【完結】ウサミミ少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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林間合宿⑤

 そうして、早くも折り返し地点である3日目。

 2日目と同様に個性を鍛える訓練を繰り返す。

 

 10分間の休憩では疲労困憊で誰1人として動くことすら出来ずに地面に突っ伏す生徒一同。

 プッシーキャッツがそれぞれ突っ伏している者達を仰向けにして上体を起こして濃縮ハイカロリーゼリー飲料と水分補給の為の水分を飲ませる。

 

 そうして、疲労困憊の中で休息を取る皆。

 余分に休息を取るとようやく動けるようになった皆が立ち上がり再度訓練へと突入していく。

 そうして時間は進み昼休憩を挟んで午後の訓練へと戻る。

 

 訓練の最中、ピクシーボブが叫ぶ。

 

「それよりみんな‼︎ 今日の夜は‼︎ クラス対抗肝試しを実行するよ‼︎ しっかり苦労したあとはしっかり楽しい事がある‼︎ アメとムチ‼︎ だから今は全力で励むのダァー‼︎」

 

 その言葉に対してテンションを上げる者とホラーが苦手なのかガクブルと震える者。

 鈴仙は後者であった。

 ウサミミをペショリと力無く垂れさせて器用に打ち震わせつつ身体をガクガクと震えさせながら、震える声音で呟く。

 

「うぇぇ……怖いの大っ嫌いだぁ……」

 

 グスッエグッ……と咽び泣く鈴仙。

 そうして、訓練を続けていく皆。

 

 午後の訓練も終わり、夜飯も終わり、ごく一部の者以外が待ち望んでいるお楽しみのレクリエーションの時間となった。

 特に鈴仙は怖いのが苦手故に青褪めた顔でウサミミを力無くペショォォォォォと萎ませている。

 芦戸三奈はこの肝試しを特に楽しみにしていた様でウキウキしながら叫ぶ。

 

「イェーイ‼︎ 肝を試す時間だー‼︎」

 

 それに乗っかる様に砂藤力道、上鳴電気、瀬呂範太、切島鋭児郎が叫ぶ。

 

「イェーイ‼︎」

 

 ウキウキしつつ叫ぶ者達。

 そうして、くじ引きにより組み分けが為される。

 

 1組目 鈴仙&八百万百。

 2組目 轟焦凍&爆豪勝己。

 3組目 芦戸三奈&上鳴電気。

 4組目 砂藤力道&切島鋭児郎。

 5組目 緑谷出久&麗日お茶子。

 6組目 峰田実&青山優雅。

 7組目 葉隠透&瀬呂範太&心操人使。

 8組目 蛙吹梅雨&飯田天哉。

 9組目 耳郎響香&障子目蔵。

 10組目 常闇踏陰&尾白猿夫。

 

 肝試しの所要時間15分程の道のりである。

 最初の組がスタートしてから10分後に次の組がスタートすると告げられる。

 B組の皆が驚かす準備を行い中間地点にいるラグドールからサインを受け取ったピクシーボブとマンダレイの合図により鈴仙と八百万百が先陣を切っていく。

 なお鈴仙の表情は幽鬼の如く青褪めた表情でありウサミミは恐怖に負けてクシャァァァァァァッと極限まで萎んでおりその眼には涙を浮かべつつ八百万百の身体ををしっかりと掴んで抱きついていた。

 八百万百やクラスメイト達が鈴仙の思わぬ一面を見た所で肝試しがスタートする。

 余談ではあるが、鈴仙は始まる前に律儀に『波長を操り支配する個性』でのネタバレを防ぐ為に八百万百に頼んで超強力な小型の電波妨害装置を創造して貰いそれを首から下げている。

 装着者のみに作用するというトンデモな謎機能を備えており……何とも技術の無駄遣いというか何というか。

 これで、鈴仙は『肝試し』の間は自身の周囲10cm以内しか波長操作を出来ず、その視界は『普通の』視界になっている為に暗い場所はしっかり暗いままである。

 何なら『波長操作』の応用であるテレパシーや他者の脳へと映像を叩きつけるなども不可能となっている。

 鈴仙曰く、怖い物を見るのは嫌だが、ワクワクと期待に胸を膨らませている八百万百やA組のクラスメイト達に対するネタバレへの配慮、そして一生懸命になって驚かそうと頑張ってくれているB組へと極限まで徹底した結果だとか。

 安易なネタバレ程、気分を損ない場の空気を凍らせ盛り上がった空気を一瞬で盛り下げるモノはない。

 

 始まって30秒もしないうちに鈴仙の悲鳴が響くがクラスメイト達は全員が心の中で突っ込む。

 とっとと歩けや‼︎ と。

 4mも進んでいない鈴仙。

 意を決して歩き数メートル先でB組の脅かしに引っかかり八百万百へとガバッと抱きつく。

 八百万百は苦笑いを浮かべつつ鈴仙の手を引いて歩いていた。

 

 鈴仙と八百万百の姿が見えなくなった後でその場に居たクラスメイトらは心の中で叫ぶ。

 子供向けのお化け屋敷に連れて行かれているお母さんと子供かな⁉︎ と……奇しくもクラスメイト達と心操人使の心が一つになった瞬間であった。

 

 そうして8分後、スタート地点である宿泊施設前から最も遠く離れた箇所でラグドールよりお札を受け取り折り返し地点となる。

 鈴仙はいつもの様なクールな表情など見る影もなく八百万百にしっかりと抱きついていた。

 そのウサミミは相変わらず力無く垂れ下がっており、ウサミミは恐怖に負けてクシャァァァァァァッと極限まで萎んで鈴仙の特徴的な赤いその眼には溢れんばかりの大粒の涙を浮かべていた。

 それを見ながら八百万百はよしよしと頭を撫でつつ語る。

 

「にしても……いつも大概の事には驚かずクールで物怖じしないと思っていた鈴仙さんにこんな可愛い一面があるなんて……普段クールで冷静沈着な分ギャップの差が凄いですわね……まぁ……ウサミミがその分お仕事をしていますが

 

 鈴仙の方から八百万に抱きついてきている為に存分にウサミミとウサギ尻尾のモフモフ堪能できるまたとないチャンス、思いがけず得る事が出来た役得。

 ウサミミとウサギ尻尾の感触を堪能しつつそのモフモフとした毛並みは最高級品の厚手のタオルの様な素晴らしい肌触りの毛並みを感じて『へにゃあ』と蕩けるような笑みを浮かべる八百万百であった。

 

 しかし、楽しい時は一瞬で終わりを告げた。

 ガリガリと何かを切り裂くような……何かを削る様な音を立てて木々や葉の間をウネウネと蠢く刄のような鋭利さと50mはあるであろう長さを持つ日本刀の様な形状に変化した歯が凄まじい勢いのまま鈴仙を襲い、右脇腹と右足付け根を貫く。

 

 普段ならば波長が見えた為に対応が可能であったのかも知れないが今回ばかりは『肝試しのネタバレ』をしたくないという鈴仙の行いが裏目に出ていた。

 突然の事に対応しきれずにそのままの勢いで木々に叩きつけられて串刺しになる鈴仙だが10cm内ならば波長操作が可能な為に超高周衝撃波を生み出して自身の脇腹と足の付け根に刺さったままのソレを音をぶつけて砕き割ると鈴仙は八百万へと告げる。

 

(ヴィラン)です」




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