人数ギリギリの所でA組が全員揃って30分の休息を挟んでからスタートの事であった。
そうして、今し方勝ち抜けで使用していたフィールドが爆破される。
ビル群は瓦礫の山に早変わりし……火災や崩落現場といった災害現場へと変わる。
放送が続ける。
『演習の設定は○○市で
画面を見てる障子目蔵から人が居るとの声を聞いて放送が入る。
『彼らはあらゆる訓練において引っ張りダコの
しかし、留意して貰いたい事があると放送で強調される。
『要救助者達は不安で怯えており……錯乱している事があります……錯乱している事から殺傷性の高い個性を行使したり、ハサミやカッター、鉄パイプ、ガラスの破片などを持って襲いかかってくる可能性があります……また、要救助者に扮した
各員準備に取り掛かろうとした、鈴仙も準備に取り掛かろうとしたが切島が呟く。
「おい、なんか士傑コッチに来てるぞ」
そう呟いたと同時に、士傑の制帽を着用した体毛に覆われた士傑生徒が鈴仙に語りかけて来た。
「控え室で待っている間……夜嵐がとんでもなく非礼な言葉を吐いた様だね……気を悪くしたろう……夜嵐イナサ……アレは自分の考えが絶対という面があってね……すまなかった、謝罪を受け入れて欲しい訳ではないが君達とは良い関係を築き上げていきたいと思っているんだ……本当にすまなかった」
そう頭を下げて告げられた鈴仙は毛原長昌と名乗った士傑生徒を一瞥する事すらなく語る。
「……お気になさらず……既に終わった事です、詳細は夜嵐イナサに聞いた方が早いでしょう……」
鈴仙のその一瞥すらしない語りを聞いて全てを察した毛原は夜嵐がどれだけ非礼な行いをしたかを理解して怒りで肩を震わせていた。
観客席に座って『救助演習試験』のその放送を聴いてイレイザーヘッドとMs.ジョークは互いに顔を見合わせてどちらともなく呟く。
「……この演習……プロでも高難度の案件だぞ」
「イレイザー……この被災現場と演習……相当ふるいにかけて来てるなコレ……試験で行っていいレベルか? 過去5年を遡ってもこれを超える難易度の実戦演習の方が少ないぞ」
ガムを噛みながらそう喋るMs.ジョークに対してイレイザーヘッドは語る。
「オールマイトの引退以降
そう呟くイレイザーヘッドであった。
そうして、再度演習内容が放送されて試験会議となる。
『○○市において
その放送が響き渡ると各自やれる事をやり始めた。
鈴仙も同様であった、医師である八意永琳より直接教えを受けた鈴仙は専門的な知識が豊富であり、率先してトリアージや要救助者のバイタルサインのチェック、頭部外傷者の傷の具合の確認、一時救出場の設定、救護所の設置などを的確に、そして迅速に行なっていた。
そうして、必要な事をしていく鈴仙。
鈴仙は他校の受験者とも積極的に協力しあい自身の個性を活かしてトリアージ、透視や波長操作により見えない場所に居る要救助者の捜索、波長操作で『壁』を応用して作った道の形成、瓦礫撤去、錯乱した
そして、双方向性テレパスにて今1番近い距離に居る受験者が見つけられていない
包帯での固定、骨折部位の鎮痛、錯乱した
それらを適宜行っていると鈴仙のチームが救護している僅か50mほど前方で再度爆発が起こり
ギャングオルカもサイドキック達も全員本気で
完全に本気モードのギャングオルカ達であった。
救護所の目と鼻の先に
しかし、即座に鈴仙が精神安定を掛けたことにより今以上の大パニックは抑えられた。
放送が流れる。
『
放送を聴いて更に錯乱状態に陥る
故に、鈴仙は眼前の受験者に対して双方向性のテレパスを繋いで語る。
『私が戦闘を務めます、今の内に後方へと退避をお願いします‼︎』
そのテレパスに対して眼前の受験者は了解と短く告げてやる事をやる。
鈴仙は即座に真堂さんの耳郎響香を呼んで範囲攻撃による広範囲殲滅にかかる。
「揺れと音の二段構えで行きます‼︎」
そう叫ぶ鈴仙。
真堂さんが揺らして地面を砕き割り、鈴仙と耳郎響香が合体技を放ち動きを止めるが流石にギャングオルカやサイドキック達は本気モードというのもあり即座に対応してくる。
逃げ遅れた
「救護所に
そう叫び終わるとギャングオルカが真堂さんに向けて超音波アタックを行おうとした瞬間に鈴仙が波長操作で逆位相をぶつけて霧散させるがギャングオルカは超音波アタックのみに頼った攻撃をしてこない。
それは職場体験で1週間を共にした鈴仙が1番よく理解していた。
プロヒーローランキング10位入りする程の実力は伊達ではない。
要救助者の避難とその他の受験者に指示を出している鈴仙の眼前へと接近して腕を捻り上げようとする。
波長を感じ取って行動に移そうとした鈴仙だが僅かながらに反応が遅れ鳩尾と喉を殴打される。
「ッ⁉︎」
意識が飛びかけて蹌踉めくが真堂さんと耳郎さんに支えられて足取りをしっかりさせるとギャングオルカのサイドキックに対して波長操作による弾丸状のレーザー弾幕を叩き込む鈴仙。
弾幕により
そうして戦闘を行なっていると氷壁により壁が作られ
脳が揺れた事により意識が混濁しかけた焦凍だが鈴仙の即座の対応により気絶は免れた為、再度氷壁にて遅滞戦闘を仕掛ける。
氷壁を砕き破られるが砕き破られても関係ない、無尽蔵に氷壁を生み出して疲弊させる。
そして、ギャングオルカやサイドキック達が氷壁の対処に当たっている隙に心操人使が己が個性を用いてほんの一瞬だけだろうと洗脳にかけて動きを封じつつ拘束し動けないようにしていく。
そうして、鈴仙や他の皆がギャングオルカとサイドキックの対処している最中、夜嵐イナサによる突風による攻撃で巻き上げられた無数の瓦礫が
しかし、対処したとはいえ一部は避けきれなかったのか鈴仙の左側頭部からは瓦礫が激突し血溜まりが出来る程の出血が見受けられた。
それを見た轟焦凍や心操人使は怒りに顔を歪めて夜嵐へと何かを言いかけようとした瞬間に脳内に響き渡る声……。
『今は試験中だ馬鹿者共‼︎ 瑣末な事で気を乱すんじゃない‼︎ 分かったら
当の鈴仙より叱責され今が何の最中だというのを思い返す。
少なくとも試験の終了までは黙ってろと、
それを見て、やるべき事を思い出して各々
しかし、怪我をしたヒーローを見逃す程ギャングオルカやそのサイドキック達は甘くない。
「なるほど……音と揺れと氷壁の三段構え……良い攻撃だ、感覚を狂わせつつ氷壁で無限に遅滞戦闘、並の
そう呟いたギャングオルカは超音波を放ち氷壁を粉々に砕くと呟く。
「で? 次は?」
そう呟いたギャングオルカに対して懐に潜り込んだ鈴仙が呟く。
「ありますよ?
個性の圧縮訓練を重ねてモノにした新たな技の1つ。
それをギャングオルカに叩き込む。
既存の8つの技とは比べ物にならない程の精神操作、現状出来る全てを練り上げた極致。
幻覚幻惑幻視幻聴……その全てを叩き込んで錯乱状態に陥らせる技。
先程の耳郎響香との合体技、そして真堂さんの揺れも合わせて感覚機能が狂っていたギャングオルカはそれに対して行動が5秒ほど遅れる。
サイドキック達がギャングオルカの援護に向かおうとした瞬間に士傑の毛原長昌が体毛で絡め取り動きを封じる。
しかしギャングオルカのサイドキック達も伊達や酔狂でプロを名乗ってはいない。
即座に個性を使って脱出し毛原長昌へと強襲を行おうとした刹那。
轟焦凍と耳郎響香、鈴仙、真堂、4人の同時攻撃で身動きが取れなくなる。
そして唐突に放送が流れる。
『えー、配置された全ての
左側頭部から流れ出る血を八百万百が創造したタオルとガーゼで抑えながらその放送を聴く鈴仙であった。