異論は認めない。
委員長決めが行われ、最初こそ委員長が鈴仙、副委員長が緑谷出久に決まったがマスコミが入り込んで大パニックになった際に飯田天哉と八百万百が場を収めたのを見て鈴仙も緑谷出久も自身ではなく2人が相応しいとして、委員長が飯田天哉、副委員長が八百万百となった。
そうして……人命救助訓練として……バスに乗り施設へと向かう。
そのバス内で八百万百から問いかけられる。
「鈴仙さん……貴女のコスチューム……平時でも問題ない格好ですわね」
「鈴仙、と呼び捨てで良いですよ、八百万さん……クラスメイトなのにそんな畏まって呼ばれても困りますし」
悪戯っぽく笑みを浮かべてそう八百万百へと告げる鈴仙。
八百万百の言う通り、白ワイシャツ、左胸元に三日月の刺繍が為された黒スーツ、ネクタイ、そして同様に黒いスラックスだけを見れば確かに平時、というか一般人とすら見間違えるであろう格好、しかしながら足下を見れば戦闘用に装備を整えたコンバットブーツ。
スーツとコンバットブーツは防刃、防弾、対爆、防水、撥水、速乾、が基本性能として織り込まれているらしくブーツとスーツの繊維は不燃繊維でありスーツという簡素な見た目に反してかなりの技術が盛り込まれている。
鈴仙曰くスーツもコンバットブーツも特別製で色々な仕掛けを施してあるとの事であった。
「そんな事よりよぉ‼︎ 鈴仙のその爆乳‼︎ エロくね? ワイシャツとスーツで強調されてるのが堪らん‼︎ なぁ鈴仙‼︎ オイラと付き合ってくれ‼︎」
隣に座っていた峰田実がそう叫びながら鈴仙のIカップはあるであろう爆乳を下卑た眼で見る。
そんな発言をかました峰田実に対する女性陣達の眼は冷ややかであるが当の鈴仙はそんな峰田実に対して嫌な顔一つせずに笑顔で諭す様に語りかける。
「ふふっ峰田さんは冗談が上手いですね、けれどあまり欲望に忠実すぎてもいけませんよ? 私は殆ど気にしないですがそういうのを嫌悪する人も居るのです、それと流石に告白は早過ぎますよ、まだクラスメイトになって2日目です、互いの事を何も知らないのですから先ずはお友達からという事で」
柔和な笑みを浮かべながら峰田実へとそう告げるとバスが停まり目的の施設へと到着した。
そこに居たのは『13号先生』であり施設へと入り訓練が始まる前に少しお小言を、そう前置きして13号先生が語り出す。
1つ2つ3つ4つ5つ……増えていく。
端的に言えば13号先生の個性であるブラックホールは簡単に人を殺せる個性であり、私達の個性も同じである。
人を簡単に傷つけて簡単に殺せて簡単に人を害する個性であるという事。
一例を挙げるならば鈴仙の個性や爆豪君の爆破や芦戸三奈の酸や轟焦凍の半燃半凍であろうか……。
お小言が終わり13号先生と相澤先生による施設の説明が行われようとしたまさにその刹那。
黒い霧が顕現し数多の敵ヴィランが現出し黒い霧の中から多数の……目算で50人程の
侵入者用センサーも当然設置してあるが何故だか機能していない、そういった妨害を行える個性持ちが
その瞬間相澤先生が叫ぶ。
「全員一塊になって動くな‼︎ あれは
そう言われて即座にやるべき事を行う上鳴電気と鈴仙。
上鳴電気の方は駄目であった、上鳴電気が片耳に装着している特別製の通信機器からはノイズが酷く走っており通信妨害の工作はしっかりとされていた。
それを聞いて相澤先生は鈴仙へと問いかける。
「鈴仙‼︎ お前もダメか?」
切迫した空気をぶち壊すかのように、極限まで張り付いた緊張の糸と緊迫した空気を亡きモノにするかのように、鈴仙は緊張や緊迫した空気など知らないとでもいうかの様にゆるふわな声音で、施設中に自身の声を響かせる。
「あっ、通信ですか? 通信は駄目でした、
そう告げる鈴仙であるが、続く鈴仙の言葉で
「だから……直接、今のこの状況を直接見せました、私の眼を通して雄英に残っている教師陣の脳内に今起きてる出来事と先程の相澤先生の声を直接叩き込んだので、多分2〜3分で到着すると思いますよ? と……やっと見つけたあそこか」
そう軽く告げた鈴仙はおもむろに腰に下げている『ルナティックガン』を構えて思い切り息を吸い込んで叫ぶ。
刹那、遥か遠くに見えた山岳ゾーンのみが地震かと思う程の揺れを見せるが数秒すると何事もなかったかの様に揺れが収まる。
ジっと山岳ゾーンを見ていた鈴仙は人差し指でこめかみを抑えて何かを試す様な仕草をした後に語る。
「電波暗室並みに通信妨害していた
そう告げられて上鳴電気が再度通信を試す。
数秒して上鳴電気は通信しつつサムズアップしてきた。
それに対して鈴仙もサムズアップで返す。
それを聞いた
話が違うと。
もはや有象無象の集団というのを通り越し仲間割れに近い様相を呈していた。
それを踏まえて好機と捉えた相澤先生が即座に集団の中に飛び込んで『抹消』で
しかし、一瞬の隙を突かれて黒いモヤの
移動する様子など微塵もなかった、そして
黒いモヤを纏った
「死柄木弔が立案した当初の予定とはだいぶ違う事になってしまいましたが……我々は『
そうして……13号先生を真っ先にワープで無力化し施設内の何処かへとワープさせた後に子供を適当に、施設内の何処かへと飛ばす。
鈴仙を除いた全員が飛ばされる。
全員を飛ばしたと思った黒いモヤの
「おや……貴女はどうやら飛ばされなかったのですね、どう言った個性か後学の為に教えてもらっても? 名前を名乗らないのは礼儀を欠きますね、黒霧と申します、以後お見知り置きを」
黒いモヤの
黒霧と名乗っている
嫌な汗が流れて止まらない。
何故ならば……。
「
そう語り徒手格闘の構えを取ってそう語る。
鈴仙の眼にはしっかり見えていた、対峙している
相澤先生の方を見れば脳が露出している人外の化け物も似た様な波長を放っていた。
そして、眼前の黒霧と名乗った
脳無と呼ばれた
それを見た相澤先生は脳が剥き出しのバケモノの個性を抹消するが変わらずに爆音と爆風を伴う打撃を繰り出していた。
つまり、個性由来ではない素の身体能力という事。
相澤先生が叫ぶ。
「鈴仙‼︎」
すぐさま助けに行こうとしたが死柄木弔と呼ばれた
舌打ちしながら操縛布を手繰り捕縛を試みるが身体能力のみで全て躱される。
土煙が晴れてそこに見えたのは波長操作で見えない防壁を盾にしながら攻撃を凌いでいる鈴仙の姿であった。
しかし、全てを防ぐ事は叶わなかったのか鈴仙の右腕は大きく捻じ曲がって折れた骨がスーツを突き破って露出しており右の肋骨部分は数センチ陥没しており恐らくは折れた肋骨が肺に突き刺さっているのだと容易に想像ができた。
喀血しているのか口から血の雫を垂らしている鈴仙。
個性を用いて自身の痛覚を遮断しているのか波長操作で光を収束してレーザーを撃ち込むも貫通した箇所が再生しており脳無にはまるで効いておらず決定打に欠ける。
嵐の様な乱打を見えない防壁を盾にしつつ立ち回るもこのままでは千日手になるのが誰の目にも明らかであった。
しかし、永遠に続くと思われていた千日手にも終わりが告げられた。
「もう大丈夫‼︎ 何故って⁉︎ 私が来た‼︎」
響くオールマイトの声音と共にドアが破砕され雄英の教師陣が現れる。
ヒーロー候補生にとっては希望の、
そして……オールマイトが残存していた
緑谷、蛙吹梅雨、峰田実も纏めて。
4人を比較的安全な場所まで避難させるとオールマイトは脳無と対峙し200発以上の打撃を叩き込んで遥か彼方まで吹き飛ばす。
そうして、多勢に無勢を悟った死柄木弔と呼ばれた
怨嗟に塗れた声音で言葉を溢しながら。
「今回は失敗したが……次は殺すぞ、平和の象徴」