2日目午前、みっちり詰め込まれた5教科の授業を終えると午後はヒーロー基礎学、オールマイト先生による戦闘訓練。
それぞれ入学前に提出した『個性届』と『身体情報』を提出すると学校専属のサポート会社がコスチュームを用意してくれる。
個々人の『要望』を添付する事で更に個々人に合ったコスチュームが手に入る。
どうしてそんな話をしてるかというと。
女子更衣室内で着替えをしているのだ、コスチュームへと。
「鈴仙さん……それ……」
八百万さんが私を見て告げる。
私の姿がどう見てもスーツ姿故に。
上下共に黒のスーツであり白ワイシャツに黒のネクタイを締めている。
そして靴はコンバットブーツでありその様相はスーツ姿も相まって独特の威圧感を漂わせている。
そして、腰にはハンドガンサイズの白の全体カラー、広がった銃口、銃身や銃口に見られる金色の輪のような装飾と同色の引き金、そして銃口の輪の上部に見られる兎の耳を模したようなパーツと、銃器としてかなり特殊な形状をしている、拳銃とメガホンを足して2で割った様なそんな不思議な形状をした銃器*1が下げられていた。
本人曰く『ルナティックガン』と言うのだとか。
そんな威圧感が漂う鈴仙は突如としてウサミミをペショリと萎ませて一気に脱力し呟く。
「きっ緊張してきた……やおよ……やよ……八百万さんや皆はどしてそんなに平気そうなのぉ〜」
その纏っている威圧感とのあまりの落差に女子更衣室全体が笑いに包まれる。
しばし笑っていると涙目でこちらを睨んでくる愛くるしい鈴仙さんの姿が。
「もぉ〜笑わないでよ〜」
そう言って頬を膨らませプイッと更衣室を出て行こうとする鈴仙さんに謝りつつ訓練場へと向かう。
そうして、オールマイト先生より説明が告げられる。
曰く、賢しい
故に基礎を知る為の実戦との事で2VS2の屋内戦を行う。
制限時間15分、
ヒーローチームは『
ヒーローチームと
5分間は
そうして訓練を順々で行なっていき残す所は……。
ヒーローチーム、轟焦凍&障子目蔵チーム。
そうして、セッティングとして与えられた5分の間に互いの個性を擦り合わせやれる事を把握していく。
私は『波長を操る個性』と説明して八百万さんからは生物以外ならばなんでも作れる『創造』と告げられる。
それを聞いた私は八百万さんへと問いかける。
「スタングレネードやグロック19は作れますか?」
そう問いかける。
コクリと頷く八百万百、自身の個性がなんでも作れるが故にミリタリーにも造詣が深い。
スタングレネードを2個、グロック19を1丁、ゴム弾を装填した予備マガジンを3個作った所で八百万さんが問いかけてくる。
「それで……どうしますか? 作戦は」
それを聞いた私はしばし考えたのちに告げる。
「ワイヤートラップを複数作りましょうか、相手方の索敵役である障子さんを私が初手で潰します、その後は動けなくなった障子さんを私が捕縛します、焦凍さんはそのまま数的有利と罠で動きを取れなくして叩きましょう」
ドアや窓を開けた瞬間にピンが抜ける様にワイヤーを調節したスタングレネードを各フロアの忍び込みやすそうな窓やその他の出入り口に仕掛けていく。
各フロアの通路に赤外線センサーとサーモグラフィーを搭載させて人間の体温を感知した瞬間に
そして、最後の一つを設置し終わったタイミングで演習がスタートしヒーローチームが攻め込んできた。
ビル一棟を丸ごと凍結させた後で。
核を置いてある部屋で八百万さんと共に防衛に回っていた鈴仙は凍りついた脚を見ながら八百万さんへと言葉をかける。
「……成程、確実なる安全を買ってから攻めるつもりの様ですね、だがしかし……それは愚策でしたね」
鈴仙は波長を操り自身と八百万さんの動きを封じている氷を超高周波を生み出して砕き割る。そしてグロック19を天井に向けて発砲し、波長を操作してその発砲音を障子目蔵のみに向けて1秒だけ放つ、200dBという大爆音へと操作しながら。
刹那、索敵をしている障子は突如として200dBという大爆音を叩き込まれて鼓膜に異常をきたしたのか複製した耳を押さえてうずくまり動きが止まる。
そして、平常時とは逸脱した呼吸音と心拍音で判明した障子目蔵と轟焦凍の位置を八百万さんへとアイコンタクトで会話したのちに鈴仙は告げる。
「では、とりあえず障子さんをリタイアさせてきます、轟さんは障子さんの近くにいるので……今のうちにこの部屋の損壊した罠をセッティングし直して万が一に備えてください」
そう告げると鈴仙は扉から出て行くのではなく窓を開けてそこから飛び降りて行った。
それを見た八百万百は叫ぶ。
「れっ鈴仙さん‼︎ ここ5階ですわよ⁉︎」
急いで窓へと駆けて落下している鈴仙を見た八百万百だが空中で見えない板に着地し3Fフロアの窓を蹴破って突入していく鈴仙を見て謎の安心感を感じて防衛地点をより強固なモノにするべくやるべき事を行なっていった。
「大丈夫か⁉︎ どうした障子‼︎」
急にうずくまった障子を心配する轟焦凍、対する障子は複製した耳を口へと変化させて喋る。
「わからん……急に大爆音が響いて鼓膜が破けた……索敵を続け……ッ⁉︎ 前方から何か来るぞ⁉︎」
そう叫ぶが遅かった。
窓ガラスを蹴破って突入した鈴仙の姿を焦凍が視認した瞬間に鈴仙の姿が見えなくなりその2秒後、突如として背後から鈴仙の声が聞こえた。
「30秒経過、まずは1人」
鈴仙はゴム弾を装填したグロック19を構えて障子の頭部を撃ち気絶させると確保テープを巻いてリタイアさせる。
焦凍が氷結を放ち捕縛しようとするが一手遅く、そのまま上へと続く階段を駆け上がり逃げられる。
それを追いかける焦凍。
袋小路へと追い込み焦凍は鈴仙へと告げる。
「逃げるだけか? だがもう逃げ場はないぞ? 背後の機関銃も壊れてるのか動かねえ様だしな」
そう告げる焦凍、だがしかし……鈴仙は静かに口を開く。
「ふふふふふふふ……
そう告げるやいなや鈴仙は背後の銃に取り付けられた赤外線センサーの波長操作を解除して素早く身を翻して近くのドアへの駆け込む。
刹那、焦凍のみを感知したM249軽機関銃は装填されたマガジンボックスの弾丸が尽きるまで弾薬を撃ち続ける。
轟焦凍は咄嗟に氷壁を生み出して対処するが7.62mm弾は容赦なく氷壁を削っていく。
氷壁では対処しきれないと悟った焦凍は階段まで一時撤退し態勢を立て直す為にセンサーの範囲外へと逃れたが、いつの間にか投擲されていたスタングレネードが自身の足下に転がっており180dB以上の大爆音と100万カンデラ以上の閃光が一時的に視力と聴力を奪う。
爆音と閃光に曝された焦凍はよろめいて階段を転げ落ち倒れ伏し頭部にゴム弾の重い一撃を喰らい気絶していく感覚を味わいながら意識を失っていった。
そして……気絶した轟焦凍へと鈴仙が確保テープを巻いて、戦闘訓練は終了した。