そうして、早いモノで圧縮訓練は過ぎ去り仮免試験当日となった。
皆、ヒーローコスチュームは各々改良やサポートアイテムの構想を練っていたようで結構変わっていた。
そんな中、八百万さんから問いかけられる。
「そう言えば鈴仙さんのコスチュームは殆ど変わってはいませんね……スーツにコンバットブーツ……」
そう告げた八百万百に賛同するかのように耳郎響香や芦戸三奈が首を縦に振る。
聞けば、私がどんな風にヒーローコスチュームをイメチェンをするか密かに話題になっていたらしい。
鈴仙は苦笑しながら告げる。
「そんな大きく変更する様なコスチュームではないですから……変更点を強いていうならばベルトの材質を少し変えたくらいでしょうか……鞭の様にしなるので武器にもなりますし緊急時には止血帯の代替品にもなります」
そう説明するとB組も来たので、バスに乗って移動してしまう前に鈴仙は物間寧人へと近づいて告げる。
「個性伸ばしの結果、個性をストック出来るようになったとお聞きしました、私の個性、渡しておきます……試験で役に立つと思いますので」
手を差し出して物間寧人へと握手を求める鈴仙。
物間寧人はしばし考え込んで告げてくる。
「……いいのかい?」
その意図を汲み取れず鈴仙は逆に聞き返す。
「いいとは? 貴方なら罷り間違っても悪用はしないでしょうし……それに信じてますから……私は貴方の事を」
眩しい程の笑顔を浮かべて物間寧人にそう告げる鈴仙。
鈴仙の『波長を操り支配する個性』を物間寧人がコピーした場合は5分間のみであるが波長に関連した凡ゆる個性を複合させた個性を扱えると言っても過言では無い、透視、サーチ、感知、テレパス、レーザー操作、etc etc.
汎用性はずば抜けているのだ、必ず役に立つ。
「ではありがたくコピーさせてもらうよ……」
そう告げて物間は鈴仙の個性をコピーするとバスに乗り込んでいった。
そうして、バスに乗り込んで会場へと到着した。
緊急時限定個性自由行使許可証……通称ヒーロー免許、その仮免を取りに試験会場へと到着した。
会場前で円陣を組んでいると他校……士傑の1人が乱入してきたりした……切島と上鳴を足して二乗した感じの人だな。
それが終わるとMs.ジョークがイレイザーを見つけてはしゃいで近寄ってきた。
「イレイザー⁉︎ イレイザーじゃないか‼︎ よぉイレイザー……テレビや体育祭で姿は見てたけどこうして直に会うのは久しぶりだなぁ……結婚しようぜ?」
そう言いながら近づくMs.ジョークに対して露骨に嫌な顔をする相澤先生、相澤先生は露骨に嫌な顔をしながら告げる。
「しない」
結婚、その言葉に芦戸三奈が乙女チックな反応を示していたが……。
Ms.ジョークの言葉は文字通りジョークだよ? 波長を感じて汲み取れる。
その後も『私と結婚したら笑いの絶えない幸せな家庭が築ける』と言っていたが……いや、アレはジョークじゃないな……本心に限りなく近いジョーク……ほーん……ほほーう……ほほう。
え……マジか。
「……どした? 鈴仙……顔どころかウサミミまで真っ赤に染まってるしウサミミが『マジ? はわわわわっ』って感じの動かし方してるけど……誰かの恋路でも見たか?」
隣にいた耳郎さんが鈴仙のウサミミと表情を見て何かを察したのかそう突っ込まれる。
耳郎さんに返答をしようとした瞬間に、Ms.ジョークの受け持ちである傑物学園高校2年2組の生徒達が挨拶に来た。
爽やかそうな雰囲気を放ってる男子生徒とミーハーな感じの女子生徒、奥にも6名程居た。
爽やかそうな雰囲気の男子生徒が鈴仙の手を取り挨拶と同時に口を開く。
「俺は真堂‼︎ よろしくね、今年の雄英はトラブル続きで大変だったね、しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね……不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う‼︎ お互いに頑張ろう‼︎」
そう告げてきた真堂さん、代わる代わるA組の面々に握手をしながらそう告げていく。
上鳴電気や耳郎響香からは『どストレートに爽やかイケメン』と評されていた。
轟焦凍に至っては真堂さんの隣に居た女子生徒からサインを求められておりどうすれば良いのか分からない微妙な表情を浮かべていた。
仮免試験前とは思えない程にほんわかした空気が形成されているが相澤先生よりとっととコスチュームに着替えて説明会の準備をしろとのお言葉を頂戴した為に控え室へと急ぐA組一同。
耳郎響香が少し緊張した様な表情と声音で告げる。
「なんかさ、外部と接すると改めて思うけど……やっぱり結構な有名人なんだね、雄英生徒って……」
鈴仙はそれに対して朗らかな表情とウサミミで返事をするが、後ろに居たMs.ジョークは耳郎響香の発言を聞いて相澤先生に何かを言っていたが……今は目の前の試験に集中するべきだ。
うん、雄英潰しとか不穏なワードが聞こえたけど気にせず行こう、ぷるすうるとらの心構えだ。
ヒーローコスチュームへと着替えて説明を受けるが人数が多い、1540人って……ここから4割以下になるの……ウサミミがペショォォォっと無意識で力無く萎むのを感じる。
そうして……試験前の説明がヒーロー公安委員会の目良さんから為される。
好きな睡眠はノンレム睡眠⁉︎ 仕事が忙しくて寝れてない⁉︎ 眠たい⁉︎ 大丈夫なのかこの人……主に生活リズム的な意味で……。
説明を要約すると
受験者数:1540人。
通過者数:100人
試験形式:勝ち抜け。
通過条件:2人を脱落させる。
ルール:バーリトゥード、合格したければ躊躇うな。
試験場となるフィールドは広大で様々な地形が用意されている。
受験者は3つのターゲットを常に晒されている体の好きな場所に取り付ける。
受験者には2つのボールが配られる。
3つ全てのターゲットにボールが当たると脱落、3つ目に当てた人がその人を脱落させた事になる。
ボールを投げる必要はなく、直接持ってターゲットにタッチしてもOK。
ターゲットはボールが当たると発光する。
ターゲットとボールはハイテク機器であり、誰が当てたか、誰に当てられたかが瞬時に計測され集計される、また個性でどんなに変化させようとも損壊などはしない。
合格者は控室に移動する。
ターゲットは合格後に控え室に居る試験官が持っている専用キーでのみ外すことができる。
鈴仙はそれを頭の中で反芻し心の中で叫ぶ。
合格率1割以下じゃん‼︎ と、無意識でウサミミが力無くペショォォォッと垂れ下がるの実感するが少しすると落ち着いて……確認する。
そして一次試験がスタートされる。