芦戸三奈が優しく告げる。
「よろしくお願いしますね、心操さん」
「よろしくっ‼︎ お互いにがんばろーね‼︎」
他のクラスメイト達も口々に歓迎の言葉を告げて……1時間後、バスが停車するがそこはパーキングエリアなどではなく……崖下に一面見渡す限り木々が生い茂る場所であった。
黒のBMWから猫を模したヒーローコスチュームに身を包んだ2人の女性が降りてきてキラリッと煌めく様な声音で叫ぶ。
「煌めく眼でロックオン‼︎」
「キュートにキャットにスティンガー‼︎」
「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ‼︎」
ポーズとセリフをビシッと決めると相澤先生が紹介する。
「今回お世話になるプロヒーロー……『プッシーキャッツ』の皆さんだ、挨拶しろ」
皆、お辞儀をしてよろしくお願いしますと告げる……だがしかし、プッシーキャッツの1人、マンダレイの言葉で皆の顔色が変わる。
「ここら一帯は私達の所有地なんだけどさ、あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
そう言って指さしたのはどう見ても此処から目測ではあるが大体15kmはあるであろう山の麓。
勘のいい者は何となく察しており、爆豪勝己や緑谷出久は『まさか……そんな事……』とでも言いたげに引き攣った表情であり、苦々しい笑顔を浮かべている。
そして、マンダレイの鈴の様な声が響く。
「今は午前8.30分、早ければ……13時前後かしらぁ? 14時までに辿り着けなかったキティ達はお昼抜きね?」
そう宣告するマンダレイ。
マンダレイとピクシーボブを見ながら鈴仙は引き攣った笑みを浮かべながらある事を思い浮かべた。
そういえば……猫という愛玩動物は元を正せば肉食の猛獣を祖に持つ獣なのだと、今現在は愛玩動物として生きてはいるといえそのルーツは肉食の獣に変わりはないらしく……猫を模したヒーローコスチュームを纏った2人のプロヒーローの眼光は肉食獣の如き鋭い眼であり……狩りを行う様な眼でクラスメイト達を見回しながらそう告げるマンダレイ。
クラスメイト達は相澤先生の口調と雰囲気からこれから何が起こるか察したらしくバスに戻ろうとするが先回りされたピクシーボブが笑みを浮かべながら自身が有する個性である『土流』で地面ごと抉られて土石流を生み出して崖下に落とされる。
それに巻き込まれるクラス一同。
その中でも咄嗟の反応が間に合わなかった心操人使はクッションになる筈の土流の範囲から外れて頭から地面に落下していく。
受け身を取る事も空中なので難しく本人がパニックになりかけているので落ち着かせる事も難しい。
それを感じ取った鈴仙は空中で見えない壁を形成して壁を伝って跳躍して心操人使を抱き抱える。
そう、ちょうどお姫様抱っこの様な形で……。
余談ではあるが鈴仙に抱き抱えられている心操人使は頬や頭部に当たる女性特有の柔らかい双丘の感触を必死に忘れようとしていた。
そうして、鈴仙は皆より一足先に着地すると、おっとり刀で心操人使と同様に土流から僅かに投げ出された者達を救出する。
特に救出優先度が高いのは空中での機動性に欠いて尚且つパニックになりかけているクラスメイト。
そして、クラスメイト全員が無事に着地するとそれを確認したマンダレイから告げられる。
「私有地につき、個性の使用は自由だよ‼︎ 今から頑張って自分の足で施設までおいでませ‼︎ この『魔獣の森』を抜けて‼︎」
そう叫ぶマンダレイ。
状況をいち早く把握した者達は森からのそりのそりと出てきた土塊で形成された4mはある四足歩行を行う化け物チックな土で造られた獣や3mはあるであろうプテラノドンの様な翼竜を模した土塊の化け物。
それを見て即座に行動へと移したのは5人。
鈴仙。
轟焦凍。
爆豪勝己。
飯田天哉。
緑谷出久。
であった。
各々が各々の個性を活かして土塊の化け物を討ち土へと返す。
そうして……今の一撃で沈んだ魔獣を見て鈴仙は波長を操作して反響定位で全ての魔獣の位置を割り出すとクラスメイトに告げる。
「取り敢えず……此処から先は無闇矢鱈に個性を使用するのは控えましょうか」