iアイランドその①
夏休み早々……。
ヒーローコスチュームを着込んだ鈴仙。
鈴仙は雄英体育祭優勝者に譲渡された3枚の招待状の内1枚を使ってiアイランドのプレオープンに来ていた。
カフェテリアで抹茶ラテを飲みながらパビリオンを見た感想をヒーローコスチュームを着込んだ物間寧人と語り合う鈴仙。
「それにしても良かったのかい? 鈴仙さん」
お茶を飲みながらそう語る物間寧人。
それに対して鈴仙は抹茶の香りを楽しみながらゆっくりと告げる。
「厳正なる抽選の結果ですよ……くじ引きという名の、誰にでも可能性はあったのです……」
「ソレもそうなんだけど……というより僕が言うのもなんだけれど……それよりもクラスメイトと回らなくて本当に良かったのかい?」
A組とB組に1枚ずつ譲渡した結果。
A組からは耳郎響香。
B組からは物間寧人。
その2人がプレオープンに招待されることとなった。
「アチラには八百万さんがいますし久々に物間さんと話せる機会が作れたのです……私の個性、使いこなせる様になりました? 扱いがかなり難しいと思いますが」
物間寧人は自身の個性『コピー』で鈴仙の『波長を操り支配する個性』を練習しているが前回の練習時はまだ難しいと……発現した瞬間から個性を扱っている鈴仙のレクチャーを受けて扱っていた。
「それなんだけどね……ようやく途切れさせる事なく波長を操作できる様になったよ」
もう感覚的に、それこそ日常生活動作と同様の扱いをしてきた鈴仙と違い練習して僅か2ヶ月弱の物間寧人がそこまで成長したのはひとえに物間寧人の能力の高さ故にだろう。
抹茶を楽しみながら物間寧人へと言葉をかける。
「もうそこまで扱える様になったのですか……とんでもない速度で使いこなせる様になってますね」
ウサミミも物間寧人の成長速度に驚愕するかの様にピョコピョコと動いている。
物間寧人はそれを見ながら言葉を紡ぐ。
「相変わらず何を考えているか分かりやすいウサミミだ……」
「そんなに分かりやすく動いてますか? このウサミミ……無意識のうちに動いちゃうのです……困ったものです」
悪戯っぽく笑みを浮かべる鈴仙。
鈴仙の感情を知りたい時はまずウサミミを見る。
A組B組共通の認識であった。
2人とも飲み物を飲み終わった後、鈴仙はさもそれが当然かの様に物間寧人の手を取り告げる。
「では案内を頼みますよ? 物間さん」
へにゃあっと見る者を魅了する様な美しい笑顔を浮かべた鈴仙。
それに対して物間寧人は跳ねる様な心臓の拍動を感じ一瞬視線を逸らし息を整えてから鈴仙へと苦言を呈する。
「僕は気にしないけど……それ、他の男にやったら間違いなく、絶対に『好意』があると誤解されるから気をつけた方が良いよ? 鈴仙さん」
そう告げる物間寧人。
それを聞いた鈴仙はへにゃあっと笑顔を浮かべたまま告げる。
「他の人にはやりませんし、信頼できる人にしか見せませんよ……」
そう聞いた物間寧人は『そういう所なんだよなぁ』と思いつつ色々と見て回る。
そんな2人が最後に見に行ったのは『
「鈴仙さんもやってくれば? 景品があるらしいよ? ランクに応じて」
そう問いかけてきた物間寧人に対して鈴仙少しだけ考えてから首を振って告げる。
「んー……ヒーローコスチュームは着用してますけど……特にああいうのには興味がそそられなくて……物間さんはどうです? 私の個性使ってチャレンジ」
最初は鈴仙同様に興味が無いと答えてきた物間寧人であるが鈴仙の一言で考え込んでいた。
そうそう、個性の練習にもなりますよ? 実戦を見据えての……そう告げると物間寧人は鈴仙の手に触れると個性を『コピー』して挑む。
頑張ってくださいね〜、とピョコピョコとウサミミを揺らし無邪気な表情で手を振ってきた鈴仙に片手を振って答える物間寧人。
スタートの合図が為されて、物間寧人は動く事なく
そして全てを撃滅し終わる。
「さぁ気になる記録の方はどうだ‼︎ 3秒ジャスト‼︎ すっ……すごいです‼︎ 堂々の1位です‼︎」
それを聞いて……鈴仙ならばもっと早くやれたのだろうなと考えつつ鈴仙の方へと視線を向ける物間寧人。
鈴仙はというとすっごい嬉しそうにウサミミをグルグルと動かしており『
女子特有の柔らかいモノが物間寧人の身体に当たりシャンプーや化粧品に凄い気を遣ってるのか鈴仙の髪からは凄い良い匂いが……。
物間寧人は欲望を必死に理性で押さえ込むと鈴仙へと告げる。
「れ……鈴仙さん、僕の記録は3秒だったけど……君の個性をもっと知りたいんだ……コピーして波長を見れる様にしておくから波長操作の扱いをもっともっと知りたいなぁ‼︎」
「んー……しょうがないですね、私も貴方の口車に乗るとしましょうか……瞬き禁止で、見逃さずに……ですよ? 物間さん」
悪戯っぽい笑みを浮かべつつチャレンジャーとして会場へと向かう鈴仙。
それを見ながら物間寧人は鈴仙との始まりを思い返していた。
拳藤一佳経由で紹介されて、最初は何だこいつはと……正直最初はあんまり良い印象は無かった。
しかし、ブートキャンプや勉強会、それに近接格闘術訓練で続けていく内に鈴仙の印象は変わり……今ではめちゃくちゃお世話になっている。
鈴仙曰く、コピーは強いですがソレに頼り切りになるのは如何なものかと苦言を呈されて……鈴仙主催のブートキャンプに連れ込まれたり、近接格闘術の訓練やそもそもソロでの行動下に置ける対処法を学んで行った。
期末テストの演習試験で赤点取らずにいたのも鈴仙に助けられた所が大きい。
「っと……開始か」
思い出を振り返りつつ鈴仙の挑戦を波長を通して視認する物間寧人。
スタートの合図が為されたその直後。
全ての
スタッフが電光掲示板に表示された記録をマイク越しに告げる。
「1秒81‼︎ 先程のチャレンジャーも凄かったですがソレを上回るトンデモナイ記録が出たァァァァァァ‼︎」
その理由は波長を視認できた物間寧人だからこそ理解ができた。
「修練の差ってのは……全くどこまでも……」
そう呟く物間寧人であった。